ハイスクールD×D×S 悪魔×赤龍帝×ショッカー 作:END
真夜中。
時刻は0時を過ぎ、多くの人たちは寝静まっているころだ。きっと夢の世界に入っていているだろう。
そんな夜に、俺は悪魔の最初の仕事である悪魔を呼び出す魔方陣のチラシを住宅のポストに入れていた。
俺の主である黒歌曰く「最初は魔方陣のチラシ配りからね~」と原作通りの仕事内容を指示されたのでそれをこなしている。それでも原作には書かれていなかった細かな作業もあったので案外苦戦していた。
と言っても仕事内容の具体的な説明はリアス―――部長から聞いた。自分の眷属であるにもかかわらず本人は部室にあるお茶菓子を食べてばかりだ。原作とは違うリアス眷属になっても自由奔放な性格は相変わらずらしい。
ちなみに主である黒歌のことは呼び捨てで読んでいる。これは本人からの要望だ。「敬語で話しかけられるのはあんまり好きじゃないにゃんっ!」と言われているのでフラットな感じで話している。
「あ~、疲れた」
ようやくチラシ配りを終え、俺は近くにあったベンチに座り少しばかりの休憩していた。
まあ、『S×S』で呼び出した戦闘員たちにも手伝わせたからそれほど重労働でもないけど……。
この期間が終われば本格的な契約取りが始まり、悪魔としての生活も充実したものになるだろう。内心わくわくしている自分がいて「何考えてんだが……」とあきれてもいる。
そんな風にしばらくボーッとしていると、ふとベンチの近くにあった一本の木から気配を感じとった。普段なら誰彼かまわず戦闘態勢に入って警戒するところだが、その気配は慣れ親しんだものだったのでリラックスしたままの状態で声をかける。
「――――来たか、情報の方はどうなってる?」
「はい、煉様」
ザザッ、と突如木の茂みの中から忍者のように下に降りてきた人影があった。
最初は深夜の暗さで判明しづらかったがだんだんと俺のそばに近づき、その姿が見えてくる。ようやく見えてくるとそこには無表情な顔をした一人の少女がいた。俺が座っているベンチのそばにまで来ると、忠誠を誓うかのように跪く。
彼女の正体は俺が『S×S』で呼び出したショッカー。だが少女の姿をしているのはその中でも異例の状態で召喚されたショッカーの突然変異体、つまりは女形ショッカーというわけだ。
彼女は俺が数年前に行使した『S×S』の戦闘員に紛れ込んでいた者であり、ほかの個体と比べ何倍も戦闘能力が高く、「い――――――っ!!」という叫び声をあげず常人の会話が可能で、とある異能まで所持している特別な存在なのだ。
他にもコンピューターを使った演算処理や相手との関係を良好にする交渉術。果ては家事、料理までこなせ、何よりも俺への忠誠心が非常に高く、今では『ショウカ』という名前を付け、俺の側近としてついている。
その彼女がなぜここにいるかというと、前々から疑問に思っていた
彼女―――ショウカは懐から一つの端末を差しだし、俺はそれを閲覧した。ショウカはそれに合わせ説明を始める。
「現在、煉様を襲撃した堕天使たちはこの町にある廃墟となった協会に潜伏している模様です。現在、数人の監視を付けています」
「そうか。なんか対策でも練ってくること思ったんだがな」
俺は意外な報告に拍子抜けした。
ショウカに調べさせていたのは俺を襲撃した堕天使の残党についてだ。先日、堕天使の一人であり、この状況の主要人物であるレイナーレを殺害……つまり俺は原作崩壊を引き起こしたことになる。そこで俺は原作とは違う新たな展開の可能性を考えていたのだ。「覚えていろよっ!!」なんて言う捨て台詞まで吐かれたし。
自分がやってしまったことなので自業自得なのは重々承知している。だからこそ念のために調べさせておいたのだ。
だが結果は杞憂に過ぎなかったらしい。
「じゃあこれだと、原作通りに神器抜き取りはそのまま行われるか」
「……それは、どうでしょうか」
「ん?」
俺は歯切れの悪いショウカの返答に疑問を持つ。見ると、ショウカの顔が険しくなっているのが分かった。何があったのか聞いてみる。
「実は、関連してこの数日の間に駒王町に来た者についても調べていたのですが……転生者特有の力の波動がある者が数人発見されました」
「……なに?」
先ほどまでの楽観的な考えが一気に消え、俺は真剣な表情になる。
「事実か?」
「はい。さらには現在堕天使が潜伏している協会に、その転生者が立ち寄ったことも判明しました」
「まじか……それだったら堕天使に何かあったんじゃないか?」
「いえ。滞在時間はほんの数分でした。堕天使も、協会からは出ていないので正確なことはわかりませんが、特に目立った音などはないそうです」
