ハイスクールD×D×S 悪魔×赤龍帝×ショッカー 作:END
「……寝みぃ」
現在7時を過ぎたころ。
朝シャワーで返り血がついた体を流しながら、俺はため息を吐く。
結局あの後、公園の隠ぺい作業に時間を使ってしまいまともに眠れもしなかった。これで何度目の徹夜なのか自分でもわからなくなってくる。
「絶対いつか倒れるだろうなぁ」と思いつつも、顔を洗って何とか眠気をごまかし風呂場から出た。
体を拭き、学校へ行く準備をしていると、俺の家に待機させているショッカーの一体が駆け寄ってくる。
「いーーーーーーー!!!」
「ん? なんだ」
見るとショッカーは声を大きく上げ、その場でジタバタして驚いているようだった。言葉の意味までは理解することはできないが、なんだか慌ただしい雰囲気だと感じ取れる。
まさか……転生者の襲撃か? 気配は全く感じ取れなかったが……もしかしたら気配遮断系の特典や技能を持っている奴なのかもしれない。俺は警戒を最大限に高めながらショッカーの連れゆくままに玄関に向かう。
だが真実はそのどれでもなかった。
「おはよう、桐山君」
「……なぜに俺の家の前にいる?」
何事かと思って玄関のドアを開ければ、俺の家の前に小猫ちゃんが立っていた。
なんで小猫ちゃんがここにいるんだ? そう疑問に思っていると小猫ちゃんは俺の表情を見て心情を読み取ったのか説明した。
「部長……リアス先輩から『ちゃんと学校に来るか付き添ってきて』って言われて」
「……なるほど」
確かに、今日おとなしく学校に行くとは限らなかったからな。一応最低限の配慮は必要だと判断したらしい。関係と悪くしないためにもこれは断らないほうがいいなと小猫ちゃんを少し待たせ、準備を済ませ家を出る。
「じゃあ、行くか」
「うん」
そういって俺たちは学校に向かう。……まさか俺が原作のキャラと通学するとは思いもしなかったな。
でもひとつ疑問なのは二人で登校する中、小猫ちゃんは俺のすぐ隣を歩いていた。その差僅か5センチ。何気に近い距離に俺はどう反応すればいいかわからなかった。
そんなことを考えているうちに学校の方が見えてきて、他の生徒たちが騒がしくなってくる。
「見てみてっ! 桐山君が搭乗さんと登校してるわっ!」
「あっ! 本当だ! 搭乗さんついにやったんだねっ!」
「桐山君とうとう落とされたか〜。まぁ元々お似合いだったからね」
『くそそおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉっ!!桐山の野郎ぉぉぉぉっ!!!!!』
……なんのこっちゃ。
まんま主人公のような殺意を持った野次を吹かれる。女子からはニヤニヤと小声で何かを話しているようだが。小猫ちゃんに限っては表情に出さないものの、顔を少し紅潮させている。
この後教室に入った瞬間に男子生徒からは「死にさらせええええええ!!!!」や「俺たちのマスコットに何してくれてんじゃあああああああっ!!!」と暴力という名の殺人まがいな集団攻撃をくらい、小猫ちゃんと何があったのか質問攻めにあうことになった。原作に関して言えばいろいろと状況が違うが、小猫ちゃんとは直接的な変化はないため攻撃をよけながら「なにもない」と答えておいた。まったく聞いてないけど……。
小猫ちゃんの方は一部の女子生徒に囲まれながら恋バナのようなものをしていた。「どこまでいったのっ!?」と女子生徒にやや興奮気味に聞かれ小猫ちゃんは俺と同じく「何もないよ」と曖昧に答えているがこちらもうそだ~と信じてもらえていない。と、あるひとりが「じゃあ結局進展はないの?」と聞く。それに対しては……。
「……ちょっとは変わったかな」
照れながらそう答える。うん、確かに裏の事情は変わったけどそれは誤解を招くいい方だな。
案の定女子は甲高い声でキャッ、キャッと盛り上がり、男子も俺への攻撃を続けながら小猫ちゃんの表情を見て、さらに攻撃がヒートアップしてしまった。
そしてようやく放課後になり、俺は小猫ちゃんに連れられ旧校舎に向かっていた。
「……イッてぇなあ。今度はバットまで使ってきたぞあいつら」
俺は殴られたところなどをさすり愚痴をこぼす。小猫ちゃんはそんな俺のけがを心配し、申し訳なさそうな顔を見せた。
「……大丈夫? ごめんね。私が一緒に登校したのがいけなかったからだね」
「あ、いや。これは俺自身がいけないというかなんというか……ただの男子の嫉妬だ。小猫ちゃんは人気があるからな。これは仕方ねえよ」
「そ、そう……」
予想外の返しが返ってきたからか、体をもじもじしながら照れる小猫ちゃん。
