多々良幽衣の妹(自称)は平穏に過ごしたい   作:ストスト

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今回難産の癖して短い。本当すいません。


姉妹と≪KORT≫のなんやかんや

「……なーるほど。とりあえず、あんたらがうちを頼って来たのは理解出来たよ」

 

ホテルの一室にて白雪から≪KORT≫の面々の能力、及び情報を聞いていた寧々は渋い顔をして天井を見上げた。

それもそうだ、≪支配≫の能力持ちに、性別も年齢も分からない暗殺者などという埒外の存在を抱えている組織に追われては、下手な所に逃げれば即刻捕まっていただろう。

それならば敵でこそあるが≪KOK≫Aリーグ3位、≪夜叉姫≫の異名を持つ寧々の元に飛び込む方が安全である。

飛び込まれた方は迷惑であるが。

 

それにしても、と彼女は呆れたような調子でベッドに座っている白雪にへと語りかける。

 

「あっさり言ったねぇ。問題なかったのかい?」

「?いや、別に?あの人やランス兄の能力なんてバラしたって……不思議と負ける未来が見えないんだよね、僕にはさ」

 

≪KORT≫の一部メンバーやエムリスはこの星の理の外にある存在。白雪はそんなこと知る由はないが、本能で彼らが自分とは何か違うものであることを察していた。

 

「……でも、今一番問題ありそうなのは、後ろの方だけどねぇ」

「……うーん」

 

そう言いながら二人は背後の幽衣を見やる。

 

「……あー……ぅぅ〜……」

 

何故か、彼女はうずくまって頭から毛布を被って呻き声を上げ続けていた。

別に怪我や病気ではない。先程白雪へ送った自分の口説き文句の内容に、今更ながら小っ恥ずかしさを感じてきたのである。

 

「良いよねぇ、口説く姉様も恥ずかしがる姉様も。自分に酔った姿も中々良いものがあったなぁ」

「白雪ィ……あとで覚えてやがれよォ……‼︎」

「……こいつら、ここで匿ってて本当に大丈夫なのかねぇ……?」

 

末期的な二人の関係に今度は別の意味で渋い顔をする寧々。

しかし、今度は匿うは匿うで、新たな問題が発生することになる。

 

「でも参ったねぇ、明日うち仕事あるんだよ。試合の実況でさ、その間あんたら守れねーけど、どうするよ?」

「あ、そっか。まあ大阪観光でもしながら場所を変え続けて移動するよ。一箇所に留まるよりかはマシだと思うけど」

「それがいいね。うちとしてもその案には……っと」

 

話を途中で切り上げると、耳元の辺りを両手でパンッ‼︎と打ち鳴らせる寧々。その両手を広げて、「早速来やがった」と一言呟いた。

見ると、その小さな手のひらに潰れた蚊の死骸が存在していた。その骸には、僅かだが緑色の魔力が纏わり付いている。

 

「成る程、こいつが≪蟲使い(ベルゼブブ)≫の異名の所以かい」

「……?」

「奴さんは虫に≪支配≫の魔力を注ぎ込んで、うちか、あるいはあんたらにそれを注入させる魂胆だったんだろーねぇ。確かにこんな小虫、刺されたってなんとも思わねーはずだ」

 

以前ヴァレンシュタインを破ったのも同じ方法。だが寧々は常に常在戦場の心意気で行動している。この程度でやられるほど≪夜叉姫≫の名は安くはない。

 

「確かにこいつぁ厄介だ。……だがタネが割れちまった以上、そう簡単には抜かせねー。あんたら、とりあえず今日はここから動くなよ。明日は死ぬ気であっちこっち移動しまくれ」

「うん」

「あともう一つ。マジに≪KORT≫がテロ起こすときたら、流石にうちら教員だけじゃ手が余る。観光ついでに大会出場者に会ったなら、一応協力を仰ぐよう耳に入れといてくれよ」

「……分かったよ」

 

気恥ずかしさからようやく復帰した幽衣が掠れた声で返事をすると、寧々はにっこりとした笑顔に変わって、二人に何かを投げ渡す。

それは……TVゲーム機のリモコン。

 

「じゃ、ここで何もしねーってのもアレだしゲームしようぜゲーム‼︎一人だと飽きが来てねぇ。あんたらマ●オ分かる?」

「そんぐれー分かるっての。なんだ、マ●オカートでもやんのか?」

「あー、このゲーム前に破軍でやったことある」

「ふっふっふ。うちはこー見えてもけっこー強いんだぜぃ?あんたらボコボコにしてやっから、かかってきな‼︎」

「コイツ汚ねぇ‼︎自分の有利なゲームで勝負とかズリィぞ‼︎」

 

 

「……チッ。失敗したか」

 

ランスロットがヴァレンシュタインを病院へと送っている間、ガウェインはアグロヴァルの電話越しの依頼により虫を使って『仕込み』をしようとしていたのだが、それがあっさりと失敗したことに苛立ちを覚え舌打ちした。

 

「手段は悪くはないが、相手がダメだったな。≪夜叉姫≫相手に通用する技術ではないか……」

「ま、失敗して良かったんやないかーい?ドクターが『一輝少年の捕獲にだけ専念しろ』って言ってたから、そのアグなんたらもドクターの指示に従うだろーねー」

 

そう、この時もはや幽衣と白雪、二人の危険はとうに過ぎていたのだった。なので別に外に出ていても大丈夫なのだが、二人がそんなことを知る由がなかった。

 

「ところで、ドクターはどこに?入り用ならば私が行こうと言いたかったのですが」

「それ、遅いよぉ⁈もう行ったよドクター、なんか買いたいものあるって言ってさっき出てっちゃったーよぉー」

「き、……貴様という奴はッ‼︎何故ついて行かない⁈ドクターは今脱獄囚の身なのだぞッ、万が一捕まったら責任は取れるのか!」

 

その呑気な言葉に、赤べこも真っ青の勢いでブルーノの首を揺すりまくるガウェイン。一方ブルーノはブルーノで揺すられながらケラケラと笑っている。

 

「へーきだよォ。百貨店が集中してる所だから人混みに紛れて分からんってばよ」

 

ブルーノの言葉は正しいだろう。仮にもエムリスは≪魔人(デスペラード)≫、そう簡単にやられるほど弱くない。ただ、問題であったのは……。

 

「……あー、もうっ‼︎なんなのよあの人混みは‼︎」

「ベスト8が3人もいるってこともあるし、仕方ないんじゃないかしら。もう通り過ぎた後だし、気にしないで行きましょう」

「あ、お兄様は何かここで買って行きますか?」

「うん、そうだね。僕も欲しいものがあるから買っていこうかなとは思ってるよ」

 

大阪にある大型百貨店の一つ。

 

「……はぁ。やれやれ、凄い人混みでしたね。大阪というのはこんなにたくさんの人がいるんですねえ」

 

≪紅蓮の皇女≫ステラ・ヴァーミリオンに≪深海の魔女≫黒鉄 珠雫、そして今彼が最も気にしている存在、≪落第騎士(ワーストワン)≫黒鉄 一輝達が入っていった百貨店に、何の因果か偶然か、≪神代の魔術師≫エムリスが入っていったのである──────。




設定的なアレ。白雪の評価
≪スノーホワイト≫ 多々良白雪 能力 ≪歪曲≫
攻撃力B 防御力 D 運D
魔力量C 魔力制御C 身体能力B
総合評価 B
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