淫夢もいい文明、世界に広まれ
……と思ってたら既にもう広まってた事に
気付いたこの頃。
「
「
ステラの光と熱の奔流と、王馬の荒れ狂う風の剣が、
十字を描いて激突する。
辺りの空気はそこを中心にして吹き飛び、
光と熱が辺り一面に広がる。
他に戦っていた破軍の生徒も暁の生徒も
分け隔てなく全力の魔力で己の身を守る。
そうしなければ熱風に吹き飛ばされ、
高層ビルから落ちたよりも速い勢いで
地面へと叩きつけられるからだ。
ステラと王馬以外、誰も彼もが
吹き飛ばされないようにするのが必死であった。
……ただ1人、多々良白雪を除いては。
白雪はなんら変わらない様子で、
交錯している二つの巨大な剣を眺めていた。
なぜ、強烈な熱風に吹き飛ばされないのか。
それは彼女の能力……≪歪曲≫の力によるもの。
空間を歪曲させ、熱風の及ばない間隙を
作り出して、白雪はその中に入り込んでいるのだ。
(とんでもない魔力だ。これだけで何人分の
共に優劣のつけ難い優秀な
だがそれを知っていても白雪は今この瞬間、
どちらが勝つか分かっていた。分かりきっていた。
(二人とも学生としての域は遥かに超えている。
だけど、……王馬の方が強い)
そして、彼女が思っていた通り、
綺麗な十字が、軋む。
ステラ・ヴァーミリオンの方へと。
ゆっくりと、しかし確実に。
「ぐっ……ぎッ……ッ‼︎」
ステラの表情に苦痛の色が浮かぶ。
彼女は自分の膂力に過大な自信があったであろう。
だけど、それは王馬の前には意味はない。
白雪は知っていた。かつて≪暁学園≫に
留まっていた際、王馬の能力を調べていた
時に、偶然にも知ることの出来た
王馬の身体の異常性を。
(ステラさんの膂力じゃ、彼の
身体から放たれる膂力には敵わない)
もはや完全に拮抗は崩れ、後少しでステラへと
烈風の剣が振り落とされる。
そして──────。
「ステラさんッ‼︎」
まさにその一瞬、横から破軍学園の生徒会長、
東堂 刀華がステラを救い出した。
斬る標的を見失った
地面へと叩きつけられ、その背後の学園諸共
吹き飛ばした。
「ありがとうトー……ヅッ⁉︎」
詰まったような声に白雪が顔を向けると、
そこにはステラが刀華の雷により
脳のブレーカーを落とされた光景があった。
刀華は気絶したステラを選抜メンバーの
葉暮桔梗と、偶然にもついてきていた
妹の牡丹に彼女をなんと投げ渡した。
「逃げて下さい‼︎貴方達選抜メンバーは、
ここで負けてはいけません‼︎」
「「は、はいっ‼︎」」
恐らく彼女達には何が何だか分からなかった
だろう。だが、刀華の言葉に突き動かされ、
葉暮姉妹は気絶したステラを伴って
逃走した。
「……我々が逃がすとでも?」
そのガウェインの言葉と共に多々良幽衣と
風祭凛奈が逃げた三人を追いかけようとするが、
「させるかッ‼︎」
「行かせないよッ‼︎」
生徒会の砕城と兎丸がその行く手を阻む。
「……私達が行かせるとでも?」
意趣返しの様に、刀華がガウェインを睨みつけて
顕現した≪鳴神≫の切っ尖を突き付ける。
それを見たガウェインはしまったといわんばかりに
額を押さえて、
「……ッ……クククッ……クハハハハハハハハッ‼︎
ハーッハハハハハッハハハハハハハハハッ‼︎」
……笑った。可笑しくて可笑しくて
たまらない笑い方で。
「別に行かなくてもいいんですよ。
こちらとしては。というか
しては、早々に気づくべきではないのですか⁉︎」
その言葉に、刀華は気づく。
この場にたった一人、長距離を射程範囲に
捉えられる人間の存在を。
だが気付いた時にはもう。
「≪
凶弾は放たれていた。
凶弾は放たれた。その数20と4。
それを食い止めんと刀華は雷撃を放って
それらを撃ち墜とそうとするが、
なんと弾丸は一発一発が生きているかの
如く飛び回り、雷撃を回避していく。
それもそのはず、白雪の放った弾丸は
≪歪曲≫の概念を纏っている。
白雪がその気になれば弾丸で曲芸飛行を
行える程に、自由自在に軌道を操れるのだ。
逃れられる術としては因果干渉系の
能力が挙げられるが、
「アハッ♪」
「くうっ⁉︎」
その能力者は紫乃宮天音に邪魔されて
今はそれどころではないようだ。
「ダメ、間に合わな──────‼︎」
刀華の叫びも虚しく、24発の猟犬は
まっすぐに獲物達目掛けて殺到し──────。
「……ねえ、一輝君取り逃してるけど
いいの?僕達のオーダーは破軍の
完全な敗北でしょ?彼を残してたら
完全な敗北じゃないと思うんだけど」
「「「「……あっ」」」」
白雪の指摘に、王馬以外の面々が
はたと気づく中、ステラを連れた葉暮姉妹の
総身を≪幻想形態≫で貫いたのであった。
リクエストとか疑問とかどんと来い
(必ずは回答出来ないけど)