DARK SOULS〜Human prise〜 作:リューラ
祭祀場で休んだ俺は三度、不死街へと赴き、農夫の亡者や無駄に身体がデカイ赤ずきんの亡者、聖職者etc.を葬った。篝火から進めば塔の上から大弓に狙撃され、火炎壺投げてくる亡者共を始末しに向かえば呪術使いの弟子にされ、横道に入れば骸骨に襲われた上に、それを切り抜けた先にいた火防女になれなかった聖職者とその従者を祭祀場に迎えることになっていた。
今は大弓から狙撃を受けたであろう塔の麓に来ている。大きな扉を開け、中に入る。
ガコン、ガコン
ん?すでにエレベーターが起動している?
俺はスパイクメイスを構えエレベーターの方を警戒する。すると出てきたのは
「ウ~ム。」
なんというか。なんなんだ?
全体的に丸みをおびたそのフォルム。冑の上の方は狙ったように尖っている。まさしく、その鎧を一言で表すならば…
「タマネギ…?」
「おぉ!すまない考え事に夢中で気づかなかった!私はカタリナのジークバルド。火のない灰の一人だ。」
このエレベーター上にもワイヤーが繋がってるな。ということは…ま、一旦下にも行ってみるか。
「おぉ!貴公、下に行くのなら気を付けたまえよ。下には異形の騎士がいた。あれは手強いぞ」
異形の騎士…か。まさかとは思うがイルシールの外征騎士じゃないだろうな
「警告どうも。代わりといってはなんだけどあんたの考え事もすぐに終わるよ。じゃ、俺は下に行くから」
ジークバルドがキョトンとしていたが無視だ。エレベーターに乗り下に行く。
「やっぱりイルシールかよ」
イルシールの外征騎士がいた。こちらを見るなり突進してきたがギリギリで避ける。相変わらず速いなコイツ…面倒な
振り払い、叩きつけ、突進の連続攻撃を避け続く冷凍ブレスをバックステップで避けようとしたが騎士はそれを見てブレスを中止、突進突きに切り替えてくる。こちらはすでにバックステップをしてしまったため宙に身体が浮いている。回避は…出来ないか。ならばとスパイクメイスでガードすることでダメージを軽減する。戦闘続行に問題なし。振り向いて来たところに頭目掛けてメイスを振るう。手応えあり、イルシールの外征騎士は少し怯んだが大きく後方へと飛び退き追撃を避わす。唸り声を上げ突進してくる外征騎士に対してメイスを投げる。外征騎士はそれを気にも留めず避け、こちらに直剣による連続攻撃を浴びせようとする。ソウルから投げナイフを取り出し両手に構え、連続攻撃を掻い潜り外征騎士の右腕、その間接部に投げナイフを捩じ込む。これにより腕はうまく動かなくなり直剣を振るうのはもちろん基本的に獣のように手足で地を這いバランスを取る外征騎士の動きを阻害できる。
無手となったが攻撃は止めない。甲冑目掛けて拳を叩き込む。怯んだところに回し蹴り、蹴り入れた右足を軸に宙に浮き身体を捻らせて左足での踵落としによる追撃をかける。腰に差していた刀を抜き更に追撃、以前見た達人の動きを思いだし、刀による連撃を行う。袈裟斬り、逆袈裟、振り払いと繋げトドメの突き。
外征騎士は怒りの声を上げこちらに攻撃しようとするが腕に刺さったままのナイフが動きを阻害しうまく動けていない。かぎ爪を装備し追撃により破損していた外征騎士の鎧、その中心部に腕を捻り込む。そして外征騎士の心臓と思われる部分を無造作に引き抜くと外征騎士はその身体をソウルに換え俺の中へと吸収された。
外征騎士がいた大広間の向こうに扉が見えたので開ける。篝火があったので休憩しておく。一度塔へと戻りエレベーターに乗り最初の入口のところへと戻る。エレベーターの起動スイッチを踏み即座にその場から離脱する。やはりというべきか上からもうひとつのエレベーターが降りてくる。それに乗り塔の最上階へと昇っていると
「ウ~ム、ウーン」
さっき聞いた声が聞こえた。最上階前にエレベーターが止まらないが足場があったな。後で行ってみるか。
最上階に着き周囲を探ってみると大弓の狙撃主らしき巨人がいた。話しかけると
「オマエ トモダチ カ?」
