ブラック★ロックシューター Kagero Symphogear 作:イビルジョーカー
新年初投稿です!
青い光が舞う。火花が舞う。
容易く床や壁は爆発で抉れ、無数の瓦礫が生産されていく。
それを成しているのは髑髏男の異形とツインテールの少女『ロック』。
そして漆黒色の金属で構成された機械的な両腕の少女『ストレングス』。
「クソが! よりによって精鋭に……“ブラック”とはなぁ……」
「これ以上人間の犠牲者は出させない!!」
ロックはそう吼えて髑髏男へ砲身武器『ブラック★ロックカノン』を向け実弾を1発。
更に同時に青い岩石状のエネルギー弾も発砲、これも1発。
二種類1発ずつの弾丸の内、実弾のものはそのまま一直線に髑髏男へ向けて突き進む。
がもう一方のエネルギー弾は先ほどのように軌道を変え、実弾の周りを数秒ほど旋回。
そして、なんと実弾へ直撃したのだ。
ヘマでもやらかしたのか?
普通ならそう思うのが妥当な所だが、髑髏男は瞬時にそれがミスなんかではないと直感する。
エネルギー弾が実弾に当たった直後、実弾は青いエネルギーを纏いその攻撃力と貫通力を格段に上げた。
そう来るかよ!!
心の中で叫びつつ、すぐさま落とそうと先程の角の飛来針による攻撃ではなく、骨の一部一部を積み重ね連ねた鞭のような武器を懐から取り出し、その鞭の横薙ぎで見事弾を叩きお落としてしまう。
しかし、敵はロック一人ではない。
「しまっ…ッッ!!」
気づいた時には既に遅く。
ストレングスの注意を怠っていたばかりにその本人によって隙を突かれ、今まさに鉄拳を腹部へと叩き込まれる寸前に陥る髑髏男。
そのままダメージを喰らい吹っ飛ぶかと思われたが……
「ご無事ですか? “フォメトス”様」
突如地面から滲み出るように現れた白い肉塊のような柔らかい膜が防ぐ。
普通ならばストレングスの鉄拳は膜を容易く突き破り、髑髏男……“フォメトス”を仕留めた筈だ。
しかし実際はそうならず、膜はフォメトスを守り抜き、あろうことか絶大な破壊的威力を誇るストレングスの鉄拳を相殺してみせた。
その上……。
「お怪我はございませんか?」
「はぁぁ〜、さすがの俺もビビったわ。サンキューな『ムスクルス』
。今の所は擦り傷程度だから心配すんなよ」
ムスクルス。そう呼ばれた肉の膜は何と明確な言語を発した。
しかし、それだけに止まらず何と人形へと姿を変えフォメトスの側へと立つ。
既にストレングスは身を引いて距離を取っていた。
「我が主人に危機迫れば、それを何としてでも回避するのが私の務めです」
白い肉塊の膜だったもの……ムスクルスの姿は人型ではあるものの全身は白く、筋骨隆々としたマッスルボディ。
上半身は至る所に太めの棘が生え、頭らしき山状に突き出た部位には赤い一つ目がギョロッと生々しく見開きストレングスを見ていた。
そして下半身は上半身のような棘は無いが、コブのようなものができており、足首の先はまるで怪獣を彷彿とさせる形状だった。
「まぁ、精鋭相手にブラック……これじゃあ劣勢になるのも無理ないわ」
「そうだね。まっ、だからこそこうして数で攻める訳だけど」
更に二つの影がフォメトスの側へ現れた。
一人はドレッドヘアーに髪を束ね、白と赤のスレンダーな装甲スーツを身に纏った女性。
もう一人はライオンに似た機械的なマスクを装着し、ドレッドヘアーの女性と違い武骨なデザインの装甲を身に纏っている。
顔にある赤いバイザーからは、人間のそれだが爬虫類のような瞳孔が細く虹彩がひび割れた瞳が覗かせている。
