ゼロから始まる俺氏の命   作:送検

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第1話 政宗

俺にとって小学生時代とは1種の空白期間というものに該当する。

 

 

 

ほぼ惰性でしか動かなかったり

 

 

 

 

テキトーに何かを言われるがままこなしていたり

 

 

 

 

家でゴロゴロしていたり

 

 

 

 

京都で風邪っぴき病弱少女に何気なく出会ったりと、まるで、同じ所を行き来するお掃除ロボみたいな生活をしていた。そのため、最早何をやっていたかすら殆ど忘れており俺の数ある青春の中でもつまらない、俺にとってはそんな記憶だ

 

 

中学校2年生、高校2年生は中だるみの時期と呼ばれているらしいが、俺には随分と早く中だるみの時期が来てしまったらしいな。

 

 

 

因みに前世の俺は18歳で死んだ。そして、今は12歳。精神年齢は既に三十路をいっており、もさもさだった髪の毛が次第に無くなり始める年頃だ。

 

 

閑話休題

 

 

まあ、本当に最後の最後。小学校残り一年となった6年生の年にはとある少年が学校に転校してそこから少し俺の中の学校生活が、少しずつ変わり始めたのだがその年まで辿り着くまでのお話がやたら長くて面倒だ。

 

 

故に、小学生になって5年間のお話は割愛させて頂こうと思う。だって、皆がやっているような俺の小学生時代の話を長々としてその話が皆がやっているような事だったとしてみろ。

 

 

『ああ、普通だったな。それで?...時間返せよこのクソ野郎』

 

とか、思っちゃうだろ?俺はそう思う。

 

 

と、いう訳でだ。ここから先は俺の小学生時代最後の1年の話をしようと思う。普段一人だった俺がとある少年と同じ道を歩むきっかけとなった出来事、そして、俺自身のあり方を変えるきっかけになった少女の話を。

 

 

ここまで長々と失礼した。では、先ずはとある少年の話をしようか。この信州にいた時に親友になった、少しぽっちゃり系の男の子の話を。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

信州の何の変哲もない学校。そこで一人の男が俺の隣で挨拶をしていた。

 

 

「真壁...政宗、です...」

 

自信という自信を何処かに置いてきてしまったかのような声をした少年が一人、衆人環視の視線に晒されていた。

 

小学校6年生の春、新しいクラス、新しい友達、仲間。青春って良いな、と思い教室の窓際の席に座りこんで窓の外を見ながら物思いに耽る。

皆が元気良く挨拶をするのを耳だけで聞き流し、それをBGM代わりにしているとふと、そんな声が聞こえたものだから驚いて俺は右隣の真壁政宗の方向を見てしまった。

 

真壁政宗、名前だけは聞いたことがある。信州に三年前来た少しぽっちゃり系の男。専らの噂では苗字を母方の苗字に変えて、爺さんの家に住んでいるらしい男だ。

 

そして俺自身、真壁の爺さんには世話になったことがあり、まあこれも何かの縁だ。話す機会があったらコミュニケーションを取ってみようと思い、もう1度窓の外を見た直後だった。

 

「...あ、あの...」

 

驚いた。コミュニケーションを取る機会は早速来てしまったらしい、それも真壁の方からだ。内心驚いて振り向くと真壁がおずおずといった表情でこちらを見ていた。

 

「何だ」

 

見ず知らずの転校生が突然挨拶をした事と、予期せぬ事態に見舞われた故に思わずぶっきらぼうな返事になってしまった。少年は少し怖がってしまっているようだった。

 

 

「あー...性分でな。別にお前を嫌っているって訳じゃないんだ。どうした?」

 

そう言うと真壁政宗は少し表情を綻ばせ、話し始める。

 

 

「お、俺...真壁政宗って言うんだ。よ、宜しくね」

 

...お、おう。自己紹介バッチリ聞いてたから分かるぞ、宜しくな真壁。...で、どうした?

 

「え、えーと...確か、上田君...だよね」

 

「ああ。合ってはいるがその上田君って堅苦しいな。別に幸村で構わないぜ?」

 

まあ、その名前が呼ばれることは滅多にないがな。だって友達居ないもん。

何はともあれ、そう言うと真壁は綻んでた顔を更に綻ばせて俺に話しかける。

 

「じゃ、じゃあ改めて宜しくね幸村君!!」

 

「ああ、宜しくな真壁」まあ、これが俺こと上田幸村と奴こと真壁政宗の所謂ファーストコンタクトというものであった。

 

 

 

 

 

 

 

真壁政宗──頭は悪くなく、寧ろいい部類に入り運動神経も悪くない。体型はぽっちゃり系の男。頗る性格は良い方らしく穏やかな田舎民もそれなりにいるこの土地では真壁政宗はのびのびと生活していた。

 

そんな政宗を見て俺は、ふと聞きたくなった事があった。あれから2ヶ月過ぎてかなり俺と真壁の仲は良くなり俺にとっては唯一無二の親友が出来たと思い始めた頃、俺は教室に隣接されている窓際のベランダで真壁に何故そこまで他人に優しく出来るのかと聞いてみた。すると、真壁は持っていた缶ジュースを握りしめ

 

「当時の俺は少し世間ズレしててさ、『僕の家はお金持ちなんだぞ!!』って簡単に言っちゃうような嫌な奴だったんだ。それが原因で虐められることも多かったんだ...それに、俺デブだし...そう言うのを体験してるのに態々関係ない人に突っかかろうとは思えないんだよ...」

 

 

スネ夫乙...じゃなくて。

 

 

「『僕の家はお金持ちなんだぞ!!』発言は兎も角体型の問題で虐められるとか都会って恐ろしいな。...もう此処に永住してしまえよ」

 

信州は良いところだぞ?俺の知る限りではデブだからって虐めるやつ居ないし、仮にいたとしても俺がぶっ飛ばしてやるし。

 

そう言うと、真壁は本当に嬉しそうな笑みを浮かべ、それと同時に暗い、何かを思い出すような表情をしていた。

 

「ユキムラの誘いは嬉しいけどさ...俺は絶対にあの憎ったらしい女に復讐しないといけないんだ。だから...ごめん」

 

おおう、あの温厚な真壁が復讐という言葉を口にするか。果たして何をした少女Aよ。

 

「そうか...」

 

俺はプルタブを開けて缶コーヒーを飲む。苦味が口に染み渡り俺の思考をまた一つ冷静にさせる。隣を見ると真壁は空き缶を握りしめているのだが、全く潰れない。それに内心苦笑いしてしまったのは別の話だ。

 

 

「...で?復讐の為の準備は順調に進めてるのか?」

 

そう尋ねると真壁はクッキーモンスターもビックリな位に顔を青ざめ言う。

 

 

「...うん、まあ...順調だと思うよ?最近は体脂肪率も少しずつ減ってきてるし、木に止まっている鳥が食べ物に見えてきたし...」

 

 

おい、

 

 

それ大丈夫か?

 

 

急なダイエットは体に毒だからな?

 

 

「...まあ、此処にいる時くらいはリラックスして過ごそうな?そうしないとハゲるぞ?」

 

俺がそう言って真壁の肩を叩くと、真壁は哀愁漂う笑みでははっ...と乾いた笑みを浮かべた。

 

 

 

 

 

...解せぬ。

 

 

 

 

 

 

 

 




二次創作を書くのって本当に難しいなと思い始める今日この頃。

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