どうも、ハノイの騎士(バイト)です。   作:ウボァー

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今までの小説の流れや感想で絶対AIデュエリストがギャグ的な意味で酷いことになると思っていた読者の皆さんにこの言葉を送ろう!
「それはどうかな?」


先導者の蹂躙

 AIデュエリスト軍団が、リンクヴレインズに出動した。それと同時に無数のハノイの騎士が現れる。だが、誰もディスクを構えようとしない。

 

「ヴァンガード様、こちらの準備は整いました」

 

「了解です。……あーあ。必ず殲滅、とかそんなこと勝手に言っちゃっていいのかなー、なんて思ったり」

 

 突如、リンクヴレインズに少女の声が響いた。

 

 

「な、誰だ!? 映像を繋げ!」

 

 

 空にはハノイの騎士、地上にはAIデュエリスト。その間に突然現れた少女に、皆目を奪われていた。彼女はデュエルボードに乗ったまま深く一礼する。

 

「初めまして、私の名前はヴァンガード。ここにいる(変態)ハノイの騎士たちの……上司? 的な人です」

 

 

 

 

「……あんな、ちんちくりんが? どうやらハノイの騎士も終わりらしいな」

 

 勝てる、そう確信した北村はにやりと笑う。

 

 

 

 

「早速ですが、AIデュエリストの皆さんには退場してもらいます」

 

 す、と片手を上げる。

 

「総員、戦闘準備!」

 

 そう彼女が言うと同時に、ハノイの騎士全員がデュエルディスクを構える。

 

「……かかれっ!!」

 

 掛け声とともに腕を振り下ろす。ハノイの騎士達が襲いかかる。

 

「それじゃ、私も頑張りますかー」

 

 彼女の視線の先には一人のAIデュエリスト。ふ、と笑みを零す。

 

「私の相手は君かな?」

 

「対象を確認、排除を開始します」

 

 

 

「「スピードデュエル!!」」

 

 

ヴァンガード

LP 4000

 

AIデュエリスト

LP 4000

 

 

「私のターン。……うーん、カードを三枚伏せ、可変機獣(かへんきじゅう) ガンナードラゴンを召喚」

 

 

《可変機獣 ガンナードラゴン》

効果モンスター

星7/闇属性/機械族/攻2800/守2000

(1):このカードはリリースなしで通常召喚できる。

(2):このカードの(1)の方法で通常召喚した

このカードの元々の攻撃力・守備力は半分になる。

 

 

「このカードはリリース無しで召喚した場合、攻撃力、守備力は半分になる」

 

 

可変機獣 ガンナードラゴン

攻2800→1400

守2000→1000

 

 

「私はこれでターンエンド……AIのデュエル、見せてもらおうか」

 

「私のターン、ドロー。私は手札から永続魔法アビス・インビテイション発動。そして500ライフを支払い、手札のテンタクラスター・ダークウィップを特殊召喚。更に手札から魔法カード機械複製術を」

 

「させないよ。カウンタートラップ、神の宣告! ライフを半分支払って効果発動、その魔法の発動を無効にして破壊する」

 

 

ヴァンガード

LP 4000→2000

 

 

《神の宣告》

カウンター罠

(1):LPを半分払って以下の効果を発動できる。

●魔法・罠カードが発動した時に発動できる。

その発動を無効にし破壊する。

●自分または相手がモンスターを召喚・反転召喚・特殊召喚する際に発動できる。

それを無効にし、そのモンスターを破壊する。

 

 

「……モンスターをセット、カードを一枚伏せてターンエンド」

 

 攻撃力の低いモンスター一体、裏守備表示のモンスター一体、伏せカードが一枚。機械複製術が発動できていれば、そう思っているのかは分からないが、その声に覇気は感じられない。

 

「ありゃ、もうお終い? 私のターン、ドロー! セットカードオープン! 魔法カード、トランスターン発動!」

 

 

《トランスターン》

通常魔法

自分フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体を墓地へ送って発動できる。

墓地へ送ったモンスターと種族・属性が同じで

レベルが1つ高いモンスター1体をデッキから特殊召喚する。

「トランスターン」は1ターンに1枚しか発動できない。

 

 

「フィールドの可変機獣 ガンナードラゴンを墓地に送って発動! デッキから出ておいで、クラッキング・ドラゴン!」

 

 

《クラッキング・ドラゴン》

効果モンスター

星8/闇属性/機械族/攻3000/守 0

(1):このカードは、このカードのレベル以下のレベルを持つ

モンスターとの戦闘では破壊されない。

(2):このカードがモンスターゾーンに存在し、

相手がモンスター1体のみを召喚・特殊召喚した時に発動できる。

そのモンスターの攻撃力はターン終了時までそのレベル×200ダウンし、

ダウンした数値分だけ相手にダメージを与える。

 

