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大阪各地で暗躍する《KORT》の面々のそれぞれが死闘に突入する中、最初に始まった闘いは未だ激戦の様相を呈していた。
現世界ランキング3位の《夜叉姫》西京 寧音と元KOK世界ランキング3位にして破軍学園の理事長である《
この二人に相対するのは《KORT》メンバー、《
恐らく今日本にいる《KORT》のメンバーの中では、この男が最強であろう。
そうでなければ彼は最も難しい『黒鉄 一輝の確保』の任務を任され、今この場にいる訳がないのだから。
「《黒刀・
「《クイックドロウ》!!」
故にこそ、この男をどうにかすればこの騒動は早晩終結出来ると二人は看破し、協同してランスロットを一輝が眠る《七星剣武祭》会場から引き離しつつ、《
だがしかし────この猛撃に、ランスロットは全く動じない。
「……」
黒刀より先に殺到する弾丸を
数百にも及ぶ弾丸を受けながらも一滴の血も流すことなく二人に肉薄するランスロットの姿に、思わず寧音は舌打ちする。
「ちっ、やっぱ
そのからくりを、二人は既に知っていた。
《
《喰らう》と言ってもかの諸星雄大が使用する《
文字通り───魔力を『喰らい』、己の糧とする能力である。
相手からの魔力を奪い、自らは回復する。
つまりは魔術や遠距離攻撃はランスロットの『餌』にしかならない訳である。
更に言えば、ランスロットの異能はこれに留まらない。
「……《ク、ロック、アッ、プ》」
「ッ!!」
ランスロットが途切れ途切れに呟いた言葉は、黒乃が有する《
その技を……彼は
先程とは比べ物にならない速度で突進し、巨大な鉈で二人の身体を両斬する軌道で鋭い横払いの斬撃を繰り出す。
この突然の強襲に、二人が冷静に逃げを打てたのは十年前にランスロットと対峙した経験があったがこそだ。
《
彼の能力を突破し得るのは、彼が喰いきれない程の高密度の魔力で形作られた
「くーちゃん。悪いけど」
「……ああ。分かっているさ」
寧音の言葉を聞くまでもなく黒乃は理解していた。
黒乃の銃という
そもそもランスロットは
とどのつまり……今この場において、黒乃は手を出さない方が良いということだ。
少なくとも、手を出さなければランスロットの『喰らう』能力による自己回復は難しくなるだろう。
「……悔しいな。倒すべき敵が目の前にいるのに、手を出せないというのは」
その場を離れる間際、黒乃は忌々しげに呟く。
「分かるよくーちゃん。十年前、うちも同じ思いをしたからね。……だからこそ、ここは退きなよ。くーちゃんの分までうちがガツンとやってやるからさ」
寧音はいつものように童のようなあどけない笑みを一瞬だけ浮かべ、それから剣呑な雰囲気を纏いながらランスロットの前に立ちはだかる。
その小さな背中を振り返り、黒乃はほんの少し立ち止まりかけたが……小さく口を結び再びその場から走り去った。
「……悔しい、か。その言葉、ここで聞きたくなかったねぇ」
せめてKOKを辞めたあの雨の日、その一言を聞けていれば寧音の胸の痛みは多少は晴れていただろうか。
嫌な記憶を思いだし、腹の底から苛立ちがじわりと滲み出す。それを吐き出すように、寧音は嫌み混じりの言葉を放つ。
「テメェはそんな感情も知らねぇよな。戦場で好き放題に暴れてるテメェには」
それは半ば八つ当たりに近い暴言であったが────ランスロットはたどたどしい言葉で返答を返した。
「わ、かる……わかる、とも。その、思いは」
寧々の抱える思いと感情への同意を。
予想外の返答に驚く寧音の前で、おもむろにランスロットが頭から被っていた黒い布袋を掴み乱暴に引き裂く。
その中から現れた顔は……目も鼻も肉もなく、骨そのものが
その姿は、常日頃から飄々とした態度をしていた寧音も思わずたじろいでしまう程に異常な風体であった。
「その顔は……」
「お、
剥き出しとなった顔の骨を撫でながら、ランスロットは語り始める。
