どうも、ハノイの騎士(バイト)です。   作:ウボァー

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遊作に解説させることにより強キャラ感を出した非力な私を許してくれ……
あとOCG民の人は、もしテンタクラスターとデュエルするときあそこで神の宣告使います?作者のへっぽこデュエルスフィンクスだと使っちゃいましたが……


復讐者の思案

 作業の手を止め、リンクヴレインズの騒動を眺める。AIデュエリストはその真価を発揮することなく倒されていく。

 

「……」

 

 新たなるハノイの騎士、ヴァンガード。今まで俺が戦ってきたハノイの騎士の中でもトップクラスのデュエリスト。恐ろしいデュエルタクティクスの持ち主。

 

「強い」

 

 そうとしか言いようがない。的確に相手の反撃の目を潰し、自分のアドバンテージを失わない。言うだけなら簡単だが、それができるデュエリストはどれほどいるだろうか。

 

「なあ遊作ー、もしあいつとデュエルしたら勝てるか?」

 

「……わからない。まだあいつは本当の力を隠している」

 

 Aiはデュエルディスクから体を出して画面を見ている。何でもないように問いかけて来ているが、その声色から心配が隠しきれていないのがわかる。

 

「何でそう言い切れるんだよー。あ、あれか。もしかしてチューニビョーってやつか?」

 

「黙れ。……一つ、あれだけの数のハノイの騎士を束ね上げ、殲滅を彼らに任せている。二つ、AIデュエリストとのデュエルで使用しているカードはどのデュエルでも殆ど同じ。三つ、ヴァンガードはまだスキルを使用していない」

 

 指を立てながら説明してやるとAiは大人しくなった。

 

「お前がそこまで言うほどのデュエリストがまだハノイの騎士にいるとはな……」

 

 鬼塚と戦ったDr.ゲノムのように、表舞台に出ていないだけの強者はまだいるかもしれない。……いや、いるのは間違いないだろう。このままハノイの騎士が終わるはずはない。

 

「強さが一番わかるのは最初のデュエル。ヴァンガードが初手を全て使い切った時点でAIデュエリストは罠にはまっていた」

 

「……どういうことだ遊作?」

 

「あのデッキはハンデスとバーンを中心にしたもの。ヴァンガードが先行だったのも運が悪かった。捨てさせる手札が無ければハンデスは意味が無い」

 

 プロトタイプとデュエルした時、俺は後攻だったのもあってハンデスの妨害は出来なかった。墓地で発動できるカードが初手に無かったら、そう思うとぞっとする。

 

「ここで戦術をバーンに切り替えるのは当然だ。だが、リンクモンスターを呼ぶための機械複製術は無効化され、残ったのは攻撃表示のダークウィップ。防御を固めるしかない」

 

 セットしたモンスターは恐らくテンタクラスター・ボムサッカー。もしそちらに攻撃したならば、アビス・インビテイションとボムサッカーの効果でライフは風前の灯。

 

「相手に展開されず叩き潰せるのはあのターンだけ、そう確信したヴァンガードは勝負を決めにかかった。それがあのトランスターンとリミッター解除」

 

 首を稼げるAi。

 

「ちょい待ちー、ヴァンガードはなんで攻撃する前にリミッター解除を使ったんだ? あのカードって確かダメージステップでも使えたはずだろ?」

 

「誘ったんだ。トラップの発動を」

 

 トラップは発動し、自分を不利に見せ、相手は油断した。それこそがヴァンガードの狙い。最後の足掻きは潰され、AIデュエリストは何も抵抗できず敗北した。まさに、自分の力を見せつけるためのデュエルと言えるだろう。

 

「最初から最後まで、全部ヴァンガードの掌の上……って訳か」

 

「恐らく、な」

 

 俺の考察はすべて結果論。ヴァンガードは相手の使用カードの効果を何一つ知らない状況でこの結果を出した。……だからこそ恐ろしい。

 Aiが体を横に曲げながら唸る。

 

「む、むむむー? 他のハノイの騎士が使っているカード、墓地に送られることで活躍できるのばっかりだぞ? これはどう説明するんだ?」

 

 画面を見ていた草薙さんもはっとしたようにこちらを見る。

 

「……確かにそうだ。お前は一度デュエルしたことがあるから戦術を知っていたが、ハノイの騎士はAIデュエリストと戦うのは初めてだろう? 何故対策が出来たんだ?」

 

「……それは」

 

「それは?」

 

「デュエリストの勘、としか言いようがない」

 

 ずこー、と言いながらAiがこけるまねをする。俺がSOLのデータバンクへハッキングを成功させたことで、向こうのセキュリティレベルは格段に上昇している。データが漏れた、というのは考えづらい。

 ハノイの騎士を確実に殲滅する為のAIデュエリスト、としかわからない状況でヴァンガードはこの部隊を作り上げた。

 

「勘ねー、人間ってなんでそんなモン信じれるんだか」

 

「ヴァンガード、奴は紛うことなきデュエリストだ。計算だけで倒せるほどヤワじゃない。俺もいつかデュエルする時、勘に頼るしかない時が来るかもな」

 

「マジで? それマジで言ってんのプレイメーカー様ー!?」

 

 慌てるAiを無視して、画面の向こう側にいるハノイの騎士達を見る。ヴァンガードだけに目がいきそうになるが、下っ端達のデュエルレベルも確実に上昇している。

 

 

 ――これからは今までよりも厳しい戦いになる、そう確信して作業に戻った。




おまけ どうやってヴァンガードがメタデッキ使いを集めたか

「暗黒界とかインフェルノイド使い、この指止ーまれ」(恐る恐る)

「「「「はあああああい!!!!」」」」(変態ハノイの小山ができる)

「ひっ」(ドン引き)

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