A.ああ!(ベクター、警部、新月)
リアルが忙しかったので投稿遅れました&アニメがどんな展開か待ってました。わぁいドローンカッコいい!好き!幻獣機と混ぜたい!
で、ブラッドシェパードさんのアレ見ました。
……嘘やんってなった。そんな作者です。
――リンクヴレインズ、Gルート突入。
あ、Gは黒い悪魔の頭文字です。画面には掃除機を抱えたSOL製AIによる必死の駆除作業が毎日続いている。でもごめんね、あのプログラムは減ったらその分増殖して一定数を保つようにしてあるんだ。
……うん、正直やり過ぎたかもな、あれ。掲示板ではカード探索の時にカードだと思って近付いたらGでしたとかいう失神モノの報告がある。大丈夫? アシダカ軍曹いる?
まあ、捕まえて飼おうとする変態も一定数いたけどね! その最たる例は、私の警告で今回の件には参加できないと分かった元ヒャッハノイ達。
ヒャッハノイ達は考えた。「あの人がただの嫌がらせをするはずが無い」と。
その考えは当たり。あのプログラムにはデュエル乱入者妨害以外にも機能がある。
……うん。だからといってさぁ、ハノイについて語るスレにGの画像を載せる意味はあるの? 『例のプログラム捕獲しました!(素振り)』じゃないよ! やめて! 最近までハノイの塔の話題で持ちきりだったスレをグロスレにするのやめて! いつか帰って来るであろうスペクター様の怒りが有頂天になる! せめてヴァンガードスレでして!
「何をどう思ってあんなものを作ったんだ……」
「何をどうって……超高校級の昆虫博士から?」
なごむよ!
「Gに好き好んで近付く人はそういないし、いたとしてもほら、まあ……こんなのばかりだし」
丁度、紫色の男性型球体関節人形とロングヘアーの不満足味を感じるアバターが虫網でGを確保したところが映る。
「ん、これであとちょっとかな……? ま、まあ、LVSSを搭載して一定時間ごとにデータ転送するようにしてあるから探査に役に立つと思うよ?」
「納得がいかない」
草薙さんが作ったLVSSは、SOLテクノロジーにバレないよう設置するのが大変だったらしい。それを元ハノイの騎士がたった一つの行動であっさりと終わらせたのが腑に落ちないようだ。
Gをばら撒いたのみんなに見られていたからバレバレで現在駆除されてるけど、数でごり押しすれば問題はない! で実際何とかなっているからなー。……大丈夫かなVR兄様。また降格される?
「あー、クラッキング・ドラゴンのデッキはもう使わないのか? あんな一方的な勝ち方ばかりだとプレイメーカーの評判も悪くなるし……」
三ヶ月ぶりに遊作君の元へ帰ってきたAiは相棒の心配をしている。
「あのデッキ今調整中だったから使えなかったんだよ。負けるわけにはいかないから、単純に勝率高めのデッキを使っただけ。……やっぱり大会用のデッキをちょっといじっただけの使ったのはまずったかなぁ」
草薙さんがそれを聞いて作業の手を止める。
「大会からヴァンガードに繋がるような証拠はあるのか?」
「いや名前と見た目は流石に変えてるよ? それにサブ垢だし、ヴァンガードに対してはハノイで貰った防衛プログラムもまだ働いているから大丈夫……のハズ。大会出る時は基本列車デッキ、名前はサブウェイマスターで登録してた」
デュエルディスクの画面にアバターを表示させて二人に見せる。
「サブウェイマスター、か。少し調べておく」
『ガガガ、キラー――ネフィ――止め』
ちゅどーん。
「……何の音だ?」
「気にしなくていいから!」
シェキナーガを使ったことを切っ掛けにしたキラーとネフィリム(二体ともシェキナーガから分離した)のガチ喧嘩でデュエルディスク内の精霊達がヤバイだけだから。
――何が『オネストで死んだ切り札(笑)』だ人形風情が!
――あらあら、椅子が喋るなんて不思議なこともあるものですね?
周囲がどうなろうと知らんと言わんばかりに攻撃を続ける二体。正に地獄絵図。
――ホワアアアアア!?
――ボムスパイダーが爆発したぞー!
――誰かー! 攻撃力3000超えていて通常召喚された人は居ませんかー!
――任せろームシャムシャー!
――腹を空かせたジズキエルだ、逃げろ!
――今こそ一つに!
――ちょっと待て今何か違うのが。
――精霊界とこっちの繋がり緩いなオイ。
――青眼新規、カオス・フォームで降臨する儀式モンスターだそうです。
――もうやだ我精霊界帰りたくないこのまま詩織のデッキに入って……馬鹿な! 枠が無いだと!
