どうも、ハノイの騎士(バイト)です。   作:ウボァー

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デュエルリンクス、『ハノイの騎士の名のもとに』はゲット出来ましたがクラッキング・ドラゴンをまだ1枚しか持ってない作者です。仕方ないので【ヴァレット】にピン刺ししています。
フィールド魔法サーチできるリンク1のベイルリンクスはいるのにストライカー・ドラゴンは何故未実装なのか。なんで?


硝煙の行く果て

ソウルバーナー LP 4000 手札1→2

 モンスター 

転生炎獣(サラマングレイト)ヒートライオ Link3 ATK2300

 魔法・罠 

伏せカード1枚

リボルバー LP 4000 手札6

 

「俺のターン! ドロー!」

 

 自分達を苦しめていた親玉が何もしないままターンを終えた。

 苛立ちを隠さぬまま、ソウルバーナーは叫ぶように宣言する。

 

「強欲で貪欲な壺を発動! デッキトップから10枚除外し2枚ドローする!」

 

「…………」

 

 2枚のドローと引き換えにデッキ10枚を失うデメリットを持つ、諸刃の剣とも言えるカード。デュエル中に引けなかったカードは無いも同然、そう考えて《強欲で貪欲な壺》を採用するデュエリストは存在する。だとしても展開力を高めるカードのサーチも何もしていない今使ってしまうのはかなりマズい。

 裏側除外されたカードの中に優秀な効果を持つカード達が含まれていることを確認し、不霊夢は額に手を当てわざとらしくため息を吐く。

 

 ……今、男の目に宿る火は、不霊夢が嫌悪する濁りを纏っていた。

 

「俺は――『カードを1枚セットして私はターンエンドだ!』――!?」

 

 断罪のため振るわれる腕とカードが突然静止した。出そうとしていたカードとは違うカードへと持ち替え、セット、と操られるように動くソウルバーナー。普通なら発生しない異常事態に観戦者から驚きの声が漏れる。

 何が起きたのかと戸惑うソウルバーナー。目を丸くするリボルバー。私、という一人称。

 

 ――ソウルバーナーの口から出た言葉は紛れもなく不霊夢の宣言だった。他者により乗っ取られた宣言であるにも関わらずターンは移行する。

 憎きハノイの騎士を仕留めるチャンスが先送りになった、とソウルバーナーは己の相棒に不満をぶつける。

 

「なっ……何するんだよ不霊夢!」

 

「それはこちらの台詞だ! 見苦しいぞソウルバーナー! 怒りに呑まれた君にデュエルなど任せられん、私が引き継ぐ」

 

 ぱちん、と不霊夢が指を鳴らせばソウルバーナーの周囲に炎でできた縄が現れ巻き付き、動きを制限する。

 

「う、ぐっ……ンだこれっ! 体が!」

 

「ソウルバーナー、君が使っているアバターは私が作ったものだ。制御は容易い」

 

 拘束を解け、とソウルバーナーが訴えるも不霊夢は聞き入れる様子が全くない。互いに怒りに燃えている。

 

「私が怒っているのはソウルバーナーだけではない! リボルバー! お前もだぞ!」

 

 リボルバーへと顔を向けると同時にびしっと指を突きつける。

 

「先のターンで何もしなかったのは裁きを受け入れる、と謝罪の気持ちを示す行動だろう。だが無抵抗な人間を殴ることで怒りが晴らされると思うのか? 真に許されると思っているのか! そんなにソウルバーナーとのデュエルで負けたいのなら今ここでサレンダーすれば良いだろう、そうしないのは相手に甘えているからだ。それは――誇り高きデュエリストの態度ではない!」

 

 不霊夢は断言する。何かしら思うところはあったのか、論戦に強いスペクターからの横槍は入らない。

 言いたいことを言えたので少し鎮火した不霊夢はさらに言葉を続ける。

 

