ロクでもない魔術に光あれ   作:やのくちひろし

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第50話

 長い間走り続け、何人も仲間を置き去りにしながら俺、グレン先生、システィ、ルミア、リィエル、イヴ先生、メイベルの七人はようやく最奥だろう部屋の扉の前までたどり着けた。

 

 俺は両手で氷嶮を振り上げ、刃を一閃して無理やり扉を破壊して飛び込む。

 

 やり方がリィエルみたくなってるが、こっちは生憎と余裕がねえんだ。こんなクソッタレな戦い、一秒でも早く終わらせてえ。

 

「あらあら、随分と乱暴な入室ですね」

 

 ここにもさっきまで通ってた本棚に匹敵するくらい広い空間と本の数……そこに一つだけある机に座って淡い光を放つランプの下で羽ペンを走らせていた女が立ち上がって俺たちを見た。

 

 その顔はメイベルと瓜二つと言えるくらいに外見はそっくりだった。まあ、出どころが同じだから当たり前なのだが、違うのはその眼の奥に見える光の色だ。

 

 メイベルからは決意の表れのようなものが見てとれたが、コイツは濃厚な狂気の色が怪しく光っていた。

 

「おい、何やってんだ!?」

 

 奴の目の色に意識を向けてると後ろからグレン先生が慌てふためく声を出して、後ろを見るとメイベルが自分の片腕を引きちぎってそこから何枚もの紙が規則正しい形へと配置され、結界を作った。

 

 突然狂ったような行動をしたメイベルだが、元々本から形成された存在だからその程度では死ぬことはないとのことだが、あまり続ければ存在を保つのも難しいはずだ。

 

 後ろから援軍がなくなるのはいいが、後は目の前の奴をどうぶちのめすかだな。

 

「お前が……『Aの奥義書』とやらの本体ってやつか?」

 

「その通りです。そして、アリシア三世の意思を継ぐ者……アリシア三世そのものといってもいいですわ」

 

「冗談じゃありません。彼女は……アリシア三世はとっくに死んでる身です。貴女も、私も、狂った彼女から取り残された哀れな存在でしかありません。人ですらない私達に原罪を生きる方達を脅かす権利などありません」

 

「いいえ、貴女は間違ってますわ……私を、『Aの奥義書』を完成させるこそ彼女の望みなのです。その証拠に私は今ここにいるのです」

 

「それこそ違います。他人を犠牲にするような禁断の所業など、彼女は望んでいなかった」

 

「違います。彼女はいずれ来る脅威に備えるべく力を──っ!? ……お話の途中に随分と無礼な方ですね」

 

「ごちゃごちゃうるせえ……こっちはテメェらの存在意義だとか心底どうでもいいんだよ」

 

 自分の存在してる理由とかどっちが間違ってるとか……昔の奴が何を考えてたかなんて今は問題じゃねえ。

 

「こっちはさっさとテメェをぶちのめして紙にされた奴らを元に戻さなきゃなんねえんだ。テメェのくだらねえ本作りに付き合うつもりなんかカケラもねえ!」

 

「本作りではありません。恐ろしい脅威から国を護るための力を集めてるだけです。心配せずとも殺しはしません。みんな、私の資料にしてあげる! 私を完成させるための参考文献になるの! 目録をつけて大切に保管してあげますわ! あはっ、あっははははははは!」

 

「チッ! 現在進行形でテメェが脅威なんだろうが!」

 

「つか、まだこんなにいたのかよ!?」

 

 目の前の女──『Aの奥義書』が笑い出すと、周囲の本棚からまた紙の化け物どもがうじゃうじゃと出てきてワラワラ集まってくる。

 

 後ろからはメイベルが壁を作って足止めしてるが、この室内だけでも相当の数がいやがる。

 

「……わかりきっていたことですが、問答など無用です。グレン先生、その銃で彼女を終わらせてください」

 

「ああ、わかってるよ!」

 

「全員構えなさい! こっからが正念場よ!」

 

 グレン先生がリボルバーを構え、イヴ先生が予めストックしていた魔術を起動しながら指示を飛ばす。

 

 俺達も互いに武器を構え、魔術を起動しながら最後の戦いへ踏み出す。

 

 

 

 

 

「──なんて、意気込んでたもののっ!」

 

 紙の化け物を斬り伏せながら思わず愚痴りたくなってしまう。

 

 こいつらの戦闘力なんざ大したレベルじゃねえが、数が多いから鬱陶しい。しかもその上……。

 

「しゃあ! こいつで!」

 

 俺達が雑魚どもの相手をしてグレン先生に隙を突かせてあの狂った女を倒してやろうにも……。

 

「──くっそ! またか!」

 

