『ひぐらしのなく頃に』にオリキャラ二人を入れてみた   作:樹 亜斗

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弍話

古い木造の家の中にはダンボール箱が山住になっており、部屋は散らかっている。部屋には竜弥と角の生えた少女がちゃぶ台を挟んで向かい合い座っていた。

 

傍から見たら竜弥だけがちゃぶ台の近くに座っている様に見えるだろうが、竜弥には少女が視えている。

 

 

(本当に僕が見えているのですか)

 

「えぇ、先程も言いましたように見えますし、声も聞こえます。だから僕は貴女と話しをしています。貴女の名前は何ですか? 僕の名前は朝に名乗ったので知っていますよね」

 

(僕は羽入といいます。何で僕の事が見えるのですか?)

 

「……何ででしょうね? そんなのは僕が知りたいです」

 

先程から無表情で話していた竜弥はここで初めて顔を歪める。まるで苦虫を噛み潰す様に……。

 

 

「ところでお茶は飲めますか? 缶ので良かったらありますけど」

 

 

そして竜弥はまた無表情になり、羽入に聞くと、羽入は飲めないと答えた。

 

 

「そうですか。では、僕のだけで良いですね。ちょっと待っていて下さい」

 

 

竜弥は席を立つと冷蔵庫の方に行き、缶のお茶を持って来た。

 

また竜弥は羽入と向かい合う様に座り、缶を開けてそのままお茶を飲んだ後、羽入に話し掛ける。

 

 

「羽入さん。貴女は何で僕の後を付いてきたんですか? 僕はてっきり古手さんの守護霊だと思っていたのですけど」

 

(そ、それは、竜弥と龍真を初めて見たからなのです)

 

「それはそうでしょう。龍真さんはどうだか知りませんが、僕も貴女と会うのは初めてです」

 

(違うのです! そういう事ではなくてですね)

 

 

羽入は何と言って良のいか分からないみたいで混乱している様だった。

 

 

(うー。何て話せば良いのか分からないのです)

 

「ふぅ。とりあえず古手さんの所に帰って相談したらどうですか? 古手さんも貴女が見えるようですし」

 

(っ!? どうして梨花も僕の事が見えるという事を知っているのですかっ!?)

 

「簡単です。羽入さんと古手さん、時々目を合わせていたじゃないですか。それに羽入さんが喋っていたけれど、古手さんが話していないのにも関わらず、話しを成立させていたので、テレパシーみたいな事が出来る、と僕は考えているのですが、どうですか?」

 

(……そうなのです。竜弥の考えていた通りなのです)

 

 

羽入は感心したように頷きながら言うと、暫く考えてから羽入は真面目な顔で竜弥に言う。

 

 

(梨花に話しをしてから、また竜弥とお話しをしたいと思うのです。その時は梨花も一緒に話しをしましょう)

 

「分かりました」

 

 

竜弥は頷くと、缶の中のお茶を飲み干して、すぐそこだが羽入を玄関の外まで見送る事にした。

 

二人は玄関に着き、ドアを開けようとしたら、先にドアが開き、龍真が入ってきて羽入は驚く。竜弥もいきなり龍真が登場して驚いたのか、一瞬だけ目を大きく開いてすぐにまたいつもの無表情に戻った。

 

「ぅわっ!? びっくりした。竜弥、どっかに行くのかい?」

 

「いや、お客様を見送りに来ただけです」

 

「お客様? あぁ、そこにいる?」

 

 

龍真は羽入がいる方を見て言うと、羽入はまたもや驚く。

 

 

(龍真も僕が見えるのですか!?)

 

「いや、違います。龍真さんは見えるのではなく、なんとなく何かがいるだろうな、としか分かりません」

 

「そうなんだぁ。俺はなんとなくしか分からないんだよねぇ」

 

 

羽入は(そうなのですか)と少ししょんぼりしながら言い、竜弥に別れを告げてから羽入は帰って行った。

 

 

「……で? あの子は何だったのさぁ?」

 

「まだ、自分でも分かっていないみたいでした。古手さんと今度一緒に来て話してくれるそうですけど……」

 

「ふーん、危険な感じはしないからほかっといても大丈夫だろうねぇ」

 

 

畳にだらしなく寝転びながら龍真は竜弥に聞くと、竜弥はダンボール箱から日用品を出していきながら答える。

 

 

