ハイスクールD×D×S 悪魔×赤龍帝×ショッカー   作:END

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第2章 戦闘校舎のフェニックス
喫茶店の会合


 深夜。

 俺はこの時間に駒王町から2つ駅ほど離れた繁華街に来ていた。左手に白いアタッシュケースを持ちながら、目的地へと足を運ぶ。

 

「はぁ~……眠い」

 

 我慢できない大きなあくびをしながら、俺は眠気眼をこする。悪魔になったことで多少は眠気もなくなったのだが、やはり悪魔稼業が忙しいこともあって疲労はたまっていくばかりだ。今日も悪魔としての仕事を終えてから来ている。まあ、他にも理由はあるんだが……。

 眠いぐらいならなぜこんな場所に来るのか。それはもちろん、この町に用事があるからである。本当は速く寝て疲れをとりたいのだが、重要な案件であるのでめんどくさい気持ちでありながらもこうしてここにきているわけだ。

 

「さてさて、あの人は元気だろうかねぇ……まあ、人じゃないんだけど」

 

 自分でツッコミをしながら何やってんだかと苦笑いしていると、いつの間にか目的地についたようだった。

 

 そこは小さな喫茶店だった。外見はレトロな雰囲気を醸し出していて、日が立ち上っていれば十分にオシャレな場所と思うだろう。

 だが深夜にもかかわらず、店の照明は明るく、未だに営業しているらしい。辺りを見回しても他の店はとっくに閉まっている。暗い中でただポツンとあるその喫茶店はなんだか不気味な感じがしてならなかった。

 

 もし店が開いていることに気づいても、ただの一般人では入店する事は出来ないだろう。

 何故ならここは、ただの店ではないからだ。

 

 俺は足を動かし、喫茶店のドアノブに手をかけ、ゆっくりと店の中に入っていく。

 

 チリンチリンッ、とドアについていた鈴が鳴る。店内を見渡してみると、テーブル席には異様な気配を持つ客が数人がいて、俺が入店するとこちらを殺気のある目で睨み付けてくる。だが俺は構わず店の奥に進んでいき、カウンターに向かった。

 そこには『神』という文字が書かれたTシャツを着た20代後半ぐらいの店員らしき男が、鼻歌を歌いながらコップを拭いていた。

 

 しばらくするとTシャツの男が俺に気づく。

 

 

 

「おや、煉くんではないか。ここに来るのは久しぶりだねぇ」

「……相変わらず、服のセンスは絶望的だな――――――――――神様」

 

 

 

 店員―――神様に、俺は何とも言えない表情をつくった。

 そう、ここは表向き、昼間の時間はただの喫茶店で普通に一般人も楽しめる場所なのだが、本当は神がつくった転生者たちの集い場、つまり情報交換場所でもあった。夜になるとある条件を果たしたごく一部の転生者たちが話し合いの場所として利用している。神がいるので盗聴や盗撮ができない安全地帯でもあるのだ。

 そしてこの店員こそが、俺を含めた転生者たちをこの世界に召喚した張本人。転生神フリーエルだ。

 

 俺は迷わず誰も座っていないカウンター席に腰掛ける。

 

「取り敢えず水で」

「ふふ、君も変わらず神経図太いね。この席に座るのは君とあの娘ぐらいだよ」

 

 神はそう言いながらテーブル席にいる転生者たちを一瞥する。転生者たちはこちらに向けていた目線をすぐに外し、何も無かったかのように平然を装った。だがその全員はたらりと冷や汗をかいている。全員神の存在が怖いのだ。

 

 以前バカな転生者がもっと特典寄こしやがれぇ!! と死亡フラグバンバンの行動をとったのだが、その際に神は難なくその転生者の攻撃を指ひとつで消し、まるで重力を操るかのように転生者を押しつぶしたらしい。それ以来、転生者たちには神に襲い掛かってはいけないという暗黙のルールができた。ふつうそんなルールできる前に思いつくだろうに。バカな連中は後を絶たない。

 

 神は「ヘタレだなぁ……」と呟きながら、俺の眼の前に水の入ったコップを置く。俺はそれを一気に煽ると、持ってきたアタッシュケースをカウンターにのせ、中身を見せた。そこにはきらびやかな装飾が施された剣や禍々しい風貌の杖など多種多少な武器が入っていた。

 

「この一週間で襲撃してきた11人の武器特典、換金頼む」

「今回は一段と多いな。了解したよ」

 

