『ひぐらしのなく頃に』にオリキャラ二人を入れてみた   作:樹 亜斗

2 / 3
壱話

爽やかな朝、少年二人は神社に来ていた。

 

 

「よし、お参りもすんだから学校に行くか」

 

「そうですね。……それにしても随分と急な頼みでしたけど、学校の手続きは大丈夫ですかね?」

 

 

歩きながらも少し不機嫌そうに眼鏡をかけた少年が言うと、その少年よりも歳上の少年はのんびりとした口調で言う。

 

 

「それは大丈夫らしいよ。少し前に手続きをしたらしいしねぇ」

 

「……えっ、でも僕達がここに来るよう伝えられたのは昨日でしたよね」

 

「そうだけど、何でも伝え忘れてたらしいよ。……少し抜けてる長さんらしいよねぇ」

 

「少し抜けてる以前の問題だと思いますが……。確かにそうですね。完璧過ぎるより、その方が人間らしいですし」

 

 

眼鏡の少年は呆れながら頷くと、溜め息を吐いた。

 

 

「あら?どなたですの?」

 

「見かけない人なのです」

 

「おや、おはよう。今日も良い天気だねぇ」

 

 

神社から学校に向かう途中、少年達は少女二人と出会う。

 

一人の少年は眠たそうな目だけれども楽しそうに話しかけてきた少女達に言葉を返すが、もう一人は無表情だけどどこか探るような感じで少女達を見る。

 

 

「まぁ、俺等は昨日こっちに着いたばっかだしねぇ」

「そうなのですか?」

 

「そうなんです。……丁度いいや。俺等学校に行きたいんだけど、道案内してくれないかな? 一応、地図も持ってるけど、まだよく分からなくてさ。……君達も学校に行くんでしょ?」

 

「ええ、いいですわよ。ねぇ、梨花」

 

「もちろんです。困った時はお互い様なのです」

 

「おっ、ありがとう! 助かるよ。俺の名前は八神龍真(やがみたつま)。んで、こっちは、」

 

「八神竜弥(やがみりゅうや)です」

 

「わたくしは北条沙都子ですわ」

 

「ボクは古手梨花なのですよ」

 

 

四人は自分の名前を告げると、一緒に学校に向かって歩き出す。龍真は沙都子と梨花の話しに相づちを打ちながら、竜弥はその三人の後ろを黙々と歩いている。沙都子と梨花は竜弥にも質問等をしたのだが、竜弥は無表情で淡々と言葉を返すだけだった。大して龍真はそれに構わず沙都子達二人の話しを聞く。

 

暫くして四人は学校に着いた。

 

 

「ありがとうね。沙都ちゃんに梨花ちゃん」

 

「どういたしましてですわ!」

 

「龍真、職員室はあっちなのですよ~。みー」

 

「そうなんだ。ありがとう。また教室でねぇ」

 

 

龍真はへらりと笑いながら手を振って、竜弥は二人に軽くお辞儀をしてから職員室に向かう。

 

 

「面白い方達でしたわね、梨花。竜弥さんは無口な方でしたけど」

 

「そうですわね。わたくしのトラップの餌食にして差し上げますわ!」

 

「まずは小手調べ程度にしといた方がいいと思うのです」

 

「むっ、そうですわね。でも圭一さんは久々ですから特大の物をお見舞いしますわ!!」

 

「頑張るのですよ、沙都子」

 

 

梨花と沙都子も教室へと向かい、そして少し時間が経つと教室から一人の少年の悲鳴が聞こえた。

 

 

 

「はい、皆さん。突然ですが、今日は転校生がきます。八神龍真君、竜弥君、入ってきて下さい」

ガラッとドアを開けると、ぽふん、と間抜けな音がしたかと思えば、続けてぱしっと音がする。

 

見ると、ぽふん、は上から落ちてきた黒板消しが竜弥の頭に当たり、ぱしっは龍真が目の前でボールを取った音だった。

 

竜弥と龍真はぷるぷると身体を振るわせていたが、まったく違う理由で振るえている。

 