「どちらも不完全燃焼のままこのデュエルを終えさせはしない。ソウルバーナーが提案したこのデュエル、私の命を賭けよう」

 

 不霊夢をデュエルに賭ける。ソレはソウルバーナーが勝手に言い出したことであり不霊夢は承諾していなかった。不当なデュエルとして中断を強制しても良いはずの立場にいたイグニスは、その賭けを今ここで受け入れた。

 命、という単語。ここでようやく自分が勝手に何をしてしまったのかを理解したソウルバーナーの顔は後悔に染まる。

 

「それがお前の覚悟か」

 

「ああ。そうだ」

 

「――そうか」

 

 リボルバーは目を伏せる。その手はデッキへと伸び――。

 

「イグニスの抹殺、それこそがハノイの騎士の使命! 私のターン、ドロー!」

 

 迷うことなくカードを引いた。

 

「相手フィールドにリンクモンスターが存在するため、ゲートウェイ・ドラゴンを特殊召喚! ゲートウェイ・ドラゴンの効果で手札のスニッフィング・ドラゴンを特殊召喚し、更に特殊召喚に成功したスニッフィング・ドラゴンの効果でデッキからスニッフィング・ドラゴンを手札に加える」

 

《ゲートウェイ・ドラゴン》

星4/攻1600

 

《スニッフィング・ドラゴン》

星2/攻800

 

 リボルバーが多用する闇属性のドラゴン達による展開。通常召喚の権利を残したまま、彼は天へと手を伸ばす。

 

「現れるがいい、我が道を照らす未来回路! 召喚条件はレベル4以下のドラゴン族モンスター1体! 私はスニッフィング・ドラゴンをリンクマーカーにセット! リンク召喚! リンク1、ストライカー・ドラゴン!」

 

《ストライカー・ドラゴン》

Link1/攻1000

【リンクマーカー:左】

 

 ソウルバーナーとは対照的に、リンク1を使い堅実にアドバンテージを得る。

 

「ストライカー・ドラゴンの効果でデッキからリボルブート・セクターを手札に加え、これを発動! リボルブート・セクターの効果で手札から2体のヴァレットを守備表示で特殊召喚する!」

 

《マグナヴァレット・ドラゴン》

星4/守1200→1500

 

《アネスヴァレット・ドラゴン》

星1/守2200→2500

 

 フィールドにはモンスターが瞬く間に増え、その合計は4体。リボルブート・セクターの効果による特殊召喚と強化を受けたヴァレットが現れたことで彼の展開は更に加速する。

 

「再び現れよ、我が道を照らす未来回路! 召喚条件は『ヴァレット』モンスターを含むドラゴン族モンスター2体! 私はアネスヴァレット・ドラゴンとストライカー・ドラゴンをリンクマーカーにセット! リンク召喚! リンク2、ソーンヴァレル・ドラゴン!」

 

《ソーンヴァレル・ドラゴン》

Link2/攻1000

【リンクマーカー:左/下】

 

「手札のスニッフィング・ドラゴンを捨て、ヒートライオを対象にソーンヴァレルの効果を発動! そのモンスターを破壊する!」

 

 先ほど手札に加えたスニッフィング・ドラゴンをコストに弾丸が装填される。銃口を向けられたヒートライオを守るべく、不霊夢はセットカードを発動する。

 

「させん! 速攻魔法、転生炎獣の炎虞(サラマングレイト・バーニングシェル)を発動! 手札から転生炎獣(サラマングレイト)ウルヴィーを効果を無効にして特殊召喚し、このモンスターを含む自分フィールドのモンスターを素材として『サラマングレイト』リンクモンスター1体をリンク召喚する!」

 

 炎の殻がモンスター達を覆う。獅子の姿も貂熊の姿も炎の中へ消え、新たなリンクモンスターが呼び出されようとしている。

 