と聞いてきたのでとりあえずyesと答えておいた。後々知ることになるがこれで大弓の狙撃出来るところなら俺以外の敵を狙うようになるそうだ。
再びエレベーターに乗り先ほど見つけた足場に乗り移る。声が聞こえる方へと行くと屋根に腰かけて悩んでいるジークバルドがいた。
「どうしたの?」
「おぉ!貴公か!なにあれを見てみろ。あれをどうにかしないと進めそうになくてな。あれは危険だ貴公もむやみに手を出そうと思うな」
ジークバルドが指差す先には岩のような身体をした化物がいた。全体的なシルエットは人間に酷似している。しかし、まず大きさが格段にデカイ。飛べることはないだろうが数秒ほどなら滞空は可能であろう小さな翼を持ち、岩のような身体にはヒビが入っている。手に持つ大槌もその身体に見合ったもの。つまり当たれば即死ないし瀕死は確実だろう。
「悪魔?」
「貴公はあの類いを見るのは初めてか?あれはデーモン。混沌より出でる化物よ」
デーモン…か。さて、別にそこに用はないけどあれを野放しにしておく訳にもいかないな。それにあれを倒せばそれなり以上のソウルを手に入れられるはずだ。
「あれ、殺らないなら俺が貰うよ」
ジークバルドに一方的に告げ屋根を降りる。
「貴公!なぜ待てなかった。」
ジークバルドも渋々だが参加したようだ。見捨てない辺り善人なのだろう。死なないために自分を強くしようとしている独りよがりの俺とは違うな。
デーモンの元にたどり着く。デーモンはこちらに気づいたのか手に持つ大槌を振りかぶりこちらを押し潰さんと振り下ろす。しかし単調すぎる。今更そんな攻撃には当たらない。大槌を避け、デーモンの股の間を抜けて足の後ろを取る。そこにスパイクメイスを叩き込むが手応えが鈍い。打撃に対しての防御が高いか?ならばと刀を抜き一閃するがこちらも大したダメージにはならなかったようだ。メイスで殴った方が早いな。
ジークバルドはというとソウルからツヴァイヘンダーを取り出し特大剣の強烈な一撃でデーモンにダメージこそ与えているがデーモン自体は大して気にした様子もなく大槌でジークバルドを押し潰そうとしている。あれでは次の回避は間に合わないだろう。仕方がない…
「深追いしすぎだジークバルド」
ジークバルドに注意を促しつつスパイクメイスの全力振りでデーモンの大槌を迎撃しジークバルドに攻撃がいかないようにする。
「貴公!恩にきるぞ」
やっぱ惰力が違うな。相手も全力で振ってくれば確実に負けるか。
デーモンに対してジークバルドも俺もなるべく後ろを取り攻撃する。ジークバルドの持っているシールドには大型の刺突スパイクがありツヴァイヘンダーの攻撃の隙をそちらで消している。しかし、やはりというかデーモンはあまり堪えてないように見える。
デーモンが大槌を大上段に構えたのを見てスパイクメイスを持ち走る。振り下ろして来たところを低い姿勢になり地面スレスレを這うように加速することで避わしその加速とスパイクメイスを振るう遠心力をもってデーモンの足にメイスを打ちつける。これには流石のデーモンも唸り声を上げこちらを押し潰さんとジャンプしヒップドロップをしてくる。しかし、その頃には俺はすでに攻撃も終わり離脱している。むしろその行動により隙ができ攻撃の頻度も高くなる。俺の振るうメイスが頭部を打ち据え角のようなものを破壊し、ジークバルドの振るうツヴァイヘンダーがその身に入るヒビを更に拡大させる。
殺しきる!スパイクメイスを肩に乗せ力を溜める。デーモンが身体を起こそうと飛び上がった瞬間を狙って振り下ろしその頭部を押し潰す。一際大きな唸り声を上げデーモンの身体は崩れた。
「ん、終わったか」
「おぉ貴公あまり無理はするものではないぞ」
ジークバルドは俺に酒を渡すとその場で眠り込んでしまった。デーモンは倒したしここに用はないんだが帰り道探さないといけないしついでにここらにいる敵性存在は排除してデーモン討伐を手伝ってくれた彼の安眠を守るとするか。