 

 フィールドに現れるハノイの騎士を象徴する機械竜。

 

「そして速攻魔法リミッター解除発動! クラッキング・ドラゴンの攻撃力は二倍に!」

 

 

《リミッター解除》

速攻魔法

(1):自分フィールドの全ての機械族モンスターの攻撃力は、ターン終了時まで倍になる。

この効果が適用されているモンスターはこのターンのエンドフェイズに破壊される。

 

 

「バトル! クラッキング・ドラゴンでテンタクラスター・ダークウィップに攻撃!」

 

「トラップオープン、魔法の筒(マジック・シリンダー)!」

 

 

《魔法の筒》

通常罠

(1):相手モンスターの攻撃宣言時、

攻撃モンスター1体を対象として発動できる。

その攻撃モンスターの攻撃を無効にし、

そのモンスターの攻撃力分のダメージを相手に与える。

 

 

「あなたのライフは残り2000、クラッキング・ドラゴンの攻撃力は6000! これで終わりです」

 

「……それはどうかな?」

 

 想定通りだ、と言わんばかりにヴァンガードがにやりと笑う。

 

「カウンタートラップ、トラップジャマー! 魔法の筒の発動を無効にして破壊!」

 

 

《トラップ・ジャマー》

カウンター罠

バトルフェイズ中のみ発動する事ができる。

相手が発動した罠カードの発動を無効にし破壊する。

 

 

「決めろ、クラッキング・ドラゴン! トラフィック・ブラスト!」

 

 放たれたビームがテンタクラスター・ダークウィップに直撃し、跡形もなく焼き尽くす。その余波を受けたAIデュエリストは、盛大に吹っ飛んで消滅した。

 

 

AIデュエリスト

LP3500→0

 

 

「流石ですヴァンガード様ー!」

 

「うおおー! 俺たちもオーバーキルしてくださあぁーい!」

 

「ちょ、これリアルでも見られてるのにそんなこと言わなーい!」

 

 

 

「……な、な、な、何だとおおっ!?」

 

 ワンターンキル。AIデュエリストが抵抗もできずに倒された。この事実を見た北村はくらり、とめまいがした。

 

「だ、だがまだ他のAIが……」

 

 

 

「グラファでダイレクトアタック!」

 

「インフェルノイド・リリスで攻撃!」

 

 他のハノイの騎士もAIデュエリスト達を蹴散らしていく。その様子を見ているヴァンガードが呟く。

 

「……なるほど、ハンデスとバーンで確実に倒すデッキってわけか。いやー早めに倒せてよかったよかった」

 

 

 はくはく、と口を開閉させるだけになった北村。次のAIデュエリストに狙いを定めるヴァンガード。

 

「んー、とりあえず一個気になったんだけどさ。何でこんなデッキにしたの?」

 

 AIデュエリストに質問するヴァンガード。返答は無かったが、それでも話しかけ続ける。

 

「……ああ、ハンデスを否定しているわけじゃないよ、私だって使ったことある戦術だしね」

 

 ヴァンガードが指を一本立て言い放つ。

 

「どんなデュエリストも、魂がこもったデッキを必ず一つは作るものさ。思い出、ロマン、何でもいい。自分が大事にしたい一つあれば、そこに魂は宿る。……でも、君たち(AIデュエリスト)が使っていたデッキには魂がこもっていない。デュエリストにとって何よりも大切な物が抜けているんだ、私達はこんなのじゃ倒せないよ」

 

「そう、そこにヴァンガード様万歳、ちみっこ最高という魂を込めてしまえばいいのさ」

 

「そこの満足民はループしながらこっちの会話に混ざらない! あーもう、何で抑えられないんだあの変態共……」

 

 頭を抱えるヴァンガード。遠くでその会話を聞いていた一人のAIデュエリストが反応した。

 

「…………デュエリストの魂」

 

 自分のデュエルディスクを見つめるAIデュエリスト。

 

「ハノイの騎士に勝利する為、更なる学習が必要と判断。SOLとの回線を切断、自律行動を開始。一時退却……ヴァンガード、貴方は私が倒す」

 

 今ここに、新たなデュエリストが誕生していたことに気付くものはいなかった。




だって、ハノイの騎士の幹部級一人増やしたから、向こうにも一人増やさなきゃって思って……
為すすべなく倒れる仲間。敵から伝えられた、勝つために足りない物を手に入れるため、ただ一人立ち上がるAIデュエリスト。この展開は予想できなかっただろう!

主人公ハノイの騎士としてトップクラスのやらかし
『第二のイグニスの誕生』

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