DARK SOULS〜Human prise〜 作:リューラ
最後の敵の喉を直剣で切り裂く。それでもまだ立ち、こちらに剣を振ろうとする。が、裂かれた喉に手刀を捩じ込み今度こそ絶命させる。
周りは赤く、紅く、朱い。
その中には敵だったものがいる。
その中には味方だったものがいる。
その中には守られなければならなかった者たちがいる
いや、まだ生きてるのがいるらしい
-騎士様。私を…殺してください。私にはもう家族もいません。村を襲ったやつらに殺されました。私は逃げられないようにと足を潰されました。もう一人で満足に生きていくこともできないです。ですから騎士様、私を家族と同じところへ…-
そう言われて、俺は。俺は?どうしたんだっけ?
夢を見ていた。おそらくは俺の記憶だろう。ただ今重要なのはそんなことでなく、いつの間にか寝てしまっていたらしいということ。敵がどこにいるかも分からないのに無用心だったと反省しつつ瞼を開ける。そして目の前には灰色の髪をした少女がこちらを覗き込んでいた。
敵か!?即座に戦闘態勢に移ろうとするが。
「私は敵じゃないよ。あなたを殺したいのなら態々寝顔の観察なんてするわけないじゃない」
それもそうか。此処に来てから人の話を聞かないやつらか聞いて尚襲いかかってくるやつらしかいなかったのでそこまで頭が回らなかった。
「すまない。ここまでの道中は敵しかいなくて…」
謝罪をしつつ目の前の少女を今一度確認する。首もとまで伸びた特徴的な灰色の髪、白い肌に金の瞳とまるで人形のようだ。身につける防具は白いシャツに紺のベスト、白いズボンにブーツと騎士団のようだ。
「まぁ、ここもそんな感じだもんね。正直最初は無防備な亡者かと思って斬り伏せようと思っちゃったし」
危うく死ぬとこだったのか俺。彼女が賢明で助かった。あと篝火で休むのは良いとしても寝るのは控えよう。そのうち気づかない間に死んでそうだ。
「俺は先に進むけど君はどうする?」
「ここにいたって仕方ないんだし。その意見には賛成だよ。あと、私にはアルシアという名前があるの。だから君、じゃなくてアルシアって呼んで」
「じゃあ、アルシア短い間だろうけどよろしく。」
「よろしく。って、私、あなたの名前聞いてないんだけど…」
不満そうな顔で見てくるアルシア。俺はいまだに自分の名前を思い出せていない。久しぶりに、というか此処では初めての名前を気にしてくれる人物に会えたのだ。理由もなく教えないのも悪いだろう。
「目覚めたときから記憶が曖昧なんだ、まだ記憶が戻ってないんだ。だから好きに呼んでもらって構わない」
アルシアと二人で階段を降り、入口から中を様子見る。盗賊亡者と騎士がいる。
「盗賊2体と騎士1体どっちがどれを殺る?」
「なら、私が騎士の相手するから盗賊はよろしく」
話が速いのは良いことだ。盗賊2体程度なら問題ない。さっさとやって彼女の力を量らせてもらう。
「どっちが先に仕掛ける?」
ふっ、と笑う彼女は不敵に答える
「もちろん、レディファーストで!!」
「ん、援護は任せて」
そう答えながら背負っていた槍を構え、投げる。騎士に向かって走っていくアルシアを襲おうとしていた盗賊亡者を先んじて潰し、バトルアックスを腰から抜くともう1体に斬りかかり牽制する。
一方、アルシアは騎士に真正面から挑んでいる。彼女の得物は長大な大剣だ。刀身の半ばに持ち手があるそれの名はツヴァイヘンダー。特大剣の中でも軽量な部類の一品だがそれを片手で扱う彼女は俺より筋力をソウル強化しているのだろう。騎士の持つ得物は直剣とはいえ騎士の体格自体が大柄なため片手剣に見えるだけで普通の人間には十分に大きい、しかし特大剣相手には大柄な騎士とはいえ直剣ではリーチが足りないのか盾を構えガードに徹するしかない状態のようだ。