ざっと大広間や家屋の裏などを調べ使えそうな物も拾っておく。家屋に入り籠に乱雑に押し込まれた亡者たちが天井から落ちてくるのを排除し、奴隷亡者たちもメイスで叩き潰しておく。二階の屋根に出ると聖職者が2体待ち構えていた。流石に死ぬかと思ったが1体目を腕を刀で切り落とし無力化し、2体目がメイスを振るってきたところに文字通り肉盾にして殺す。2体目が詠唱に入ったところにスパイクメイスを投げ詠唱を止め、体勢を崩す。近づいて後ろを取りかぎ爪でバックスタブを決めトドメを刺した。
辺りの制圧を終えた俺は屋根にあるアイテム類を回収し下に続いているであろう塔の中へと入る。流石に鎧を着たままだと足に甚大なダメージを負いそうだ。一度鎧の類いをソウルに戻し下着になる。そして下に気を付けつつ飛び降りていく。降りた先は大きな階段の手前だった。
鎧などを身に纏い辺りを見ると階段の上には大きな扉がある。登って開くかを確認したがダメだった。どうやら中から鍵がかかっているらしい。仕方がない、と諦めて後ろを向くとこちらに近づいて来る集団がある。聖職者を先頭に農夫が2人と亡犬が2匹か。ま、問題はないだろう。まだこちらに気づいていないようなので火炎壺と投げナイフを取り出し息を殺す。ある程度近づいたところで亡犬の足元に火炎壺を投げ火だるまにする。火を消そうと地面でもがいているところに投げナイフを投げつけ生命の火を消してやる。ついで爆発に巻き込まれたらしい農夫たちは無視し聖職者が呪術を唱えようとしていたのでこちらには予備のメイスを投げる。聖職者は呪文を中止し避けようとするがその体型のせいで腹にモロにメイスを受ける。一気に近づき外征騎士に対して行ったように刀による連撃を浴びせる。やっぱり、達人の動きにはまだまだ遠いな…。そんなことを考えながら最後の突きを入れ、まだ生きているようなので顎に向かって蹴りを入れその反動を使って後退する。
「邪魔だ」
下がった先に火を消火し終えた農夫たちが武器を手に襲いかかろうとしていたので背中に背負っていたメイスを取り片手で振り払いながらその場で1回転し、まとめて吹き飛ばす。
聖職者は間合いを詰めメイスによる叩きつけをしてきた。単調すぎるそれを左手に装備したかぎ爪で強引に反らしパリィし、逆にメイスで叩き潰してやる。
こんなものか…
予備のメイスや投げナイフを回収しつつ今の俺の状態を確認する。
道中も含めそれなりに刀の扱いにも馴れてきた。まだ達人とまではいかないがまず俺の戦闘スタイルは1つの武器に固執したものでもないし問題はないだろう。だが刀という武器は気に入っているのでこれからも世話になるだろうし鍛練は続けるべきだ。
次にメイスだが初めて扱っているとは思えないくらい手に馴染む。もしかしたら生前の俺もメイスないし重めの武器を扱っていたのかもな。投擲するにしても槍と違い刺さらなくても相手に大きな痛手を負わせることも出来る。流石に運用の楽さという面では槍や投げナイフの方が優秀だけどな。あとはかぎ爪だが耐久性は皆無に等しいが相手の攻撃を反らしたりトドメを刺す時に重宝する。距離次第では武器のリーチより攻撃速度の方がいい場面もある。今の俺ではメインでは扱えないだろうがサブや最後の詰めでの運用が最適だろう。
後ろの扉も開かないみたいだし骨片だったか、篝火に移動できる物もあるみたいだしそれで戻るか。
途端、重々しい音が後ろから響く。それはどうやら扉の開いた音のようだった。しかしあの扉は中から鍵がかかっていた。つまり開いている扉の向こうには敵か、もしくはアルシアやジークバルドのように同じ灰の誰かということになる。
重々しい音が鳴り終わり赤い霊体が現れる。
敵か闇霊なんぞいつの間に来たのか。そんなメッセージは…どうやらさっきの戦闘中に出ていたらしい。戦闘中に確認なんぞ出来るかバカ
考え事に耽っていたら闇霊が声をかけてくる。
「我が名はヴィンス!さぁ、いざ尋常に…ってあぶな!?」
外したか…予備のメイスが勿体ないな。なんかいきなり攻撃とはどういうことだなんだと叫んでいるが無視だ。第一侵入してきた分際で正々堂々を謳うとは滑稽だな。
