ゼロから始まる俺氏の命   作:送検

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年末までに何とか残虐姫を...

年末までに何とかなる...かな...?


第5話 準備 (後)

「今日ユキを車に乗っけたのはちゃんとした理由があるんだよ」

 

俺達が松姉さんの車に乗り、先ずは政宗を送るために爺さんの家に送ろうとしていると唐突として松姉さんが口を開いた。

 

「果たして何の用なのか、聞いてもいいか?」そう言うと松姉さんは何かが書いてある紙を俺に突き出す。

 

目を凝らすとそこには身長や体重が書いてあった俺の身体測定の結果だった。

 

「...おい、バカ姉貴」

 

お前さんはその紙を何処で獲得した。アンタにプライバシーというものは通用しないのか?

 

「何言ってんのよ、姉弟じゃない。別にそれ位お姉ちゃん気にしないよ?」

 

「俺が気にするんだよ」主に、誰からその情報が行き渡っているとかで。個人情報が筒抜けになって気にしない奴がいるのなら教えて欲しいのだがな。

 

俺が右隣に座っている松姉さんを睨みながらそう言うと、松姉さんは大きく溜め息を吐く。

 

「どーでもいいのよ、個人情報が家族にバレる位!大体ユキは堅いの!この堅物!!」...不覚にもイラッと来てしまったのは仕方の無いことだと思うのだが、どうだろうか。

 

「...で、その身体測定の結果がどうしたって?」そう言うと、松姉さんはふふんと含み笑いをして俺の頬に身体測定の紙を使った往復ビンタを敢行する。おいこら、いい加減往復ビンタを止めなさい。ピ○ピだって『おうふくビンタ』は5回までしかやらんぞ。

 

「ユキは明日のパーティに三年前に着たピチピチのタキシードを着るつもり?」...あ。

 

「と、いうわけで!今日は幸村君に既に用意されている5着のタキシードを試着してもらいまーす!!」パチパチパチ!と拍手をする松姉さん。そして、それを見た政宗が苦笑いしつつ顔を覗かせる。

 

「何ていうか...幸村のお姉さんって独特な人だね...」

 

「だろ?」その割に見てくれと頭はいいものだから変にモテるし変に人気がある。松姉さんの高校時代なんて、ラブレターの手紙が連日連日配られていて、相当松姉さんは参っていたらしい。

 

「まあ、あれで家族の中では相当な常識人だから」

 

「幸村のお母さんとお父さんって一体何者なの!?」政宗は、頭を抱えて蹲ってしまう。はて、そこまで困る様な事を言っただろうか。

 

「それにしても、ぼっちのユキに友達が出来るなんてなぁ...政宗くん!これからもこの愚弟を宜しくね!」そう顔を覗かせ笑顔で言い放つ松姉さん。それを聞いた政宗は即座に顔を上げて。は、はい!としどろもどろになってそう言う。

 

なんつーか、政宗は女性に免疫がないのな。それ程政宗にとっては松姉さんがジャストマイタイプだったのか、単に政宗が女に弱いだけなのか。果たしてこれで復讐が出来るのだろうかと顔を赤くしている政宗を見つつ少し疑念に駆られた。

 

暫くすると、車が減速して止まる。どうやら当初目的としていた真壁家に着いたらしい。

 

「さ、取り敢えず真壁家に行こー!」そう言って車から降りて真壁家に向かう松姉さん。そして後から追いかけるように俺と政宗が歩き出す。

 

「松さんも、お爺様の知り合いなのかな?」

 

「そうだよ」最も本人は『親友』と言って聞かないのだが。

前にも言った通り松姉さんはコミュニケーション能力の高い人間だ。顔見知りは直ぐに作れるし信頼出来る友達も複数いる。流石、親父の血を引いているだけある。

俺?...ほら、俺はあれだから。普段ならここにいるような人間ではないからな。唯一引き継いでいるのは顔と、体格ぐらいだよ。それ以外は全く似ていない。性格なんか360度所か更に一周して、最早壊滅的に似ていないからな。

 

「...幸村の事、俺全然知らないんだね」そう言ってやや凹んでしまう政宗。

 

「友達なんて、そんなものだぞ」出来たての頃は知らない事、物ばかりだ。それを会話するに連れてその事実を知って、秘密事などを共有して親交って者が深まっていくんだ。

...え?政宗と友達になるまでぼっちだった野郎が何言ってんだって?ぜ、前世で学んだんだよ、前世で!

 

「現に俺だってお前の事について全て知っている訳じゃないしな...そんな俺が友達じゃ嫌か?」そう言って苦笑いすると、政宗はこちらを見て慌てたかのように捲し立てる。

 

「そ、そんなわけない!幸村は俺の親友だ!!嫌な理由あるか!!」

 

「え...」俺は、突然そう言った政宗に驚きと戸惑いを隠せなかった。恐らく今の俺はとんでもない顔をしている事だろう。

 

「幸村は馬鹿で粗略であんぽんたんな時もあるけど!!こんなデブで馬鹿な俺と親友になってくれた!そんな幸村を嫌になるわけがない...絶対にならない!!」政宗は尚も続ける。堰を切るように、熱く俺に怒鳴りかける。

 

政宗は、俺に初めて怒鳴った。そして、俺はその事実を理解し、そして言われた内容を理解して、心が暖かくなった。

 

何故か、安心した。

 

