テストとか色々ありました。
重ね重ねお詫びを申し上げます。
ーーーーーー夜が、明けた。
それは計画の始まりを告げる合図でもあった。
≪暁学園≫の生徒の面々は教師役のガウェインが
運転する車で破軍まで行く手はずとなっている。
「さて、と。皆乗ったか?」
「俺ちゃんがま「ブルーノ、貴様はダメだ」
「……ええ……そりゃぁないでしょう?俺ちゃんが
いれば百人力……いーや、千人力になるはずだよ?」
「……貴様の役割を忘れたのか?ブルーノ、これが
最後の忠告だ。……付いてくるんじゃないぞ」
その言葉に心底がっかりした様子でブルーノは
肩を落とし、とぼとぼと背を向けて去っていった。
「全く。奴を同行させたら何をしでかすか
分からないからな……」
その姿をガスマスクの奥から睨みながら、
ガウェインがやれやれとばかりに呟いた。
「ギギッ……あいつも連れてってもいいぜアタイは。
ま、どうなるか責任は持たねェけど」
その彼の様子を可笑しく感じたのか、幽衣が
からかうような口調で野次を飛ばした。
「いや、いや。本当にそれは勘弁だ。
というか君も早く車に乗ってくれ。
計画に遅れを出す訳にはいかないからな」
ガウェインはそう言って、速やかに車へと乗り込んだ。
それに続いて幽衣も後部座席に座ろうと
ワゴンのドアを開ける。
が。
「……ここはもう満席」
「フフフ、タタラさん残念ながら後部座席は
全て埋まってますよ?」
「……」
後部座席にはサラ、玲泉、王馬が座っており
満席の状態であった。
更には前の座席にも天音が座っていて
座れない状況になっている。
「アハハ、ご愁傷様だね♪」
「……チッ、五月蝿ェぞアマネェ‼︎」
悪態を吐きながら仕方なく幽衣は後部座席の後ろに
ある荷物を載せるトランクに乗り込む為
ワゴンの背後に回ってドアを開けた。
「やあ、姉様。今日はいい日だね。
天気はいい、体調も良い、席も同席と来た訳だし。
まあ何はともあれ早くこっちn」
バタンッ‼︎という音と共にコンマ数秒で
幽衣は開けたドアを閉めた。
そして大きく息を吐いて、
「……マジかよ……」と小さく呟いたのであった。
……幽衣達を乗せたワゴンが走り去ってゆく
その後ろ姿を、ブルーノは貼り付けたような笑顔を
浮かべながら≪暁学園≫の建物の屋上から眺めていた。
「ヘャハハハ。
遠足に洒落込みましたかァ。はてさて、
どうなるか見物デスネェ。そうは思いませんカ、
ミスター・ヴァレンシュタイン?」
「……最初会った時と変わらず、貴様は楽しむ事しか
考えていないようだな、ブルーノよ」
≪
ヴァレンシュタインがわずかな不快感を示す。
「あら、ミスター?人生ってのは楽しまなきゃ
損するものですよミスター?
私、こう見えてもマジシャンですから、
楽しい事には目がないんですよ」
そう言いながらブルーノは屋上の端、
足を滑らせでもすれば15m下の地上に
叩きつけられるであろう所に、
片足……しかも爪先立ちでクルクルと回り始める。
「あぁ〜^なんと素晴らしい事でしょう‼︎
この計画に、どのようなでんぐり……じゃなかった、
どんでん返しがあるのでしょうか⁉︎
しかし残念ながら、私≪比翼≫様の執事として
ここに留まらないといけませんので見られません‼︎」
感情のおもむくまま、ブルーノは喋り続ける。
近くにヴァレンシュタインがいる事も、自身が
危ない所に立っている事にも気づかない様子で。
その姿を見て、ヴァレンシュタインはかつての
自分の弟子の一人の姿を想起した。
小さい子供ながら、その心は悪魔の如く
狡猾で邪悪であった一人の伐刀者の姿を。
「……おや、ミスター。どうかしましたか?
顔色が優れない様子ですが」
「……いや、なんでもない。とにかく、ブルーノ。
貴様は自分に課せられた仕事にのみ専念しろ。
分かったな?」
それを聞いてブルーノは貼り付けたような笑顔のままで
「……ええ、ええ。しかと承知しました」と
慇懃にぺこりと会釈した。
ヴァレンシュタインはその笑顔に目を向ける事なく、
踵を返して屋上から去っていく。
一刻も早く、あの笑顔を忘れ去る為に。
ーーーーーーキキッ、という少しのブレーキ音と
共にワゴンが破軍学園、その校門の前に
停車する。
運転席からガウェインが降りるのを合図に
≪暁学園≫の生徒達がワゴンから降り立つ。
「あァ……死ぬかと思った……」
やけにげっそりとした様子の幽衣が
ぼそりと呟く。
「百合百合してたもんねー、後ろで二人共」
天音の軽口にも反応する気力すらないようで、
目の下の隈もいつもより濃く見える。
一方白雪の方はというと。
「あ〜^生き返るわぁ^〜」
何故か肌は艶々としていてこちらは気力が
有り余っていた。
「後ろで何をやってたかは知らないが、
計画に支障をきたす様な真似はするなよ?」
「……あァ、分かってるッての……。
アタイは殺し屋だ。きっちりと、仕事はこなす……」
ガウェインの問いに幽衣は息も絶え絶えに
なりながらも答える。
「……本当に大丈夫か?」
「あァ……大丈夫だ。強いて言うなら……」
「姉様、大丈夫?具合が悪い様だったら
ボクがおんぶしようか?なんなら足蹴にでも」
「……こいつを出来るだけ、アタイから
離してくれ……」
ガウェインは幽衣に同情する様な視線を
一瞬だけ向けてから、
「……善処しよう」と答えた。
そして、≪暁学園≫の面々を見据えると、
「……さて、≪暁学園≫の生徒諸君。
≪前夜祭≫の幕開けだ」
計画の実行を、≪破軍学園≫の襲撃開始の合図を、
ここに宣言した。