「何処だ、キリエライト!」
私はカルデアの廊下を走り続けていた。
無論キリエライトを探すためだ。
キリエライトを含めたマスター適性者たちが集まっている場所は地下の管制室だろう。
さらに災害時のエレベーターは危険だ。
とくれば非常階段で一気に下まで降りる他にない。
私は全力で階段を、廊下を駆け抜け、遂にレイシフトをする管制室のドアを開けた。
「マシュ!!」
部屋の中に入った瞬間、私は言葉を失った。
部屋は見るも無残に破壊され、瓦礫の山と赤々とした火の海が広がっていた。
常人では見ていられないような地獄と化していた。
「……くっ!キリエライト!何処だ!返事をしろ!」
早く見つけられなければ、キリエライトが死んでしまう!
「フォウ!フォウー!」
「この聞き覚えある声…フォウか!」
それはカルデア廊下で出会った白い毛の生物、フォウの鳴き声だった。
ただ、最初に聞いた鳴き声とは違った。
どこかなつきのある声ではなく、助けを求める声。
そこで私は考えた。
フォウはキリエライトになついていたはずだ。
ならばフォウがいる場所にマシュもいるはずに違いない。
そう考えた私が足を動かし始めるまで、一秒とかからなかった。
火の熱を肌に受けながら、下半身が瓦礫に埋もれたマシュを見つけた。
「キリエライト!フォウ!其処にいたか!」
マシュは辛うじて意識はあるのか、その瞼が薄く開かれていた。
いや、薄く開くことしかできなかった。
「キリエライト!」
私は急いで駆け寄り、瓦礫に手をかける。
かなりの熱が手に伝わる。
焼けるような音が鼓膜に伝わるが、友の危機にはそんなことはどうでもいい。
「ドルべ…さん、私の事は…構わないで…すぐに待避を…私は、助かりません…」
「馬鹿を言え!お前を置いていきでもした日には、我が友たちに向ける顔が無くなってしまう!」
キリエライトの瓦礫の下の下半身に目をやる。
瓦礫に押し潰されているせいか、大量の血が溢れ出していた。
これでは下半身が潰れて血が止まらず、放っておけば出血多量で死んでしまう。
「…せめてあなただけでも…フォウさんを連れて…逃げて…」
「まだ言うか!お前は死ぬべきではない!お前が死んでは、アーキマンも悲しむだろうに!」
「やめてください!!私の事は構わないでと言ったじゃないですか!?」
なるほど、そうすれば私は生き延びられる。
だが、
「断る!友の死を見過ごせるものか!」
「友…私が?会ったばかりなのに…どうして…」
「かつて敵対していた世界の英雄は私に教えてくれた。時期など関係あるものか!言葉を交わし、手をさしのべた。ならば友だ!」
そして彼の面影を浮かべながら、その信条を声として吐き出す。
「かっと…」
諦めず、
「ビング…」
立ち向かい!
「だぁっ!」
乗り越える!
それによって瓦礫が浮き上がり、かがんだ子供が入るほどまで上がった。
「キリエライト!今のうちだ!」
「くっ…う…」
なんとか腕を使って瓦礫から脱出する。
その腕をつかみ、肩を貸し腰に右手を回して支える。
「早く…アーキマンのところへ…!」
アーキマンの元へ連れて行こうとした。
だがキリエライトは何かを悟ったかのような安らかな表情を浮かべて私の腕に血で濡れた手を添える。
「ドルべ…さん…あなたに会えて…よかった……」
「こんな時に何を…!」
「最後にお願いがあります……わたしの手を、握ってくれませんか?」
「くっ…わかった…」
私はキリエライトの望む通りにする。
肩にかかっている左手を、腰に回していない手で握る。
握られた手からは火とは違う、柔らかな暖かさが伝わる。
そのとき、周囲から光の粒子が溢れる。
「この光は…一体…?」
溢れた光は全てを包み込もうとすし、私は眩しさに瞼を閉じる。
その時、機械的な音声が響く。
『レイシフト開始まで、3、2、1、0。全行程完了。ファーストオーダー、実証を開始します』
「ファースト…オーダー…?」
その言葉を最後に、私は意識がふわふわと浮くのを感じた…。
引用は次回が最後です。
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七皇の次回予告
光に包まれた2人と一匹
その先に待ち受けるは炎の町
二人を阻むは大量のスケルトン
あら?マシュさん、その姿はなんですの?
ドルべもなぜそれを?
次回「適性生物への剣」
猫のようですが…猫ではないのですのね?
(メラグ)