ハイスクールD×D×S 悪魔×赤龍帝×ショッカー   作:END

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本当に申し訳ありません。明けテストにかぶって検定試験が重なって勉強してました。
本当に申し訳ありません。


アーシア争奪戦②

「もしもと思って監視を付けといてよかったな。おかげで簡単に見つけることができた……」

 

 そんなことを呟きながら、服についたほこりをパンパンと叩く。

 奇襲の提案をした際、何も反論しなかった西原を見て疑問を持った俺は一応監視の戦闘員を配置しておいたのだ。何かやらかすのではないかと予想できたわけだし。そして案の定、アーシアを勝手に外に連れだし、あまつさえ黒幕の転生者に連れ去られたというわけだ。同じ転生者としてあきれるしかない。

 

 ちなみに奇襲で一緒だった黒歌は西原の治療のために部長たちの方に向かった。結構な重症らしく部長一人の力では全快できないらしい。俺としても一人の方が好都合なためこうして協会に来ている次第だ。

 

 そんなことを思考しつつ、崩壊した壁によって起こった砂煙の中から、俺は状況確認のために教会内を見渡した。

 そこにはツルのようなもので固定されていたアーシアに加え、やや太り気味な少年に……ん? 例の堕天使たちもいるな。

 状況分析に精を出していると、唖然としていた太り気味の少年が我に返ったのか、殺気を放ちながらこちらを睨み付けてくる。

 

「君は、何者だ? その左腕にある籠手……それは君がもってるはずの無い力だ」

「そんなこと聞かなくてもわかるだろう? お前と同じ、この世にいるはずのなかった存在だ。金木総司」

「……僕のことがわかるのか」

「監視していた映像にしっかりとな。まあ、だからなんだっつう話だけど」

 

 おれはそういうと、その場で軽い助走をする。

 シュンっ!!

 風の斬るような音を立てながら、金木の視界から俺がいなくなる。金木は目をぎょっ!とさせるが、気が付けばまた同じが所に立っていた。その腕にアーシアを抱えながら。

 

「!!?? いつの間に……」

 

 金木自身、直接戦闘能力に関してはお世辞にも良いと呼べるものではない。ポケモンの使役さえあれば己の力は必要ないからだ。だが金木も転生者。それなりに戦闘をこなし、大体の敵の動きは把握できていたのだ。しかし、金木は全く見切ることができなかった。それは、目の前にいる少年が、それほどの力を持っていることを明白にさせるものだった。

 

「アーシアさん。後は安心してください。あいつは俺が何とかします」

「れ、煉君……」

 

 アーシアは俺の名前を言うと、糸が切れたように脱力した。さっきの魔法は催眠効果のあるものなのだろう。

 それを見た後、俺はいまだ驚愕としている金木に顔を向けた。

 

「おとなしく帰れ。そうすれば敵とは判断しない」

「……ふざけているのかな? そんな提案に乗るバカはいないと思うけど」

「今の動きもまともに感知できなかったのにか?」

「……あまり、舐めないでくれないか?」

 

 金木はそこまで言うと懐から3つのモンスターボールを取出し、放り投げる。

 

「出てこい。ゴウカザル、モジャンボ、ドータクン」

 

 投げられたモンスターボールから、金木が呼んだポケモンたちが出てくる。

 

「ギャアアッ!!」

「ウウウウウウっ!!」

「オオオオオオオオッ!!!」

 

 モンスターボールから出てきたポケモンは、それぞれ圧のある鳴き声を放ちながら俺を睨み付ける。金木は元々使役に特化した転生者だ。自分の力量、つまりさっきの動きが分からないだろうが関係ないというわけだ。

 

「こっちは3体のポケモンに中級堕天使が3人。まともな戦いになるはずがない。君の命の方が危ないよ?」

「……はぁ、やっぱりこうなるのか。めんどくせえけど、敵なら仕方ない」

 

 案外余裕そうな俺の態度に金木はついに頭にくる。そして、その場に立ち尽くしていた堕天使に指示しようと―――。

 

「堕天使たち。この男を始末し―――――」

「一斉射撃、開始」

 

 ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドッ!!!!!!!!

