MY HERO 〜私のヒーロー〜   作:いひょじん

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私にとってのヒーロー

少し長い昼休みが終わり、俺は教室で次の講義が始まるのをケータイゲームをしながら待っていた。

するとマエっさんから連絡が来た

【急に女の子と約束して入ったから代行頼む!今度何か奢るから】

「はぁ…」

マエっさんの適当さに呆れてため息が出てしまった。

まぁ、代行はいいんだが、テスト間近にノート写させてとか勉強教えてとかなるのが嫌なんだけど。

とにかく、了解とだけ返信して終わらせた。

「あ、さっきぶりだね」

声がした方を向くと渡辺さんがいた。

「忘れ物ちゃんと取りに行けた?」

「うん、友達が持っててくれたから。あ、隣いいかな?」

「どうぞ」

そして、渡辺さんは俺の横に座る。

微かに香る女の子らしい香りに少しドキっとしてしまった。

「そういえば、今日は前田君いないんだね」

「なんか、女の子と遊ぶから休むんだって。おかげで俺があいつの代行をしなきゃいけなくなったんだ」

「ありゃ、それはお気の毒に。けど、前田君って結構遊んでる人なんだね」

「遊んでるっていうか、遊び人になろうとして空回りしてるだけだと思うよ」

「あはは、面白い人なんだね」

「渡辺さんも気をつけてね。誘いがあっても絶対言っちゃダメだからね」

渡辺さんは、少し異性に対する危機感が疎い気がするから、遠回しに注意しておいた。

「ありがとう心配してくれて。優しいんだね」

「こ、これは友達としては当然だから…」

渡辺さんはふふっと笑いながら、講義の準備を始めた。

俺もそろそろ準備するか。

 

曜side

お昼休みに服のことになってテンションが上がって、舞い上がっちゃったけど、朝陽君はいつも通りにしてくれててよかった。

今は、授業中だから朝陽君は教授の話を聞きながらノートを取っている。

いつもは、後ろからしか見えなかったけど、横から見るとやっぱりかっこいいな…

ずっと見ていたいな…

「俺の顔に何かついてる?」

「え?えっと大丈夫だよ。外見てただけだから!」

「そう?ならいいけど」

朝陽君が急にこっちを見るから焦っておかしな言い訳しちゃった。

私の向いてた方向は窓じゃなくて壁なのに…

けど、朝陽くんって真面目な人だな。

初めて見たときは茶髪でピアスしてるからヤンチャな人だと思ったけど、授業は休まないしレポートやノートはすごい丁寧に書いてる。

しかも、凄い律儀な人だし。

友達からなんで曜は東出君の事が好きなのと聞かれるけど、理由は…

朝陽君は私にとってヒーローだから。

 

 

