あ、短いのはいつもの事か...
突然だが、俺の家族について説明を加えようと思っている。
俺の家族は父と母の間に二人姉弟の四人家族構成である。更に父には弟がいて、家庭を持っているという何とも複雑な関係線となっている。
今回は親父、母さん、姉さんについて紹介したいと思っている。態々親父の弟や弟の家族についてまで説明しようとするほど俺は気の長い性格ではない。
先ずは、俺の父親である昌幸から説明しようと思う。
「...親父、何してんの」
茶の間で茶を飲むという何の変哲もない行為をしていると、突然親父が家の庭で大きく素振りを始める。
「んー?ああ、これはゴルフだ」
分かるに決まってんだろそんな事。アッパースイングで鉄製のアイアンをフルスイングしてる時点でゴルフだって気付くだろう。
俺は、何故親父が此処で素振りをしているのかと聞いているんだがな。
「...趣味かな?」
「とっとと行きつけのカントリークラブにでも行ってこいってんだよ」
俺の父である上田昌幸は開業医、そして、とある名家のお嬢様のかかりつけ医をしている。それもこの人先程までは真昼間からゴルフの素振りを家の庭で始めるダメ人間だが、医療の技術はある。それもなかなかのやり手だ。
某有名大学に通い、更にはその大学病院にオファーまで届いたもののそれを断り開業医を始めたんだそうな。どういう訳か大病院のコネクションも沢山持ってるし。
「...と、いう訳だ。母さん、あの親父を何とかしてくれ」
俺がキッチンで洗い物をしている黒髪ロングの主婦にそう言うと、その主婦は笑顔でこちらを見つめる
「ふふっ、相変わらずあの人は自由奔放ね」
いや、笑い事では済ませられねえよ。お陰で俺の胃は常時ストレスマッハで十二指腸潰瘍になりそうなんだけど?
「あらあら、それは大変。...じゃあお腹。ズルズルかっ捌いてもらう?」
そう言って、包丁の切っ先を上に立てながら左手を自身の頬に当てる主婦に俺は冷や汗を一滴流しつつ
「結構だよ!!」
と言い放った。
言う事成すこと全てがエグいこの人は母の薫である。一目見ると聡明な顔つきに物腰柔らかな如何にも日本の美女、といった母だが中々この人の言う事は何か、こう...あ、アグレッシブなのだ。先程の発言も、包丁を持ちながら母が言うとリアルに聞こえてきて本当に怖い。マジで怖い。
「相変わらず、ユキは短気だねー。早死するよ?」
俺が母の言葉に戦いていると、どこからか声が聞こえる...否、大体想像は付く。
「マイペース過ぎるのも考えものだな」
なあ、松姉さん。茶の間で寝転がりながらポテチなんぞ食ってんじゃねえよ。
「あははっ、マイペースで何か悪い?寧ろ最高でしょ!至高でしょ!!」
「あーあー、最高だな最高。そのままマイペースになり過ぎて自分の結婚適齢期まで引き延ばさないようにな松姉さ...はっ」
そこまで言って俺は自身の失態、失言に気付く。さっ、と目の前を見るとそこには激おこぷんぷん丸の姉が誕生していた。
「へー...?ユキの癖に言うようになったじゃない?」
そう言って手首をポキポキ鳴らすこの女。この人が俺の姉である
あ、後この人剣道、空手の有段者で...
途端、俺の頭を手刀が襲った。
女の子に結婚適齢期とか言っちゃダメだよね。故にボコボコにされても仕方ない。是非もない。
と、ご覧の通りの有様を間近で見ている俺にとっては上田家程碌な家はないと断言出来る。昼間ゴルフの昌幸。エグい会話名人の薫。球速?km超スローボールマイペースの松華。彼らに総じて言えることはどいつもこいつも周りがどうあろうと自分を貫くということだ。
対して俺はドント、マイペース。エグい会話など出来ない。昼間ゴルフなど以ての外だ。
ここまで似てないと果たして俺は本当に上田の人間なのかと本気で考えてしまう。幾ら転生した人間だからといってこの似てなさは些か酷いのでは無かろうか。
まあ、他人によると似ている所はあるらしいけどよ。
茶の間で茶をまた飲み始めた俺は、はあ...と溜め息を吐きそのまま大の字に寝転がる。
今日も信州は平和だ。
俺にとっては落ち着くようで落ち着かない。そんな不思議な心境だった。
上田家の家族は姓も含めて真田氏に関係しています。気になる人は調べてみてください)適当