ゼロから始まる俺氏の命   作:送検

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今回は、藤ノ宮サイドのお話です。

次回は原作マジで入りますので許して...!

始まる始まる詐欺マジですいませんッ!!


閑話 夜空

「では、少ししたらお呼び致しますのでごゆっくり」

 

「はい、わがままを聞いていただきありがとうございます椎堂」

 

夜空に光る星が綺麗な今日この頃、私は八つ橋という京名物の和菓子を横に置き、月を見ます。

今日ほど月が綺麗な日はなかなかありません。写真は取れませんが、心にしっかりと留めておきたいものです

 

私、藤ノ宮寧子は昔から病弱で臆病な人間でした。体は弱く、薬は肌身離さず持ち歩き。

それでも、そんな私でも皆の親切によって何とかこの世界を生きることが出来ました。それ故に少し前までは外に出ることすら危うかったのですが今ではこうして月を見ることも少しなら許されています。

そんな私は今、とある男と懇意にしています。彼は、信州の名家の長男であり父親同士の仲が非常に良好だった事も相まってとある時に出会いました。

最も、当時の出来事をあの人は覚えてないようですが私にとっては忘れることの出来ない、そして心の内に留めておきたい大切な思い出なのです。

 

 

 

 

 

 

 

 

私と、あの人が出会ったのはまだまだ私達が小学校にも通っていない若かりし頃でした。

 

 

 

 

 

 

「...お前さん、何やってんだ?」

 

「...!」

 

夜、パーティ会場の外で迷子になっていた私は1人噴水広場のベンチに座って涙を流していた。

 

そして、そこには目つきの悪い見知らぬ男がいて、思わず私はその男と距離を置いてしまった。

 

「あー...やっぱりこの人相じゃ疑われますよね」

 

私は、その男の声に思わず頷く。この男の目つきは些か悪すぎる。果たして何をどうしたらそこまで人相が悪くなるのか。

 

そう思って、警戒していると男は笑みを見せる。

 

「お前さん、迷子か?」

 

「...はい」

 

「...ここにいれば、いずれ来るのか?」

 

「...きっと」

 

「そっか...」

 

今までの会話を一文に纏めても、恐らく長い会話にならないであろう会話を私達はしていた。しかし、話すにつれて緊張が解れてきたのか、先程まで抱いていた疑念やら、警戒心やらは解けていた。

 

「...パーティ、つまんねえな」

 

「それは、どうしてですか?」

 

パーティは確かに見知らぬ人と出会うものであり、怖いものではあるがつまらないなどといった感情は持ち合わせたことがない。

 

「どいつもこいつも人の顔を伺ってばかりだ。まあ人生なんてそんなものなんだけどさ」

 

「それはあなたのお父様もですか?」

 

「...あー、親父はなんつーか例外だ。あの人は違う意味で嫌だ」

 

一体貴方の父親はどんなお方なのですか。

 

「でも、美味しいものを食べれるのはいいよね。何せ俺ら子供だし」

 

「...そんなものなのでしょうか」

 

「ガキは食べ物に舌鼓を打つことだけ考えときゃいいんだよ。子供なのに商談とか、取引とか意味分かるか?」

 

「えっと...」

 

確か、聞いたことがあります。

 

大人と大人が話し合う事ですよね。

 

「お、よく分かってんじゃん。でも内容までは流石に分からないだろ」

 

「それは、そうですね」

 

「なら、今は楽しいことばかり考えてればいいのさ。どうせ大人になったらおちおち食べ物も食べられないんだからさ」

 

そう言って男は私の頭を撫でる。一瞬私の肩は跳ね上がるもののクールで堅そうな彼のイメージからは想像出来ないような優しい撫で方に、私は少し心地好くなりかけていた。

 

 

 

 

 

 

...って何をしているのですか私はッ!

 

 

 

 

「や、やめてください!撫でないで下さい!」

 

そう言って男から人一人分離れると男はからからと笑みを見せる。

 

「なはは、悪い悪い。可愛かったからついつい」

 

可愛い!?

 

ついつい!?

 

「覚えておいて下さい...!」

 

「え、ごめん。だからそのいじけつつも侮蔑したような目を向けないで?ね?」

 

いつか仕返しをしてやろう。私は自分の胸に強くこの光景を刻みつけた。

 

 

 

「...お、あそこでさっきからキョロキョロしてるのひょっとしたらお前の親父さんじゃない?」

 

そう言って、男は真っ直ぐに指を指す。その方向を見るとそこには先程から辺りをキョロキョロしている私の父がいた。

 

「お、お父様...!」

 

独りでにそう呟き、私はその男の方を振り向く。するとその男は既に立ち上がり、室内の中へと向かおうとしていた。

 

「あ、あのっ...!!」

 

このままじゃ、私の心が済まされない。そう思い、私は大きな声で男を呼び止める。

 

すると、その男はこちらを振り向き

 

「上田だ。また縁があったら会おうぜお嬢様」

 

たった一言二言、そう言って室内のパーティ会場へと戻っていってしまったのだった。

 

...結局、お礼言えませんでしたね。しかし、名前という大事な事を知りました。それを頼りに、何時か会えたら───

 

今度はしっかりと、あの時のお礼をしたいものです。

 

 

 

 

 

 

そうして、二転三転して私と幸村様は雪が降り積もる2年後に2回目の再会を果たしたのでしたが、それはまた別のお話。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「寧子様。そろそろお時間です」

 

と、回想に耽っていたらいつの間にやら椎堂が来てしまったようです。もう少し、幸村様との初々しい思い出を語りたかったのですが。

 

「ええ、分かっていてよ椎堂」

 

そう言って立ち上がり居間へと向かう最中、空を眺める。

 

幸村様。

 

私は貴方を好いております。

 

あの時、貴方は私に生きる活力をくれた。

 

あの時、貴方は私に生きる意味をくれた。

 

そんな貴方が、私にとってはひどく眩しく映るのです。

 

ある時、お母様が『初恋というものは実らないもの』と仰っている時がありました。故にこの想いは貴方の心には届かないかもしれない。

 

ですが今日のような満点の夜空の日、私は毎日祈ってしまうのです。

 

貴方と政宗様の仲が変わらぬように。

 

 

そして、何時か『心に秘めているこの想い』が貴方の心に伝わりますように───

 

 

 

今日も私は満天の夜空に祈ります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「へ、ヘブシッ!!」

 

「お、どうしたんだ幸村。風邪か?」

 

「だとしたらおかしいな。俺小学生入ってから風邪ひとつ引いたことないんだけど」

 

「鉄人かよ!?」

 

とある少女が満点の夜空に祈りを捧げている中、2人のイケメン達は満点の夜空の下で筋トレを敢行していた。

 

 

今回は、たったそれだけのお話。

 




藤ノ宮可愛いよね。

というわけで次は絶対原作入ります。

目指せ最高の終わり!

目指せハッピーエンド!
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