「負けながら。おめおめ、と、生き延びた、敗者、として……当然の罰、だ。そして、
次は殺す。その言葉を発したとき、とうに眼は失われ今はぽっかりと闇がわだかまっているランスロットの二つの眼窩に、その時光が宿ったように見えた。
寧音にはその眼光の源が何であるか、まるで自らのことのようによく分かった。
敗北の悔しさ。そして負けた相手への底知れぬ執着。
かつて自分がとある女に抱いていたそれと、全く変わらないものだ。
「勝って、みせる。あの時、
「……なーるほどねぇ。とんでもねー名前が出て来るもんだ。かの世界最強におめおめと見逃されたって訳かい」
あのさ、と寧音はランスロットの膨大な殺意を前にして、肩をすくめて問いかける。
「笑ってくれてもいいけど、テメェは……《比翼》に、エーデルワイスに
自らに消えぬ屈辱を与え、底知れぬ執着と殺意を注ぐ相手への、もう一つの思いがあるかどうかを。
これに対するランスロットの答えは─────。
「……
その声音には、殺意を抱いている相手のことを話しているとは思えない程に尊敬の念が満ち溢れている。
そして寧音には、これから彼が言う言葉が何であるかとうに分かっていた。
「彼女には、憧れている。その、力を羨ましく、思う。
「「─────だからこそ、勝ちたいんだ」」
何故なら─────ある意味では、寧音とランスロットは似た者同士だから。
それを証明するかのように、二人の放った一言は、互いの言葉を阻害することなく重なって辺りに響いた。
「今分かったよ。うちとテメェは同類だ。方向性はどうであれ、憧れに身を焼かれて尚、それよりも輝いてやろうっつー馬鹿さ」
「馬鹿、か。言い得て、妙だ。……だからこそ、分かる、だろう。
その言葉に寧音は大仰に頭を振り一つため息を吐くと、やれやれといった様子で口端に艶やかな笑みを浮かべる。
「同類だと話が早くていいねぇ。うちだって本気にゃなれねーよ。うちらみてーなクズがどんな存在なのか、身を以て分かっちまってるからさ」
「……だが。手は、抜かん。《比翼》と、死合う前、に。今の
そう言うと、ランスロットは担いでいた大鉈の
同時に、彼の総身から戦慄するような殺気が辺りを包み込む。
「来な。うちを只の試金石と思ってんなら、そのツケはテメェの命で払わせてやんよ」
その殺意の嵐が吹きすさぶ中、なんてことのないように涼しい顔で立っていた寧音が告げる。
その一言が、《
「……U、rrrrrrrrrrrr、L a a a a a h h h h h h h h h hッッ‼︎」
獣の如き咆哮を上げ、ランスロットが走り出す。
鉈の刃をより深く地面に突き立て、潜り、抉り込ませて火花を散らしながら速さを鈍らせることなく猛進する。
その刃にとてつもない魔力が集約していることに気付いた寧音は鉄扇の
ランスロットは止まらない。
足を止めた一瞬こそが、この《
大きく足を踏みしめる。
「───ッ!!《地縛陣》ッ!!」
真意を悟った寧音が辺りの重力を数十倍にしてランスロットの攻撃の勢いを減衰させる。
正に攻撃の刹那を狙った応手、だが彼は怯まない。
「O、hhhhhh、Ohhhhhhhhhhhhhhhhhッッ───!!」
ぶちぶちと筋繊維の切れる音を立てながら、突撃の勢いを乗せて地面に奔らせた刃を天空に向かって振り上げる。
地面という負荷から解き放たれた刃はその反動により更に加速。纏っていた魔力を解き放ち、大地を抉り穿ちながら周囲一切の存在を粉砕する。
これこそがランスロットが得意とする《
「《
全霊を以て振り上げた刃。いかに数十倍の重力が枷となっていてもその威力までは減衰出来ず、次の瞬間、周りのビルすらも呑み込み破壊せしめる程の大爆発が大気を震わせた。
何の気なしに多々良 幽衣でググったら検索上位でこの小説が出てくることを知ってビビった。
まあ落第騎士の小説は色々あるけどその中で多々良幽衣を主人公の一人にしてるのこれだけだもの。そら出るわ。
前に多々良幽衣に転生しました、って小説もハーメルンにあったけど、今はもうなくなっちゃったんだよね……。