 メイベルに託されたインク入りの銃弾を浴びせられるチャンスを何度も作ってるにも関わらず、グレン先生が銃弾を放つ度に別方向から大量の雑魚と本が防壁となって邪魔をしてくる。さっきからこれの繰り返しだ。

 

 そんで本や雑魚どもがグレン先生の所へワラワラ集まっていって、それをルミアが[サイ・テレキネシス]でグレン先生を回収してことなきを得るが、この物量が半端じゃねえ。

 

「ああ、もう! あれもダメこれもダメ! 何度手を変えても結局はあの物量に防がれちまう!」

 

「マジで、鬱陶しいな!」

 

 氷嶮で塵紙にし、氷で動けなくして数を減らしてもあの狂った女を護る壁紙どもは何度も邪魔をする。

 

「……グれん先、生……わタシ……そろソロ、限界……デス。早ク、勝負を……決めナイト……」

 

 メイベルが身体の大半を失わせ、苦悶の表情を浮かべながらグレン先生に早期の決着を催促するが、それができねえから今苛立ってんだよ。

 

「……もう、大切な本をこんなインクまみれにして」

 

 狂った女が呆れたように溜息混じりに呟いてから急に何かを思いついたようにポンと手を叩く。

 

「そうだわ! 本をインクで汚した人も裁断の刑に処すことにしましょう!」

 

 笑顔でとんでもねえことを言い始めやがった。

 

「そうしましょう! 大切な本を汚す人にはそれぐらいのお仕置きがあって然るべきですわ!」

 

 そういって早速と羽ペンを持って呑気に机と向き合いやがる。

 

 マズイ……今そんなふざけたルールまで加われば本格的に勝ち目がなくなっちまう。

 

「せ、先生……どうすれば……」

 

 システィの不安そうな声がグレン先生に向けられる。グレン先生は俺達を流し見してから目を閉じ、何秒か思考を巡らせると覚悟を決めたように表情を引き締め、イヴ先生と向き合う。

 

「おい、イヴ……お前、確か銃使えたよな?」

 

「……嗜みレベルではね。で、何をする気なの?」

 

「決まってる……炎熱系の魔術を使う」

 

 グレン先生の突然の提案にみんなが目を開いた。

 

「……本気で言ってるのか? それを使えばもう戻れねえかもしれねえんだぞ?」

 

「ああ。わざわざ禁止事項になんてするくらいだ。こいつらをまとめて一掃してあのキチガイぶっ倒すにはもうそれしかねえ」

 

「だ、駄目ですよ! そんなことしたら!」

 

「そうですよ! 炎熱系を使ったら裁断の刑が……っ!」

 

「もうそれしかねえっつってんだろ! 向こうが禁止してる手段しか、この状況を切り開く術がねえんだ!」

 

「でも、他に何か方法が……」

 

「あるかもしんねえ! でも、もうそれを考える時間がねえんだ! 悪いがイヴ! 後は任せる! リョウ、お前はこいつの補佐を頼む! もう後がねえ!」

 

 グレン先生は本気だ。実際あの女がもうルールの改変をするためにペンを走らせてる。インクが禁止されるのも時間の問題だろう。呑気に話し合ってる暇もねえ。

 

「……わかった」

 

「ええ、もうそれしかないわね」

 

「二人共!?」

 

「で、でもそれじゃあ……」

 

 システィとルミアが尚もつっかかってくるが、もう時間がねえんだ。

 

「じゃあ、あと任せるぜ」

 

「ええ、わかったわ」

 

 イヴ先生がグレン先生へ右手を差し伸べ、自信満々の笑みを浮かべた。

 

「……ただし、私はこっちをするわ」

 

 そして、掌から眩いばかりの高音の炎が渦巻いた。

 

「なっ!? お前、何やってんだ!?」

 

「見ての通りよ。そもそも、あんたのショボイ炎でこれだけの量の紙を燃やせるわけないでしょ。本来炎は私達イグナイトの得意分野よ。はぁ……何やってるのかしらね、私。こんな大した才能もない私が、大した付き合いもない生徒のために命を張るなんて……」

 

 寂しいような、惜しむような……そんな切ないと言えるような表情で呟きながら炎はその勢いを増していく。

 

「やめろ! すぐに炎を引っ込めろ! じゃねえと──」

 

   ──有罪。

 

 何処からともなく無機質な声が響き渡り、イヴ先生の身体の表面が紙へと変わり始める。

 

「うるさいわね、適材適所でしょ。私の作戦立案にケチつけないでよ。あの子達には、貴方が必要なのよ。そんな貴方よりも、大した価値のない私がやる方がダメージが少ないでしょ」

 

 そう言ってイヴ先生は振り返って右手に宿した炎を更に燃え上がらせる。

 

「イヴ……っ! やめろおおおおぉぉぉぉ!」

 