 

 俺の指示とともに、銃声が協会内に鳴った。堕天使たちは成す術なくただそこにある的のように銃弾を受け、最後には力なく倒れていく。やはり踏み台キャラらしく、最後はあっけない死だな。

 金木はあっさり堕天使が倒されたことにまた呆気にとられ、目の前の光景を見つめていた。俺の背後にはいつの間にか武装した者が数十人いたのだ。

 

「……さっき、戦いにならないって言ったよな?」

 

 腕の中にいるアーシアを戦闘員たちに預けながら、俺が話したことで金木はこちらを見つめてくる。それにより金木は驚いただろう。さっきまでふざけたような態度が全くなく、見下すかのような冷徹な目でこちらを見つめているのだから。

 

「確かに、正解だろうな。これは闘いなんかじゃない――――蹂躙だ」

「っ!? ドータクン、ひかりのかべ!」

 

 俺の発した言葉を聞いて、ぞぞぞっ!と嫌な寒気が襲う。金木は不味いっ!と焦りの表情を見せながら、ドータクンに咄嗟に指示をした。今守りに徹しなければ、確実に自分は死んでしまうと感じたのだ。実際、その判断は正しかった。

 ドータクンは金木の指示に瞬時に反応し、金木やポケモンたちが覆われるほどの半透明な壁が出現した。

 

 

 それとほぼ同時、またガーディアンたちの銃撃が開始された。協会内に銃声が響く中、肝心の弾丸は金木に届くことなく、金属の鉄板に弾かれたような音を立てながら壁に当たり、もはや原形をとどめていない銃弾は地面に散らばるばかりだ。

 

「モジャンボ、たねマシンガン! ゴウカザル、かみなりパンチで蹴散らせ!!」

 

 モジャンボは種のような粒を縦断のごとき速さでガーディアンたちに放ち、ゴウカザルは腕にバチバチと電気を纏わせ、至近距離からガーディアンたちを屠っていく。

 流石に神器で強化しても無理があったのか。モジャンボの攻撃にあったものは破壊、ゴウカザルの攻撃を受けたものは纏われた電気が原因で動かなくなった。機械兵であることが裏目に出たのだ。

 

 それでも俺は全く動揺させる素振りを見せない。その光景を一瞥しながら、右手でフィンガースナップをした。それを合図に俺の背後に戦闘員突然変異体のショウカが立つ。

 

「ショウカ、やれ」

「―――神器(セイクリッド・ギア)

 

 俺の指示に、ショウカが金色のオーラを発した。その光が収まるとショウカの両手には二丁拳銃のようなものが握られていた。

 

「――『金醒の双銃(グリット・スター)』展開完了。これより殲滅を開始します」

 

 ドパンッ! ドパンッ! ドパンッ!

 ショウカは展開した銃を目の前で交差させるとガーディアンを屠っていたゴウカザルとモジャンボに向けて発砲した。ゴウカザルやモジャンボはうまく躱し、ショウカに向けて攻撃をした。

 ショウカはそれを跳躍して回避する。

 

「空間転移領域展開。射出」

 

 ドパンッ! ドパンッ! ドパンッ! ドパンッ! ドパンッ! ドパンッ!

 ショウカはそういうとまた発砲した。二体はまた同じ攻撃なのかとあざ笑うかのように鳴きながら攻撃を回避しようとした。だがショウカが放ったはずの弾丸は途中、空間に現れた金色の膜のようなものに消えていった。

 

 ポケモンたちや金木はなんだっ!? と一瞬硬直すると、先ほど空中に現れた金色の膜が二体の背後に現れ、そこから先ほどショウカが放った弾丸が出てきてそれぞれに着弾した。

 

「「ギャアアッ!!!」」

「モジャンボ! ゴウカザル! くっ、転送系の神器か!」

「残念、不正解です」

 

 ショウカは跳躍した空中で持っていた二丁拳銃を手放す。するとその拳銃はパアッと光を放ち消える。するといつの間にか、ショウカの腕には大型のリボルバーが装着されていた。

 

「『虐殺の暴乱銃(ブラッド・バラッド)』射出」

 

 ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドッ!!!!!!

  赤子の手をひねるかのように、ありを踏みにじるように、鉄の雨がポケモンたちに降り注いだ。

 ポケモンたちは先ほどの銃弾により躱すことができず、ただただ銃弾を受けるばかりだった。その攻撃が終わると、ポケモンたちは見たことのない血を流しながら、地に倒れ伏した。

 

 

 ショウカはまた持っていた銃を消すときれいに着地する。

 

「そうか。君の神器はっ!!」

「ええ、私の神器は銃を取り出すものではないですよ? 新たに生み出したものです」

 

 ショウカは自分の周囲、それも空間内にいくつもの銃を出現させた。紅く燃え上がるハンドガンをはじめ、金色に光り輝くレールガン。漆黒の銃口に蒼い文様が浮かび上がっているガトリングガンなど、多種多様な銃が浮かんでいた。

 

 『魔銃創造(バレッド・メイク)

 