「……見た所、新手の幹部ってわけではなさそうだな」
「フォメトス直轄の部下ってところか」
ストレングスはこの場に現れた新手が長年の敵の『幹部』ではないことを察し、ロックはフォメトスの直轄に位置する部下だと推察する。
「フォメトス。指示をちょうだい」
「できれば、こいつ等を殺せって言って欲しいなぁ……」
ドレッドヘアーの女性は、背中に装備していたメカニカルなデザインの剣を。獅子マスクの男は両腕の籠手部位からナイフと鉤爪三本を出し殺気は上々。
いつでも行けれることをアピールしていた。
「よし。なら『エルカー』と『レオール』、ムスクルスはストレングスを頼む。俺は……あの大ボスの小娘を狩る!!」
異論なし。
自分の上官たる存在の言葉を無言で受け止め、己が行動で答えを示した。
★★★★★★★
「ここなら安全ね」
一方、向かって来た白装束を容易く返り討ち、外の非常口の階段までメカクシ団全員を何とか避難させたデッドは近辺を目視で安全を確認した上で
呟く。
ちなみにここへ来る途中でメカクシ団は全員が目を覚まし、あの光景が夢ではないことを再認識させられていた。
故に、何とも言い知れない沈黙とした空気が自ずと形成されていたものの
、空気を破るようにシンタローが声を一つあげた。
「何なんだよ……」
その一言に場にいる全員の視線がシンタローに集中した。
「あ、あの白装束もそうだけど……お前等、ぜってー人間じゃねーよな?
」
「お兄ちゃん!!」
人でなし。と指して呼ぶに等しいシンタローの心無い言葉にモモは、諌めるように声を張り上げるがそれを不要と断じたのは、デッドだった。
「気にする必要はないわ。“貴方のお兄さん”の言う通り、私とチャリオットは人間ではないわ。無論、あの二人もね」
あの二人とは、チャリオットとロックのことだろう。
だがそれよりもシンタローが注目したのは、自分とモモが兄妹であることを知っているかのような口振りだった。
「……なんで」
「“知ってるのか?”って? ごめんなさい。念の為、身体検査が必要だったからさせてもらったわ。アーマメント術式でね」
アーマメント術式という単語自体は先程フォメトスが言っていたが、それがどういったものなのか。仕組み云々。
それらのことは皆目検討もつかないシンタローだが、それでも『超能力的なもの』であるということは把握している。
「ここでアーマメント術式も含めて、全てを説明するのは相応しくないわ。貴方達の精神状態は良好とは言い難いから」
「それもアーマメント術式ってやつか?」
「ええ。相手が一体どのような状態に陥っているのか、すぐ分るわ。特に大きな装置が必要ってわけじゃないから、結構便利ね」
「あ、そう言えば名前言い忘れたけど、私の名前はチャリオットって言うんだ。これでも結構強いからさ、もうバンバン頼っちゃってよ!」
チャリオットは二人の会話に割って入るようにふんすと鼻から息を出して胸を張り、活気よく自己紹介をする。
シンタローにしてみればどうでもよかったと思われていたので、知ったら本人的には残念の一言に尽きるかもしれなかったが。
「あ、そう。よろしく」
淡々とした態度で適当に言っておくシンタローを他所に本人は至って満足した様子で首を縦にウンウンと振る。
「………信用、してもいいのか?」
「僕としてはあんまし信用できないかな? 実は害なさそうなフリして近付く為……なんて、そういうのもあり得るよね?」
ここで、キドとカノが声を上げる。
