ゼロから始まる俺氏の命   作:送検

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第21話 観察 (前)

 

『人』という漢字は長い棒と短い棒で支え合うようにして成り立っている漢字である。

 よく見たら片方よっかかってるじゃないかとか、片方が楽をしているのが人の概念とか、人という漢字の成り立ちには人間により様々な意見があるが、少なくとも俺は、人というものは支え合うように出来ており、その成り立ちのように人は支えあって生きるものだと思っている。

 

 俺の思考の場合は境遇も影響しているのかもしれない。俺は、現世で家族や親友、友人、他者と人と関わって、支えあって生きてきた。現に、政宗とは共に復讐を成そうと努力しているし、こうして1人になった時に藤ノ宮と会話したり、悩みを持ってしまった時には家族に打ち明けたり、尽くとまではいかなくとも、俺は人と関わっている。転生者という奇天烈な存在である俺が状況に困惑し、発狂することなくこの世界で生きてこれたのは人と支えあって生きてきた賜物なのだと思っている。

 

 まあ、何が言いたいのかというとだ。

 

 どんな境遇の人間だって、1度友情の尊さ、人と関わる事の楽しさを覚えてしまうと嫌でも友情や人と関わる楽しさに溺れてしまうのではないかという仮定を言いたかっただけで。

 

 今、俺は1人でいるより政宗と一緒に何かを考えたり、藤ノ宮とこうして2人で街中を歩いている方が楽しくて、あの時のクールぶってた俺を恥ずかしく感じていて───

 

 ああ、過去の俺って言うこと成すことの殆どが黒歴史だったんだなあと藤ノ宮と昔話に花を咲かせつつ、そんな事を思っていた。

 

 尤も、黒は黒でも、それを消したいだなんて思ったりしたことは今日を含めて1度もないわけなのだが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ※

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ここですっ」

 

 藤ノ宮に言われるがままに連れていかれたのは、ごくありふれたファミリーレストランと呼ぶべき場所だった。

 

 「おお、藤ノ宮にしては......なんつーか、意外だな」

 

 藤ノ宮程の奴なら、もっと違うところを観光したいと言い出すのではないのかと思っていた俺としては妙に肩透かしをくらった気分だ。

 そう思い、藤ノ宮を見ると彼女は『ファミレス』という未知の店内に心を踊らせ、ドアに手をかける。

 

 「私、1度こういったお店に行きたいと常々思っていましたの」

 

 「ファミレスにか」

 

 「ええ......お時間、よろしいでしょうか?」

 

 「寧ろウェルカムだ。飯食ってなかったしな」

 

 何処でも連れていくと言った手前ファミレスに行きたいと言われて断るやつがいるのなら、見てみたいものなんだがな。

 

 「なら、良かったです」

 

 何はともあれ、俺が藤ノ宮の誘いに対して快諾すると、藤ノ宮は笑みを浮かべ、俺の後ろへと回り込む。

 

 「あの、藤ノ宮さん?」

 

 俺がそう尋ねると、藤ノ宮はこちらを苦笑いしつつ耳元で囁く。

 

 「......礼儀作法を知りませんので」

 

 「いや、別に礼儀作法とかねーから」

 

 そして、耳元に息を吹きかけないで。周りの視線とか、諸々痛いから。

 

 気を取り直し、ファミレスに入店し店内の端の席へと案内される。女性の店員さんのニヤニヤした笑みが矢のように俺の心に突き刺さる。

 

 席に座り、用意された水を飲むと冷たい水が喉を通過するのと同時に俺の頭も冷えて舞い上がっていた気持ちが少しずつ戻ってきた。

 舞い上がっていた気持ちが落ち着くと同時にいつもの体裁だけ落ち着いた感じが戻ってきた為、俺はいつものように藤ノ宮に話しかける。

 

 「にしたって、折角張り切って観光しようと思ったところがまさかのファミレスだなんて.....少し驚いたぜ」

 

 「あら、何時もはやる気が皆無の幸村様が折角御学友の為に何かをしているのですもの。邪魔をするのは野暮でしょう?」

 

 まあ、確かにやるべき仕事はあるのだが。

 

 「結構時間もあるんだぜ?その時間をファミレスでずっと潰すってか」

 

 「潰す、ですか?」

 

