ハイスクールD×D×S 悪魔×赤龍帝×ショッカー 作:END
翌日。ようやく冥界に黒歌の行動手続きを済ませ、俺たち(俺は部長の計らいで学校に公欠をとった)は町はずれの工場地帯に来ていた。そんなこれから敵地に乗り込もうとする状況の中で、黒歌は警戒心も見せず呆れたように嘆息する。
「どうやら、ここにいるのは間違いないようだけど……気配が丸わかりにゃん。人払いの結界ぐらい張らないのかしら?」
「まあ、場所も場所だからな」
ここは駒王町でもめったに人が寄り付かない廃工場だ。あたりを見回してみても、一般人がここを使っている気配はない。もう既に使われていないようだ。しかし、ここに尾行を付けていた転生者たちが潜伏していることは、戦闘員たちの追跡や黒歌の仙術でわかっている。
俺たちはその倉庫の裏側にまで近づくと、すぐ近くに待機させておいた監視用の戦闘員たちを呼び出す。待っている間、その場に沈黙が続き、だんだん気まずくなってしまった俺は黒歌に対して疑問に思ってたことを聞くことにした。
「なあ黒歌。お前いったい何したんだ? わざわざ冥界に申請しないと動けないって相当なことなんだろ」
「……いきなりどうしたにゃん?」
「まあ、なんとなくだ。言いたくないんなら別にいいけど」
「にゃはは、それほど気に掛けるほどじゃないにゃん……昔ね。いろいろあったのよ」
すると、黒歌の顔に影が差すのが分かった。倉庫の壁に寄りかかりながら、自分の腕を組む。
「リアスの眷属になる前、私と白音は別の上級悪魔の傘下に入ってたにゃん。でも今から5年くらい前、とある異能者の男に王が殺されてね。私たちはその男に連れて行かれたにゃん」
異能者―――おそらく転生者だろう。原作過去から介入してヒロインの手に入れようとでもしたのだろうか。
「その男はとんだ最低男でね。『今日からお前たちは俺のもんだ』って私たち姉妹に自分の欲望をぶつけようとしたにゃん。まあ、白音には絶対触れさせなかったけど」
「……じゃあ」
「ふふ、そんな顔しなくてもいいにゃん。私は元々そういうことに緩かったし。結局その行動も”ある人”が助けに来て未遂に終わったしね。私は今も処女にゃん……今回私がついてきたのも、そのことがあったからなのかもね。あのシスターちゃんが、昔の私たち姉妹みたいだったから」
「そうなのか……」
「でもその異能者の男。実は結構な権力を持つ上級悪魔だったらしくて。悪魔の上層部のやつらが騒ぎ出したのよ。『純血の血を絶やすとは何考えてんだ~』とか理解できないこと言いだして、その悪魔を殺した奴を処分するって話になったの。だから私は”あの人”を守るためにその人が行った殺害を私がやったって名乗ったのよ。このことを知っているのは魔王やリアスのごく少数ね。白音にもうまく合わせるように言ってるにゃん」
……そんなことがあったのか。上級悪魔、つまりその転生者は、生まれが純血の悪魔の家系に転生をするっていうのが特典だったんだろう。話の中にあった”ある人”については気になるだろうが、これで原作とは違う展開になったのは理解できた。
そして罪をかぶった後、黒歌と白音はまた行き場をなくしていると、魔王の計らいによってリアス眷属に引き渡されたらしい。いまだ監視はついているが、生活は安全なので姉妹ともども普通の生活ができたようだ。
「だけど白音は、まだその時の恐怖が残ってるらしくて、あまり感情を出さないようになったのよ。名前まで変えちゃったし、私はそれが唯一の悩みだった。でもね―――」
黒歌は俺を見つめる。そこには妹を大事にしている姉の顔があった。
「白音があなたの話をするとき、昔みたいに笑うようになったのよ。最初は驚いたけど、本当にうれしかった」
……え? 何でそこで俺が出てくるんだ?