「《真紅の炎帝よ・業火の軍旗掲げ・朱に蹂躙せよ》──っ!」

 

 振り切るように詠唱し、B級黒魔[インフェルノ・フレア]が業火の波を作り上げ、紙の化け物を飲み込み、灰も残さずに燃え尽くしていく。

 

「あ、ああ、あ……あああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」

 

 ペンを走らせた狂った女が灼熱地獄とも言えるようなこの光景を見て汚い悲鳴をあげる。

 

「おのれ……おのれ、よくもおおおおぉぉぉぉ!」

 

 報復の念に駆られ、奴の頭上に大量のでかいハサミが具現化し、それがイヴ先生へと襲いかかっていく。

 

 あれに切り刻まれれば、恐らくイヴ先生は戻れなくなってしまうだろう。だが、それは本人も分かりきった上でこの行動に出たんだろう。

 

 もうあの女はイヴ先生を切り刻むことしか考えちゃいねえ。その隙にグレン先生が銃を使えばそれで決着だろう。

 

「……気に入らねえ……っ!」

 

 だが、そんな決着……俺は望んじゃいねえんだよ。この姿になれば他人を気遣うような感情なんて表面化できねえはずなのに、どうしようもない苛立ちが込み上がってくる。

 

「ふざけんじゃねえ……っ!」

 

 俺には炎も使えなければ銃も使えねえ。もうこんなクソッタレな光景を見ることしかできねえ自分に腹が立って仕方がねえ。

 

 自分を切り刻みたくなる。俺にはもう何もできねえのか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『クハハハハハ! なんとも無様な姿だな!』

 

 不意に脳内に声が響くと同時に、俺の周囲が一変した。

 

 気がつけば、本だらけの室内から急に真っ暗な荒野のような場所に立っていた。

 

 一瞬で何が起こったかと思ったが、落ち着いて周囲を眺めればここは見覚えがあった。

 

『よう……俺様の力を使っておいて気分はどうだ?』

 

「……最悪だな。いくら強くなったと言っても所詮力だけだったよ」

 

 目の前に歩み寄ってきたベリアルにそう返すと向こうは面白そうに笑う。

 

『クハハハ……所詮力だけ、か。俺様の力を手にしただけで神様気取ってたってか? 人様の力を使っておいて随分な言い草じゃねえか』

 

「そうだな……。けど、いざ守りたいと思うときに守れない自分が心底嫌になる……仕方ない部分があるって理解してても止められないよ」

 

『……フン。劣化品だと思って多少は譲歩してやってるが、随分つまらねえこと吐くじゃねえか』

 

 ベリアルが更に距離を詰めてその鋭い双眸で俺を睨みつける。

 

『テメェが力に呑まれようが、落ち込もうが俺様の知ったことじゃねえが……俺様の力を使っておきながらその体たらくは見過ごせねえな。そんな様じゃあ、俺様の格が落ちるってもんだ』

 

「なに……?」

 

『目の前に気に入らねえもんがあんならとことんぶっ潰しやがれ。それぐらいの力は貸してやってるつもりだぜ。こんなところで突っ立ってる暇があんならせいぜいみっともなく足掻くくらいはしてみやがれ。そうじゃなきゃ今度こそテメェの身体を乗っ取る』

 

 ベリアルは鋭い爪に禍々しいオーラを纏いながら脅しかけた。これ以上俺がみっともない姿を晒せば本気でそうするだろう。

 

 だが、今の状況を覆そうにも俺は炎は使えない。どころか、今の俺はその真逆の属性しか使えない身だ。

 

 今の俺でやれることといえば力のゴリ押しか相手を凍らせること。後は限定的だが俺が有利になるためのフィールドを作るくらいしか……。

 

「……いや、待て?」

 

『……あん?』

 

「もしかして、アレを使えば……?」

 

『おい、何をブツブツ言ってやがる?』

 

「……一か八か、やってみるか」

 

『って、聞いてんのか!?』

 

「喧しいわっ! こっちは今作戦立ててるとこなんだよ!」

 

『ほ〜……俺様を無視して呑気に作戦タイムか? いい度胸してんじゃねえか』

 

「うっせえ! そっちから勝手に呼んだんだろうが! こっちは今大事な場面だからこれ以上は邪魔すんじゃねえ!」

 

『テメェ……さっきまでウジウジとしてた奴がよく吠えるじゃねえか!』

 

「知るか! とにかくこれからやること決まったからとっとといかなきゃなんねえんだ! じゃあな!」

 

『チッ! ああそうかよ、もう勝手にしやがれ!』

 

 さっきまでとは打って変わって子供じみた喧嘩っぽくなってるが、俺はベリアルに背を向けてさっさとこの精神世界から出ていく。

 

「ああ、それと! 一応発破かけてくれてありがとな!」

 