 神は驚きながらも、アタッシュケースにある武器や受け取りカウンターにある半透明の立方体型に特典の武器を入れる。するとその立方体は淡い輝きを放ち始める。

 

 これが俺の今回の目的、転生特典の換金だ。

 本来転生者が持つ特典はその者のものだ。だがその転生者が死んでしまった場合、その特典は所有者がいないまま、この世界に留まってしまう。もしそれが原作キャラに渡ったら取り返しがつかないことになるので、神は特典を回収してきたら、お金や情報、強力なアイテムと交換するといったのだ。喫茶店ができたのも、これが一つの要因だ。(もう一つは神の趣味)

 

 だが条件として、今までに10人の転生者を倒した者。さらにはその転生者が一方的に襲ってきた場合だ。この二つの条件をクリアした時のみ、神からこの喫茶店の場所を教えられる。(こうしないと転生者同士の戦いしか起きないという神からの判断らしい)当然、俺は多くの転生者に目の敵にされているのでこの条件を難なくクリアした。

 これにより、ある転生者たちは同じ転生者を倒して金銭を稼ぐ”転生者狩り”というものを始めた。だが実際にそれで稼いでいる転生者はごく一部らしい。なら俺に襲い掛かる転生者たちを分けてやりたい。

 

 するとその半透明の立方体からピコン!という音が聞こえてきて、その立方体に画面らしきものが表示された。どうやら換金が終わったらしい。

 

「ざっと合わせて8500万ポイントだね。今回もまた全部現金に変えるかい?」

「いや、今日は他に変換。例の金木総司についてだ」

 

 俺の言葉に神は悟ったような顔をして話し始めた。

 

「金木総司。特典は『自身がゲームで育てたポケモンの実体化』と『小型ポケモンセンター』。二つセットの特典だ。今までは原作の進みが始まるまでずっとアーシア・アルジェントの監視しかしてなかったけど、数日前のあの事件から動き始めたらしいね」

「監視って、盗撮の間違いじゃねえの?」

「いや、風呂や着替えの監視はしてなかったようだね。本人曰く『一緒になれば見放題だから、今は我慢する』だそうだ」

「そこまでわかるのか……て、一方的には変わりねえじゃん。マナーがあるのかないのか……」

「でも、実力は本物だよ。今までに倒した転生者は36人。全員、金木自身が襲ったからこの喫茶店のことは知らないけどね。襲った転生者は全員、アーシア狙いだったそうだ」

「アーシア狙いの転生者を全員、ね……」

「気を付けた方がいいよ、煉君。君は狙う狙わない関係なしにアーシア・アルジェント本人に好意を抱かれているからね。また襲ってくるだろう」

「迷惑でしかないな……」

「自分の家に囲っておいて、よく言うよ」

 

 神からの指摘に、「部長がそうしたんだよ」と返す。あの事件から、アーシアは今、俺の家で同棲という形で暮らしている。部長が住む場所を決めてくれるといってまかせっきりだったのが失敗。まんまと騙されたのだ。駒王学園にも編入生として転校してきている。

 

 一応同学年に木場しかいなかったので不安かなあと思いショウカも黒崎翔香(くろさきしょうか)という偽名で一緒の学園に編入させておいた。部下なのに先輩。立ち位置がよくわからなくない。

 最初は知らない文化におろおろしていたアーシアも、ショウカや積極的に話しかけてくれるクラスメイトの手助けもあってか今では友達も多くいるらしい。

 

 まあ、急に転校してきたはずのアーシアが「煉君! 煉君!」と慕っていてる姿や、それに対抗するように前より距離を縮めようとする小猫ちゃん。その近くにショウカがいるところを見て男子たちは血涙を流したようだが。

 

 おかげで学校のやつからは「小猫ちゃんに飽きたらず、転校生のアーシアちゃんやショウカちゃんまで!!」と攻撃が増える一方だ。幸い小猫ちゃん達がいつも近くにいるので目立ったような動きはないが余計陰湿なものが強化されたような気がする。

 転生者からは「原作キャラを手籠めにしすぎだ! 死ねえ!!」だ。おかげで以前に増して夜襲が後を絶たないし、寝不足も続いている。部長たちには被害が出ないようにしているが、それも限界だろう。

 

 はあ~とため息を吐く俺に神は肩をすくめると、立方体にある表示を操作した。

 

「さて、私が持っている情報はこれくらいかな。後は自力で何とかしてくれ」

「どうも。じゃあ、残りポイントは現金に――――」

 