 「ああ」

 

 俺がそう言うと、藤ノ宮は少しだけジト目となり俺を見やる。

 

 「潰すだなんて滅相も御座いません。私は幸村様と共にファミレスに行けるということに意義を見出しているのです。昔は、それなりに苦労も重ねてきていましたから」

 

 「......ああ、そうだったな」

 

 藤ノ宮は、体に爆弾を抱えている。昔から、体調を悪くする時が多々あり、親父と母さんがほぼかかりつけの形で藤ノ宮家に通っていた。

 そして、その爆弾は今尚変わらず藤ノ宮寧子という女の体を蝕み続けているのだ。それでも昔に比べたら病弱では無くなり、学校へも行けるようになった。ただ、サプリメントや薬を毎日飲むことと激しい運動の禁止という制約つきではあるのだが。

 

 「ええ、そうですわ。こうして見知らぬ土地で殿方に手を引かれ、徒然なるままに歩き、何処かで休息を取る.....まるでドラマのようでありませんか?」

 

 「ドラマ.....ねぇ?」

 

 「幸村様がお好きなアニメにも御座いませんでしたか?熱血サッカー少年が記憶を失くした女の子に連れられてファミレスでパフェを───」

 

 「そのサッカーアニメの話はガチでやめて。トラウマを思い出しちゃうからっ.....!!」

 

 未だに夢に出てくるサッカーアニメ。某有名主人公の『サッカーやろうぜ!』という名台詞。今でもそのような言葉を聞くと殺意と破壊衝動が治まらなくなる時がある。それこそ、野郎の誰かがそんなこと抜かしてたら『じゃあ、お前がボールなっ!』と言って蹴りくれてしまいそうな位には俺にとってそのアニメはトラウマなのだ。

 頭を抱えて、恐怖に怯える。サッカー怖い.....!ゴルフ怖い.....!ついでにその話を持ち出してきた藤ノ宮さんめがっさ怖い.....!

 

 藤ノ宮を見る。

 

 すると、藤ノ宮は少しだけ呆れた表情で俺を見て、それでも何かをとても楽しむような、そんな顔をしていた。

 

 かつて───俺と藤ノ宮が初めて出会った時、彼女の顔はいつまで経っても無表情で、何をするにしても現状を憂うような、そんな顔つきをしていた。

 

 「藤ノ宮」

 

 何気なく、言葉を発した。

 

 「?」

 

 「今、楽しいか?」

 

 昔、縁側にて放った言葉をもう一度聞く。過去に、藤ノ宮は無表情で言った。

 

『生きることに希望を見出しきれていない』と。

 

 なら、今はどうなのかな。

 

 ここにいる時間は、藤ノ宮にとっての『生きる意味』になれているのかな?

 

 何気ない一言から生まれた言葉は、形にするにつれて明確な意図を持つ言葉に変わる。少なくとも、今の俺は目の前の女の子に対して『純粋な興味』と『心配』の感情をミックスさせたかのような気持ちを抱いている。

 

 そして、そんな感情を抱いた俺にそう尋ねられた藤ノ宮は一瞬惚けた表情でこちらを見るも、今度は無表情なんかでは無い、笑顔で俺に言った。

 

 「ええ、楽しくってよ?」

 

 「......ああ、そうかい」

 

 生きる希望を見出したかどうかは今の言葉からは察せられない。

 しかし、ただひとつ分かることは藤ノ宮寧子という女が過去の無表情とは違った笑顔を見せていたということで。

 

 俺は、その笑顔に心の底から安堵していた。

 

 そして、他でもない俺の心に少しだけ亀裂が走る。

 

 

 「......メニュー、頼もうか」

 

 笑いたくなる衝動が抑えきれなくなってしまった。政宗や藤ノ宮諸々の様々な人間に関わるようになったことで、俺の体裁だけのクールっぷりやら不動心(笑)等は直ぐに壊れてしまうようになってしまった。

 さて、その壊れっぷりやら体たらくぶりやらをを真正面から見ていた藤ノ宮はこちらを見てクスリと笑い、言葉を発する。

 

 「幸村様も、変わりましたわね」

 

 「ああ、変わっちまったな」

 

 全くもって、不本意だ。

 皆のせいで、毎日が楽しい。

 

