ハイスクールD×D×S 悪魔×赤龍帝×ショッカー   作:END

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すみません、遅れました


経緯と宣言

「で、煉。説明しもらえるかしら?」

「一人でいたので連れてきました」

「そんな捨て猫を拾ってきた感じのノリで言われても……」

 

 部長は頭を抱える。

 あの後、手をつないだまま俺から離れなかったアーシアをどうすればいいか考えたのち、取り敢えずオカルト研究部の部室に連れてくる事にした。

 俺が聖女の恰好をした女の子を連れてきたときは当然部員全員が驚き、大人数のせいか、アーシアは俺の制服の裾を握ったまま離さなかった。(この時、小猫ちゃんからジト目をいただいたのは極力無視した)

 だがそんな状態も落ち着いたのか、今はソファに座りながら興味津々の黒歌とむっとした表情の小猫ちゃん達と色々話しているようだ。

 

 そんな姿を見ながら、部長はため息を吐く。

 

「正直言って事態は複雑よ。彼女はシスター。私達にとっては敵体勢力として認識されるし、ここにいる事が3大勢力の再戦の引き金になりかねないわ」

「はい。それは理解してたんですけど……ほおっておくこともできなくて」

 

 アーシアは未遂に終わったとはいえ、転生者の男から襲われそうになったのだ。普通の女の子だったら恐怖で心が壊れてしまうだろう。その返答に、部長は少し微笑んだ。

 

「別に、あなたの行動がいけなかったわけじゃないわよ? むしろあなたはあの子を助けた。それはとても誇らしい……でも、倫理だけで解決する問題でもないのよ」

 

 俺と部長は同じく頭を悩ませる。そんなことをしていると、つくっているのがバレバレな笑みを浮かべた正樹が、アーシアに近づいた。

 

「初めまして、アーシア。俺は―――――」

「きゃあああっ!!!れ、煉君っ!!!!」

 

 アーシアは正樹が詰め寄ると悲鳴をあげ拒絶し、瞬時に逃げ出した後、俺の左腕にしがみつく。顔からあふれ出る気味の悪さに、またあの男のことについて思い出してしまったのだろう。俺はやさしく頭を撫で「大丈夫です、大丈夫ですよ」と彼女をなだめた。これで安心できればいいのだが。

 拒絶された正樹に関しては笑みを引きつらせ、口元をピクピクさせていた。

 

「どうやら、あなたにしか心を開いてないらようね」

「……ですね。このままだと―――――っ!!!」

 

 瞬間、俺の左腕に激痛が走る。先ほどの戦闘で使った浸透破壊の反動が来たようだ。俺がもう片方の腕で左腕を痛そうにつかむとアーシアが目を見開かせる。

 

「ど、どうしたんですかっ!? もしかして、私が抱き着いたから……」

「あ、いやいや違いますよ。さっきの戦闘で無茶しちゃっただけですから」

「それは大変ですっ! すぐに治療しないとっ!!!」

 

 するとアーシアは『聖母の微笑(トワイライト・ヒーリング)』を出現させ、俺の左腕に当てる。すると淡い緑色の光のオーラが俺の腕を包み込み、だんだんと痛みが引いていくのがわかった。

 その様子を見て部長を含め、眷属全員が驚愕する。

 

「っ!? それは『聖母の微笑(トワイライト・ヒーリング)』じゃない! 悪魔でさえも治癒してしまう回復系神器の中でも高位クラスに分類されるもの……そう、あなたが協会から追放されたのも合点が言ったわ」

「……はい。私はこの力のが原因で協会から異端とされました」

 

 その後、アーシアはこれまでの経緯について話してくれた。

 

 小さいころから教会で育ったアーシアは、神器の力に目覚めると聖女として崇められた。しかし、偶然にも悪魔を治療してしまったことから「悪魔をいやす魔女めっ!」と教会から追放された。その後、すぐに出会った悪魔祓いの組織に加入することになり、先日から通達をもらって堕天使とともにこの町の教会に派遣されることになったのだ。

 

 ここまでは原作通り。しかしその後、事態は急変する。

 

