どうも、ハノイの騎士(バイト)です。   作:ウボァー

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・主人公と仲良し
・実は敵の一人
・いい奴
オリ主、顔芸と友情ごっこできたらベクターになれそう。


バイトハノイは静かに暮らしたい

 倒れた男を見下ろす。かなり久しぶりにガチギレしてしまった。とりあえず通報しなきゃ、とディスクを操作していると。

 

「うぉーーっ!!」

 

「ハノイの騎士もこんなデュエルできるんですね先輩!」

 

 あそこのハトとカエルの声に聞き覚えが……あ、関さんだ。妖怪執事の声そっくり。よかったら雑種とか秀吉様とか言ってくれないかなー。

 ……まて、cv関の二人組?

 

「あ」

 

『ギャウ?』

 

 こてん、と首を傾げるクラッキング・ドラゴン。可愛い、なんて思っている場合ではない! やらかしたーーっ!! あとは警察に任せて逃げる! サヨナラ!

 

 

 

 アジトに戻ってくると先輩方に取り囲まれる。そのままお説教コースに入りました。リアルで入院している自覚あるのか、とかあのデュエルはさすがにやり過ぎだ、とか。最後はガチカードでゴリ押すだけのデュエルだったしね。感情に任せてデュエルをしてはいけない。闇落ちフラグが建つからね。

 今日はもうあがっていいから、次からはこっちが許可するまでデュエルしてはいけない、ときつくお叱りを受けてログアウトした。

 

 

「私ってほんとバカ……」

 

 絶対デュエルの動画撮られてた。今なら恥ずか死ねる。ハノイの騎士で動画を検索すると、トップにその動画はあった。

 

『独占!ハノイの騎士、隠された一面!』

 

 嫌な気しかしないけど……動画再生。ラストはやっぱりあの言葉で締められていた。

 

『……デュエリストの風上にも置けない下衆が! クラッキング・ドラゴンでダイレクトアタック!』

 

 うわー、うわー! 自分で見返すと恥ずかしー! 下衆とかぱっと出てくる言葉じゃないよ恥ずかしー!

 

 コメント欄には「ハノイかっこよすぎワロタ」「ミラフォが仕事した!?」「KNPKにフルボッコですね」など肯定的なもので占められていた。

 おかしい。ハノイの騎士ってサイバーテロ組織だよね? これを見てハノイ入ろうかなって人が増える気がしてならない。申し訳ありません先輩方。まだこのハノイの騎士と私がイコールになっていないのが救いです。

 

 

 

 

 

 

「いやー先輩! あんな大スクープ撮れるなんて思ってもなかったです!」

 

「だろー? ジャーナリストたるもの、たとえ火の中デュエルの中でも取材魂を忘れちゃいけないんだよ」

 

 スクープの匂いがするから追いかけろ、そう言いだした時は生きた心地がしなかった。

 

「まさかあの男が裏の世界じゃ名の知れた売人だったなんて! しかもそれを倒したのがハノイの騎士! くぅ〜っ、何度見ても俺たちが掴んだスクープだって信じられませんよ!」

 

「明日の一面間違いなし! 今回の件で上もボーナス出すらしいし、まったくハノイ様様だな」

 

 うんうん、と頷くハトとカエル。カエルの頭の上にいるオタマジャクシも嬉しそうに飛び跳ねていた。

 

 

 

 

 

「うわあ」

 

 案の定、次の日のリンクブレインズは偽物のハノイの騎士で埋まっていた。偽プレイメーカーの二の舞いじゃねーか!

 現在私はハノイの騎士ではなく、リアル寄りの見た目のアバターでログインしています。身長150センチぴったり、黒髪ショートな女の子。遊戯王世界ではれっきとしたモブです。変ないざこざに巻き込まれたくないのでさっさとログアウト。

 

 偽ハノイのせいで回線が重い。「一人壊獣大決戦したらあいつらいなくなるかな」とか真面目に考えるほどでした。ゴジ……ドゴラン、ドゴラン、ドゴランがやって来る! ふははははー! ただでさえ重い回線をばかでかい壊獣でさらに重くしてやるわー!

 

 

 VR兄様の頑張りで数日後には落ち着きました。私も正気に戻りました。思いついただけでやらなくてよかった。

 

 

 

 

 

 

 またアジトに呼び出されました、バイトです。

 

「ブルーエンジェルに電脳ウイルスを?」

 

 だからそういうのって唯のバイトに言っていいことじゃないと思うんです。アニメで知ってますけど。

 

「そうだ。プレイメーカーとブルーエンジェルのデュエル、リンクブレインズに大きな影響が出るだろう。その間にやって貰いたいことがある」

 

 デュエルディスクにデータが転送される。顔写真とプロフィールがずらりと並んでいた。

 

「こいつらをデュエルで始末してほしい」

 

 だいぶ物騒な単語ですね。

 

「はあ」

 

「こいつらはハノイの騎士に所属しながら、全くといっていいほど命令を聞かない奴らだ」

 

 ヒャッハノイですね、わかります。

 

「これまでの勤務態度やあのデュエルを見て、お前こそこの役割に最適だと上層部が判断した」

 

 あのデュエルは判断基準にしていいんでしょうか。私の中だと一二を争う黒歴史デュエルなんですが。ヒャッハノイを恐怖で従えるつもりなんですかね。

 

「まあ、その……あの動画、だいぶ気にしてるだろ? だから目立たないこの仕事の方がいいんじゃないか、ってのもあるんだが……」

 

「丁重にお受けさせて頂きます」

 

 めっちゃ気を使われてた。ハノイの騎士いい人多くない?

 

「すまない、任せたぞ!」

 

 

 

 

 次回、『ハノイの天使』裏番組、『ハノイの死神』。イントゥザヴレインズ!


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