「俺、小猫ちゃんにどうこうしたつもりはないぞ。どこかで会ったのか?」
「さあ? そこまでは私にもわからないわ。ある日突然あなたの話をしだしたんだもん。でも、あなたのことを想っているのは確か……妹のこと、よろしくね」
今そんなことを言われても反応に困るだけなんだが。というか、いまだ小猫ちゃんの件はわからずじまいになってしまった。
俺はその後何も言えなくなってしまい、またしばらく沈黙が続く。だが俺と黒歌の目の前にスーツを着込んだ数人の男たちが現れた。
「煉様、お待たせしました……煉様?」
「あ、ああ悪い」
ついボーッとしたままになり、戦闘員たちが疑問の表情を見せていた。このことはまた別の機会に考えることにしよう。俺は考えをやめ、戦闘員たちに問う。
「状況は?」
「数は7人。うち2人は睡眠状態です」
「警戒心ないなぁ、襲撃される可能性とか考えねぇのかよ」
「……煉。こいつらは誰にゃん?」
「俺の部下みたいな奴らだ。通常は人間の外見で活動させてる」
そう説明すると、戦闘員の一人が端末を取り出す。
「こちらが内部の様子です」
俺は端末を受け取り、黒歌とともに映し出された映像を見る。そこには数名の男たちが笑いながら話していた。
『あはははははっ!! あの堕天使たち、簡単にアーシアを渡したなっ!!』
『そうだぜっ! このままなら他の原作キャラたちも思いのままなんじゃねえのか?』
『言えてるっ!! ホントッ! 神様転生様様だなっ!!』
「……原作、神様転生ってあの上級悪魔と同じこと言ってるにゃん。どういうこと?」
「そこはあまり気にすんな」
黒歌には転生者のことは話さず、できるだけ話を逸らした。今はまだその時じゃない。
『それにしても……肝心のアーシアはどうするんだ? あのデカブツが、お前の袋奪って逃走しただろ。何人か殺りやがったし』
『あ~。ま、何とかなるだろ。俺たちの特典なら簡単に奪い返せるからな』
『言えてるっ!!』
何が面白いのか、またもや工場内に男たちの笑い声が響きわたった。この映像を見た俺たちは端末をしまい呆れるしかなかった。
「……楽観的にもほどがあるにゃん」
「だな。早く片付けよう」
するといつの間にか、俺たちの目も前には何十人もの男たちがいた。俺が指示を出したのち、ここに配置させておいた全員を集合させていたのだ。俺は待機させていた戦闘員たちが集まったのを確認すると、改めて工場を見る。
「いくぞ、戦闘態勢に入れ」
指示されたと同時に、戦闘員たちは懐から『M』のイニシャルが入ったメモリを取り出した、
『『『『『マスカレイドっ!』』』』』
不気味な効果音を鳴らしながら首筋にマスカレイドメモリを挿し、戦闘員たちの(人間状態)身体の中に入っていく。先ほどまでの顔が、骨とムカデを彷彿させる仮面が装着された。
俺と黒歌も戦闘態勢に入り、黒歌は闘気を纏わせ、俺は籠手を出現させた。
「―――いけ」
「「「「「ウオオオオオオオオオオッ!!」」」」」
俺の出した命令とともに、マスカレイド・ドーパメント達は、一斉に倉庫内に入っていった。まずは転生者の技量の確認のため、戦闘員による奇襲を実行することにした。
戦闘員たちが倉庫内に入っていくと、すぐに倉庫内に轟音が響き渡る。
『な、なんだこいつらっ!?』
『おい、起きろっ!敵だっ!早くしろっ!』
『ぎゃあああぁぁぁぁぁぁっ!!!!』
倉庫の中から転生者の悲鳴が聞こえてくる。奇襲は成功したようだ。
俺と黒歌は互いに頷き、倉庫の中に進入した。中はひどく荒らされ、未使用の備品などがあちこちに散らばっている。そんな場所で無数のドーパントたち(すでに籠手で強化済み)と転生者は戦闘を繰り広げていた。だが転生者の2人は防戦一方のようでで、既に2人は血を流して倒れている。
俺はボキボキと拳を握り鳴らしながら、黒歌にいう。
「黒歌はあっちの2人を頼む。あとの3人は俺だ」
「ふふふ、あなたの力。見せてもらうにゃん」
俺はそういうと、転生者3人が一か所に固まっているところに向かった。その3人はある程度の統率力はとれているらしく、最初は防戦一方だったが、今では数十体の戦闘員たちを対処していた。
転生者のリーダーらしき男が俺にきづく。
「お前、転生者かっ!! いったい何が目的だっ!!」
「お前らが原作キャラに介入しすぎたから、その後処理だ」
「ちぃっ!! お前等、やれっ!!」
男がそういうと、近くで戦っていた2人が俺の方に突進してくる。片方の男が先に飛び出し、腕をガチガチにさせて俺に向かって拳を振るってきた。俺はそれに拳で応じるっ!
「
「はあっ!!!」
俺の籠手と転生者の硬化された腕がぶつかり合う。するとすぐに転生者の硬化されたはずの腕に亀裂が走り、そこから血が噴き出す。男は「ぐあっ!!」と悲痛の声を上げながら顔を驚愕とさせる。
「お、俺の硬化が……!?」
「『硬化』は気張りがないと、それほど脅威じゃねえっ!!!」
俺はそのまま力任せに拳を振るい、男を地面に打ち付ける。ゴオオオンッ!! という音を響かせながら、地面には蜘蛛の巣状の亀裂が入った。
「なっ!? このクソ野郎がっ!!!」
仲間があっけなくやられたことに動揺したのか、もう片方の転生者が動揺を見せながら俺に火炎放射器のようなものを向け、高火力の炎を放射させた。
「うおっ!? あぶねっ!」
俺は横っ飛びで炎を避ける。この炎は一度引火してしまえば最後、燃え尽きるまで消えることはない。後少しでゲームオーバーになるところだった。
これを好機と見た転生者は、一気にルビカンテのパワーを上昇させた。
「これで終わりだっ!!
