プレイメーカーもリボルバーもGO鬼塚が好き。小説内でははっきりと書いてませんでしたが、プロレス好きな主人公はGO鬼塚も好きです。
結論、皆GO鬼塚が好き。
――我々は、知っている。
あるはずのない命があった。だから我々はそれを消そうとした。故に我々は貴方の元に集った。いつでも貴方を消せるように。それは決闘による不幸な事故の一つとして処理される……筈だった。
貴方の記憶を見た。その中にはこの世界の未来があった。……前世の貴方の終わりを見た。
混沌の悪神も、破滅の光も関係無い。貴方の魂がこの世界に来たのは紛れも無く偶然だった。
貴方は機械を愛した。……貴方になら、使われてもいい。そう、思ってしまった。
消す? 冗談じゃない。我々は貴方を問題無しと判断したのだ。その決定は覆される事はない。
ほら、貴方の記憶通りにデータストームが彼らを押し上げる。このままでは、グラドスとプレイメーカーがリボルバーの元へ辿り着くことになる。
「おい、あれは!?」
我々はデータストームの奥底、暗闇の中から照準を合わせていた。それに気付いたAiの忠告も虚しく、光線がグラドスの胸を貫く。
「なっ――――!?」
グラドスに傷は無い。だがデッキデータを損傷させた。これでハノイの塔が完成するまでの間、グラドスはデュエル出来ない。物語はあるべき流れへ戻った。貴方が望んだ通りに。我々が直接介入するのは出来れば避けたかったが、今回ばかりは仕方がない。
我々が貴方と共にある事はあの機械竜が伝えている頃だろう。……年若き機械竜は知らないが、我々は自らの思うまま行動できる。
貴方は、端末世界で我々がした事を知っている。我々が実は自由に動ける事を知らせて、貴方を必要以上に怯えさせたくないのです。
……ずっと我々を観測する者がいる。敵ではない。上位存在、恐らく神の誰か。それがつい先ほど力を振るった。もしあの人を傷つけるのであれば、神であろうと容赦はしない。
『……なんと、かの機殻を絆すとは!』
煩い。お前には関係無い事だろう。大人しくドジばかりしていろ。いっそのことOCG民に崇められてドジの権能がついてしまえ。
『な、何を言うか!? 我はドジなど……』
――
「ここ、は…………?」
目を覚ますと知らない場所にいた。確か、私はスペクター様を庇って、そして……。
「…………もしかして、死んじゃった、とか?」
見渡す限り黒。黒で塗りつぶされた世界に、私の姿がはっきりと浮かび上がっている。ハノイの塔に取り込まれたのなら自我は残らない筈だ。死後の世界、それともこれはアナザーの患者が見た風景?
「やっぱり、何も言えなかったなぁ」
最期の言葉を他人に伝える機会、なんてものは現実ではそうそうない。言いたいこと全部言って死ねる、なんて都合のいい奇跡は起こらない。
――いいや、これで良かったのかもしれない。彼の決意を邪魔するものは少ない方がいい。
グラドスは大丈夫だろうか。あのデータストームに助けられたのだろうか。このよく分からない場所からは確認は出来ない。
「さーてどうしようか」
どうしたらこの謎空間から脱出できるのだろうか。私に非ィ科学的なオカルトパワーはない。取り敢えず、デッキに入れているモンスターを片っ端から召喚すれば容量オーバーとかでなんとかなったりしないかな。この空間にそんな物があるのかは知らないけど。
そんなことを考えていると、ごうごうと音を立てて緑色の光が迫ってくる。ハノイの騎士になってから見慣れた姿。
『ご主人!』
クラッキング・ドラゴンが喋った。
『やっと見つけた! 生きてた!! よかったー!!! ぐすっ』
泣きながら擦り寄ってきた。機械族だから涙じゃなくて冷却水の可能性もあるけども。取り敢えず頭を撫でてみると、くるくると喉を鳴らす。可愛い。
「成る程、夢か」
夢だったらなんでもありだ。私の欲望を反映しているからこんな可愛いクラッキング・ドラゴンになったんだな?