 

「ぷっ、ふっふ。ああーはっははは!!」

 

「っ!! お前は笑いすぎだっ!!」

 

 

龍真は片手でお腹を抱えながら、もう片方は竜弥を指差しながら笑う。

 

竜弥は笑う龍真に怒鳴り、顔を真っ赤になりながら言い、未だに頭の上に乗っている黒板消しを龍真の顔を目掛けて投げるが、掴まえられた。

 

 

「悪い悪い。だってあまりにも見事に掛かったものだからさ。……ぷっぷふ」

 

「はぁ、お前はいつまで笑っているつもりだ」

 

 

竜弥は頭についた粉を払いながら溜め息を吐き、教壇の近くに行くと教室内を見渡す。

 

 

「八神竜弥です」

 

「俺は龍真だ。みんなよろしくー。ついでにこれ、誰がやったの?」

 

「おーほっほっほっほ。わたくしですわよ! 龍真さんには今度こそわたくしのトラップをお見舞いして差し上げますわ!!」

 

「おおー、沙都ちゃんがやったのか。凄いが、この俺にはトラップは効かんからなぁ。まぁ、頑張れ」

 

 

にんまりと笑いながら龍真は言い、空いている席に向かうと座り、竜弥も空いている席に向かう前に沙都子の所に行くと、軽くでこぴんを沙都子にして言う。

 

 

「これでさっきのはちゃらです。龍真さんがトラップに掛かる姿を見られるとは思いませんが、期待せずに待ってますよ」

「なっ!? どういう事なのですか、ですわ!!」

 

「これから掛けていけば嫌でも分かりますよ」

 

 

沙都子はおでこを庇いながら言い、竜弥は無表情で言うと、席に座る。

 

周りは少し唖然としながらも授業を始めるが龍真達は自習になり、先生は小学生低学年の子達を相手に教えている。

 

「俺は前原圭一だ。同年代くらいの男が来て嬉しいぜ。よろしくな」

 

「んっ、よろしくー。ところでいつもこんな感じなのか?」

 

 

龍真は先生が低学年に教えているところを見ながら言うと、少女が声をかけてきた。

 

 

「まあね、小さな村だし。あっ、あたしは園崎魅音! よろしくっ!」

 

「わたしは竜宮レナだよ。よろしくね」

 

「おう、よろしく。それならサボり放題だな」

 

「サボりはよくないよ。龍真君」

 

「えぇー、だって俺、勉強嫌いだしさあ」

 

「おっ、おじさんも勉強が嫌いなんだよねぇ。大人になっても使う機会なんてないだろうし」

 

「みおちゃんもそう思うんだ」

 

 

魅音と龍真は同じ勉強嫌いだからか話しが合うのか盛り上がっている。

 

それを見ている圭一とレナは苦笑しており、竜弥は溜め息を吐き、こう言う。

 

 

「勉強は子供の仕事でもあるのですから、きちんとしなさい」

「そうだぜ。勉強も分かれば楽しいしな」

 

 

龍真は嫌そうな顔を隠さずに「はいはい」と呟きながら机に向かった。魅音も嫌々で自分の席に戻り座る。

 

 

 

昼休みになると皆思い思いの人達と一緒になり、弁当を食べ始める。

 

龍真と竜弥は自分の机でパンを出して、それを食べようとするが、圭一達に誘われて一緒に食べる事になった。

 

「龍真君と竜弥君のお昼はそれだけなのかな? かな?」

 

「ん? そうなんだぁ。今日は時間がなくてパン一個しか食べられないんだよねぇ」

 

「じゃあ、わたしのお弁当少しあげるね」

 

「仕方ありませんわね。わたくしの分もあげますわ」

 

「ボクのもあげるのですよ。みぃー」

 

「しょうがないなぁ。おじさんのもあげよー」

 

 

龍真は落ち込んだ風に言えば、レナがお弁当を分けてくれると他の皆からもお弁当を分けて貰い、レナのお弁当箱の蓋の裏には少ないが色々なおかずが乗せられた。

 

