しばらく周囲の敵を殲滅していき、なんとか危険がない程度には倒し終わった。
「あのスケルトンは一体なんだというのだ…」
「おそらく、この特異点に関連したエネミーだと思われます。」
「…まぁ、そうはいっても情報がないからな…ひとまずそうしておくか。」
そのとき、どこかから電子音が鳴り始めた。
私は周囲を見回すが、気配は感じられない。
キリエライトの方を向くが、どうやらそっちでもないようだ。
ここで、ようやく私のポケットから鳴っているのだと気がつく。
そこに入っていたのは、機械でできた銀の腕輪だった。
それを右手首に装着してから光っているところを押した。
『あぁ、よかった!やっと繋がった!こちらカルデア管制室、聞こえるかい?』
そこにホログラム映像で現れたのは、焦った表情のアーキマンだった。
「ドクター!」
『マシュにドルべ君!?よかった、生きてたんだね!でもドルべ君、危ないから君は待機しててって言ったじゃないか!』
「こちらA班、マシュ・キリエライトです。特異点Fへのシフト、完了しました。同伴者はドルべ・アークライト一名、心身共に正常です。」
『ドルべ君が!?そしてマシュ、その姿はどういうことだい!?破廉恥すぎる!僕はそんなふしだらな子に育てた覚えは無いぞう!?』
「落ち着けアーキマン。」
思わず言葉が口をついて出て来てしまった。
それに構わずキリエライトは説明を始める。
「違います、ドクター。私はドルべさんを守るため、デミ・サーヴァントとして変身しました。」
『デミ・サーヴァント?』
デミ・サーヴァント、そのいきさつはこうだ。
カルデアでは特異点Fに向けて事前に準備をしていた。
その一環として呼ばれたサーヴァントが、今キリエライトと融合しているサーヴァント…仮にサーヴァントiとしておくか。
そのサーヴァントiが先程の爆破事件でマスターを失い、消滅しかけていた。
その際キリエライトに宝具とサーヴァントとしての能力を託し、等の本人は消滅したようだ。
その間際にこう言ったらしい。
特異点の原因を排除してほしい、と。
そしてデミ・サーヴァントとは、どうやら幾つかあった実験プランのうちの1つだったようだ。
それを聞いて、脳裏に青い体の人物と向かい合う一人の少年の姿が見えた気がした。
英霊から力を託されたはいいものの、その正体は分からずじまいだったそうだ。
『さす…に…がわる…な…ここか…2kmさ…にある霊みゃ…へ…くんだ…ね!』
「通信、切れました。」
「霊みゃ…と言っていたな」
「霊脈の事でしょう。」
「つまり、ここから2km先の霊脈に向かえと言うことか。行くぞ、キリエライト。」
と意気込んだところでなにかが胸に飛び込んできた。
さっきまで隠れていたフォウだった。
「着いてきてたんですね、フォウさん。」
「みたいだな。急ごう、他にも生き残りがいるはずだ。」
「はい!」
「あぁもうなんなのよ!なんで私がこんな目に!」
たどり着いて合流する頃には、所長がスケルトンから逃げていた。やがて転んでしまい、ガンドで応戦していく。
「まずいな…援護しろ、キリエライト!」
「はい!」
キリエライトは骸骨の集団を盾で殴り、私と所長を守りながら戦っていた。
対処しきれなかったぶんを、私はソードで対応していく。
「貴方、なんで…!」
「話は後だ、今はこいつらを!」
「…言われなくても!」
「はぁ!」
所長を飛び越え、キリエライトが盾を叩きつける。
「マシュ!?その格好は…!?」
「所長、今は目の前に専念を…!」
「…分かったわ」
所長は後ろからガンドによる応戦を、キリエライトは盾による打撃を、そして私はモンスターによる戦闘を続ける。
「…これで…全部か?」
「周囲に気配は…無いようですね、殲滅完了です。」
周囲の敵を片付け終わったタイミングで、私は左腕をもとに戻す。
「…それで、一体どういうことなのかしら?」
「所長、信じがたいことだとは分かっているのですが、サーヴァントとの融g」
「それは見れば分かるの!デミ・サーヴァントでしょ?そうじゃなくて私が聞きたいのは!どーして!この無能そうな顔の男がマスターになってるのよ!」
「無の…っ!」
「サーヴァントと契約出来るのは一流の魔術師だけ…はっ!まさかあなた、マシュを無理矢理…!」
「なんのことだ!?」
「所長、ひとまず落ち着いてください!経緯を説明しますので…」
そこからキリエライトは所長に現在の状況と経緯を説明し始める。
所長の方も、ひとまずは落ち着いたようで説明を顔をしかめながらではあるがよく聞いている。