 最後にそう言い残して精神世界から抜け出た。

 

『……ケッ!』

 

 世界が暗転すると同時に舌打ちのような声が聞こえた気がした……。

 

 

 

 

 

 

 

 焼け焦げた紙屑が無数に宙を舞い、その中を無数の鋏が紙になりかけたイヴ先生に向かって飛来しているところで意識が戻った。

 

 俺が精神世界に行ったのはこっちじゃ数秒にも満ちてなかったようだ。俺としちゃあ好都合だった。おかげで間に合いそうだしな。

 

 グレン先生は声をあげてイヴ先生へ手を伸ばし……システィ、ルミア、リィエルもただじっと見る事しかできない状況。

 

 そんなクソッタレな状況、俺は絶対に認めねえ……。

 

「震えてろ……俺の支配下でな!」

 

 俺が黒い右腕を床に突き立てた途端、世界が切り替わった。

 

 あれだけ熱かった灼熱空間が一転して白い息が見えるほどの低温の空間に変わり、さっきまであった無数の本棚も消えた代わりに果ての見えない白い世界へと放り投げられた。

 

「──って、寒っ! ……え? 寒い……? ていうか、手……戻ってる?」

 

 いきなり極寒の地へ放り投げられた影響で寒さに震えるイヴ先生がいつの間にか元通りになった手をマジマジと見ていた。

 

「な、何なのこれ……なんで罪人へのお仕置きが止まったの!? 私の本は!? 私の大切な本は何処に行ったのよ!」

 

「うるせえ……みっともなく喚いてんじゃねえよ」

 

 狂った女がギャンギャンうるさくて思わず耳を塞ぎたくなるが、左腕はともかく今の右腕じゃうまく耳を覆えなかった。何気ない欠点を痛感しちまった。

 

「貴方、一体何をしたの……?」

 

「別に……ただこの辺一帯を俺の支配下に置いただけだ。ここならテメェのクソみてえなルールも適用されねえみたいだな」

 

 今俺達のいる場所は俺の中にあるベリアルの因子とネクサスの力を応用して周囲に巡らせた特殊な空間だ。ネクサスのメタフィールドに近いもので特別な効果があるわけじゃないただの雪原空間だ。

 

 だが、この中なら冷気を扱う俺には有利になれるし、空間が変わった影響で奴が支配していた炎熱禁止と裁断の刑なんてクソッタレなルールは使えなくなった。

 

「もうこっちはテメェのふざけたルールにはうんざりしてたからな。今度はこっちのルールに従ってもらうぜ。ここは今、俺が支配してるんだからな」

 

「ふざけないで……! 返しなさいよ……私の大切な本達を!」

 

「うるせえっつってんだろ。大体……こっちにばかり気を取られていいのかよ?」

 

「へ……?」

 

「よう……こっちのこと忘れてんじゃねえのか?」

 

 カチン、と無機質な音が響き、狂った女は一気に青ざめた顔で錆びついた機械みてえな動きで振り向いた。

 

 そこには既に引き金に指をかけてる冷めた目をしたグレン先生が銃口を突きつけていた。

 

「たく……ルールがなくなったのはありがてえが、こっちも大した装備つけてねえから滅茶苦茶寒ぃわ。とっとと温い学院に戻りてえからさっさと終わらせんぞ」

 

「ひっ!? や、やめ──」

 

「じゃあな、大昔の亡霊さんよ」

 

 グレン先生は無慈悲にトリガーを引き、インク入りの銃弾を奴の脳天に打ち込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 発砲と同時にまた世界が変わり、再び無数の本棚の並んだ部屋へ戻り、そこにはインクまみれの一冊の本が落ちていた。

 

 さっきまで鬱陶しく群がっていた紙の化け物もすっかり静まって今は俺達の息遣い以外の音が聞こえなかった。

 

「……お、終わった……の?」

 

 何分か黙ったままの中でふとシスティがボソリとつぶやいた。

 

 グレン先生は恐る恐るインクまみれの本に指を何度か触れさせては離しを繰り返し、ゆっくりと息を吐いた。

 

「……どうやら、そのようだな」

 

 その言葉を聞き、さっきの狂った女のものとは違った方向で喧しい声が本棚だらけの空間に響いた。

 

 声をあげたのは主にルミアでシスティとリィエルに交互に抱きつきながら歓喜に満ちた表情で二人を抱き込んだ。

 

 どうせなら俺もそれに乗っかるべきなんだろうけど、生憎まだアイシクルスタイルは解いてないので何となく気まずく感じてその場から遠ざかってイヴ先生へと歩み寄る。

 

「……どうだ? さっきまで本になりかけたが、身体は平気か?」

 

「……不思議とね。助かったのはいいけど、さっきの気の迷いをどうしてくれるのって苦情出したいんだけど?」

 