 「ただ、それを言うなら藤ノ宮だって変わったよ」

 

 「私も、ですか?」

 

 そう言って、首を傾げる藤ノ宮。もしやこの子自覚していないのだろうか。

 昔のまるで諦観に満ちた顔つきはまるで垢抜けたかのようにニッコリと可愛らしい笑みを浮かべられるようになり。顔つきだって、可愛らしいそれから10人中10人は振り向くであろう美人のそれになった。

 

 「もしやお主、天然か」

 

 「天然.....?」

 

 俺が思わず口をついた一言に、藤ノ宮はまたしても首を傾げる。わーい、この子やっぱり自分が美人ってこと自覚してないよー。

 まあ、外見を皮1枚の人間と割り切ってしまえる藤ノ宮の事だ。恐らく自分の顔が美形かどうかなんてさして気にしてないのだろう。良くいえば、心の綺麗な人間、悪く言えば天然って所か。

 

 取り敢えず、俺は少しだけ藤ノ宮に笑いかけて言葉を紡ぐ。

 

 「顔つきが大分変わったよ。ああ、勿論良い意味でな」

 

 「良い意味か、悪い意味かは置いておくとして......それほど変わった実感は無いのですが」

 

 藤ノ宮はそう言うと、顎に手を当てて思案するも思いつかないようで、メニューのボードで顔を隠し、目だけを見せた状態で俺に問いかける。

 

 「具体的に、何処か聞いてもよろしいでしょうか?」

 

 具体的に、か。

 

 「よし、答えよう。具体的に言うとな、可愛くなったんだよ」

 

 「......幸村様の口説き文句のような何かも、久しく聞いてへんかったなぁ」

 

 藤ノ宮がジト目で何か呟くも、それを気にせず続ける。

 

 「具体的には、顔つきだよな。この際言ってしまうが全体的に垢抜けた感じがする。そして、昔から外見を皮1枚の問題と割り切り、どんな人間にも優しくしてくれるその心意気。その2つが重なることで藤ノ宮は外も中も完璧なスーパーガールへと変貌したんだ......って、藤ノ宮?どうしたんだよ。メニューで顔全体を隠すなんて、らしくない」

 

 「......幸村様はご自分が何を仰っているのか今一度お考えになって下さい」

 

 「スーパーガール」

 

 「考えて下さい」

 

 今度は冷たい声でそう言われた。意外とショック。

 

 心の中で、藤ノ宮の冷たい声とジト目を想像し軽く身震いしているとポケットにしまっていた携帯が小さく暴れる。

 

 「藤ノ宮、悪い」

 

 「構いませんわ」

 

 人と話している時に携帯を見てしまうのは些か気が引けるのだが、今回は状況が状況な為、一言断りを入れて携帯を見る。

 すると、そこには予想通り親友からの着信が電話という形できていた。

 

 「どした」

 

 俺が小さな声でそう言うと、政宗は電話越しから悲鳴にも近い声を出す。

 

『助けてくれ、幸村っ.....!俺、羞恥で死んじゃいそうだよ.....!!』

 

 ああ、何となく察しはつく。

 きっとこの男は隣にいる女のコスプレのせいで好奇の視線という二次災害を被ってしまっているのだろう。

 状況は痛いほど理解できる。しかし、この場にいる俺には政宗の抱える羞恥という悩みを消し去ることは出来ない。

 

 ああ、歯痒い。

 

 「ヨッシーの策略だ。まあ、仲良くデートは出来てるし結果オーライってとこなんじゃねえか?」

 

『結果オーライか!?ハダピュアのコスチューム着てる安達垣さんとデートしている俺の羞恥心は割にあっているのか!?』

 

 「ま.....まあ?遠回しに安達垣ディスれるし、後からそれが間違いだってことに気付かせてその話をネタに持っていくことくらいはできるから、割には合っている.....と信じたいなぁ?」

 

『疑問形ヤメテ!不安になる!めっさ不安になるっ!』

 

 懇願にも近い声色で電話越しに語りかける政宗が容易に想像出来る。腕時計をちらりと見ると時刻は丁度映画の上映から2時間。ということはトイレ休憩か何かで俺に電話を掛けているのであろう。

 

 そろそろ、俺も動かなきゃな。そう思った俺は政宗に尋ねる。

 