 俺がそこまで言いかけると、チリンチリンと喫茶店のドアが開き、2人の男と、1人の女が入店してきた。テーブル席にいた転生者たちは息をのむ。彼らのうち2人から想像以上のオーラを感じ取ったからだ。原作に例えるなら上級悪魔、最上級悪魔クラスはある。

 

 一人は片目に赤い刺青が彫られた少年。年は中学生ぐらいで見ただけでは中二病と思われるその姿も、異常なまでにあるオーラがその存在の強大さを知らせていた。

 もう一人の男はチャラそうな茶髪の青年。この男からは強いオーラは全く感じ取れず、二人にビビっている転生者たちにいい気になっていたりと、小物感しか感じ取れない。

 そして最後に一人だけいる女性。彼女は10人が人いれば10人振り返るほどの美人だった。年は20代前半くらいだろうか。腰まで届く亜麻髪にキュッとしまったウエスト。そして何より、歩くたびに揺れる二つの双丘が、一瞬転生者たちの目線を独占していた。だが彼女から流れ出る尋常ではないオーラが、転生者たちの目線をそらしていた。彼女は赤い刺青の少年よりも強者であると認識できる。

 

 一件何の集まりかわからないその全員は、黒い竜のエンブレムが刺しゅうされた黒い服を着ているという共通点があった。その刺しゅうを転生者たちは知っていた。

 

『黒龍の旅団』

 転生者の中でも特典に『悪役の力』+『神器』を所持している者で構成されている転生者狩りの集団。その転生者たちの力はどれも強力で、一人のメンバーが多数の転生者を相手にできる力量を持つらしい。噂では原作のアザゼルと交流があるとかないとか。

 転生者たちは悟った。もしケンカを売ったとしても返り討ちに会うだろうと。平然を装おうにも緊張で震えることしかできない。

 

 そんな緊張感が漂う中、入店してきた女がカウンター席に座っている俺に気が付く。すると女は俺に向かって走りだし、突然俺に抱き着いてきた。転生者たちが何事!?と驚く中、女は俺を見て「やっぱり!」と嬉しそうな表情を見せた。

 

「ひっさしぶり! 煉くん。また会えて嬉しいなぁ!」

「……久しぶり、舞香さん」

 

 出会ってしまったという心情でいながら、俺は端的にそう返す。そう、俺と彼女は知り合いだった。彼女―――大野舞香(おおのまいか)は俺の反応に顔をしかめる。

 

「もう! 久しぶりに会ったのにそれだけ? せっかく元カノに会えたって言うのに」

「誰が元カノですか。付き合った覚えはありませんよ。神様、250ポイントで彼女にクリームソーダ」

「了解」

「わあ、ありがとう! 煉君愛してるぅ!!」

「はいはい」

 

 抱き着いている舞香を無視しながら、俺は彼女を振りほどこうとするが、がっちりとホールドされていて離すことができない。苦戦を強いられていると、赤い刺青の少年が俺に頭を下げてきた。

 

「お久しぶりです。先輩」

「おいおい、俺はもうチームから抜けただろ龍矢。お前も、何か飲むか?」

「いえ、自分は大丈夫です。神様、特典23個の換金お願いします」

「はいはい、君は見た目によらず律儀だね」

「うるさいですよ、全く。てか舞香さん、いい加減離れたら……」

「いやっ!!」

「……大変だな、お前も」

「………ええ、すごく」

 

 苦労してるなと、刺青の少年―――佐々木龍矢(ささきりゅうや)の肩をポンポンと叩く。

 この会話を聞いて分かるとおり、俺は転生者狩り『黒煉の旅団』の初期メンバーの時に所属していた。当時小学生から転生者に襲われていた俺は『黒龍の旅団』のリーダーに「お前は転生者ホイホイだな」とスカウトされ、数年間もの間一緒に活動していたのだ。諸事情によって脱退したが、こうしてたまに交流している。

 

 そのメンバーの中で、舞香は俺のことを特に気に入っているようで、前々からこんなスキンシップが後を絶たない。ドライグから以前反応が童〇だと言われたが舞香に対しては慣れてしまったのでおどおどした態度はない。

 

「離れてください舞香さん。さっきからあたってます」

「あててんのよってね。煉くんが私のことほったらかしにしたのが悪いんでしょ。少しは甘えさせてもらってもバチはありません。ね? 神様」

「そうだね。はい、クリームソーダ」

「あ、どうも~」

 

 舞香は神がクリームソーダを持ってきて、ようやく俺から離れ、カウンター席に座った。ズ~とストローですすると、舞香は思いだしたような素振りで俺を見た。

 