「既に口にしてんじゃねえか。……で、気の迷いってのはさっきのグレン先生のことがこう見えて本当は──」

 

「それ以上口にしたら灰にするわよ?」

 

「おっと……怖ぇ」

 

 女が出していいとは思えないくらい低い声で脅された。アイシクルスタイルの状態にも関わらず一瞬恐怖に支配されそうになったぞ。

 

「グレン先生……貴方達には、多大なご迷惑をおかけしました」

 

 凛とした声が聞こえるとそこには身体が元通りになっていたメイベルがいた。だが、さっきまでより気のせいか大人びてるようにも感じる。

 

「お前、なんか雰囲気が……」

 

「はい。『Aの奥義書』を回収でき、狂気を塗りつぶされた私はメイベルというより、かつてのアリシア三世なのでしょう。狂気の私も、正気の私も……表裏一体の、等しくアリシア三世です。無論、本質的には別人でしょうが……限りなく生前のアリシア三世その人です」

 

 メイベル……いや、アリシア三世か……。インクまみれで使い物にならなくなった本を大事そうに抱えて俺達に向き合う。

 

「バラバラになり、様々なノイズの入り交じった私達ですが、ようやくアリシア三世として貴方達に向かい合うことができます」

 

「そうかよ……。いや、今更言われてもな……かつてのアリシア三世や狂った『Aの奥義書』とは違うってわかっててもどうにもな……」

 

 グレン先生は複雑そうな表情を浮かべながら返しに困っていた。

 

 まあ、こんなクソッタレな空間を作ったのがかつてのアリシア三世でそれをどうにかする手段を用意したのもアリシア三世……多重人格者だったとはいえ、どう反応すればいいのかいまいちな。

 

「そうですね。貴方のそのお気持ちはもっともです。ですから私は……せめてもの罪滅ぼしを」

 

「は……?」

 

「この学院の学院長、アリシア三世の権能を持ってここに命じます。私は、貴方達の火遊びの違反行為を……不問に致し、赦します」

 

 その言葉を皮切りにインクまみれの本が僅かに輝き、距離はあるがあちこちで何かが動き出したような気配を感じた。

 

「……これで、裁断の刑に処された生徒達は元に戻るでしょう」

 

「なるほどな……。随分粋な計らいをしてくれたが、礼を言うつもりはねえぜ」

 

「当然ですね。こんな悍ましい事態を起こした原因がアリシア三世なのですから……これも贖罪とはなり得ないでしょう」

 

「それで……こんなクソッタレな事態を起こしたこの裏学院はどうなんだ? それに、お前は?」

 

「この裏学院自体は残り続けるでしょうが……もうあんなルールは存在しません。ただの施設の一部としてあり続けるでしょう。そして私は……お別れですね」

 

 そういうアリシア三世の身体が徐々に透けていく。

 

「そっか……消えるのか、お前」

 

「はい。元々存在してはいけないものですから……この奥義書も──」

 

『では、それは私がいただこうか』

 

「──っ!? 下がれ!」

 

 慌ててアリシア三世を押し退けた直後、その場に白と黒の入り混じった怪光線が着弾し、爆発を起こした。

 

 咄嗟に氷の壁を作って威力は軽減したが、突然の襲撃に反応が遅れて俺を含めてみんなが若干吹き飛んでしまった。

 

 爆発のあった地点にはさっきの衝撃で手放してしまったインクまみれの本を手に持った人型の影が佇んでいた。

 

「ふ〜ん……『Aの奥義書』。人間を構成する遺伝子情報や脳内にある記憶データ……それらを本という形に変換してその人間の情報を保存する。元科学者として実に興味深い」

 

「テメェは……っ!?」

 

 青と黒の身体に妙な拘束具のようなプロテクター……何より目立つ黒い仮面に覆われた顔。

 

「やあ、リョウ君……少し見ない間にまた格好良くなったんじゃないのかい?」

 

「トレギア……ッ!」

 

 突然立ちはだかったのはトレギアだった。手にもったインクまみれの本を興味深そうに眺めて秘書のように傍に抱えて慇懃な姿勢でこっちを見てやがる。

 

「テメェがまだこっちにいたことや、この空間に入ってきたこと自体は別に驚きはしねえが……その本をどうする気だ?」

 

「なに……機能を失ったからといって使用された部分が残っているなら元科学者として解析してみたいと興味本位でね。学者としては生物の構成情報を隅から隅まで把握してみたいものだろう?」

 

「……で、それを使って光の国を堕とそうと?」

 

「おや……私のことはもうタイガ達から聞いたのかい?」

 

「あぁ……テメェがしたことも、テメェの力の源っていうグリムドとやらももういねえってのもな」

 