『夢じゃないよ?』
私から少し離れ、ゆっくりと尾を揺らしながら語る。
『あのままだったら危なかったから、心だけ別の場所に移したの』
私は崩壊する聖天樹と共に炎に包まれた。リンクヴレインズからログアウトして、そのフィードバックがやってきたらどうなるか? 全身大火傷、呼吸困難、etc。身体は回収され棺の中にあると思われるが、このクラッキング・ドラゴンの言い方だと回収される直前の衝撃は殺せないのかもしれない。
――そんなことが出来る、目の前にいるこれは何だ?
『んー、一応精霊、かな?』
精霊、精霊ですか。遊戯王ではよくあることですね。
「って精霊だったの!!?」
『ぎゅう……あの時勝手に出てきたの、忘れた?』
「あの時って……」
勝手に出てきた時あったっけ?
『ド忘れ!? 悪ーい人とデュエルする前! 何もいじってなかったのに僕出たでしょ!?』
「悪い人……?」
『ミラフォと強烈なはたき落とし』
「思い出した」
そう言えばあったなそんな事。あれは私がただのハノイの騎士からヴァンガードになるきっかけの事件だった。あの場所にいた皆スルーしてたけど、勝手にモンスターが出てくる、なんて事は普通起こらない。
「あの時なーんで気づかなかったかなー、私」
『……うん、ご主人すごく不思議。他の人と違う。普通の人、こんな事信じないと思う』
「……あー、嫌だった?」
『そんな事ないよ! ご主人大好き!』
全身で好きを表現するクラッキング・ドラゴン。
「あ、もしかして他にも精霊いるの?」
『こうやって出てこれるのは僕だけだけど、他にもいるよ。えっと、クリフォート、だっけ? クリフォートは全員精霊がついてるよ』
それ精霊がいたらあかん奴らや。……あ、だからツールでサーチしなくても欲しいカードを引ける事が多いのか! ちょっと納得。
『ブンボーグとか、古代の機械とか、サイバー・ダークに超重武者、TG、ABC……とにかくいっぱい!』
私機械に好かれすぎぃ! 所持しているデッキが殆ど機械族だから仕方ないけどさ。
「あ、出てこれない精霊達の力も合わせてここに避難させてくれたの?」
『ううん、違うよ。あの時は僕しか動けなかった。それにね、僕一番年下だから力そんなに強くないの』
「……じゃあさ、どうして私をここに連れてこれたの?」
『何でだろ、わからない……』
クラッキング・ドラゴンはハノイの騎士によって作られたカード。電脳世界においてその力は強いだろうが、精霊としては若い。他の誰かが介入しなければ、精神だけを異空間に一時的に逃がすという大技は出来ない。
――――では、誰が?
異なる世界から迷い込んだ魂。
名もなき王の真の名を知る魂。
命の流れに関して厳格な筈の機殻を問題無く従える魂。
『鉄心の決意、か。成る程な』
――それは、冥界神の名を持つ竜の目にとまるのは必然だったのかもしれない。
『鉄はいつか錆びるだろう。……だが、真に純粋なる鉄は錆びはしない。鉄の心を持つ者よ、己が思いに導かれ生きよ。こうして我が力が届いたのも何かの縁。その旅路、我も見守らせてもらおうか』
天空に雷鳴轟く混沌の時、連なる鎖の中に古の魔導書を束ね、その力無限の限りを誇らん。
三幻神が一柱――オシリスの天空竜。
『……む、このクリフォート・アセンブラとやら、とても我にあう効果ではないか! それにキラーと我が同時にフィールドに居れば……』
『エッチョアノどじりすサン、コノでっきイマ40枚ナンデスケド』
『む、貴様はクリフォート・アクセスだったか。貴様がデッキから退けば済むではないか』
『アノ、イキナリムチャイワレテモ……』
『退け』
『…………ハイ』
ククククク、フフフフフ、ワーッハッハッハッハ!! とどこかの社長のような三段笑いを披露しているその存在が、クリフォートデッキにこっそりと紛れ込んでいることを知るのは少し後の話である。
描写ちょっとだけだし覚えている人いないと思うけど《バイトハノイ、一波乱》で主人公ミラフォ成功させてたんだよ! アニメであそこまで出世するとか思ってなかったよ!……あ、下水道の怪物は攻撃表示だからミラフォの光でお亡くなりになったのか。
はい、と言うわけでオシリスの天空竜が遊戯王VRAINSにログインしました。
キラーとオシリス並べたら、VRAINSではかなりのデッキが対処に困る気がする。頑張って魔法か罠でオシリスどけて下さい。