 ある日、自分たちがいる教会に数人の男たちが来た。堕天使たちはすぐに光の槍を出して男たちを睨み付けたのだがその中の1人が前に出た。

 

『我々はあなたたちと話し合いがしたいだけです。少しばかり時間をもらってもよろしいでしょうか?』

 

 その言葉はとても冷静で静かだったが、それと同時に不気味なものでもあったのだ。まるで何かにべっとりと張り付くような気味の悪い感じ。堕天使たちはその言葉が異様なものだと感じ取ったらく、警戒を解き話し合うことになった。

 堕天使たちはアーシアをその場に待つよう命じた後、協会の奥の方に消えていった。

 ほんの数分だっただろうか。堕天使たちと話を持ちかけた男が戻ってきた。すると堕天使たちはアーシアをその男たちに引き渡すという話になったのだ。

 当然のことで呆気にとられてしまったアーシアだったが、すぐに理由を聞いた。

 

『神はお前を見放した。それだけだ』

 

 その言葉はアーシアにとってひどく、残酷なものだった。魔女と言われ、異端として追放されてしまった身ではあるが、今でも神を信じ、祈りをささげない日など一度たりともなかった。そんな自分がなぜ……。

 茫然と立ちすくんでいると、男たちの一人が大きな布をかぶせてきた。何をするのかと思ったのだが、その布に覆われると自由に身動きが取れなくなってしまったのだ。外部からの光は全くなく、男たちの声しか聞こえなかったらしい。

 その後は数日ほど経過したらしい。だが神から見放させたことに対して絶望していたアーシアはそんなことも気に留めることはなかった。でもふと耳を澄ませると、外が騒がしくなっているのが分かった。会話の内容までは理解できなかったが、どうやら口論になっているらしい。

 しばらくその声が続くと、グシャッという生々しい音が聞こえてきた。最初は何か食べ物でも落としたのだろうと思ったが、そんな考えをかき消すかのように大柄の男の声が聞こえた。

 

『はっ!! 死にやがれこのクソ野郎が。この女は俺のもんなんだよっ!!』

 

 グシャッ!! グシャッ!! グシャッ!! グシャッ!! グシャッ!! グシャッ!! グシャッ!! グシャッ!! グシャッ!! グシャッ!! グシャッ!! グシャッ!! グシャッ!! グシャッ!! グシャッ!! グシャッ!! グシャッ!! グシャッ!! グシャッ!! グシャッ!!

 

「―――そして、その後……」

「いえ、もう話さなくて大丈夫です」

 

 話していくにつれ顔色が悪くなっていくアーシアを見て、俺は会話を中断する。だがこれで大体のことは理解できた。そいつらは十中八九転生者だろう。協会から出ていくときにアーシアを確認できなかったのは転生者たちの特典の力だと考えれば容易に説明がつく。

 それにこれ以上話させたら、また悪い記憶を思い出してしまうだろう。アーシアの経緯を聞いた部員のみんなは、顔を険しくしていた。

 

「仲間割れ、ですか……」

「そのようだね。でも、殺すまでして叶えたいことだったのかな」

「自分の欲だけで動く連中なんてそんなもんにゃん。都合の悪いことが起きたらすぐに切り捨てるしか能がないのよ」

「ええ、そうね。それにしても、その男たちは気になるわ。私の監視下にある町で良からぬことを企てているのは見過ごせない」

 

 どうやらみんなその男たちにいい気持ちは持ち合わせていないようだ。それは俺も同じ気持ちでいる。自分たちの欲望でしか動かない奴らには本当にロクなやつがいない。ほとんどの転生者がそうなのだから目も当てられない。

 

 だが俺はそれと同時に警戒心を持っていた。その男たちは腐っても転生者、どんなにロクなやつらでないとはいえ、戦闘能力や特典は侮れない。もしかしたら今の原作キャラ達に大きな被害が及ぶ可能性がある。戦闘になったら最悪死者が出てしまうかもしれない。

 

 俺はそんなことを考え、部長にある提案をした。

 

「部長。そいつら全員、俺が始末します」

「「「「ッ!!!」」」」

 

俺が言った言葉に、部長たちは目を見開いた。

 