「...あ、あの。ごめん急に怒鳴って」そう言ってあたふたする政宗。その仕草は滑稽で、少しずついつもの時間、空気が戻ってきたということを実感する。

 

「...ははっ」そうか、理由はどうであれ、政宗は俺を親友と思ってくれていたんだな。...何が『政宗がどう思っているか分からないけど』だ。俺達はお互いを信頼しあってたんじゃないか。

 

「政宗」

 

「は、はい!」何故か敬語になる政宗。さっきの威勢はどうしたのだと、大きく声にだして言いたいがここはぐっとこらえる。それよりも言わなければならないことがあるから。

 

俺は前に拳を突き出す。

 

「これからもよろしくな」実は、見舞いの時に書いたメッセージ、本当に迷ったのだ。俺は政宗を親友だと思っている。だけど本人がそう思ってなかったら結局、そこまでの関係であったということであり、俺の厚かましさばかりが先行する可能性があった。それ故に俺はあの時のメッセージの最後、by自称政宗の親友と書いていたのだ。

 

だけど、これで声を大にしてこう言いきれる。

 

 

真壁政宗は復讐者だ。

 

そして、俺の唯一無二の親友だと。

 

 

 

真壁家の家の前で、俺達はお互いの拳をコツンと当てた。

 

 

「...そういえば、馬鹿で、粗略で...何だって?」

 

「...あ、あんぽんたん」

 

...あんぽんたんって今時聞かねえよな。

 

 

 

 

 

 

その後の話をもう少しだけさせてもらおう。

 

あの後政宗を真壁家に送り届けた俺と松姉さんは、与太話も早々に切り上げ急いで車で俺のタキシードを取りに行った。無事にサイズに合うものは見つかり、今現在進行形で車で松姉さんと共に後部座席に座っている。

 

「いやー、今日は忙しかったねぇ!」そう言ってぐっと背伸びをする松姉さん。確かに、何時もマイペースな松姉さんにしては今日は良く働いた方である。車での移動ながら、大学での時間や、昼食などを含めて今日は丸1日外にいた。

 

「それにしても、ユキ身長伸びたよね。まだまだ私には適わないだろうけどこの調子じゃ高校生になったら私の身長を抜いちゃいそうで怖いよ」

 

どーだか。

 

第二次性徴期の伸び次第だよな。

 

「政宗くんも今、お爺の所で頑張ってるけど、あのまま頑張ったらきっとイケメンになるね。将来性抜群だね!」

 

「そんな根拠がどこにあるんだか」そう言って、ため息を吐くと松姉さんは顔をぐっ、と近づける。

 

「勘だよ」

 

「...松姉さんがそう言うと大体当たるから怖いよな」これが女の勘って奴か、怖ーよ。

 

そういう風に談笑していると、ふと松姉さんがこちらを振り向く。

 

「ねえ、ユキは今楽しい?」そう言って、俺を見る松姉さん。普段おちゃらけている松姉さんの姿は今はなく、空手や勉強に取り組むような真面目そのものといった顔をしていた。いうなれば、弟を気にかける姉本来のあるべき姿を今の松姉さんはしていた。

 

「...楽しいよ」最初はこの世界に転生して、様々な不安もあったが、健康に暮らせて、少ないが友達もできた。俺は今、前世では考えられない位充実した生活を送っている。

 

「...そっか!なら良かったよ!」

 

「何が良かったってんだ」

 

「だって幸村って結構内向的な子だったじゃん。ありえないスピードで文字読める様になってたし、正直お父さんの書斎に篭っているのを見た時は引いたよ?」

 

家族に引くとか言うなよ。俺泣いちゃうよ?

...はい、盛大なブーメランですね。すいませんでした。

 

「...まあ、何だ。色々迷惑かけて済まなかった、とは思ってる」そう言って頭を下げる。普段、松姉さんには某毒舌芸人も吃驚な程に毒を吐きまくっているが、俺が今こうしていられる足がかりを作ったのは紛れも無く松姉さんだ。つまるところ、俺は上田松華という人物の人間性に言葉では表せないほどの感謝をしていた。

 

「...え、何言ってんのよ幸村」そんな感じで感謝の心を沸き上がらせていると上から冷めたような声と、突き刺すような視線を感じた。畜生、先程まで感謝していた俺の心を返せ。

 

「おい、そこは『べ、別にアンタの為なんかじゃないんだからね!?』とか言うところだろ。空気読めよ」

 

「そんな空気読みたくないし、ユキの性癖とか知らないから」そう言うと、松姉さんは溜め息を吐き──

 

「...別に迷惑なんて思わないよ。私にとってはたった一人の馬鹿で変態で、愚弟なユキなんだからさ」

 

そう言って、俺を一瞥してプッ、と笑う松姉さん。

さて、今一応俺の頭の中では、『感動』の二文字と『怒り』の二文字が浮かんでいるのだがこういう時どっちの心に正直であるべきなんだろうな。




改めて政宗くんのリベンジ原作を読んでみると、まだまだ分からない所が沢山あるんですよね...

未だに出てこない政宗の親父、寧子の父、母。名前なき登場人物(真壁の爺さん)。

そもそも、藤ノ宮寧子は本当に病気なのかな?と思い始めてしまう始末。

この先、原作の展開によって幸村の今後も少し変えていくかもしれないだけに、政宗くんのリベンジ9巻と今後が大事になってきます!

皆さん!原作を!買おう!



...不要な宣伝、失礼しました。
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