そう追加で説明してくるショウカだったが俺の不安は残ったままだった。
……だんだんきな臭くなってきたな。ただでさえレイナーレがいなくて原作崩壊まっしぐらなのにそこに転生者まで絡んでくるのはいただけない。嫌なことが起こりそうな予感だ。
「やっぱり、レイナーレを始末したのがいけなかったか……俺も結構あまいな」
「ち、違いますっ! 煉様に不手際があるわけではありませんっ!」
「うおっ!!」
独り言のつもりが聞こえてしまっていたらしく、突如と上げたショウカの声に俺は間抜けな声でショウカを見た。普段の無表情な顔ではなく、少しばかり涙ぐんだ表情をしていた。
「そ、そんなに大声を上げることじゃないぞ? あんまり、気にすんな―――」
「いえ、気にします。堕天使の件は当然のことをしたまでです。転生者については煉様の行為はまったくもって関係ありません。気を落とさないでください」
「え、いや、俺はそこまで―――」
「それに元はと言えば……完全な対処ができない私が悪いんです。私は煉様の側近なのに、いつもいつも迷惑をかけてしまいます……」
「お、おいショウカ?」
「使えない雑魚ですみませんっ!! 申し訳ありませんっ!! ご命令とあらば自殺でも何でも……」
「だぁぁぁあああああわかったっ!!! わかったから。少し、落ち着こうな?」
俺は興奮のあまり半ば迫ってきているショウカに言う。
ショウカは俺に対してただならぬ忠誠を誓う反面、このように自分を追い込むなど空回りする点が多々ある。
「あ………申し訳ありません。また私は……」
「いい。お前は側近として十分優秀だ。……そうだな。俺が特別何かしたわけじゃないよな」
「は、はいっ! 煉様が悪いわけではありません」
「ああ、そうだな。問題はこれからの対処だ」
俺がそう結論するとショウカは安堵した表情でおとなしくなる。どうやら納得してくれたようだ。
そんな安心する姿を見ていたが、だんだんと寄り添っているせいで近くにあるショウカの体に目がいき、俺は目線をそらした。
突然だがショウカは結構女らしい体型をしている。胸は素人判断だがCぐらいはあると思うし、ウエストもキュッとしまっている。十分美少女に入るレベルだろう。
加えてショウカは通常のショッカーと同じく、全身タイツのような戦闘服を身にまとっている(マスクは外させている。女にはショッカーのマスクは合わないだろうし)ので女性特有の体のラインがくっきりと出ているわけだ。
だから、その、なんだ。何かいろいろ……男には目の毒なのだ。
「―――煉様。どうなさいました?」
「あ、いや……何でもない」
「? そうですか」
あ、アブねえっ! ショウカの体に少しばかり反応してたことに気付かれるところだった。
しかしながら、改めて考えてみると美少女に側近としていてもらうなんて生前の俺からは想像もできない。そんな子が俺に従っているんだ。どんな指示にもちゃんと聞いていて……。
『れ、煉様が望むなら……私のすべてをあなたに捧げます』
……はっ!! やべ、また妄想してた。バカげた考えを振り払い、できるだけポーカーフェイスの表情ででショウカに端末を返した。
「とりあえず、監視の継続だけしといてくれ。後は何とかする」
「わかりました。お気をつけて」
そのセリフを最後に、ショウカはまた木の茂みに消えていった。
しばらく沈黙が続く。
『反応が童〇だぞ、相棒』
「うるせぇ。黙れ」
ドライグに正論を言われ、俺はそう返すしかなかった……今度、別の戦闘服の準備でもしとくか。
「―――――――」
「――――――っ!!!!!」
「ん? なんだ?」
何とかひと段落して部室に戻ろうとすると、何やら叫び声のような声が聞こえた。こんな時間帯に悲鳴とはなんだかおかしいと思い、俺は悲鳴が聞こえた場所に向かう。
しばらくすると、とある裏路地に二人の影があった。真夜中のせいで姿はよく見えないが、大柄の人物が一回り小さい子の腕をつかんでいるのが分かる。
「きゃあっ!や、やめてくださいっ!!」
「うるせえっ!! いい加減に俺の言うこと聞けっ!!!!」
声からすると大柄が男で片方が女か? 近づくにつれてだんだんと姿が見えてくると、大柄の男は怒りの表情で女ににらんでいる。女性の方は白いヴェールを頭に被っているので顔はわからないが、必死に抵抗しているようだ。
「聞かねえなら……少し痛い目に合わせるぞっ!!」
そういうと大柄の男が腕にハンマーのようなものを出現させる。
―――転生者かっ! くそっ、こんなところで犯罪まがいの行動をするつもりだっ!! 欲望ぐらい制御しろやっ!!!