 「今映画館だろ?これから何処に行くんだ?」

 

 時刻は丁度昼を回ったところだ。映画見て、その次にやる事と言ったらご飯なのだろうが、ワーキングなんちゃらを見た2人が気軽にご飯を食べられる状態にあるのか。

 

『ああ.....安達垣たってのご要望で今から昼飯だよ.....』

 

 わーお。

 

 俺は心のどこかでアッキーの胃袋を軽視していたらしい。そうだった、彼女は何時だって何処だってお腹を空かしているお腹ペコペコのアッキーヌだったではないか。

 どんな血なまぐさいホラーを見たところで、その鮮明な記憶は全て食欲に凌駕されてしまう。それ程の食欲を安達垣は持っていたのだ。

 

 「お前さんは大丈夫なのか.....?」

 

『こちとら元々あんまり食わない上にホラー映画を見せられた後だぞ.....?食えないよ、ご飯食べられないよ』

 

 「そうか.....」

 

『.........所で、幸村は何してるんだ?映画館は貸切だったからどっかにいるんだろうけど.....』

 

 「ああ、近くのファミレスでたまたま会った友人と飯食ってる」

 

 何気なく、そう言うと政宗はやや驚いたようでドアを蹴るような物音が、雑音として俺の耳に響いてきた。

 

 「なんだ、どうした」

 

『幸村が.....ダチと、メシ?』

 

 「よっし、お前今何想像したか明日までに感想文1枚分書いて持ってこい」

 

 何を想像したのかは知らないけど、非常に失礼な想像をされた気がする。気分はさながらメロスを死刑にしようとした王様。はて、暴君とはこのような事を言うのだろうか。少し安達垣の気分が分かったような気がする。

 

『ええっ!?』

 

 「あ、今ので俺の心と耳が傷ついたから原稿用紙2枚分な?」

 

『理不尽なぁッ!?』

 

 政宗が涙目で頭を抱える様子が目に浮かぶ。少しの間の暴君ごっこは非常に愉快で面白く、続けたい気持ちもあったのだが、これ以上政宗を弄るのも可哀想になってきたし、さっきから藤ノ宮の視線が痛い為、ため息を1度吐いて話題を切り替える。

 

 「何処でメシを食うんだ?」

 

『ああ、それは.....近くのファミレスかな?安達垣さんお腹空いてるっぽいから遠出は出来ないし』

 

 ふむ、相手のことを考えたいつものCOOLな政宗になってるな。少なくともKOOLにはなってないことが分かった俺は胸を撫で下ろす。

 

 「分かった。んじゃ、場所が分かったら教えてくれ。俺はもう暫くメシ食ってるからよ」

 

『了解っ、後からでいいから俺のこと見ててくれよ?』

 

 「おっけー」

 

 俺が軽いノリでそう言うと通話が切れ、ツーツーと電子音のみが俺の耳に響く。それと同時に聞こえてきたのはファミレス特有の様々な人の会話の声と、藤ノ宮の一言だった。

 

 「.....友人、ですか」

 

 「へ?」

 

 凍えるような、そんな声に俺は思わず素っ頓狂な声を上げる。ただ、それも束の間、頬を膨らませた藤ノ宮はふう、とため息を吐いて窓を見つめる。

 

 「幸村様にとって、私は一体何者なのでしょうか」

 

 ふむ?

 

 それは一体全体どういうことなのだろうか。

 

 「幸村様には、様々な御学友をお作りになって、様々な方々と友人になりました。その中でお作りになられた幸村様の友人という輪の一括りに政宗様や私といった旧友は、含まれてしまうのでしょうか」

 

 そう言った藤ノ宮の言葉は、上手くは言いきれないけどいつもな凛々しさとは何か違う心細げな語気を纏っていた。

 まるで、悩みの種を打ち明けるように。そして、不安気な目線が俺をちらりと見て、ハッとなったかのようにまたそっぽを向いた。

 

 

 お主は親の様子をちょくちょく伺う、親に怒られた子供かっ。

 

 

 そう言いたくなる程の意地らしくて、昔の面影を残した藤ノ宮の表情に少しだけ懐かしい気持ちになった俺は、きっと意地の悪い笑みを浮かべている。

 