――何故機械族中心のデッキにお前が入る枠があると思った?
――ザボルグフレシア〜? 龍の鏡ぃ〜? 誰それぇ? 俺、アージェント・カオス・フォース! ギミパペランクアップしてダイソン出すの意外性あっていいよね!
――四天の一つ、オッpはクリフォートデッキでツール引っ張って来るだけの簡単で重要な仕事に満足している。見ろ、オッpの顔を。
――その略し方はやめろぉぉおっ! ぐうう、いっそのこと冥界に……!
――……え、何ですかカーネルさん? これを読めばいいんですか? 本当にいいんですか?
――これ以上被害を拡大するわけにもいかん。やるしかないだろう。
――え、えーと、こほん。……冥界にはかなりの頻度でやって来る青眼使いがいるそうですよ?
――…………。
――高校生社長。カイバーマンのモデル。見た目によらず子供に優しい。死のテーマパークを作った。意識高い(物理)。オカルトを科学で殴る。精霊を宇宙へ打ち上げ……ってこれ全部本当のことなんですか!?
――俺、精霊界に帰ります。
――よし、行ったな! 端末世界組はどうなった!
――オシリスに叱られてます。
――よくやったレイ! 後でトリックスターと戦う名誉をやろう!
――えっ?
……異常。じゃなかった以上。どうなってんの私のデュエルディスク。もしかして精霊界直通なの?
「……サブウェイマスターについては特に騒ぎ立てられてはいないようだな」
「あ、ありがと」
あっさりと調べ物を終わらせてくれた。たった二人でハノイの騎士を追っていた技術力は伊達じゃない。
「……なー、サイバース世界をあんな目に合わせたの、ハノイの騎士の仕業じゃねえの?」
「その可能性はゼロだ」
「何でだよー!」
「もしハノイの騎士が俺達と戦っている間にサイバース世界を見つけていたら、ハノイの塔で全ネットワークを破壊する、なんて遠回りな作戦はしない」
「あー、そりゃそっか」
そう、ハノイの騎士ではない新たな敵。
ハルとボーマン。リンク魔法。そしてサイバース族。彼らがイグニスを狙う理由は何もわかっていない。だが、イグニスに効くウイルスを持っているという事は、既に向こうに捕まえられたイグニスがいるのかも知れない。
分からないことだらけの中、する事は一つ。
「俺と遊作が情報を探っている間、世間の目を集めてほしい」
プレイメーカーだけでなく、ヴァンガードも戻って来たのはリンクヴレインズにかなり大きな衝撃を与えた。ヴァンガード分の供給が絶えたことで死亡していた変態も復活した。
色んな意味で有名人になってしまったので、陽動にかなり向いているんですよね、私。
「了解。グラドスも探しておくよ。いそうな場所は見当がついてる」
グラドスはサイバース世界のイグニスではない。でも、もしかしたら敵に狙われているかもしれない。
「あれから何も情報がないんだぞ? 見つけられるのか?」
あれから、とはハノイの塔が崩壊した後の事だろう。それにグラドスの見た目は普通のAIデュエリスト。演技をしていたら見つける事は困難だ。
「遊作君とAiと違って、私とグラドスは性格が似ているから、かな? つまり、私が行きそうな場所にいる可能性が高いって事」
「……成る程、な」
その言葉で実際にグラドスと話した事がある遊作君は納得したようだった。
翌日、学校で島君から今日の部活の場所を伝えられた後の事。廊下を歩いていた途中で声が聞こえた。
「……?」
初めて聞く声。はて何だろう、と音源を探し……教室からだと分かった。内容はよく分からないが、遊作君と転校生君が暗い部屋の中で話している。
「何してるの遊作くーん?」
突撃したら二人、いや四人? がこっちを向く。
「っ!?」
「誰だ!?」
穂村君と不霊夢の声が重なる。
「今上、どこから聞いていた?」
「話している、ってのは分かったけど内容はよく分からなかったからなー。どこからと聞かれても答えにくいです」
「あ、こいつがソウルバーナーだぜ。名前は穂村尊」
会話を始めた詩織、遊作、Aiを交互に見る穂村と慌てた様子の不霊夢。
「何で皆動じないんだ!? 闇のイグニスも何故彼女にさらっと言っている!?」
「……ってあー、ソッカー。お前達は知らないもんなー」
もしかしてもしかしなくても、とんでもない時にお邪魔してしまったようです。
「これ、は……。えーと、全部言った方が良いの? かな?」