それに含まれているのは疑念と疑心。信用と信頼などとは対極に位置する思考で、デッドを睨んでいた。
しかも、いつでも能力を発動できるよう精神的にスタンバイは完了している。
変な行動を見つければ、即座に逃げられる様に……。
「生憎と、信頼や信用させる為の材料はない。でも信じて…私達は、貴方たちを助けるし害するようなことはしない。まだ生き残っている人達も同じようにね」
そう言ってデッドは瞳を閉じ、今、この施設に到着したばかりの『仲間達』に連絡を取った。
“まだ生きている人達……生存者を一人も欠けることなく救出せよ”と。
★★★★★★★
「安心しろよデッド。こっちはきちんとやってるさ、なぁ兄貴?」
「無論。あんな奴らの為の犠牲者など出させん」
ショッピンモールの西側で、デッドの通信先である二つの巨大な漆黒の頭蓋骨が互いにそんな会話を交わしていた。
デッドからの通信を受け取る以前からこの頭蓋骨たちは、何とか逃げ延びている一般人を見つけては自らの中に存在する異空間へとまるで丸呑みでもするかのような光景で放り込んでいた。
だが特に害はなく、むしろ彼等の異空間は治癒と精神的な安寧の睡眠を齎す効果があり、おかげで暴れることなく取り込んだ人々はスヤスヤと眠りに落ちている。
「ヒャッハァァァァーーーー!!!! いいねいいね!! 皆殺し祭り開催ってか?!」
何処ぞの世紀末のモヒカンのようなハイテンション真っ盛りな様子で向かって来る白装束を返り討ちにしているのは、血、あるいは炎とも表現できるほど真っ赤なノースリーブのコートを羽織り、その中も同色ノースリーブのジャケットを着込み、その下の方は黒のホットパンツを履いている一人の女性だった。
髪型は茶髪のボブカット。瞳も服装と同じく赤に染まっている。
更に手には長方形に後方一面に丸いアーチ状の取っ手をつけたようなものを持っており、前方一面に開いた円形の穴から赤いエネルギーで構成された光弾を解き放ち、白装束等の胸部中央を確実に射抜いて行く。
「隊長に続け! ゴーゴー!!」
彼女と同じ赤いコートだが、その下は黒のジャケットとボトムスで構成された服装になっている、彼女の直轄の部下である一個部隊がナイフのような武器や手から光弾、光線の類などの攻撃手段で白装束たちを容赦なく屠って行く。
「ぐっ、せめて、かすり傷だけでも!!」
白装束の一人が腕の一部……手首から肘辺りまでを包丁のように変形させ、ボブカットの女性へ迫る。
迫り来る敵に対し、ボブカットの女性は口の端を大きく釣り上げて凶悪的な笑みを作り、銃のような長方形の武器で刀身を受け止め、そして空いたもう一方の手にコートの中に装備していた、もう一個の長方形の武器を手に取り、顔へ光弾を浴びせた。
「ザコは黙って殺されてろ」
倒れ臥す白装束へそう言い、とどめの刺しに1発胸へと撃つ。
「ザコでも意地ってやつを見せてやる!!」
今度は彼女の言葉に反応する様に答えながら白装束が一人、また一人。
更にもう二人。
計4体の白装束が円陣を形成し、そのまま囲い込むつもりで襲い掛かって来た。
「ハッ、しゃらくさいッ!!」
しかし動揺なく、恐怖もなく。
あるのは敵の命を奪う覚悟と殺意。
そして、戦いへの悦楽。
「オラァァァーーー!!!!!!」
迫る敵が自分を囲い、身動きを封じて息の根を止める前に彼女は両足を屈みバネの様に高く飛翔。その態勢のまま時計回りに一回転。
経口らしき穴から放たれた光弾はそのどれもが外れることなく、的確に白装束の頭部に命中。
そのまま胸部内部へと到達し、致命傷を与えた。