 タイガ達から聞いたところ、こいつは光も闇もない混沌の時代から存在してたというグリムドという存在をその身に宿したことで不気味な力を手にしたというらしい。

 

 その影響でかつては倒しても倒しても平行宇宙に存在する自分自身に存在を上書きして生きながらえたらしいが、グリムドはもう倒されてこいつにはもう平行宇宙にいる自分に上書きするという力はもうないだろうとタイタスが予想していた。

 

「まあね……。だからあまり力の無駄遣いはしたくないんだ。私の目的のためにもなるべく──おっと。話の途中で不意打ちなど、ヒーローの所業とは思えないね」

 

「うるせえ……一々テメェの言葉に耳を貸すつもりはねえ。ここでぶちのめしてから洗いざらい吐かせてやる!」

 

 話の途中で拳を振るうも飄々と躱される。そのゆらゆらとした舐めきった態度にはこの状態でもくるものがあるな。

 

 続くニ撃三撃と氷嶮や氷柱をけしかけるが、トレギアはサーカスでもしてるように躱しては挑発するような動きを見せつけてくる。

 

 いい加減ここまでの疲労も無視できねえから一気に決めるしかねえと氷嶮を突き立てて右腕に力を集中させる。

 

 掌からエネルギー玉を作り出し、それを核にして周囲を電気と冷気が包み込んで圧縮されたエネルギー弾が出来上がる。

 

「喰らえ……『ネプチューヌ・バースト』っ!」

 

 電気と冷気のエネルギー弾をトレギアに向けて蹴り放つが、奴は避ける素振りも見せず、着弾して爆発が起こった。

 

 爆発で舞い上がった煙が晴れると『ネプチューヌ・バースト』の余波で生成された氷柱の山がそこにあるだけだった。

 

「……チッ! 逃げられたか……!」

 

 現れる時も希薄だったが、奴の気配が何も感じられなくなったから逃げられたと思うべきだろうな。この程度で倒れるとはとても思えねえ。

 

「おい、リョウ……さっきのは?」

 

 戦闘が終わったと見てようやく動いたグレン先生が俺に歩み寄ってくる。

 

「さっきのやつ……炎の船の時にも出た……」

 

「……えぇ。トレギア……いまだによくわかんない不気味な奴……ですかね」

 

 俺は普段の姿に戻ってざっくりと返す。そうとしか言いようがない。

 

「で、アリシア三世……? 大丈夫でしたか?」

 

「え、えぇ……もっとも、手記は奪われましたが……ないと思いたいですが、もしあれが悪用されれば」

 

「まぁ……あいつなら再現出来そうなのがね。っていっても……無差別に使用するとも思えないですけど」

 

 タイガ達から聞いたところトレギアは人の心の闇につけ込んでその人を魔道に落とすことが多かったらしく、大量虐殺みたいなことはないとは思う。だからって安心もできないんだが。

 

「とにかく、あの手記に関しては俺達が絶対になんとかしますので」

 

「……そうですね、そちらは貴方に頼みます。そしてグレン先生……貴方にも」

 

「あん? 俺?」

 

戻ったら早速タイガ達に報告をと思うとアリシア三世はグレン先生に向き直って真剣な顔つきになる。

 

「貴方は……禁忌教典という言葉を知ってますか?」

 

「……まあな。ここんところよく聞く言葉だ……どういうもんなのかはサッパリだがな」

 

「そう、ですか……やはり彼は動いてるのですね」

 

「彼……? ……おい、一体何を知ってるんだ?」

 

 禁忌教典について何か手掛かりを得られそうな雰囲気にグレン先生がズイ、と詰め寄る。

 

「グレン先生……この世界は近いうちに破滅へと向かうことでしょう。今思えば、あの『Aの奥義書』も……元々はそれに対抗するために作られようとしていたのでしょう。結局間違った方向へ歪んでしまいましたが。……もし、貴方がこれからそれに抗おうとするのであれば、真実を知らなければいけません」

 

「真実……だって?」

 

「この国の成り立ち……そして、王家の血の秘密について」

 

「国と王家の秘密……」

 

 そういえば以前……宇宙人達がこっちへ侵略しにきたのかと問うた時にも似たような物言いをされたな。それが禁忌教典と何か関係があるのか?