 「藤ノ宮はさ、昔の俺を知ってるよな」

 

 「.....ええ、知っていますわよ。勉強ばかりしてて、要領は少し悪くて、それでもこれと決めたものには真っ直ぐ取り組む幸村様の芯の強さを、それだけではない幸村様の良いところも、悪いところも全て知っていますわ」

 

 ああ、そうだ。

 

 そして、俺も藤ノ宮の事を知っている。

 美人で、頭良くて、見た目は完璧超人なんだけどその実ちょっと腹黒くて、体が少しだけ弱くて、それでいてちょっと子供っぽい所のある藤ノ宮寧子を俺は知っている。

 

 だからこそ、とは言わないけど。少なくともこれだけは言いたい。言葉だけではきっと懇切丁寧には伝えられないけれど、他でもない藤ノ宮の為だ。一肌脱いで、恥を忍んで、言ってやろうではないか。

 

 「俺は、余っ程信頼してる奴じゃないと二人っきりで飯食いに行ったり外に出たりはしないからな。そこら辺、よろしく」

 

 この先、信頼してる人間が増えることがあるのかもしれない。予備軍だったら沢山ある。それこそ朱里くんに、双葉さんなんて予備軍筆頭だ。

 けれど、強制連行や致し方がない時を除いて、自分の意思で『行こう』と思える人間は今のところ2人で、女友達ならたった1人のみだ。

 

 ───そして、それは俺の目の前で驚いた顔をしている女の子ってことは.....俺の携帯を見れば一目瞭然だ。友達少ない?ははっ、なんとでも言いやがれ。良くいえば一途だ。男の一途程重たいものったらありゃしないけど。

 

 「とにかく、藤ノ宮。この先どれだけ俺の友情の輪が広がろうが俺の中で、お前は特別だよ。だって、昔からお前の事知ってんだもん。大前提が大違いだってんだよ。だから、そんなに拗ねてないでこれから食べる料理に舌鼓でも打とうぜ?」

 

 そう言うと、藤ノ宮は相変わらずのそっぽを向いていた顔をこちらへと向けて、ジト目で俺を見やる。ところが、そのジト目は以前よりか緩和されたように見えるのは.....俺の気のせいかな?

 

 「.....そうですか」

 

 「そうだよ」

 

 それに対して、俺はニコリと笑い言葉を続ける。

 

 「さて、何頼もうか」

 

 「そうですね、ここは甘味でも頂きましょうか」

 

 「いいね、甘味。白玉ぜんざいとかいいんじゃね?」

 

 「和スイーツ.....いいですわねっ」

 

 俺と藤ノ宮は揃って白玉ぜんざいを頼み、品物が来るまでの暫しの時間を会話して、笑って、のんびりと時間を過ごしていた。

 こんな時間を過ごすのは久しい。

 

 最後に2人で会話をしたのはいつ頃だったやら。と、そんなことを考えていると不意に携帯が鳴る。これは、メールの着信か。

 

 「それに致しましても『俺はぼっちだからガラケーでいいよ』と仰っていた幸村様がスマホ.....人は変わるものですわね」

 

 「うるさいよ」

 

 全く、失礼しちゃうぜ。確かにそんなことをぼっち時代はそんなことも考えてたけどさ。

 本当に良い性格になったよな。と藤ノ宮の性格の変化を喜ぶと同時に恐怖で心がヒエッヒエになった俺はメールの内容を見る。

 

 その瞬間、俺の中の時が止まった。

 

 「幸村様?」

 

 人の雰囲気の変化にはそれなりに過敏な藤ノ宮が俺を見て心配そうに尋ねるのを笑みで制して、もう一度文面を見る。

 

 

 

 

 

 

『飯、✕〇ファミレスで食べることになったよ』

 

 

 

 

 

 

 

 「.....藤ノ宮、後で俺の友達を紹介するよ」

 

 「.....え?」

 

 尚も心配そうに俺を見る藤ノ宮に乾いた笑いを見せる反面、内心俺は頭を抱え、安達垣にバレないようにする為の対策を考えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




次回で原作1話を終了させる予定です。

閑話で原作0巻のお話を入れるかも。

藤ノ宮の話し方が上手く掴めません。

アドバイス、ご指摘頂ければ幸いです。
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