二人に問いかけると、二人とも頷いた。取り敢えず周りに誰もいないか確認する。
「えー、こほん。リアルでは初めまして、今上詩織ことヴァンガードです」
「……え?」
ぱちぱち、と瞬き。眼鏡を外してぐしぐしと目を擦って、また眼鏡をかける。
「あー、うん。聞き間違いだよな。そうだよな」
デュエルディスクをちょいちょいと操作してクラッキング・ドラゴンのカードを映し出す。
『確たるしょーこ! です!』
「…………え、マジ?」
ぱっかーと口が開いたままこっちを見る穂村と、目をまん丸にさせた不霊夢。この空気をどうにかしないと、と咄嗟に出てきたのは。
「じ、ジャンジャジャーン! 衝撃の真実ー、なんて……?」
この空気を何とかしようとベクターの真似(顔芸は流石に無理)をする。二人はきっかり三秒硬直して、
「「はあああぁぁあっ!?」」
叫びが部屋中に響き渡った。
かくかくしかじか、まるっと私について説明した結果。穂村君がマジかよを繰り返すだけのbotになってしまった。
「ハノイの騎士はバイトで? リアルだとプレイメーカーの友人で? あーもう訳わかんねぇよ……」
「みんなには内緒だよ?」
「たとえ真実だろうと、これは誰も信じないだろう……」
二人ともげんなりしている。初対面時のピリピリした感じはどこへ行ったのか。
「……あー、私、お二人さんの邪魔そうだから先に帰るけどいい?」
「是非そうしてくれ……」
「……場所を変えるべきだな、ここは話をするのに相応しくない」
で。二人と別れて何十分かしたら、Aiから何故か男二人で観覧車に乗っている写真が送られて来たんだけど。これはどうしたらいいのだろうか。取り敢えず『へぇ〜、デートかよ』って送るべき?
その男の右腕は機械で構成されていた。右腕からパソコンへコードが繋げられ、その画面にはある生徒の学生証が映されている。
「……ふむ」
パソコンの横に置かれているのは、今から三ヶ月以上前の新聞の切り抜き。自動運転のAIをハッキングし、そのせいで起きた事故に巻き込まれた少女について書かれた記事。
図らずしも彼や彼の母親と同じ境遇に置かれた彼女に対して興味を抱くのは当然のことだった。軽い気持ちでどんな人物なのか調べ出した、その筈だった。
『私、サブウェイマスターと申します』
『指差し確認、準備オッケー! 目指すは勝利、出発進行ーッ!』
『臨時ダイヤ発動! 出てきてくださいまし、グスタフ・マックス!』
『ブラボー! 素晴らしいデュエルでした!』
参加するのは賞金が出る大会のみ。出た大会の賞金を掻っさらう仏頂面の黒い車掌。それの正体がまさか彼女だとは思いもしなかった。
バウンティハンターとして、元カリスマデュエリストであるGo鬼塚の実力は信頼している。しかし、後ろに連れていた二人は邪魔でしかない。露払い、弾除けの役割を果たせるかどうかも怪しいところだ。
ソウルバーナー、ヴァンガードと獲物が増えた今、対抗できる力を持つデュエリストを増やさなければ対応は難しい。そう考え、有能なデュエリストを探していた。そして、白羽の矢が立ったのはサブウェイマスターだった。無慈悲に列車でデュエリスト達を倒す姿は彼のお眼鏡にかなったようだ。
「今上詩織……サブウェイマスター、か」
情報が大会出場記録しかない、という異色のデュエリスト。リンクヴレインズでは男性アバターだが、現実では女子高生。その違和感を感じない程に演技が上手い。しかも財前の妹と同じ高校、それもデュエル部所属ときた。
「財前に話してみるか……?」
SOLテクノロジーからの正式な依頼ならばNOとは言わないだろう。ブラッドシェパードこと道順健碁はサブウェイマスターをバウンティハンターチームに推薦してみるか、と動きだした。
ハノイの防衛プログラムはヴァンガードについて調べる人に対して反応します。それ即ちサブ垢は知ら管ということ。
〜観覧車内のイグニスの会話〜
「まったくむさ苦しい……って待て、何をしている?」
「何って、写真撮ってるだけですケド〜?」
「お前の事だ、それだけではないだろう!誰に送った!?」
「お、返信早い。えーと何々……ぶっふ!『へぇ〜、デートかよ』だって!」
「誰がこいつなんかと!ヴァンガード貴様ー!」
「……詩織チャンの性格的にこれ何かのネタで、本気でそう言ってる訳じゃないと思うんだけどナー」←大正解