孤独論者の信条   作:八又ノ大蛇

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 都合上、プロローグの燈罪の年齢を十二歳から十四歳に変更しました。


一罪 停滞に弾丸を撃ち込め

 

 

 つまらねぇ……と、ぼんやり光景を見ながらも燈罪は手を動かす。

 

 世界史は授業の中でも特に書くことが多く、教師もわざわざ眠る生徒を起こしに来ることもない。

 そして、授業の終わりを告げるチャイムが鳴り、委員長が起立礼と言う。学生達は終わった終わったと友人らの所に行き何でもない雑談をする。

 

「おら、デク!お前、雄英に受験するんだってなぁ?」

「かっちゃん……う、うん、一応」

 

 そんな、会話を機にデクと言われた少年ーー緑谷出久は無個性が受かる訳がないと、クラスメイト達に笑われる。それでも、緑谷は受けるんだと言う。

 

 燈罪はそれを見ながら、ハッと鼻で笑う。

 

「ほら見ろデク!こいつも笑ってやがる」

「燈罪さん……」

 

 飛び火しやがった……と、薄い笑いを引っ込め爆豪と緑谷の方に顔を向ける。会話に参加する気など微塵もない燈罪は声でけぇし、うるせぇよと思いながら口を開く。

 

「別に緑谷が雄英に行くことに笑ったやけじゃねぇよ、勝手に勘違いすんな」

 

 あぁ?と濁点が付きそうな低い不機嫌な声を出し睨む爆豪。その燃える様なガン飛ばしに、凍える様な冷たい流し目で返す燈罪。

 

 他人が何をわめこうが関係ない事には、無関心な彼女だが勘違いされ、あまつ、「無個性の緑谷をバカにする」と言う名目の多数決の票に勝手に入れられるのは腹が立つ。

 生前では、わりとそう言うどうでもいい揉め事には流して巻かれよ派であったが、温厚であったわけではなく。どちらかと言うと、短気な部類に入っただろう。それが、今世の育った環境も相まって表に出るようになった。

 

「お前ら揃いも揃って、なんとも下らねぇ事言ってんなと、思っただけだ」

「あぁ!?なんだと、クソ目付き!」

 

 いや、目付きの事でお前にとやかく言われたくねぇよと、燈罪は思うが火に油を注ぐ事になりそうなので言わないでおく。

 気に入らない意見はハッキリ言うが、面倒な問題に進んで突っ込んでいく性格の彼女ではない。

 

 寧ろ、回れ右をし回避するこそ、賢者なりである。

 

 故に、大分険悪な雰囲気を醸し出してはいるが、燈罪は話の落とし所を探っている。自身がお前と仲良し一緒な意見ではないのだと、言えればそれでいい。

 

「テメェの私事情に私を巻き込むんじゃね、つってんだよ。この爆裂頭が」

「アァ!?」

 

 だが、ここで「貴方の事情に私は関係ないないので、巻き込まないで下さい。爆豪さん」と言えない辺り、和やかに終われる筈がない。いや、例えどう言っても彼は怒りそうなものだが。

 爆豪の手が、彼の怒りを現す様にボンと音をたてる。しかし、燈罪は怯え等は欠片も見せず、ただ淡々と冷たく睨む。

 

「うぜぇ、チンピラかテメェは。ヒーロー様がそんなんで良いのかよ?」

 

 それ、お前が言うのか?と逆に聞き返したくなったクラスメイト一同。爆豪もかなりヒーローらしく無いが、燈罪も勝るとも劣らないぐらい若しくはそれ以上にヒーローらしからぬ口調と態度だ。

 なんなら、マフィアの筆頭の椅子に座っていた方がしっくりくる程だ。

 

「なんだと、このクソ目付きが!」

「うるせ、爆裂頭。ツンデレちゃんかお前は」

「はぁあ!?誰がツンデレだ!!」

「あれだろ、緑谷が雄英での試験で危険な目に遭うのが心配なんだろ?仲間思いだな、良かったな緑谷」

 

 なぁ?と、全く心にもない繰り言もしくは虚言を吐き、オロオロする緑谷に突然話を振る燈罪。そうなれば、話が読めず急に言われてもえっえっ?と困惑するのは必然だろ。

 

 だが、燈罪はなおも続ける。

 

「相当、お人好しの爆豪ちゃんはお前の事が心配で心配で試験を受けるのを止めろって言ってんだ」

「えっ?……そ、そうなの、かっちゃん?」

「っんな訳あるかァ!!殺すぞクソ目付き、デク!!」

 

 当然のように激しく怒る爆豪、意味が分からず更に困惑する緑谷。

 だが、燈罪は薄く嘲笑いその口に弧を描き、人差し指と親指を立て、銃の様に指を爆豪に突きつける。

 

「ほぉ?殺すか……ヤってみろよ?」

 

 そうすれば、しーんと教室が水を浴びたように静まる。それは、彼女の個性を知っているからに他ならない。

 

 疑わしきは罰せよを信条にする、疑沫・燈罪の個性【ジャジメント】。

 

 あまり普段から個性を使用しない彼女の為、緑谷達が知ることはそこまで無いが。

 銃を作り出す事が出来、それ単品でも発砲することも可能であり。相手が燈罪に抱く感情を具現化した弾丸を作り、その弾丸に込められた威力や効果はその時の相手の感情によって代わる。これが、緑谷達が知る彼女の個性だ。 

 不穏な空気が流れる教室に授業を告げるチャイムの音が鳴る。

 

「……ハッ、冗談だ。さっさっと席に着けよ」

「覚えとけとよ、クソ目付き」

「あぁ、気が向けば覚えといてやる」

 

 ここで大人しく席に着くあたり、妙に真面目と言うか細けぇと思いながら、燈罪も授業の用意をする。

 

 

 

 

 

 

 

 




 他のキャラでも、「ジャジメント」とかの能力ありそう、と思いながら書く作者です。

 【疑沫・燈罪】のプロフィールです。

年齢:十四歳
身長:160㎝ 体重:42㎏
髪:銀色 瞳:深緑
個性:ジャジメント
好きなモノ:銃、武器類、ケーキ、甘いもの
嫌いなモノ:面倒事、蝶々、蛾、ゴーヤ、苦いもの
趣味:掃除、読書、武器の手入れ
性格:短気、冷酷、利己主義
信条:疑わしきは罰しよ

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