この仕草を見て俺は、ここ最近考えていた小猫ちゃんのことを思いだした。フラグを立てたつもりがないのに、この態度に仕草。原作介入には気を使っていたつもりだが、見る限り確実に過去に会っているようだ。もどかしさが残っているのが気になり、ふと小猫ちゃんに聞こうとした。
「……なあ、小猫ちゃ―――」
「ついたよ」
だが俺が問いかけようとした矢先、いつの間にかオカルト研究部の部室前に来てしまっていた。どうやらタイミングを逃したらしい。
「? どうしたの、桐山君」
「あ、いや。何でもない」
なんだか間の悪い感じになったので俺は口を紡ぐ。……このことについてはまた機会があったらにするか。今までの思考を切り替え、俺は部室のドアを開ける。
そこにはソファーに座っているリアス・グレモリーをはじめ、微笑みながら佇む木場祐斗に、殺意がむき出し状態のままでこちらをにらむ西原がいた。
ちなみにここには原作キャラである姫島朱乃はいない。そもそもこの学校に通ってもいないという情報なのでリアスの眷属ではないのだろう。いろいろと状況が状況で忘れていたことだが……。
「来たわね。気軽に座ってもらっていいわ」
リアス・グレモリーの言葉に俺は向かいのソファーに座った。
「小猫との登校、上級生の方まで噂になってたわ。私が頼んだことなのだけれどね」
「はあ、別にそれは問題ないです。というか一ついいですか?」
「なにかしら」
「昨日はなんで簡単に警戒を解いたんですか? 自分で言うのもなんですけど結構怪しいやつでしたよ。俺」
「あなたのことは、もともと小猫から聞いていたわ。だから昨日は警戒を解いたのよ」
そんなんでいいのか。小猫ちゃんが何を言ったかはわからんが理由が単純すぎている。俺が首をかしげていると何やらリアス・グレモリーがクスクスと笑いだす。
「小猫ったら、ここではあなたの話ばかりするのよ。例えば『今日も授業中ずっと見てましたけど――――」
「ぶ、部長……それ以上は…」
小猫ちゃんは顔をこれほどかというくらいに真っ赤にしてリアス・グレモリーの言葉を遮る。
「うふふ、ごめんなさいね。ついつい」
「部長、警戒はしてください。こいつは何をするかわかったもんじゃない」
今までの雰囲気をぶち壊すように西原が会話に入り、俺を殺意丸出しでにらんでくる。どうやらまだ転生者の対面に反対のようだった。
「正樹、いい加減になさい。そもそもそんな敵対心を丸出しにしてどうするの」
「部長は甘すぎるんですっ!! こいつは俺の、いや、世界の敵なんですよっ!!」
正樹の言い分にリアス・グレモリーはため息を吐いた。
「ごめんなさいね、この子は少し自分勝手というかいろいろと複雑なのよ。許してちょうだい」
どうやら主である本人も西原の態度に困っているらしい。そして話を切り替え、話し合いをすることになった。
「じゃあ改めて、貴方をオカルト研究部に歓迎するわ。……悪魔としてね」
「ええ、よろしくお願いします」
「あら? 疑問に思わないのね。裏の事情については知っているのかしら」
「はい」
原作知ってるからな。リアス・グレモリーは続ける。
「理解があるなら単刀直入に聞くわ。あなたは何者なのかしら?」
「……大体察してはいるでしょう? 神器使いですよ」
そう言うと俺は籠手を出現させる。
「それは『
「いえ、俺の方はいっぱいいっぱいでしたよ。生身は人間ですからね」
出来るだけ話しに合わせる俺。いまだ気づかれていない『赤龍帝の籠手』であることは隠しておこう。西原のやつがまたちょっかいかけてくるかもしれないので面倒だ。リアス・グレモリーは続ける。
「じゃああの黒い者たちはなんなの? 正樹は『仮面ライダー』っていう正義の対になる存在と聞いてるけど」
「だいたいあってますね。あれは俺の異能の一つです。確かに『仮面ライダー』とは犬猿の仲と言ってもいいでしょうけれど。俺は敵対するつもりはありません」
「はっ! 嘘をつくなっ!!」
さっきからうるせえなこいつ。会話に割り込みすぎなんだよ。何とも言えない表情でリアスが言う。
「まあ、確かに正樹が言っていることもわからないでもないのよ。敵対しないといっても保証はないのだからね」
「誤解は解きたいんですけどね……」
「そうね。そこでひとつ提案なのだけれど……あなた、私の眷属にならない?」
そう言ってリアスは、4つの駒を取り出した。
「今私が持っているのは『兵士』『騎士』『戦車』『僧侶』の駒が一つずつ。この中のどれかを消費すれば転生できるの」
「俺は『兵士』の駒七つを消費したんだぞっ!! どうだ、俺との戦力の差はわかったかっ!!」
「……うるさいです。西原先輩」