抗えぬ死の傷を受けた白装束達は、瞬く間に命を失い倒れ臥す。
そんな彼等に向けて一言。
「向かって来る気概は認めてやるよ」
★★★★★★★
「ふんッ!」
「たぁぁッ!!」
二つの力を込めた息を含む声が同時に上がり、ストレングスへ向けて剣と鉤爪を振り上げる『エルカー』と『レオール』。
彼等は前方からだが、後方からはムスクルスが己が筋骨隆々とした肉体を武器に突進して来る。
それを逃げず、回避さえしなかったストレングスは自分の何倍はある巨体を自らの巨大な両手でがっしりと掴み、あろうことかそのまま持ち上げて背負いの如く前方後ろへと投げ飛ばした。
すなわち、エルカーとレオールのいる方角へ。
「なっ?!」
「「ぐはぁぁッ!!」」
巨体を受け止めること叶わず、二人はムスクルスの下敷きとなり苦悶の声を上げる。
「ぐっ、舐めるな!!」
かろうじて位置的に重量の負荷が少なかったレオールは、何とか肉の束縛から抜け出して鉤爪にエネルギーを迸らせ、赤熱させた。
「死ねぇぇぇぇぇッッッ!!!!!」
赤熱した鉤爪でストレングスを焼き切ろうと通常よりも倍のスピードを引き出し、ストレングスの胸を斬りつける。
「ぐっ、うううッッッ!!!!」
胸から腹部を斬りつけられた事で袈裟状の傷が形成されたストレングスは、その痛みに堪え兼ねて苦悶の声を漏らす。
が、それ以上はしてやるものかと歯を食いしばり、拳を作ったかと思えばその拳でレオールの顔を殴りつけた。
思いっきり……それこそ、顔に装着したメカニカルな獅子の仮面が歪むほどに。
「げはァッッッ!!」
喪失。たった一発の拳だが、精鋭の中で最も高い腕力と握力を有するストレングスの一撃はレオールの命までは取らずとも意識を剥奪するには十分過ぎるものだった。
「レオール!」
「……ふゥゥん!!」
何とか倒れた状態から体制を立て直した二人だが、レオールの沈黙を見てエルカーは怒りを顔に宿らせ、ムスクルスは深く息を吐き込み跳躍。
人間では不可能な高さまで上がったムスクルスは、そのまま急転直下の力と自らの重量を生かした拳でストレングスを屠る気でいた。
その証拠に既に握り拳を作り、いつでも殴り掛かれるようにしている。
「私が、このストレングスが! 精鋭であるということを忘れたか!!」
勢い良く吼えるストレングスは自らの鋼の鉄拳でムスクルスの拳と相対せんと構える。
そして、ムスクルスの拳が繰り出されると同時にストレングスの鉄拳が前へ解き放たれる。
凄まじい轟音を昂らせ、両者の拳は激突する。余波で二人の周囲に瓦礫とクレーターができていくが、そんなことは些事に過ぎない。
「「うおおおおおおおおおおおおおおーーーーーーーーーーー!!!!!!!!」」
二人の咆哮が重なる。
しばし押すか押されるかの攻防を拳で繰り広げる二人だが、押し負けたのはムスクルスだった。
拳で負けたムスクルスはその重量が嘘であるかのように紙の如しに吹っ飛び壁へと激突。
「残るはお前だ」
死んではいないものの既に二人も沈黙させらた、この結果。
これでは戦士として仲間に顔向けできない。
しかし勝てない状況で自分よりも遥かに強い敵に挑むなど自殺も同然。
ここは恥を受け入れ、撤退という選択肢を決意する。
《報告。ムスクルスとレオールが沈黙。死んではいませんが、戦闘不能です》
《……分かった。お前らは逃げろ。こっちもちとばかしマズくなったわ。ウン》
返信されたフォメトスの声は、何処か焦燥を滲ませたような雰囲気を匂わせた。
苦戦している。間違いない!