男がそう言った瞬間、火炎放射器の銃口から球状の炎が発射された。
ゴオオオオオオオオオオオオオオオオンンッ!!!!!!!!
俺がいた場所に放たれた炎球は怒涛の轟音を響かせるとその炎を膨張させ爆裂した。その光景を見て殺したと思った転生者はその場で愉快に高笑いをした。
「はははははははっ!!! これで燃え尽きろっ!!!!」
「ごめん。今お前の背後だわ」
シュパッ!!
俺は笑いながら油断していた転生者の首に手刀を入れると、まるで糸が切れた操り人形のように倒れた。これで2人の始末が終わりだな。
俺が転生者2人を難なく倒していく姿を、茫然と見ていたリーダー格の男に細く笑んだ。
「後はお前だけだな。大人しくすれば怪我せずに済むぞ?」
「……くそっ! ふざけんなっ!! だったら捕まえてやるっ!」
怒りの声を上げながら、リーダー格の転生者が身体から白いオーラをたぎらせ、手に風呂敷のような布を出現させる。
なるほど、『
「オラッ!」
男は俺に風呂敷をかぶせるために急接近し、風呂敷を広げる。しかし、俺は覆いかぶさろうとする直前に後方に移動し拘束から逃れた。男は懲りずに俺に接近してくるが先ほどと同じ結果だ。
俺が風呂敷を難なく避けていると、次第に相手に焦りの表情が見えた。
「チィッ! ちょこまかと逃げやがって! それしかできねえのかよっ!!」
「……」
お前の動きが単調すぎるから簡単に避けられるんだろうが。この戦闘ぶりから特典に頼ってばかりで修行も何もしていないんだろう。
俺は内心でそう突っ込みつつ、その風呂敷を持つ男に瞬時に詰め寄り、腹に一撃を放った。
ドカアアアアアアアンンッ!!!
轟音を響かせながら、砂煙があたり一面に舞う。砂煙がやむと、そこにはピクリとも動かない袋使いがいた。
「はい、終了」
首をゴキゴキと鳴らしながら、俺はそういう。あっさりと終わってしまった戦闘に俺は何とも言えない感じになってしまった。だがそこで、黒歌が対処している2人の転生者のことを思いだした。
「やべ、黒歌のやつに加勢しないと――――」
「ぎゃあああああああああああああああああああああっ!!!!!!!!」
俺が加勢に行こうとしたすぐに男たちの悲鳴声が聞こえてきた。何事かと思い悲鳴が鳴った方を見ると、そこには黒こげになってピクリとも動かない転生者2人がいた。
黒歌は俺が見ていることにきづく。
「どうにゃん? ちゃんと始末できたわよ」
にやりと笑う黒歌を見て、俺は改めて戦闘でとても頼れる人物だと実感した。
「はい、これで完了にゃん」
生き残った転生者を縛り上げ、黒歌はフウ、と一息をつく。結果をしては俺たちの完全勝利。戦闘員たちは何人かやられたがそれほど気にする規模でもない。
「案外簡単だったわね。これならリアスたちが戦っても問題なかったんじゃないの?」
「……ああそうだな」
「ん? どうしたにゃん」
そっけない返事に黒歌が疑問の表情を浮かべる。確かに、問題視された転生者たちはこうして始末した。これでアーシアを襲おうとするやからはいない。一件落着、これで一安心だ。
そのはずなのに……俺には達成感が感じられず、胸の内にわだかまりのようなものが残っていた。
するとそこに、新たな疑問が生じる。
「……こいつら本当に黒幕なのか?」
正直言って、この転生者たちの戦闘能力は拍子抜けだった。倉庫にいた全員が神からもらった特典に頼りきりで戦闘の”せ”の字もない。さらに言えばアーシアが話していた協会で堕天使たちと交渉した話術を持つ者もいない。
……いったいどうなっているんだ? それに何か、嫌な予感がする。
俺がそんなことを考えていると、黒歌に突然、小規模の魔方陣が展開された。確かあれは、通信型の魔方陣だったな。しばらく、通信内容を聞いていた黒歌だが、突然声を上げる。
「はあ!? 何してるにゃんっ!!」
「どうした?」
「……正樹が、アーシアを連れて姿を消したにゃん。何やってんのよあいつ………っ!!!」
俺が疑問に思っていることは、皮肉にも的中した。
マスカレイド・ドーパメント 仮面ライダーW
元ネタ
『不思議で便利な大風呂敷』→ ハンター×ハンター
『硬化』→僕のヒーローアカデミア
『煉獄招致ルビカンテ』→アカメが斬る