「そういえば、煉くん。悪魔になったんだって?主人公ポジション獲得、おめでとう!」

「……なんで知ってるんですか?」

「神様から聞いた。タダで」

 

俺は神に目線を向ける。だがなんのことだかとサムズアップするだけだ。俺はジト目を向けつつもクリームソーダのアイスを食べている舞香に目線を戻す。

 

「まあ、正直言って原作に絡めたのは嬉しいんですけどね。おかげで他の転生者たちからの闇討ちが多くなりましたよ」

「それは仕方ありません! それぐらい覚悟はしてたはずでしょ。いやなら原作キャラのことなんか忘れて、私と―――」

「舞香! さっきから何だ、そいつは!!」

 

 俺と舞香が話していると、オーラが全くないチャラ男が声を上げた。俺に指をさしながら睨み付けてくる。

 

「そういえば誰だこいつ? メンバーの割にロクなオーラがないが」

「先輩がいなくなって新しく入ったものです。と言っても、転生者じゃなくてただの被験者ですけど」

「被験者って……まだやってるのかあいつ。そこらへんの不良掻っ攫ってるだけだろうあれ」

「はい。でも、より多くデータが必要だと言って……。荷物持ちも踏まえてこうして外に出してるんです。で、この通り舞香さんに惚れてるらしくて」

「まあ見た目なら十分きれいだからな」

「見た目って何!! ちょっと二人とも失礼だよ!!!」

「舞香も無視するな!! なんなんだこいつは!!!!」

 

 あ、話に夢中になりすぎて存在を忘れてしまっていた。

 そのことにさらに怒りをみせる被験者。その被験者の行動に舞香がため息を吐く。

 

「はあ……サトシくん。別にあなたには関係ないでしょ」

「関係あるんだよ! 他のやつにべたべたしてんなっ!!」

「私の勝手。確かに優しくはしたけどあなたにべたべたしたつもりはないよ。ていうか、あなたのことは何とも思っていませんし、そもそもあなたにどうこう言われる筋合いはありません」

 

 そう言ってバッサリと切り捨てる舞香。サトシと呼ばれた青年はそんな態度に顔を真っ赤にして、また俺を見た。

 

「おい、おま―――」

「立場をわきまえろ被験者。社会のごみであるお前を生かせているのは実験のためだ。少しは私語を慎め」

「ちっ! うるせえっ!!!」

 

 ついに頭に来たのか、龍矢に対して拳を放とうと――――。

 

 

 ゴカアアアアアアアアアアンッ!!!!!!

 

 

 喫茶店内に轟音が響き渡る。

 いつの間にか、龍矢は冷徹な目をしながら拳を突き出していた。その拳の先にはサトシと呼ばれていた青年が店の壁にめり込んでいる。加減はしていたようで顔が腫れているだけのようだ。あまりの早業に他の転生者たちもいつ殴ったんだ!?と驚愕していた。

 龍矢のやつ。前よりパワーマシてんな。俺が感心していると、神が眉間にしわを寄せていた。

 

「おいおい龍矢君。ここで暴れるなよ。喫茶店を壊したらペナルティでポイント引くってマナー板に書いてるだろう」

「あ、やべ……」

「いいよ神様。俺の分から引いといてくれ。もともと俺が被験者を刺激したからだし」

「……すみません先輩」

「いいよ、別に。じゃあ、俺はもういくな」

「えぇ~! 煉くんもういっちゃうの~」

「明日も学校あるんですよ。神様、アタッシュケースに残りの現金を……」

「もうできてるよ。はい」

「早くて助かる。じゃあ二人とも、また」

「はい。お気を付けて」

 

 龍矢の挨拶のあと、俺は結構軽い(そうとう引かれたな)アタッシュケースをもちカウンター席から立つ。その去り際、舞香がカウンター席から立ち上がった。

 

「煉くん! たまにはこっちにも顔を出してね。あの子も会いたがってたから!」

「そうですね。機会があったら」

 

 俺は舞香の言葉に振り向かずに手を振りながら、喫茶店を後にした。

 




なんか雰囲気が違いますが一応『戦闘校舎のフェニックス』です。
前に感想欄に『奪った特典ってどうする?』的なものがあったので書きました。

新キャラも多く登場して、なんだ? と思うかもしれませんがご了承ください。

新ヒロイン追加、大野舞香。
ナイスバディは良きなり。


煉だったり煉君だったりしたので『煉くん』に修正しました。
ヒロイン全員君付けなので何とかしたいです。

後また期末テストがあるので投稿遅れます。
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