 

「ありがとなぁ、皆。……竜やん、ここはええところやぁ。みんなが優しゅうて、ワテ泣いてまうで」

 

「ありがとうございます。いただきます」

 

「……竜はマイペースだなぁ」

 

 

龍真は片腕で目を隠して泣き真似をして竜弥に話しかけるが、竜弥はただ黙々と龍真と同じ様に分け与えられたおかずを黙々と食べる。それを見た龍真はがっくりとうなだれた後、龍真ももう一度皆にお礼を言うと、ご飯を食べ始めた。

「旨いなあ。でも、白米も欲しいわぁ。圭や、ご飯をくれ。まだ圭から貰ってないし」

 

「はぁ、仕方ないな。…………ところでその割り箸はどこから出したんだ?」

 

「ん? 鞄からだけど?」

 

「龍真と竜弥は割り箸を常備しているのか?」

 

「僕は龍真さんに貰いました」

 

「まあね、何かあった時の為に持ってるんだぁ」

 

 

龍真はへらりと笑い、ご飯を食べながら言う。

 

 

「何かってどういう時なのかな? かな?」

 

「どういう時って、それは決まっているよ。それは……」

 

「それは?」

 

 

レナは竜弥以外が思っていた疑問を聞き、龍真は急に真面目な顔になりながら口の中の物を飲み込んでから喋るが、途中で話しは途切れる。圭一はそれを促すように聞くと龍真はへらりとまた笑うと言った。

 

「箸を忘れた時の為の予備用に決まってるじゃん」

 

「普通の理由だしっ!!」

 

「おっ、なかなか良いツッコミだねぇ。でも、もう少し切れとマイルドな感じが良いと思うが……これからも頑張りたまえ。あと圭。俺はもう少し固めのご飯が好きだ」

 

「お前は俺のツッコミに何を求めるんだ!? って、いつの間に俺のご飯を全部食ったんだよ!? 普通は少し残すものだろうがっ!! それに俺は龍真の好みの米の固さを聞いとらんわ!!!」

「そんなに怒ると身体に悪いよぉ」

 

「誰のせいだと思ってやがる!!?」

 

「んー、沙都ちゃん?」

 

「なっ、何でわたくしになるのですか!? 見るからに龍真さんでしょう!!?」

 

「んー、俺が悪かったから、ここら辺で遊ぶのは止めよう。二人ともご飯を食べよっか」

 

 

へらりと笑いながら言う龍真に圭一と沙都子は溜め息を吐き、疲れたようにご飯を食べ始める。

 

 

「あっはは。たっちゃんは凄いねぇ。これなら我が部活動に入れても大丈夫そうだわ」

 

「何? その部活って」

 

「我が部活」

 

「梨花ちゃんや説明をお願いします」

 

「みんなで楽しくゲームで遊ぶ部活なのです」

「で、レナちゃんも入ってるの? その部活に」

 

「うん! そうだよ。だよ。龍真君と竜弥君も入ってくれると嬉しいな♪」

 

「そうか。面白そうだから俺等も入ってもいいかなぁ? 部長さん」

 

 

話しを早々に遮られ、落ち込んでいる魅音を無視をしながら龍真はレナに問うと、レナは慌てた様に言う。

 

 

「わ、わたしは部長じゃないんだよ。魅ぃちゃんが部長なんだよ、だよ!?」

 

「おや、そうなんだ。レナちゃんはしっかりしてたからつい部長かと思ってたよ」

 

 

魅音はその言葉を聞いて更に落ち込み、部屋の隅でのの字を書き始め、そんな魅音に梨花は頭を撫でながらにぱー、と笑いながら慰めていた。

「龍真さん、もうそろそろお昼休みが終わるので遊ぶのを止めたらどうですか?」

 

「ん、そうだねぇ。みんなが面白いからついつい遊んじゃったよ」

 

 

竜弥が無表情で言うと、龍真はにこにこと笑いながら悪びれた様子もなく言い、竜弥と梨花以外の人は溜め息を吐き、魅音がにやりと笑うと言う。

 

