多々良幽衣の妹(自称)は平穏に過ごしたい   作:ストスト

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多々良白雪の休日

破軍学園の付近にあるショッピングモール。

その入り口に多々良白雪は立っていた。

 

「ボルシチの材料売ってるかな……」

 

彼女は姉の元に向かうのに手ぶらでは失礼だと

思い立ち、ボルシチを作ってあげるために

付近で大量の食材を扱っているここに来たのだ。

 

「まあ、なかったらチョコとかでもいいか」

 

白雪の休日が、始まろうとしていた。

 

 

 

 

 

 

 

「セロリ、キャベツ、トマトにジャガイモ……

豚肉、バターとあと……テーブルビートか」

 

カートを押しながら白雪は淡々と材料を

籠の中に入れていく。

側から見ると白雪の低めな身長のおかげで

子供が買い物に来ているようにしか見えない。

そのためか、

「あら、あの子一人で買い物?偉いわねえ」

「うちのマサトにも見習ってもらいたいわ」

などと言われる始末である。

 

(ボクは大人なんだけど)

 

心の中で訂正しながら白雪は買い物を

続行した。

容姿が子供みたいな故に、彼女は子供扱いされる

ことが大の嫌いであった。

 

「……にしても、選抜戦ねえ……」

 

先日のホームルームの際、白雪の担任の病弱教師

もといユリちゃん曰く、今年からランク評価から

実戦によって七星剣武祭の選抜メンバーを

選ぶ方向に変わったらしい。

 

「理事長が変わったから“あっち”も破軍に

二人送り込んだ訳か」

 

万が一凶手が脱落するような事態がないように

一人ではなく二人送り込んだのだろう。

そう適当な推測を立てながら白雪は会計を

済ませ、スーパーのエリアから出るのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次に白雪は服屋へと立ち寄った。

姉に似合う服を買う為だ。

 

姉は防寒具をよく着てはいるもののそれは

趣味から来ているものではなく

「顔を見られないようにする」ためだ。

そのためか、それ以外の服装をあまりしない。

……しないというよりは、彼女のセンスが

圧倒的に欠如しているからなのだが。

 

「姉さまは勿体ないよなあ。あんなに可愛い

顔しているのに、化粧とかしないし

服のセンスもないし。もうちょっと

そこらへんに気を使えばいいのに」

 

一方の白雪は姉を尊敬しているために防寒具を

よく着ているが、服装のセンスや化粧の腕は

姉に比べ遥かに上だ。

昔は姉同様興味はなかったのだが、

とある人物から“講義”を受けた際に、

『化粧や服装も顔を隠す一種のカムフラージュ。

化粧は顔のイメージを、服装は他人が感じる

印象を上書き出来る』と教わり、

それ以来化粧や服装にも気を使うようになった。

 

白雪は黒系統の色をしたゴスロリの衣装を

手に取る。

 

「むー、姉さまにはこれが似合うんだろうな……

あ、でもさっき見たヴィジュアル系の服も

良かったな……」

 

姉の性格を表現したようなヴィジュアル系か、

それとも可愛い容姿を引き立てるゴスロリか。

白雪はどちらが姉により似合うか思案していた。

 

 

と、彼女の顔が強張る。

即座に服を元の位置に戻すと、白雪は

行動を開始した。

 

 

 

 

 

そして、それと同時に銃声が鳴り響いた。

 

 

 

 

 

 

2分後、白雪がいた服屋には2人の武装した

男が立っていた。

彼らは≪解放軍≫の≪信奉者≫、言ってしまえば

下っ端だ。

 

「おい、これでもうここには人質はいないな?」

 

「ああ、後はビショウさんが戻るまで人質の

所で待ってろだとよ」

 

そう言ってその男はアサルトライフルを

持ち上げて、やれやれとばかりにため息を

ついた。

 

「あーあ、せっかくこれを心ゆくまで

ぶっ放せると思ったのによ。

待ってろだなんてつまらねえよなあ?」

 

そう言って、男は隣にいた仲間の方に

振り向いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

炸裂音。

 

 

それと同時にその仲間の脳天を魔弾が撃ち抜く。

風穴からは血が噴き出し、仲間は目を

ぐりんっ、と裏返らせて前のめりに倒れた。

 

 

「ッ〜〜〜〜〜⁉︎」

 

慌てて、男は先程まで生きていた仲間から

跳びのき、アサルトライフルをリロードすると

どこかにいるはずの敵をーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「遅いんだよなぁ」

 

探す前に彼はその声と共に、先程の仲間と同様に

額を撃ち抜かれた。

 

 

 

 

「この銃は……≪解放軍≫の奴らか」

 

白雪は、自分が生産した死体が持っていた

アサルトライフルを見て、舌打ちした。

 

「人の買い物の邪魔して……全く迷惑な連中だ」

 

自分がその迷惑な連中の一員であることを

棚に上げて、白雪はそう唾棄した。

 

「まあ、久しぶりに腕が鈍ってないか確かめる

には、丁度いいかな」

 

そう言うと、白雪は自らの霊装を再び顕現した。

硬い金属で出来た長い銃身。

白系統の色の迷彩塗装を施された銃床。

そして上部に付いたスコープ。

これこそが多々良白雪の狙撃銃の霊装、≪銀雪≫だ。

 

彼女は≪銀雪≫を抱えながら、店に設置されていた

監視カメラを確認した。

どうやら男達が押し入った時に破壊されたらしく、

カメラ本体はなく、台座のみが残っている。

それから、誰もいない店内を見回し、暫し

悩んでから、

 

「……ごめんなさいっ」

 

彼女は人質となっているであろう店員に謝りながら

先程までどちらを買うか悩んでいたゴスロリと

ヴィジュアル系の服を袋に詰めて持ち出すのだった。

 

 

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