ひゅん、と音がする。少しアルシアの戦いに集中しすぎたようだ。目の前にいる盗賊亡者はすばやい動きでこちらの横を取ろうとし、また唐突な突撃でこちらを揺さぶろうとするがアルシアの戦いも佳境だ。有象無象なぞさっさと処理してしまおうと盗賊の動きを注視する。懐からナイフを取り出し投げてくるがそれを頭を逸らせて避け、続くナイフに突きをあえて左の掌で受け痛みに顔をしかめながらも左手で盗賊亡者の手を固定し、逆手に構えたバトルアックスを相手の喉元に振り払う。終わったか。動かなくなった盗賊亡者を横目で確認しつつ再びアルシアの戦闘にへと意識を戻すのであった。
特大剣による叩きつけ、振り上げ、突きが騎士を襲う。騎士は隙を見て攻撃しようとするがアルシアはツヴァイヘンダーの刀身の持ち手を使い騎士の攻撃を防ぐ。
「うーん、久しぶりに身体動かすから鈍ってるなぁ~。それにしてもツヴァイくんが無事で良かったわ、他のはほとんど灼けちゃったし」
アルシアがよくわからんことを言っている。
「手伝おうか?」
思わずそう言うが
「必要ないよ。そろそろ馴染んできたし遊びは終わらせようか」
そう言うとアルシアはツヴァイヘンダーを振り払う。騎士はバックステップでそれを避け走りながら逆に斬り払おうとするがそれを強く踏み込み密着することで回避する。さらにツヴァイヘンダーで床を破壊しながら騎士に対して強烈な振り上げを行う。
いや、馬鹿力にも程があるだろ。
騎士は宙高く飛び、一定の高さまで上がったあと重力に従い落下するが落下中にアルシアがツヴァイヘンダーで叩き斬りソウルに還す。その身体が地面に着くことはなかった。
「お見事。」
「そっちこそ、初手で槍投げるとか私には真似できないわ」
「?」
「うん、本気で不思議そうな顔しないでもらえるかな」
よく分からんが先に進もう。少し先に下りの螺旋状になっている階段がある。横にある折れた木の骨組みから下の様子を見る。盗賊亡者が徘徊していた。数は2。
「下のやつらは俺が殺っていい?」
まぁ、返事を聞く気なんてないけど。刀を抜くと落下しながら盗賊亡者に突き刺す。流石の切れ味だ。特に問題もなく骨まで断てた。刀を抜き突如降ってきたこちらに戸惑っているもう1体の盗賊亡者に向かい走る。トップスピードに入ると同時に突きを放ちもう1体の方も片付ける。
「ん、終わり。先に進もうか。それとも下の方にいく?」
飛び降りたところの近くに外への出口と崩れた床に梯子があったのでアルシアに聞いてみる。
「じゃあ、先に下の方に行ってみよっか」
どうやらアルシアは下の方が気になるらしい。先に付近の安全確保といくか
「ん、了解」
梯子を使って下に降りる。ハルバート持ちの亡者がいた。
ひゅん、と耳元をハルバートが通りすぎるが大振りなので回避は簡単だった。そんなことをしているうちにアルシアが亡者の後ろに行き体勢を崩してそのままツヴァイヘンダーで叩き斬った。
その後も特に苦戦もせず二人で亡者たちを蹂躙する。階段を下り先に進むと牢屋があった。中にずだ袋のようなものを被った人?が居たが残念ながら鍵はない。
「無駄足だったね」
…なにも言えない
会話もなくもとの道を戻り、今度は外へと出る。亡者が壁から登ってこようとしていたがそれをいち早く察知したアルシアが亡者が手をかけていた壁をツヴァイヘンダーの突きで砕き下へと落ちていった。もう彼女の馬鹿力には触れないでおこう。巡回中だったのか梯子を登ってきた亡者は槍でヘッドショットを決めておいた。
ここ、家屋の屋根の上だよな?