「なるほどね、一応理解したわ。」
「ところでキリエライト、マスターとはなんだ?」
そう言ってキリエライトの方を見るが、ため息を大きく吐いた所長が説明を始める。
「…その右手の甲に刻まれたものが令呪!それを持ってるのがサーヴァントと契約した証拠でマスターの証!全く、これだから素人って言うのは!」
「…これが…」
所長の怒鳴るような説明を聞き、右手の甲を見る。
そこには確かにマスターの証であるという令呪がある。
「令呪は3画のマークで形成されていて、一画使用すると絶対命令をサーヴァントに与えることができます。」
「それが悪い方の命令でも、か?」
「…はい。」
「全て無くなるとどうなる?」
「令呪による自サーヴァントからの加護が消え、最悪自らのサーヴァントに殺される恐れが…」
「使用するときは考えものだな」
話を終えた私達は霊脈のポイントにベースキャンプを設置、そしてキリエライトの盾を触媒として召喚サークルを設置する。
すぐさま周囲の景色が、カルデアの電脳空間のような景色へと変貌を遂げる。
『CQ、CQ、もしもーし!やっと通信が戻った!』
「ロマニィ!?なぁんであんたが指揮とってんの!?レフは!?レフはどうしたの!?出しなさいよ!」
『うぇあぁぁ!?しょしょ所長!?あの爆発で生きてたんですか!?それも無傷で!?』
「どぉーいう意味よそれぇ!いいからレフを出しなさい!そこは医療セクションの席じゃないのよ!?」
『いや、だって、今スタッフ人数は20に満たないうえに指揮を任されてるのは僕しかいないし…あの爆発ではレフも…』
「そん…な…それに20に満たないって…じゃあマスター適正者達はどうなのよ…」
『それが…47名全員が危ない状況な上、医療器具が足らず…全員助けることは難しいかと…』
「だったら凍結作業を行いなさい!死なせないことが最優先!いいわね!?」
『そう言えばそういう機能がありました!至急手配します!』
「…なんというか…頭の回りかたはいいのだな…」
「驚きました…凍結保存を本人の許諾なく行うことは犯罪行為に当たることなのですが…」
「死ななければなんとでも弁明できるわ!47の命を私が背負いきれるわけ…ないじゃない…!」
所長はなんと戒厳を保とうとしていたところは見えていたが、同時に震えも見てとれた。
人々のうえに立てるほどの器は、今の彼女には無いようだ。
対応策を話しあい、調査を始めようとした矢先で、私達は強い気配を察知した。
「この気配…サーヴァントです!」
「まだ生き残りが居ましたか…では、いただくとしましょう。」
気配のする方から声が響く
その方向に居たのは、細長い柱の上に立つ、曲がった槍を持った女性だった。
「マスターに手出しはさせません!」
「気をつけろキリエライト!今までの敵よりも強いぞ!」
それを聞いていないのか、キリエライトは盾を振り回し攻撃を仕掛ける。
「何か…何かできないのか…!」
そう思った瞬間だった。
令呪が突然
「これは!…ならば力を、再び貸してもらう!」
左腕にバリアンとしてのデュエルディスクを顕現させ、トップの5枚を引き抜く。
「私のターン!私は手札より、光天使ウイングスを召喚!」
空に円形の光が現れ、翼のようなモンスターが現れる。
「何?何なの!?」
「これは…前にも…」
「この光は…?」
「ウイングスが召喚に成功したことで効果が発動する。手札から光天使と名のつくモンスターを手札から特殊召喚できる!現れろ!光天使ブックス!」
続けて光の円から、本を開いたような輝くモンスターが現れる。
「私は光天使ウイングスとブックスでオーバーレイ!2体のモンスターで、オーバーレイネットワークを構築…エクシーズ召喚!」
目の前でウイングスとブックスが光の玉になり、螺旋状に飛び上がってブラックホールに飲み込まれる。
その後、光を飛び散らせながら爆発が起こった。
「来るがいい!No.44!白き天馬、今ここに光を湛え、我がもとに力を授けよ!」
天から一つのシルエットが高速で飛び回る。
「バカな…あれは…!?」
「白天馬!スカイ…ペガサス…!」
そしてそのシルエットが鳴き声とともに降り立つ。
No.44 白天馬スカイ・ペガサス。
遺跡のカードであり、生前の私の記憶たるカードでもある。
ついに始まったサーヴァントとの初戦。
く~!熱くなってきたぜ!
でもそれを見るフードの影が…
おいドルベ!あいつはなんなんだよ!
次回!「青き術士」!
あ、おい!俺のミルクセーキ飲むなよ!
(by アリト)