「そうですか。なら、龍真さんが危険じゃないと言えば、羽入さんは危険じゃないですね」

 

「そんなに信用して貰えるのは嬉しいねぇ」

 

 

龍真は起き上がると冷蔵庫から缶のソーダを出して、それを飲む。竜弥は空になったダンボール箱を崩して平らになったダンボールを龍真に目掛けて投げるが、ひょいっと龍真にかわされる。

 

「龍真さん、いい加減に片付けを手伝って下さいっ! まだ食器とかダンボールから出していないんですよっ!!」

 

「面倒くさい」

 

「いいから早く出して下さい! 明日もカップ麺だなんて僕は嫌ですっ!!」

 

「カップ麺は癖になる美味しさだから良いんじゃないかなぁ」

 

 

また龍真はごろりと寝転び、いつの間に用意したのかポテチとコーラを持っていて、それを飲み食いしながら漫画を見始めた。

 

無表情ながらも感情のこもった言葉を竜弥は龍真に投げ掛けるが、どこ吹く風というように漫画を読んでいる龍真に竜弥は睨み付ける。

 

龍真は竜弥の空気が変わった事に気がつくと、開いていた漫画を閉じ、やっと動き出し始めた。

 

「とりあえず食器を出して片付ければ良い?」

「そうですね。それと一応、食器は洗ってから食器棚に入れましょう」

 

「それぐらいは分かってるよ~。俺は洗うから竜は拭いてってぇ」

 

 

竜弥は「分かりました」と頷き、洗い終わった食器を拭いていく。

 

 

 

 † † †

 

(梨花ー! 竜弥は凄いのですっ!)

 

「何よ、羽入」

 

 

羽入はごろごろと寝転がっていた梨花に飛びつかんばかりの勢いで話しかけるが、梨花は素っ気なく返す。だが羽入はそれに構わず話す。

 

 

(竜弥は僕の事がみえるのです!!)

「……え?」

 

(竜弥は僕とお話しが出来るのです!!)

 

「羽入。あなたは他の人には見えないんじゃなかったかしら?」

 

(そうなのです! だけど竜弥は僕が見えて話しも出来るのですよ!)

 

「ここに来て、イレギュラーなのね。もしかしたら、この永遠のループを終わらせるかもしれないわ」

 

(あまり期待をしない方がいいのかも知れないのですよ、梨花)

 

 

梨花は少しだけ顔を綻ばせるけれど、羽入は心配そうに咎める様に言うが、梨花は溜め息を吐いて言う。

 

 

「貴女はもしかして、この惨劇が終わって欲しくないのかしら?」

(そっ、そんな事はないのです! 期待をしすぎると)

 

「わかっているわ。裏切られた時に辛いって事は……」

 

 

羽入の言葉を遮り、梨花はまた溜め息を吐くと、顔を伏せた。

 

羽入も顔を俯かせて、二人の間の空気は重くなったが、羽入は何かを思い出したかの様に顔を上げると梨花に言う。

 

 

(そう言えば梨花。竜弥と明日、梨花と一緒に話し合う約束をしたのです)

 

「ちょっと、何で勝手に約束をしたのよ!」

 

(僕を見える人が梨花以外にいるとは思わなくて、つい約束をしたのです)

 

「梨花ー。ただいまですわよー」

 

「お帰りなさい、なのですよ。沙都子ー」

 

 

梨花と羽入の会話を遮るように、同居人の沙都子が帰ってきたので、中断したが、念話で羽入に梨花は話しかける。

 

 

(まぁ良いわ。……ところでいつ何処で話し合うのか決めているの?)

 

(あう、決めていないのです。明日、学校で聞けば良いのですよ)

(はぁ、分かったわ)

 

 

梨花は羽入と念話をしている間に、沙都子は梨花がいる部屋に着いて、小言を言う。

 

 

「梨花、また部屋を散らかしながらごろごろとして、いつか牛になってしまいますわよ」

「モーモー、なのですよー」

 

沙都子はそれを聞いて呆れるが、梨花はいつものように、にぱー、と笑う。

 

仕方なく沙都子は溜め息を吐くと台所に向かい、夕飯の食材を冷蔵庫に入れに行く。

 

 

(まぁ、全ては明日、ね)

 

 

梨花は羽入に念話で言うと、沙都子の方に行くと、沙都子をからかっていた。

 

 

 

 




随分、久しぶりの投稿です。

おかしい部分がありましたら教えて下さい。

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