DARK SOULS〜Human prise〜   作:リューラ

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このくらいの更新ペースを維持したいですね。今話から深淵の監視者戦となります。ちょっと1話で納めるのはキツかったよ。
あと暇つぶしにACVD活動記という作品も投稿してみました。あちらはこちら以上の駄文なので注意しておいてください、


Abyss Watchers

扉の向こうから金属がぶつかり合う音が聞こえる。

肉を貫く音が聞こえる。

城塞外縁の篝火へと戻った俺はダークレイスやグルーたちを殺しつつ奥に見えた扉の前へと足を運んだ。すると扉の中からは戦闘音と思われる音が途切れることもなく発せられ奥に入るのを躊躇わせる。

 

と言っても入るしかないんだが…

 

仕方もなくその大きな扉を開き中へと踏み入れる。

 

そこは血の海だった。同じ格好をした剣士が床一面に倒れ、血をこぼす。その中心ではいまだ2人の剣士が殺しあっていた。

否、それも終わりを迎えていた。一人の剣士がもう一人の特大剣を左手の特異な形をした短剣で反らし肩を持つと右手の特大剣を胸に突き刺す。労るように優しく剣を抜きながらようやくこちらに気づいたようだ。

 

右手の特大剣をこちらに向け左手の短剣を特大剣とクロスさせるように首まで掲げる。

 

おそらく彼らなりの殺し合いの儀礼だろう。

 

ふと、祭祀場に戻ったときにホークウッドから聞いた話を思い出す。薪の王 深淵の監視者であるファランの不死隊は深淵が蔓延したのなら国をも滅ぼした、と。

火防女から聞いた俺の使命は王を連れ戻すことだ。ここで戦うのはまずいかもしれないな。

 

「薪の王 深淵の監視者たるファランの不死隊の方とお見受けする。俺は火防女より薪の王を玉座に連れ戻すよう言われている。」

 

目の前の剣士は何も言わず。戻る意思はないとばかりに低い姿勢で剣を構える。

 

言葉は意味をなさない…か

 

ならばとこちらもメイスを肩に背負うように構える。

 

剣士はもうスピードで突撃しつつ剣の間合いに入った途端に身を捩るように剣を振るう。それは全方位への薙ぎ払いとなり俺に襲いかかる。

速い!けど避けられる!

 

突撃薙ぎ払いを右に跳ぶことで避け、剣士と再び相対する。低姿勢からの剣技は驚異だ。だからこそこちらが有利な近距離での打ち合いをすべく近づく。

相手もこちらの思惑に気づいたのだろう。しかし距離を離すことはせず打ち合いに臨むようだ。

剣士は右手の特大剣を振り払い、それを避けた俺に対し左手の短剣で斬りかかることにより特大剣の隙を消す。そのあとに続くは特大剣による叩きつけ。俺はそれをメイスでガードし相手が短剣振るうより先に足で蹴り飛ばし体勢を立て直す前にメイスを投げつける。

さすがに剣士もこの攻撃は効いたらしくメイスを回収してから再び距離を詰める。メイスの一撃は特大剣に防がれたが俺が狙っているのは次の敵の攻撃だ。こちらの狙い通り短剣による攻撃を挟んできた剣士に対し左手にかぎ爪を装備しその短剣の攻撃をパリィする。

すでに俺の右手はメイスを手放しており代わりに手にするは腰の鞘より抜いた打刀。パリィにより体勢を崩した剣士の胸に打刀を突き刺し足で踏みつけながら強引に抜きながら吐き捨てる。

 

「あまり時間をかける気はない。本気を出すなら早くしろ」

 

視界は常に広く、だ。すでに床で倒れていた他の剣士たちが置き上がったことは把握している。

 

なるほど確かに”不死”隊だな。

これでは1体に張り付いたとしても他の剣士たちから突撃攻撃を喰らってしまうか…

 

新たに起きあがった不死隊の剣士は4人。さらに先ほど刀で貫いた1人も立ち上がった。合計5人か…少し厳しいものがあるな。メイスを再装備しつつ様子を見る。

しかし、起きあがった4人のうちの1人が突如雄叫びを上げたかと思えば躊躇いなく見方であるはずの剣士に斬りかかる。仲間割れ…という単純な問題でもなさそうだ。思い返せば俺が入ってきたときもこいつらは味方であるはずの剣士同士で斬りあっていた。

 

どういうことだろうか?

 

暴走(仮定)状態の剣士のおかげでこちらには最初の剣士ともう1人しか来ていない。まだ考えながら打ち合う程度の余裕がある。

 

ファランの不死隊は深淵の監視者であり深淵を確認すればたった一団で国をも滅ぼした。つまりファランの不死隊は深淵を狩るために存在するもの。ならばなぜ同じ不死隊の剣士同士で斬り合うのか?