4月初め

この日は、梨子ちゃんと千歌ちゃんの3人で上京してはじめてのショッピングのために渋谷に来ていたの。

だけど、その途中で私が2人とはぐれちゃって、運悪く携帯の充電が切れて2人と連絡が取れなくなっちゃったの。

そのまま、2人を探してたらいつの間にか人気のないところに来ていた。

ここは危ないところだと思って来た道を戻ろうと思った時に、男の人2人組みに声をかけられた。

「お姉ちゃん、こんな所で一人で何してんの?」

「良かったら俺らと一緒に遊ばない?」

ニヤニヤと気持ち悪い笑い方をしながら私に近づいてくる。

「道に迷ってただけなんで結構です」

そう言って逃げようと思ったら、肩を掴まれた。

「そんな冷たいこと言わずにさー」

「やめてください、友達が待ってるんで!」

「なら、その友達も呼んでいっしょに遊ぼうよ」

男は私の両肩を掴み、もう1人の男は私の行こうとした道を塞ぐように立っていて、逃げようにも逃げられなかった。

「やめてください!警察呼びますよ!」

私がポケットから携帯を取り出して、110を押そうと思ったが、充電が切れていることを忘れていた。

「あれぇ、充電切れちゃってるね〜。どうやって警察を呼ぶのかな〜?」

「助けぇー!誰かいませんかー!」

叫ぶ以外に手段がないと思ったので私は精一杯の声を出した。

「おい、あんまりデカイ声出さないでくれるかな」

道を塞いでたもう1人の男が後ろから私の口を手で塞がれた。

「んー!んんん!」

「おい、こいつ俺たちに従う気ないしもうやっちゃおうぜ」

「そうだな。その女しっかり抑えてろよ」

男は口から手を離し、私の肩の下から腕を入れて、羽交い締めにされた。

「な、何するんですか!やめてください!」

「何するって決まってんだろ?今からあんたで気持ちいいことすんだよ」

男たちは気持ち悪い笑みをまた浮かべながら、私の服に手をかけた。

この時私は恐怖でもう声も出ず、震えることしか出来なかった。

男か私の服を捲り上げ、下着を見ようとした時だった。

「おい、あんたらそこで何してんだ?」

後ろから男の人の声が聞こえた。

「あ?見たらわかるだろ。お取り込み中だからガキはどっか行ってな」

「女の子が襲われてるの見て、見過ごすわかにはいかねーだろ」

「じゃあ警察にでも通報するか?」

「警察に通報するより、俺が直接解決した方が早そうだからしねーよ」

「おうおう、口だけは偉く立派じゃねーかガキ。おい、あのガキに痛い目合わせやれ」

羽交い締めしていた男は私から手を離し、少年に殴りかかりに行った。

少年は飛んで来た拳を、すっと交わして、男の顎を手のひらで押し込んだ。

男はフラフラとよろめいて、そのまま地面に倒れた。

「お、お前そいつに何をした!」

もう1人の男が焦りながら少年に近づく。

「ただの脳震盪だ。大人しく逃げないならあんたもこうなるよ?」

「ガキが舐め腐ったこといいやがって、本当に痛い目にあってもらおうじゃねーか」

男はジャケットの内側から折りたたみ式のナイフを取り出して、それを少年に向けた。

「さー、どうする。今謝ってここから退くって言うならまだ許してやるよ」

「そんなもんで俺がビビると思ってんのか?あんたオツム緩すぎだろ」

「なんだと!」

男は走って、少年にナイフを振り下ろした。

少年は体をサッと左に移動させ、ナイフをかわす。

そして、振り下ろされた腕の手首に手刀を当て、男は手からナイフを落とした。

その手を右手で持ち、そのまま男の後ろに回り込む。

男の手はあらぬ方向に曲って、いまにも折れそうだった。

次の瞬間、少年は男の首筋に左手で手刀を当て、男から手を離した。

男はフラフラとよろめき、すぐに地面に倒れた。

「よし、これで一件落着っと」

そういうと、少年は私の方に近づいて来た。

そして、腰が抜けて座り込んでる私に手を差し出してくれた。

「大丈夫ですか?お怪我とかはありませんか?」

「え、えっと大丈夫です」

私は彼の手を掴んで立ち上がった。

「えっと、助けてくれてありがとうございます」

「いえ、当然のことをしただけですよ」

彼は優しい笑顔で答えてくれた。

「それよりも、女性1人でこんなところにいると危ないので、広い道に出ましょう」

「はい」

彼は私の手を握ったまま、広い道まで案内してくれた。

初めは握ってることを言おうかと思ったけど、なんだか心地よくなってそのまま着いて行ってた。

「ここまで来れば、大丈夫だと思います」

「本当にありがとうございました!」

「次からは気をつけてくださいね?」

「はい。あの良かったら何かお礼でも」

「あ、ごめんなさい。お気持ちは嬉しいんですけど俺ちょっと急いでるんでごめんなさい」

「そうですか…」

「じゃあ俺はこれで」

そう言って、彼は人ごみの中へ走って行って見えなくなってしまった。

「また会えるかな…」

私はさっきまで握られてた手を見て呟いた。

その後、千歌ちゃん達とも無事合流出来て、その日は楽しくショッピングを楽しんだ。

それから数日後

大学のはじめての講義に遅れて入って来た人がいて、興味本位でその人のことを見ると、私を助けてくれた彼だった。

初めは、見間違いとか似てるだけかと思ってたけど、髪型や声なんか全て同じだったので、間違いなく彼だと確信した。

講義の時の点呼で彼の名前が「東出朝陽」ってことがわかった。

それから何回か話しかけようと思ったけど、どうやら彼の方は私のことを覚えてなかったので、話のを躊躇っていた。

けど、梨子ちゃんに誘われて参加したサークルの新入生歓迎会で、帰ろうとした時に、違うサークルの新歓に参加してたベロンベロンに酔った朝陽君がいた。

朝陽くんは動けない様子で、一人で帰れなさそうだった。

けど、その場に彼の家を知ってる人がいなかったので、私の家に連れて帰ることにした。

梨子ちゃんは、何かあったらどうするのと注意されたけど、朝陽君が渋谷で私を助けてくれた人だから、そんなことするはずないと押して言うと渋々認めてくれた。

私は、彼を家に連れて帰ってから、意識が朦朧としてる彼に水を飲ませて床に敷いた布団に寝かせた。

その日はそのまま私も疲れたので寝た。

朝起きた時はまだ彼は寝ていたけど、シャワーから戻ると彼は起きてた。

初めは余所余所しい感じで、ずっと敬語だった。

そして、朝陽君は私の事を覚えてなかった。

すごい冷みしいけど、その後一緒に朝ご飯を食べたり、一緒に学校に行く時にお喋り出来て、仲良くなれたのでどうでもよくなった。

私は彼に一目惚れしちゃったの。

あの時私を助けてくれた、ヒーローに。

この想いが、ちゃんと伝えられたらいいのに…

私にもっと勇気があればいいのに…

 

「、、なべさん」

聞き覚えのある声が聞こえる。

私が好きな人の声が。

「渡辺さん、授業終わったよ?」

「ふぇ⁉︎」

「やっと起きた」

辺りを見回すと私と朝陽くん以外誰もいなかった。

「あの、もしかして私寝ちゃってた?」

「うん、すっごい気持ちよさそうに寝息まで立てて」

それを聞いて、すごい恥ずかしくなった。

まさか、自分の好きな人に寝顔を見られるなんて。

「大丈夫、顔真っ赤だけど?」

私は真っ赤になった顔を手で隠した。

「その、お見苦しいところを見せちゃってごめん…」

「なんで謝るの?渡辺さんの寝顔可愛かったし」

朝陽君は笑いながらそう言ってくれた。

「か、可愛い!」

また、私の顔は真っ赤になってしまった。

その後、朝陽君はアルバイトがあるのですぐに分かれてしまった。

「可愛かったか。朝陽君に可愛いって言われちゃった、えへへ」

さっきのことを思い出すと自然ににやけちゃった。

「お出掛けの約束もできたし、これから楽しみだなー」

嬉しくて、小さくスキップしながら私はキャンパスを歩いて行く。

 




こんにちわ、よっとんです
今回も読んでいただきありがとうございます!
今回は曜ちゃんと朝陽君の出会いを描いてみました。
主人公が強いというのに憧れがあったので、そういう所を含めて出会いの理由として書きました。
これからどう話が進むのか私も楽しみです。
それでも次回もお楽しみに!
感想や評価待ってます!
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