 

「更にこのフェジテの空に浮かぶ『メルガリウスの天空城』と禁忌教典について。アリシア三世は彼女なりにそれらに近づいた一端の記録をこの私……『アリシア三世の手記』に記述したのです。もし、貴方がこの滅びに抗うのなら……どうか、私を手に取ってください。私と童話『メルガリウスの魔法使い』……これらがきっと貴方達を導くはずです。それが重荷だと思うなら、私のことは信頼できる誰かに託してください。彼の息のかかってない者に」

 

「おい、彼ってのは誰だ? お前は一体何を知ってる!?」

 

「……駄目です。すでに検閲され、それに関する記述が失われています。幼い少年かもしれませんし、青年かもしれない……いえ、そもそも女の姿なのかもしれません」

 

「なんだよそりゃ! つまりはノーヒントじゃねえか!」

 

 確かに、何もヒントなしじゃ誰を警戒すればいいかもわからない。

 

「ですから、これは一種の賭けです。生徒のために命を張れる貴方が……そして、この世界の者ではない貴方のことも信じて……私は私を貴方に託します。あの男の手の者でないと信じて……。どうか、この国を……この世界を……あの男、カラ……」

 

 そう言い残し、アリシア三世の姿は大量の紙へとなり、その足元には『Aの奥義書』とは違う手記がポツンと残っていた。

 

「世界、ね……そういうのはあの巨人達に任せたいんだがな。面倒臭えのは勘弁だし……」

 

「まあ、ウルトラマンは人間達の文明には干渉できませんからね。そこら辺はこの世界の人間がやるべきでしょ。……俺は厳密には違いますけど」

 

「おいコラ……ま、生徒を守るのは教師の役目だし。やるだけやるか」

 

 そういってグレン先生は手記を懐にしまって状況についていけてなかったシスティ、ルミア、イヴ先生にある程度説明することにした。

 

 リィエル……? トレギアが出た時にみんなを守ってた以外は速攻で寝てたので論外だ。

 

 後で紙にされたクラスのみんなとも合流して事件は片付いたとトレギアが出て来たのと最後にアリシア先生の言い残した部分を抜いて説明した。

 

 それから時が経ち、アルザーノ魔術学院に再び平穏が訪れた。

 

 『生存戦』による決闘でこちらが勝ったのでマキシムは学院長の座を奪うことは叶わなくなったし、教育改革も頓挫に終わった。

 

 まあ、これは決闘に勝ったからというより、どこから入手したのか……リゼ会長がアルフォネア教授に依頼してマキシムが就任するよりも前から行動してマキシムと学院の理事会の有力者に政府の武闘派の教導省官僚数人の間でかなりの収賄があったらしい。

 

 それをアルフォネア教授が物理及び社会面両方共に犯罪スレスレの方法で潰しながら不正の証拠をかき集めて汚職に手を染めた奴らを壊滅させたとか。

 

 そして、学院長の座を狙ってたマキシムも後ろ盾がまだ控えていたにも関わらずあっさりと失脚することが適ったのだった。

 

 あの事件で心境の変化があったのか、妙にスッキリした様子で自ら学院を去ることを宣言した。

 

 それによってマキシムが率いていた模範クラスも必然廃止となる。残したところで生存戦での出来事によってトラウマを植え付けられたのでしばらくはまともに魔術を学ぶのも難しいだろう。

 

 だが、リゼ会長は模範生達にチャンスを残して学院は一部を除いて元通りになった。

 

 そして一部……唯一今回の騒動のきっかけになった改革に上がった『軍事教練』。これは政府によって正式に受理された項目のため、不正によって進められた計画であっても撤廃することはできなかった。

 

 マキシムが言ったように多くの時間を割くということはないが、正式に授業に取り入れられることになったこれだが……不思議と不満は一切上がらなかった。

 

 というのも、この授業を請け負うのがイヴ先生だからだ。今回の件でマキシムの企みを阻止するためにその手腕を見事に発揮したのを見込まれて今回復帰したリック学院長が正式に教師として採用したからだ。

 

 不機嫌に見えながらも教えを請われればきちんと教える姿勢を見せるから俺達のクラス以外でも今ではグレン先生に匹敵する人気を誇っていた。

 

 こんなふうに一部の変化も起こったものの学院はようやく穏やかな日常を取り戻すことが叶ったのだった。

 

 それでも、目に見えない不安はやはり水面下で刻一刻と形を変えてしまうのを頭の片隅に入れなきゃいけないわけで……。

 

『やっぱり、トレギアもこっちにいたんだな……』

 

『その上、人間を本という形にして肉体の構成データを取得する……そんなものが悪用されれば大変な事態になってしまうな』

 

『まあ、あの野郎が無闇にやるとも思えねえけど……だからって何やらかすのかわかんねえのがかえって不気味なんだよな』

 

 生存戦において炎の船の件から姿を隠していたトレギアが現れたことをトライスクワッドのみんなに話したところ、やはり自分達はしばらく残るべきだと改めて認識した。

 

 それからトレギアの目的について焦点を当てて話すが、『Aの奥義書』を使ってこれから何をしようというのかがまるで読めないままだった。

 

「この世界──というより、フェジテという国ができた秘密……トレギアの目的がそこにも繋がっている気がするんだよな」

 