「現れろ、炎を導くサーキット! アローヘッド確認! 召喚条件は炎属性の効果モンスター2体以上! 燃え上がれ、永劫不滅の不死鳥よ! リンク召喚! リンク4、転生炎獣(サラマングレイト)パイロ・フェニックス!」

 

転生炎獣(サラマングレイト)パイロ・フェニックス》

Link4/攻2800

【リンクマーカー:上/左/右/下】

 

 炎の殻を破る大きな赤い翼。火の粉を舞わせ、不死鳥はフィールドに降り立つ。そのサイバースは鳥を模した真紅の鎧に身を包んだ人型のモンスター。

 

「このターン、転生炎獣の炎虞(サラマングレイト・バーニングシェル)の効果でリンク召喚したモンスターは攻撃できず、効果を発動できない。まあ、今は私のターンではないので攻撃不可能のデメリットは気にする必要はないがな」

 

 ソーンヴァレル・ドラゴンの銃撃は対象がいなくなったため明後日の方向に飛んでいく。

 

「ほう、破壊を回避しリンク4を出すか……ならば此方も応えよう。三度現れよ、我が道を照らす未来回路! アローヘッド確認! 召喚条件は効果モンスター3体以上! 私はリンク2のソーンヴァレル・ドラゴン、アネスヴァレット・ドラゴン、ゲートウェイ・ドラゴンの3体をリンクマーカーにセット!」

 

 リボルバーの使用するリンク4モンスターは多い。その中で召喚条件が効果モンスター3体以上のモンスターはヴァレルの名がついたもの。今回、格納庫から出撃するのは――。

 

「閉ざされし世界を貫く我が新風! リンク召喚! 現れろ! ヴァレルロード・ドラゴン!!」

 

《ヴァレルロード・ドラゴン》

Link4/攻3000

【リンクマーカー:左/右/左下/右下】

 

 リボルバーのエースにして、プレイメーカーを幾度となく苦しめたヴァレットを統べるドラゴン。サイバースの炎かき消すべし、と敵意に満ちた咆哮が大気を揺らす。

 

「ヴァレルロード・ドラゴン……!」

 

「まだ終わりではない! チューナーモンスター、ヴァレット・トレーサーを通常召喚し効果発動! リボルブート・セクターを破壊し、デッキからメタルヴァレット・ドラゴンを特殊召喚する!」

 

《メタルヴァレット・ドラゴン》

星4/攻1700

 

 フィールドにチューナーと非チューナーのヴァレットが並ぶ。エクストラモンスターゾーンにはヴァレルロード・ドラゴンが。そのリンクマーカーの先はメインモンスターゾーンへと向いているため、シンクロモンスターを呼ぶのに必要な状態は整った。

 

「レベル4、メタルヴァレット・ドラゴンにレベル4のヴァレット・トレーサーをチューニング! 雄々しき竜よ! その獰猛なる牙を今、銃弾に変え撃ち抜け! シンクロ召喚! 出でよ、レベル8! ヴァレルロード・S(サベージ)・ドラゴン!」

 

《ヴァレルロード・S(サベージ)・ドラゴン》

星8/攻3000

 

 直列する星と光輪から呼び出されるのはシンクロモンスターの象徴である白い装甲を纏ったヴァレルロード。

 

「シンクロ召喚に成功したヴァレルロード・S(サベージ)・ドラゴンの効果発動! 自分の墓地からリンクモンスター1体を選び、装備カード扱いとしてこのカードに装備し、そのリンクマーカーの数だけこのカードにヴァレルカウンターを置く。また、このカードの攻撃力は、このカードの効果で装備したモンスターの攻撃力の半分アップする! 墓地のリンク2、ソーンヴァレル・ドラゴンを装備しヴァレルカウンターを2つ乗せ、さらに攻撃力500アップ!」

 

《ヴァレルロード・S(サベージ)・ドラゴン》

攻3000→3500

ヴァレルカウンター 0→2

 