深淵に呑まれた?おそらくこれだな。深淵と接する機会の多い彼らは深淵を狩るための存在でありながらその最期は等しく深淵に呑まれる。それゆえに彼らは隊として動くのだろう。自らが深淵にのまれてもきっと仲間が介錯してくれると信じて。そして仲間たちがいつか深淵を完全に滅ぼしてくれると信じて。

 

つまり、あの剣士は深淵にのまれて理性を失っている状態なわけか。

 

目の前の剣士たちは同じ剣技を繰り出してくる。しかし最初からいたやつの方が技に深みがある。伊達に最後まで立っていたわけではないか。それに一度パリィを取られたことにより安易に振り下ろしや短剣による攻撃はせず狼が群れで狩りを行うような独特の剣技を中心に繰り出してくるようになった。

低姿勢からの短剣をも使った回り込みながらの斬り込み。それをメイスを地面に叩きつけ剣の腹を叩き上げ体勢を崩したところに左手のかぎ爪で貫く。

これで1人倒したが向こうの暴走状態の剣士も討ち取られたらしい新たに2人こちらを向き敵意を露にしている。

 

さて、どうするか。こいつらは不死だ。殺したところで蘇るだろう。

 

暴走剣士と戦っていた剣士が独特の構えを取り、まるで狼の狩りの如く突撃攻撃を仕掛けてくる。しかも一人ひとりが別々のタイミングで突撃してくるのだから回避しづらい。

それでもなんとかそれを避けた俺に今度は最初からいた方の剣士が攻撃してくる。それは自らの手でトドメを刺すべく繰り出されたものではない。仲間が攻撃に移るまでの時間稼ぎであり、こちらを狩るための布石である。

 

やっかいな!

 

再び突撃攻撃を仕掛けてきた剣士たち。一人目の攻撃を横に飛びながら避け、メイスを構える。二人目の剣士の攻撃をメイスを投げつけ無理やり止める。刀を抜きフォローに入ってきた剣士の腹を切り裂く。

 

このままだとこちらが先に息切れしそうだ。この際多少のダメージは仕方ないと諦めてでも一気にカタをつけたいな。

といってもこいつらをどうやって殺しきったものか…

とりあえずいい加減にもう一人くらいは数を減らさないと

 

そう思い、最初から相対しまた、味方のフォロー等もこなす剣士に攻撃を仕掛ける。こいつもそろそろ一度くらいは倒れてもいい程度のダメージは負わせたつもりだ。しかし、それを嗅ぎ付けたかのように剣士は下がり、また他の剣士がフォローに入ってくる。

不死隊であり群で個を成す彼らに死の恐怖などないはずだ。だからこそ彼らはただ1つの集団で国をも滅ぼしたのだから。

 

群で個を成す…か。なるほど、あいつはこの群を支える最後の楔なのか…。

 

俺と最初に相対した時、彼は1人だった。俺がここに入る直前まで深淵に堕ちた味方の剣士を殺していた。もう不死隊として動けるのは彼だけなのだろう。故に不死として蘇る他の剣士が一時的に彼に協力するとしても一度深淵に堕ちてしまえばやがて理性はなくなり彼はその味方をまた斬らねばならない。

 

ならばやることはひとつ。速攻でやつを殺すことだ。

 

剣士たちは俺を囲みそれぞれが独特の剣技の構えを取る。

ここだ!俺は今まで切らずにいた札を切る。左手に呪術の火を灯しその火を地面に押し当てる。

剣士たちの突撃攻撃が来る。3つの刃は俺の身体に当たるより前に火柱によって阻まれその致死の刃の持ち主である剣士たちをも飲み込み叩き上げていた。

 

呪術 炎の嵐 使用者の回りに数多の火柱を発生させるこの呪術は囲まれた状況下においてこそ力を発揮する。

しかし、負けられないのは向こうも同じか。隊の楔たる剣士は左手の短剣を捨て肉厚な特大剣を両手で持つと空中に打ち上げられたにも関わらずバランスを即座に掌握し、即座に身体を捻り回転させ遠心力の乗った曲芸のような叩き斬りでこちらに攻撃してきた。

 

身を引き肩を斬られながらも必殺の一撃をなんとか耐えきった俺はもう瀕死である剣士の胸へとかぎ爪を突き刺した。それでも殺しきれなかった剣士が俺から距離を取るがそれを見越して左手で投げつけた投げナイフが彼の心臓へと吸い込まれ赤い華を咲かせる。楔となる剣士を討ったからだろうか。他の剣士たちも崩れ落ちるように倒れた。

 

そして終わったと安堵した途端、狼の遠吠えが聞こえた。

 

 

 

 

 

 




次は前書きでも紹介したACVD作品の方を投稿する予定です。


あともちろん監視者も強化していますのであしからず

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