孤独論者の信条   作:八又ノ大蛇

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 さっさと進みたいけど中々進まないですお(´・ω・`)。



二罪 咲けど愛でよど、撃てば朽ちる

 

 

 人間の命はとても簡単に摘める、燈罪はそう思う。

 

 

 

 手順通りに、いつもの様に手を動かしターゲットを確認する。

 風の向きを感じとり、暖かみなど有りはしない鉄の塊に触れ、冷たいコンクリートの地面に這いつくばる様な伏せ撃ちの姿勢をとる。一つ息を吐き、呼吸を整える。

 

 そして、視界に納めたら引き金を引きーー撃つ。

 

 たったこれだけで、スコープには真っ赤な花が咲き散る。個性で出された銃弾は通常の弾丸よりも威力が増し、撃たれればその箇所が吹き飛ぶ。故に、燈罪がヘットショトを決めた人物の頭は爆ぜる。

 無様に慌てふためく周りの人間達を彼女は鼻で笑い。手を振り、個性で出現させた狙撃銃を消し去る。

 

「喉渇いたな……」

 

 燈罪は二十階建ての建物の窓から何気なしに飛び降りる。人が見たならば自殺かと、思いそうだがそうではない。燈罪は空中で一回転をし、重力を無視した様な身軽さで地面に着地した。

 個性かと思うだろうが、これは彼女の技術の賜物であり、ただただ身体能力が非常に高いだけだ。

 

 無論、これを身につけるまでには血が滲み、骨が折れ、何度も命の危機に直面し地獄を乗り越えて手にしたものだ。

 そして、前世の記憶がほんの一日前に戻ったばかりだと言うのにこうして、"仕事"が出来るのもその地獄のお陰でもある。

 

「やっぱり、仕事終わりはココアだな……」

 

 甘い味と香りに燈罪は和み、光る街並みを見ながら今日の晩御飯を決めるため足を進ませる。

 程ほどに客の出入りが進み、あと一日行けば休みになる木曜日の時刻は午後八時。燈罪は仕事の報告を済ませ、暗い路地を歩く。

 

 すると、壁の隙間から緑色に濁った液体が燈罪めがけて、飛び出してくる。

 

 が、ヘドロ状の何かの攻撃は虚しく空をきる。キョロキョロとヘドロの中から出てきた目が辺りを見る。だが、襲った筈の人物は何処にもいなくなっていた。

 どこが首かは分からないが、傾げるような仕草をして隙間に帰っていく。

 

「職務怠慢じゃねか?ヒーロー様」

 

 燈罪はヘドロが地上を探していては見つからないだろう、建物の上に愚痴を言いながらいた。

 

 襲ってきたヤツに慈悲をかけるほどお優しく無いが、ここら辺は人が密集している場所が近いため、何か起きればゴキブリの様に人が集まる。そうなれば、ヒーローが来て警察もやって来る。

 これから、食事をしようとしているのにワザワザ騒ぎを起こそうとは思わない。燈罪は人混みが嫌いなのだ。

 

「……グラタン……寿司……いや、パフェにするか?」

 

 何事も無かったかの様に再び、思考の海に身をやる。殺しが日常と化してしまい、命を奪われかけようと動揺する精神は彼女は早々に手放した。

 そんな事よりも、今は晩御飯を何にするかの方が燈罪には大事なのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

   

 

 

 疑沫・燈罪の経験した地獄。

 

 母は暴力的な父に耐えきれず消え、毎日殴られ蹴られの暴力三昧。それでも、当時六歳の燈罪は耐えて、耐えて、耐えていた。いつか、テレビに映るヒーローが私を助けに来てくれる筈だと。

 

 だが、淡い希望はまやかしであったのだ。自身の倍はある太い手が首を絞める苦しさに燈罪はそう幼心に悟った、悟ってしまった。

 そうすれば、今までの我慢は何だったのだと言うほどに呆気なく父だった愚かな男は、至近距離で放たれた銃弾に撃ち抜かれ死んだ。人生初の自分以外の血に体の底から凍える寒さが襲うと同時に別の感情が浮かび上がる。

 

 【憎い】と。

 

 自分はあんなにも苦しんだのに、この男はたった一発で死んでしまった。いや、殺していまった。

 初めて見た人の死体。初めて感じる銃の重みと撃って痺れる手の感触が、己が殺したのだと言う。初めてだらけの、一日を機に燈罪の人生は色彩を変える。

 

 モノクロだった世界に、色が射す。

 

 夕焼けよりも鮮やかで、毒々しくも狂おしい程に真っ赤な真っ赤な、"血の色"が。

 

 

 

 

 




 
 サブタイトルって難しいですね。
 そして、何だかテンションの不安定な文になってしまいました、

 アサンテ様、白神 紫音様、誤字報告ありがとうございます。 
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