 

「ふっふっふ。今日は入部試験をやって貰うよ。たっちゃん、このおじさんをおちょくった人はどうなるか教えてあげようじゃないかっ!!」

 

「ははっ。楽しみにしてるねぇ」

 

 

魅音は挑戦的な笑みを浮かべ、龍真はいつもの様にへらりと笑うが、その目はぎらりと戦う者のものだった。

 

「あー。龍真さん、今日はその試験は出来ませんよ?」

 

 

魅音と龍真の間には今にも闘いが始まるのでは、という空気を壊す者がいた。

 

竜弥が少々呆れるような感じで言うと、龍真は気がそられたようにがっくりする。

 

 

「竜、もうちょい空気を読んでよー」

 

「このまま行くと龍真さんは部屋を片付けないでしょう」

 

「俺の荷物は少ないんだからすぐに終わるって」

 

「園崎さん、ゲームは何をするつもりですか?」

 

 

龍真の言い分を無視をして、竜弥は魅音に聞く。急に話しをふられて魅音は驚くが、すぐにいつもの調子に戻り、「ジジ抜き」と答えて竜弥は少し考えた後に言う。

 

「なら、一回で終わらせて下さい。僕は先に荷物の整理をしているので」

 

「ん、分かった。と言う事で、すぐに家に帰ってやる事があるから一回戦だけになっちゃった」

 

「ふっ。たとえ一回戦だけだとしてもこのおじさんが勝つに決まってる!!」

 

「おっと、今度は俺が勝つんだ!!」

 

「レナも負けないんだよ、だよ!」

 

「おーほっほっほ。みなさんは何を言っているのかしら、勝つのはわたくしですわよ!!」

 

「ボクも負けないのですよ。にぱー」

 

 

 

そして昼休みも終わり今日一日の授業も終わった。

 

学校に用がない子達は家に帰り、今教室にいるのは魅音と圭一、レナに沙都子と梨花。そして龍真の六人だった。

 

 

「さっきも言った通りにジジ抜きをやるよ。たっちゃん、ルールは知ってるよね」

 

「知ってる。ババ抜きと大体一緒でしょ?」

 

「なら大丈夫だね。で、我が部活では負けた者には罰ゲームをやって貰う」

 

「ほう。それは楽しそうだ。だけど残念かな、俺は早く上がって帰らないといけないから、その罰ゲームを見られない……」

 

 

残念そうに、だけれど口元には笑みを浮かべながら龍真が言うと、圭一達の五人は龍真の挑発的な言葉に笑みを返して言う。

 

 

「ふっ、おじさん達を舐めない事だねぇ。たっちゃん」

 

「そうだぜ、龍真。俺達はそうそう簡単にはやられないぜ?」

 

「圭一君と魅ぃちゃんの言う通りなんだよ、だよ!」

 

「わたくしがこてんぱんにして差し上げますわ」

 

「ボクも頑張るのですよ。にぱー」

 

 

五人とも獲物を狩るような目付きを龍真に向けると、魅音はロッカーからトランプを出す。そのトランプは長く使っているのかぼろぼろに傷が付いている。

 

 

「カードを切るのは部長さんで良いよ。さぁ、始めようか。楽しい、楽しいゲームを……」

 

 

龍真は意味深な笑顔で言い、ジジ抜きは始まった。暫くすると皆は驚きの顔を浮かべ始める。何故ならまるでカードの数字が見えているかのように龍真は迷う事なくカードを抜き取っていき、どんどん手持ちのカードが減っていくからだった。

 

「一抜けっ!」

 

 

そして龍真は手持ちのカードはなくなり、他の者はまだカードが残っている。

 

 

「そんじゃまた明日ー。ばいばーい」

 

 

唖然とする五人を後目に手を軽く振ると教室を出て行った。

 

 

 

 † † †

(ぼ、僕が見えるのですか?!)

 

「えぇ、見えます。だからもう一度聞きます。……あなたは何ですか?」

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。