「バトル! ヴァレルロード・ドラゴンでパイロ・フェニックスを攻撃! この攻撃宣言時にヴァレルロード・ドラゴンの効果を発動、パイロ・フェニックスの攻撃力を500下げる! アンチ・エネミー・ヴァレット!」

 

 この効果の発動に対して相手は効果を発動できない、という強力な効果。攻撃宣言時に発動できるカードを回避し、バトルは進む。

 

転生炎獣(サラマングレイト)パイロ・フェニックス》

攻2800→2300

 

「エネルギー充填、ヴァレルロード・チェンジ!」

 

 ヴァレルロード・ドラゴン胸部のシリンダーが回転しエネルギーをチャージ。開いた口の奥から砲塔が伸びる。

 

「ターゲットロックオン!」

 

 竜の眼は不死鳥を捕捉。

 

「対閃光防御」

 

 リボルバーはメットに手を当て、バイザーの遮光モードを起動する。

 

「最終セーフティ解除! 喰らえ! 天雷のヴァレルカノン!」

 

 ダメージステップ開始時、ダメージ計算前、ダメージ計算時……段階が移行するが相手はセットカードを発動しない。

 攻撃の着弾を目視確認。攻撃の無効化もされていない。

 

ソウルバーナー&不霊夢

LP 4000→3300

 

「……何?」

 

 そう、何もカードは使用されていない。

 だが、不死鳥はフィールドに立っていた。

 

「ウルヴィーを素材としてリンク召喚に成功したモンスターは、そのターン戦闘・効果では破壊されない!」

 

 ()()()()()()()がリボルバーの疑問に対しての答え合わせをする。不霊夢による拘束はどこにも無い。

 

「私があの時通常召喚を止めていなければ転生炎獣の炎虞(サラマングレイト・バーニングシェル)でのリンク召喚はできず、この耐性は付与できなかった。ここは私に感謝するべきではないか、ソウルバーナー?」

 

「ヒートライオとウルヴィーでダイレクトアタックしてたらデュエルに勝ってたのによく言うぜ。……でも、あのまま勝ってもメチャクチャ格好悪いだけだった。俺の勝手な行動で迷惑をかけちまったな……。すまない、不霊夢」

 

「どうやらしっかりと反省はできたようだな」

 

「まあ、な。リボルバーが本気で戦い始めたのに、こっちは全部不霊夢任せのままで終わったら、その方がもっと格好悪い」

 

「なら次はどうするか分かるだろう? ここからは――」

 

「――ああ、俺()のデュエルだ!!」

 

 気合いを入れ直し、デュエルディスクを構える炎のデュエリスト。

 

「二つの火は重なり炎となった……か。だが、まだ私のバトルフェイズが終わっていないことを忘れるな! ヴァレルロード・S(サベージ)・ドラゴンでパイロ・フェニックスを攻撃! 迅雷のヴァレルファイア!」

 

ソウルバーナー&不霊夢

LP 3300→2100

 

 攻撃を受けるパイロ・フェニックス。リンク素材となったウルヴィーの効果により戦闘破壊はされないが、ダメージは受ける。

 

「カードを2枚セットし、ターンエンドだ」

 

 リボルバーのフィールドには2体のヴァレルロード。強力な効果を備えたドラゴンを前にして、男はその闘志をより燃え上がらせる。

 

「さあ行くぜ――反撃だ!」

 


 

次回予告
次回予告
次回予告
次回予告
次回予告
怒りに囚われていた彼の心は

不屈の魂に諭され、昇華し、更なる火へと変わる。

夢でもなく、現実でもないVR世界のデュエルだが、

この友情は紛うことなき本物だった。

 

「燃え上がれ、ソウルバーナー!」

 

次回
どうも、ハノイの騎士(バイト)です。

 

昇炎の行く果て
昇炎の行く果て
昇炎の行く果て
昇炎の行く果て
昇炎の行く果て
昇炎の行く果て

 

「Into the VRAINS!」

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