「名乗りも上げんとは…貴様それでも騎士か!?」
知るか。こちとら記憶喪失なんだ、着けているものは鎧だがそれもなんでかはよくわかってないしな。すこし挑発しとくか
「ずいぶん余裕だね?バンズだっけ?そこにいられると邪魔なんだけど」
「き、貴様…よっぽど死にたいらしいな」
投げナイフを2本取り出し同時に投げつけ、すこし間を開け再度投げる。
バンズはそのどちらも避ける。回避は目を見張るものがある。今のところ目に見える武器は直剣だけか。盾の類いもない。左手がフリーだし何かしら隠し玉はあるだろう。
刀で斬り合うか?いや、耐久性で負けるし却下だな。メイスで叩き潰す…この手に限るな。
メイスを横に払うが避けられる。身体を捻りメイスを地面に押し付け掬うように振り上げ砂を飛ばし目潰しにする。これには対応…してきたか。やつは自由の効く左手で砂の目潰しをガードしそのままこちらに突撃をかけてくる。
こちらの名乗り上げの最中に攻撃してきた敵を見据える。そのあとに至ってはわざとやってるじゃないかと言いたいくらいに失礼な名前間違えをしやがった。
しかも挑発の直後にこちらの対応なんぞ知らんとばかりに投げナイフを投げてくる。メイス投げてきたときといい手癖が悪すぎる。
やつの武器は今のところ確認出来ているのは背負っているメイスと腰に差してある刀、あとは先ほどから攻撃の合間に投げてくるナイフと多岐に渡る。しかもメイスの横振りは避けた途端に下からの掬い上げで目潰しを行ってくるなど戦いかたが騎士のそれではない。
目潰しをなんとかガードし突撃を仕掛けたがその途中で光るものが見えたから回避に移る羽目になる。やっぱり投げナイフじゃないか…
今のを避けるか。ま、いいや。ローリング回避の起き際に踏み込み左手で逆手抜刀そのまま斬りつける。ようやく当てた。畳み掛けるかちょっと怯んだところに足払いをかけ転倒させる。そのまま右手に持つメイスを振り上げトドメを刺す。しかし、トドメを刺せると確信した一撃をギリギリで転んで避けられる。すこし苛立ちを感じ、地面に叩きつけたメイスを擦り付けながらに振り上げ闇霊を吹き飛ばしてやる。
地面を転がり醜くもなんとか決死の一撃を避わしたが続く一撃で吹き飛ばされた。肋を何本か折られる程度で済んだがエスト瓶を飲む間もなくやつは刀を手に俺を殺そうとしてくる。躍起になっているやつは刀を大上段に構え斬りかかってきた。
ここだ!
やつの大振りな一撃を刀で迎撃し刀を弾く。これでやつに致命的な…
「これで!」
「これで、なに?」
なに…が?俺の剣は確かにやつの刀を弾き飛ばしたはず。なのになぜ…
敢えて刀で目に見えて大振りなんてしたんだ迎撃してくるであろうことは予想している。だから刀を振り下ろす際に手から力を抜き刀だけを弾かせてやる。
ほら、簡単にかかった。
刀を迎撃するためにそいつの放った一閃。その行動が致命的な隙となる。
左手で喉を掴み肺に酸素がいかないようにし意識を奪い取り、かぎ爪で胸を貫く。
「ふぅ、やっと終わった…!?」
途端、腹が灼けるように痛む。良く見れば殺したはずの闇霊はいまだにその形を保ち右手に持つ直剣は俺の腹に刺さっている。
蹴りを放ち引き離そうとしたがその必要もなくあちらから距離を取ってくれた。
流石にあと1、2発攻撃をもらうと死ぬか?
「なんであれで死んでないの?殺った手応えはあったけど。ま、いいや。何回でも殺せばいいんだし」
しかし、闇霊は懐から黒い水晶のようなものを取り出しこちらに一方的に吐き捨てる
「今回はこれくらいにしてやる。いいか、俺はヴィンス。ロザリオの指のヴィンスだ。近いうちにお前を殺す男の名だ」
「バンズ?」
「ヴィンスだ!」
あ、消えた。ま、勝手にがんばってくれ。殺されるつもりもないけど。
なんか疲れたな…奥の広間には立ち寄らず骨片を取り出し砕く。目を一度瞑り、次に開くと外征騎士を倒した先にあった篝火の前にいた。
すこし休憩したら先に進むか。あの広間を調べるのはまた今度だ。
槍は当面お休みいただきます。さぁメイスよ某ガンダム作品並に働くがよい