あまりにもうるさすぎて小猫ちゃんから強烈な毒舌をもらう西原。こいつとことん嫌われてんな。しかし7つか。腐っても転生者というところか。
リアスは言う。
「どうかしら? あなたが眷属になればこれからのいざこざも少しは収まるでしょうし。悪い話ではないと思うの」
「……ええ、いいですよ。確かにメリットの方が多そうだ」
「ふふ、よかった。じゃあまずは『兵士』から―――」
リアスはそういいながら話を進める。交渉が成立したのがよかったのか少しばかりか笑みが見えた。
しかし、それもすぐになくなるだろう。俺には神滅具の『赤龍帝の籠手』が宿っている。原作での駒の価値は宿主を合わせて8。今残っている駒では転生できない。
西原もこのことにきづいているのかニヤニヤしながらこちらを見ていた。自分の邪魔になりそうなやつが近くにいないことに喜んでいるんだろう。
そして、残るは『戦車』だけとなった。
「これで、最後ね」
最後の『戦車』の駒をかざす。しかし、何も起こることはなかった。
「『戦車』でもダメなの……? あなた、どれだけ価値があるのかしら」
リアスは呆れ半分、少し残念そうにする。まあ仕方ない。わかっていたことだ。それにしても、悪魔になるにはこの駒が体の中に入っていくのだろうか? 割かし見てみてかったものだ。
「じゃあこれ」
すると俺の体に一つの駒が入っていく。そうそうこんな感じで……え? 見るとリアスではない誰かの駒が俺の中に入っていった。
「できたにゃん」
「「「「「「へ?」」」」」」
突如かかった声に俺をはじめとして他の原作キャラも間の抜けた声を上げる。しかし、リアス・グレモリーと小猫ちゃんだけは誰がしたかわかっているようで呆れている。
「黒歌、気配を消して驚かすのはやめなさい」
「にゃふふっ、私は気まぐれにゃん」
そこには、小猫ちゃんの実の姉にして主人公のヒロインの一人、黒歌がいた。思わずぽかんと呆けてしまう俺。あまりにも予想外の人物に思考が回らなかったのだ。
そんな俺を見て、小猫ちゃんは黒歌にジト目を浴びせる。
「姉様。そういうことではないです。あまり部長や桐山君を困らせないでください」
「あら、怖い怖い。そんなこと言って、白音も本当は煉が悪魔になって嬉しいくせに」
「……茶化さないでください」
そう言って黒歌に説教をする小猫ちゃん。原作のわだかまりはなんだったのか、見る限りだと姉妹関係は良好そうだ。これだと、仙術の暴走はしなかったと推測できる。
リアスは黒歌に手を向ける。
「紹介するわ。私の『女王』の駒を消費した眷属悪魔、黒歌よ。これでも一応上級悪魔なのよ」
「よろしくにゃん、煉」
手を振って軽くあいさつをする黒歌。いろいろ驚くことがあったがなんとなく状況は整理できた。どうやら姫島朱乃の枠は黒歌が入って、黒歌自身はもうすでに上級悪魔になっているらしい。もともと原作でも強かったしそこは疑問ではない。
じゃあ肝心の姫島朱乃はどうしたのだろうか? 堕天使側にいるのか、または違うところなのか……どれにしても転生者が絡んでくるだろうし、今はいいか。
俺がそう考えているうちに、リアスと黒歌が話し込んでいる。
「私の兵士の駒1個を消費したにゃん。ちょうど『兵士』に『変異の駒』があったから1個で済んだにゃん。これはお買い得ね」
「―――っ!? 黒歌、あなた『変異の駒』をつかったの?」
「今リアスが持ってる一番価値のある『戦車』でも足りなかったにゃん。これは消費量が少なくとも5以上……もしかしたら『女王』クラスかもしれない。それに大きく括ればリアスの眷属ってことになるし、別に問題ないにゃん」
「問題ないって……」
リアスは黒歌と話しながらこちらをちらっと見た。どうやら思いもよらない形で悪魔にしたことを悪いと思っているのかもしれない。俺は冗談半分で笑った。
「大丈夫ですよ。もともと悪魔になるって言いましたし。そんな気にすることではないですから」
「そ、そうなの。なら、よかった」
これで今回のことがひと段落すると、原作キャラたちがこちらに向かって自己紹介することになった。
「僕は木場祐斗。悪魔だよ」
「……塔城小猫、悪魔です」
「……西原正樹だ。俺はまだ認めて―――」
「うるさいにゃん。ふふふ、改めて、リアスの『女王』であなたの主の黒歌よ。よろしくにゃん、白音も含めてね?」
「そしてリアス・グレモリー。……悪魔よ。私のことは部長と呼びなさい。これから仲良くしましょう、煉?」
これにより、俺の悪魔の生が始まった。
誤字、脱字等ありましたらお願いします。
今回多くの問題がありました。これからの話でどんどん解いていきたいと思います。