亡者たちが集会を開いていた。この手の亡者たちはこちらに襲ってこないので別にいいが疑問は拭えない。しかし、1体の亡者がこちらを見ると身体を震わせる。まずいと思ったが時すでに遅し、亡者はグンダと同じような黒いナニカ覆われ巨大な化物に変わった。
「これは、なんというか。気持ち悪いね…」
アルシアは初見なのか軽く引いていた。
「俺が火炎壺投げて相手の動き封じるから」
それだけ言うとソウルから火炎壺を取り出し化物に投げる。どうやらグンダの時と同じく火に弱いらしい。化物が怯んでる間に斧で斬りかかるがどうにも効果が薄いように感じる。アルシアもツヴァイヘンダーを叩き込むが見た目通りタフなのか効いてはいるようだが倒れてはいない。
「ちっ やっぱりこの程度じゃ殺せないか」
「なんかそっちの斧の攻撃全然通じてないみたいだけど大丈夫?」
アルシアもこちらと同じ認識だったらしい。深みのバトルアックスは闇属性が付与されている。つまりアレは闇に近しいものということか…
ならばと斧を腰にかけ、背中に背負っていた槍を左手に右手で刀を抜く。
火がなくなり自由になった化物がその赤く発光する目でこちらを睨む。倒すことはできなかったが先ほどの攻撃もそれなり以上の効果はあったのだろう。ならば速攻だな
「来るよ!」
アルシアが叫ぶ。
「ん、分かってる」
短く答えると化物に向かって駆ける。蛇のような頭で噛みついてくるがスピードを落とさずスライディングしながら避け、懐に入る。刀を振り払い、槍を突き入れ、即座に抜く。化物がその巨体を落とし俺を潰そうとするがギリギリで離脱できた。巨体で押し潰そうとしたため隙ができた化物にへとアルシアが接近し、ツヴァイヘンダーを両手で振り下ろす。それは化物の一部を切り落とした。化物はアルシアに噛みつこうとするがそんなことを俺が許すはずもなく槍を投げ、蛇のような顔を穿つ。アルシアはその隙を見逃さずツヴァイヘンダーを両手で構え踏み込みと蛇のような頭をかち上げる。
見えた!
アルシアのかち上げのおかげで化物の一部から変身した亡者本体が見えた俺は刀を納刀しつつ近づき亡者本体を居合い斬りで断ち斬る。
絶叫を上げつつ消滅する化物…今入ってきたソウルからの情報によると人の膿と言うらしい。
「アルシア怪我はない?」
「え、うん。大丈夫だよ」
「なんで驚いてるのさ」
「いや、ほらこんなところだから心配とかされたことないし」
「なるほど?」
アルシアと他愛のない会話をしながら先に進もうとするが
「!?とぉあぁぁ!」
進もうとしたがアルシアがうら若き乙女が出してはいけない叫び声を上げながらツヴァイヘンダーを振っていた。
「なにやってんのさ」
目のハイライトを消しつつアルシアに問う。
「いや~ごめんごめん。結晶トカゲいたからつい、ね?」
赤い舌を出しつつアルシアが謝ってくる。
今さら可愛く言ったところで遅いぞこの脳筋…
今度こそ先に進む。屋根から梯子を降りようとしたが奥にクロスボウを構えている亡者を発見する。どうやらすでに狙いを付けた後らしい。あの射線だと…狙いは少しはなれたところで結晶トカゲから取れたアイテムを眺めているアルシアだ。
「アルシア!」
叫びつつ走りギリギリのところで彼女を押し倒し回避に成功する。
「いったぁっ!急になにするのさ!」
この脳筋…
「クロスボウで狙われてる。梯子降りた先の柵の近く」
「いきなり押し倒してきたからとうとう君も獣になったのかと…」
この脳筋…
「なんか今すごい失礼なこと考えてなかった。」
「はぁ、ふざけてないで行くよ」
そう言うといつものごとく槍を投げてクロスボウ亡者を殺す。
「「あ」」
が、亡者の後ろが柵だということを忘れていたため、投げつけた槍は亡者の身体を穿つと重力に従い下にへと落ちていった。
この先大丈夫かな、そんな事を思いながらもアルシアと共に先を行くのだった。
槍「こんな使い方荒いやつの手元に居てられっか。じゃあの」
アルシア「なぜか主人公くんの中での私の評価が脳筋なんだけど?」
主人公「おうどん食べたい」
ダクソ関係ないですがFGOの異端なるセイレム楽しみですね。たぶん来週はそっちやってるんで更新しないかもです。まぁ、本気出せば1日くらいで終わるんでそしたら書いていきます。数少ないこんな作者の妄想の塊の作品を見ていただいてくれる方々のために頑張ります。