『この国の秘密か……ただ闇雲に奴の姿を探すより、まずはこの国の秘密を探るべきなのかもしれんな。これからは一時人間社会に紛れながらその辺も調べてみよう』

 

『ああ、そういう細かいことは旦那に任せとくぜ。俺は監視の方に専念すっからよ』

 

 タイタスはこの国の歴史も密かに探るべきだと主張し、フーマは監視から外れないと投げ出し、タイタスに呆れたように視線を投げられた。

 

「そういえば、この国の秘密もだけど……そもそもトレギアって、何で何回も復活しながら光の国を堕とそうとなんてするんだ?」

 

 もうかつての力は失っているというが、元々光の国の出身であるということと、行き過ぎた思考を持ったために闇に堕ちたとは聞いてるがその根本と言うべきものを俺は何一つ知らないまま敵対心を持っていた。

 

 それを聞くと三人は互いを見合いながらしばし沈黙するが、タイガが複雑そうな面持ちで切り出した。

 

『トレギアが元々光の国の出身だっていうのは、以前言ったな……?』

 

「あ、うん……」

 

『そしてトレギアは、父さん……ウルトラマンタロウの親友だったんだ』

 

「え……?」

 

 衝撃の事実だった。驚いた俺の態度は予想していたと言わんばかりにタイガは次へ話を進める。

 

『俺も全部聞いたわけじゃないけど、ある時からトレギアは光や正義に疑問を持って……そのまま闇の力を手にしてしまったらしい』

 

「…………」

 

『それから色々あって……俺は結局アイツを倒すことになったけど。それでもあいつは……あいつなりの正義があったんだと思う。色んなことを考えすぎたために父さんと別れることになったんだと思うけど……あいつが生きてるってわかった今、俺はもう一度……」

 

 それは倒すということか、それとも……。タイガはそれからは口を噤むだけだった。その沈黙を破るようにタイタスが後を継いだ。

 

『とにかく……今後はトレギアを警戒すると同時にこの国の歴史を探ろうと思う。リョウ……君もそれを念頭に入れた上で改めてこれからをどうするか、考えて欲しい』

 

「あ、わかった……」

 

 タイタスに今後のことも注意され、俺はいずれトレギアと戦うことになるかもしれないと気合を入れ直す。

 

『歴史ねぇ……そういやもう一人のトレギアの方も今どうしてんだかね』

 

「ん……もう一人?」

 

 フーマがおかしなことを呟いていたので思わず聞き返した。

 

『フーマ……』

 

『あ、悪ぃ……』

 

「あの、もう一人って……?」

 

 フーマはやっちまったと頭をかきながら俺の質問に答える。

 

『えっと、それについては……お前、前に夢で妙な生命体がどうのって言ってたの覚えてっか?』

 

「え?まあ……」

 

『もう一人のトレギアってのは、お前が見たっていうそれにも関わってくるんだけどよ』

 

 それからフーマの説明が始まり、聞いたことはこれまた結構な内容なので許容量をオーバーしかけるが……俺なりに整理したところ、話はこうだ。

 

 俺が夢に見た金色の生命体というのは究極生命体『アブソリューティアン』と呼ばれる存在であり、今現在光の国他別の次元にまで騒ぎを起こしているとのこと。

 

 光の国の王女ユリアンの誘拐、そして光の国の明け渡しの要求。そのために戦力としてそのリーダー的存在である『アブソリューティアン』、アブソリュート・タルタロスが特殊な力を用いて過去に介入し、ベリアルとトレギアを過去から連れ去って二人の並行同位体を戦力に加えたとのこと。

 

 そしてその存在は依然光の国を狙ってあらゆる場所で暗躍しているとのこと。

 

「……って、それじゃあいつまでも呑気にここにいる場合じゃないんじゃ!?」

 

 ゼットが大急ぎで光の国に帰還するわけだ。こんな重大事項放置してたら全宇宙規模でヤバいことになり得るんじゃないか。

 

『それについては現状調査及び対策を模索している最中だ。こちらから深追いすることはしない。それに、こちらの現状を放置するのもそれはそれで危険だ。君の存在も奴らに無関係とはいえない……どんな形でアブソリューティアンに関わってるのかを知るためにも光の国からの通達があるまでこの星に待機すべきだと思う』

 

「そ、そうですか……」

 

 思わぬ形で衝撃の事実を知ってもうトレギアとかフェジテだとか一つの存在や国という規模が霞んで見えてしまう。

 

 現状静観しろとはいうが、こっちはこっちで気になって仕方がなかった。

 

 だが、俺個人がどうこうできる問題でもないためしばらくは自分を鍛えることに集中するしかなかった。

 

 フェジテの歴史、トレギアの暗躍、夢でしか見てないアブソリューティアンの存在……俺達のこれからがどうなるのか、まだまだ問題は尽きないのだと痛感した。

 

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