エルカーは、声の雰囲気だけで戦士としての勘が働き、すぐさま主人の危機を察知した。
ならば迅速に援護に向かうべきだが、倒れた仲間がいる以上援護に行くことなど出来ない。
正直なところ倒れたのが底辺の下っ端や同格の階級の者なら、まだよかった。
容易く切り捨てられるからだ。
だがレオールとムスクルスの両名は彼女にとって『仲間』と断言できる程の存在。
故に、切り捨てるという選択肢は存在しないのだ。
「転移系統術式、発動。目標『エルカー』、『レオール』、『ムスクルス』に設定」
「逃すか!!」
人間で言うこところの『テレポート』で逃げ果せようとしている気を察知したストレングスはそれを止める為、瞬く間に鋼鉄の両拳をガトリング形態に変形させ撃ちまくる。
しかし、放たれたいくつか光弾が当たるより先に景色に溶けるように消失。
ストレングスは、討つべき敵の逃亡を許してしまったのだ。
「チィッ!! 逃げ足だけは早い」
舌打ちを鳴らし心底忌々しそうに語るが既に後の祭り。
相手に逃げられてしまった以上、ストレングスはロックの援護へ向かう以外になかった。
★★★★★★★
一方、場所を変えて激しい闘いを繰り広げていたロックとフォメトスは、ショピッングモールの屋上……一部が割れた天窓にいた。
「オラァァッッッ!!!!」
「フッ!!」
フォメトスは雄叫び、ロックは軽く息を吐く。
その際にフォメトスの黒く歪な形状の長剣と峰が黒く刃が白に染まった刀剣が、お互いに激突し火花を散らす。
遠距離の武器を使った戦法では勝負が付かない為、両者はこうして接近戦に臨んでいる。
戦い自体は苛烈で互いに一歩も引かずだが…然程時間をかけず、開始から15分で決着がついた。
「ぐっ、うううッッッ!!!!」
「チェックメイトね」
両腕を切断され、更に袈裟傷を二つバツ印のように与えられたフォメトスは膝をつく他なかった。
そんな彼に冷たさを孕んだロックの声が届く。
「フッ、フフフ……やっぱ強えな。ブラックってのは……」
「大人しく身柄を投降して下さい。そうすれば命だけは奪いません」
至極真面目にそう告げるロック。しかしそれを『はい、そうですか』と聞き入れる謂れは何処にもない。
「ほざけ。敵は殺すのが基本中の基本だろーが!!」
結果は当然、聞く耳持たず。
この事実を既に分かっていた筈のロックは顔に僅かながら悲しみを浮かべ、その手に持った刀剣を振り上げる。
その時、
「おっと、持ちな。腐っても部下なんでね」
上空から降り掛かる一声。
少女だと思わせるにたる可愛らしく凛とした高い声だが、聞いた事のある声だったが故にロックもフォメトスも驚愕を隠せなかった。
「バード・スラッシャー……」
「この世界で会うのは初めてだね。ブラック★ロックシューター」
まさしく天女の如く空に舞い、ロックを見下ろすバードは視線を己が部下に移す。
「悪ふざけに浸かった遊びは終いだフォメトス。帰るぞ」
「チッ、ったくイイ所で邪魔してくれんじゃねーよ」
上司と部下の関係ながらこの二人の間にそのような雰囲気は垣間見れない
。
むしろ、互いに嫌悪し合ってる敵同士と言う風にとった方が正しく見える図だろう。
「お前が張ったフィールドバリアは解除されてる。あんまし事を起こすな」
「……そーかい。まぁ、こんなザマだ。あんまし言えるような立場じゃねーから、従ってやるよ特別に」
「ッッ……」
人間ならば額辺りにでも血管が浮かび憤怒の表情に顔を歪ませるところだろうが、バードは多少苛立つ程度で内心はあくまで冷静その物。
自分の部下からの信頼と敬意が希薄である事は、認めたくなくとも認めているからだ。
「私が逃すと思うんですか? 大人しく投降しなさい」
「……あんたにその気が無くとも、私たちは勝手に逃げさせてもらうだけさ!!」
そう言いバードは両腕の黒翼を大きく振るい、無数の羽根を撒き散らした。
羽根はロックと自身、そしてフォメトスへと纏わりつくように囲い込んだ。
「目くらまし、か!!」
刀を振るう際の風圧と刀から発生させた“青い炎”を利用して黒翼の羽根を蹴散らすが、時既に遅く。視界を晴らした後にバードとフォメトスの両名はその姿も影も消失させていた。
「…………クロワに通達。フォメトスは幹部の一人、バードと共に逃走。繰り返す、バードと共に逃走。本作戦は終了し速やかにその場から退避、救出した民間人たちは存在を察知されぬよう病院へ。以上とする」
部下にして信頼する仲間たちに通信で指示を送り、そのまま切ろうとしたが止まった。
「言い忘れた。チャリオットとデッドは救出した彼等を我々の基地へ
連れてって。確かめたい事がある」