「何を言っているの!? 敵は複数。あなた一人で解決できるようなものじゃないわ。それにこれはこの町を管理している私たちの―――」

「ハッキリ言います。その敵が俺の予想通りの人物達だったら、今の部長たちでは返り討ちに会うでしょう」

 

 俺は今まで部長たちに見せなかった冷徹な顔を向けた。それを見たみんなは驚愕すると、顔をこわばらせる。俺は気にせずに続ける。

 

「俺はその奴らの詳細は知りません。でも、同類という意味でいえば、そいつらをよく知っています」

「同類……どういうこと?」

「今はまだ言えません。でも、生半可の気持ちで相手にするような連中でもないんです」

 

 一番重要な転生者のことははぐらかした。俺たち転生者は存在するだけで原作を崩壊させる。もしそのことまで話してしまったら、これからの展開がどうなってしまうかわからない。原作崩壊は出来るだけ少ない方がいい。

 

「それに……俺が突っ込んだ問題ですから。自分の尻は自分で吹きます」

「――――っ!!?? ……煉君」

 

 近くにいたアーシアの肩に優しく手を置くと、アーシアは泣きそうになりながら俺に抱き着いた。そんな姿を見て部長は観念したかのようにうなずいた。

 

「……わかったわ、この件はあなたに任せる。でも、いつか話してもらうわよ。あなたのこと」

「はい、わかりました」

 

 そう返事を返すと、俺は『S×S』で召喚させておいた戦闘員たちの動向を確認する。アーシアと出会った後、すぐに転生者らしき集団の探索を命令していたのだ。

 

「では、すぐに向かい――――」

「待つにゃん。煉」

 

 だが、俺が行動に移そうとした瞬間、いつものおちゃらけた態度が全く見受けられない黒歌が止めに入った。

 

「当てもないのにどうやって探すつもりなの?」

「大体の目星はつけてある。後は地道にやって―――」

「それだと時間がかかるわ……私も行くにゃん。仙術を使えば探索は簡単よ」

 

 黒歌が言った一言に、部長たちは目を見開いた。

 

「煉一人だけ向かわせるのは、無責任にゃん。私の眷属が持ってきたことなら関係あるのだからね」

「ちょ、ちょっと待って黒歌。あなた他の今の立場は―――」

「わかってるわよリアス。私は勝手に行動できるような状態じゃないにゃん。一歩間違えれば、処分は免れない。でもこれは、眷属が起こした私自身の問題になるにゃん。それに……あなたはこの町の管理者。迂闊に得体のしれないものと戦うわけにはいかない。まずは、私がどんな敵か確認しないとね」

「あなた……それは」

「もちろん、ちゃんと帰ってくるにゃん。こうして妹と生活できるのも、リアスと”あの人”のおかげだしね」

「姉様……」

 

 小猫ちゃんはいつもの無表情とは違う不安な顔つきを見せながら、黒歌に寄り添う。そんな心配する小猫ちゃんに、黒歌は頭を撫でた。

 

「あなたの慕う男なんでしょ? 大丈夫にゃん」 

「……姉様、煉君に手を出しちゃダメですよ」

「あれっ!? そこ気にするにゃん!?」

「……冗談です。ムリはダメですよ」

「……ええ」

 

 どうやら、姉妹同士での話があったようだ。

 結局、俺は自分の主である黒歌とともに転生者たちの潜伏先に向かうこととなった。本当はすぐにでも向かうつもりだったが、何やら黒歌が行動するとなると冥界に対して多くの手続きをしなければいけないらしい。なので突入は後日になった。

 

 その後は解散のなったのだが、(アーシアは部長が一旦自分の家に連れて行くことになった)ふと小猫ちゃんが俺を呼び止めた。

 

「桐山君」

「ん? なんだ」

「姉様……姉を、よろしくお願いします」

 

 今まで見たことがない小猫ちゃんの態度に俺は一瞬言葉を失った。俺の服の裾をつかみながら、真剣な趣が感じ取れる。そこには姉を心配する妹の姿があった。俺は小猫ちゃんをまっすぐに見つめ、ニィッとほほ笑んだ。

 

「ああ、任せろ」

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