そんなことを内心思いつつも、俺は瞬時に籠手を出現させた。
『Boost!!』
一度の倍加により、体が軽くなる。そしてそのまま一気に男に詰め寄った!
「何してんじゃお前ぇっ!」
「な―――グハアッ!!!」
男は反応しきれなかったのか俺の拳に対応できず、そのまま壁に吹っ飛ばされた。俺は襲われていた女の人の前に立つ。
「下がってろっ! もう大丈夫だっ!!」
「う、うぅ…………は、はいぃっ」
後ろにいるので顔はわからないが、涙ぐんで怖がっているのは伝わった。本当にロクなやつがいないな。転生者は。その吹っ飛ばされた男は壁の残骸から吐血しながら出てくると、さらに憤る。
「……てめえ、ふざけてんじゃねえぞ。俺に何してくれてんだっ!! 邪魔すんじゃねえっ!!」
「お前が何してんだよ。こんな犯罪まがいの行為してどうすんだ。倫理を考えろ倫理を」
「はっ!! 俺は神に選ばれた転生者だぞっ!! そんなもん関係ねぇっ!!!」
ダメだこいつ、まともな会話ができない。すると男は何かにきづいたかのように舌打ちをする。
「チッ、お前も転生者か。やっぱりその女狙いかよ、人のこと言えねえじゃねえか」
「あ? 何言ってんだ? 俺はお前みたいなクズ行動なんかしねえよ」
「ごちゃごちゃいいんだよっ!! どうせてめえはここで死ぬんだからな!!」
「それはこっちのセリフだ、バカ野郎」
『Boost!!!!』
「解放だ! ブーステッド・ギア!!」
『Explosion!!!』
会話をしているうちに、7回目の倍加を終え、俺はまた男に突進した。
「ブ、ブーステッド・ギアだあ!? 何でそれをお前が―――」
「おりゃあああっ!!!」
男が驚愕するのを無視し俺はまた腹に向かって拳を振るう。
この時、俺は長年の修練によって完成させたある技術を使った。俺の倍加した力を、余分なところに変わらず敵にダメージだけを浸透させる拳。
「―――浸透破壊っ!!!!」
「―――――――――――――――――――――っ!!!!!!!」
男はあまりにも強烈な一撃に言葉にならない声を上げた。するとそのまま地に倒れ落ち、ピクピクと痙攣するばかりでそのまま立つことはなかった。
俺も拳に激痛を生じた。いま使った技術は腕にかなりの負担がかかるので使うとこんな状態になってしまう。
「まだまだだなぁ……」と愚痴をこぼしていると不意に背中に衝撃が来る。
それは攻撃によるものではない。襲われていた女の子が抱き着いてきたのだ。まだ怖い思いがあるのか、からだは震えている。
「もう、大丈夫だ。安心しろ」
「………はい、ありがとうございます」
きれいな声が聞こえてきた。感謝の言葉に俺は顔をほころばせるが「ん?」と疑問に思った。
なんだかこの声、聞いたことがあるような……。
俺はまさかと思い、すぐさま振り返る。そこには白いヴェールを頭に被ったシスター服の女の子がいた。きれいな金色の髪をしたその少女は、俺がとても見覚えのある人物でもあった。
「これも……主があなたを呼んで、わたしを助けてくれたんですね」
涙がらにそう言いながら、原作のヒロインの一人―――アーシア・アルジェントは俺の手を握ってきた。
ショウカの名前の由来
『ショッカー』→『ッ』を『ウ』にして『-』を外しただけ。
アーシア登場です。