 これがショウカに宿っていた戦闘員の異能。創造系神器の部類に分類される銃を生み出す力を持つ。

 原作の設定では神器は人間に宿る。ショウカも戦闘員である前に人間だ。宿すことは十分に可能だったんだろう。

 実際、他の戦闘員にも神器が現れる例が出ている。この世界の設定から来た偶然なのか。果ては特典を渡した神の戯れなのか。どちらにしても嬉しい誤算には変わりない。原作には登場していないので完璧な解析はまだ終わっていないが、そのポテンシャルは今の戦闘を見れば容易に理解できるだろう。

 

「く……だが、この壁は破壊できないさ! ドータクンのレベルは100。当然とくしゅのステータスが高い。君の銃ではいくらなんでも……」

「破壊できるだろうが、それは俺がやろう」

 

『Explosion!!!』

 

 10回倍加させた神器の力を開放させると、俺は瞬時に壁の目の前まで詰め寄り、拳を一気に振りかぶる。

 

 ドゴォォオオンッ!! バリリィィイイイイイイイイイインッ!!!!!!!!

 

 まるでガラスを割るかのようにいとも簡単にドータクンが展開した壁が破壊された。すると金木のすぐ横を豪風が舞い、背後から壁が破壊された音が聞こえる。後ろを振り返ると、そこには一部胴体が壊れたドータクンがいた。

 

「またあの壁はめんどいからな、あいつはダウンさせる」

「くっそぉおおっ!! ドンカラス!!!」

 

 金木は事前に出しておいたドンカラスに命令する。すると俺の真上から鋭利な爪を立てたドンカラスが急降下してきた。不意を突いたことに成功したのか金木は笑みを浮かべたが……。

 

 ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドッ!!!!!!

 ショウカが創造した魔銃にあっさりと打たれ、羽をまき散らしながらそのまま地面に落ちた。

 

 ショウカが銃口を向けながら問う。

 

「さて、後の手持ちは2体だけだと思いますがどうします? ポケモン使いの転生者さん?」

「……僕にこのポケモンを出させるのは、久しぶりだなっ!」

 

 金木は2つのモンスターボールを取り出し、放り投げた。

 

「こい、ガブリアス!! サザンドラ!!」

 

 投げられたモンスターボールの中から、二体のポケモンが出てきた。

 

「ギャアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!」

 

「ゴガアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!」

 

 青い肌を持つガブリアス、両腕にも顔を持つサザンドラ。どちらもポケモンの中でトップクラスの力を秘めている。俺は顎に手を乗せる。

 

「ドラゴンタイプが2体。それも結構な上位タイプか。ショウカ、奴等は―――」

「心得ていますよ。煉様」

 

 俺の言葉を遮るかのようにショウカが発言し、こちらに柔らかな笑みを見せる。

 ショウカは今持っている魔銃を消すと新たに水色のオーラを発した。その光が収まるとショウカの手の甲に龍のデフォルメが施され、その口から銃口を伸ばす籠手らしきものが装着されていた。

 

「『氷河の凍砲(シルバー・スレイド)』。氷属性+龍殺しの力を持つ大砲型。当たったらあなたのポケモンもただではすみませんね」

「くっ!! 死ねえっ!!! ガブリアス!!、サザンドラ!! かえんほうしゃ!!!!」

『ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!』

「絶対零度、射出」

 

 互いに攻撃のトリガーを引き、大規模の炎と冷気が放たれた。ショウカが放つ絶対零度の冷気、ポケモン二体から放たれる灼熱の炎。両者の攻撃は衝突し、あたりに水蒸気が迸った。

 

 だがそこに変化が訪れる。少しずつではあるがショウカの放つ冷気が二体の火炎攻撃を押していっているのだ。金木は驚きの声を上げる。

 

「っ!? そんなバカなっ!! 二体同時の火炎攻撃なんだぞっ!! これでも力押しされるのか!?」

「私の氷がそれほど強力ということです。まだこの神器については解析は終わっていませんが、これで上位クラスの力があることが分かりました。貴重な情報、敵ながら感謝します」

 

 不敵な笑みを浮かべながら余裕そうに話すショウカ。

 

 

 

 

「ははは……僕のポケモンが成す術なく全滅か」

 

 凍結された二体のポケモンをモンスターボールに戻し、この光景に乾いた笑みを浮かべた。

 

――――次元が違う。

 

 このままでは殺されると悟った金木は一歩、一歩後退ると帰還用に展開した魔方陣の方に走ろうと後ろを振り返り―――。

 

 パリリイインッ!!!

 

 そこには、展開中だった魔方陣を殴りつけていた煉の姿があった。

 

「これで、逃げ道はなくなったな」

「……普通、魔方陣って物理攻撃で破壊できるのかい?」

「できるんだろ。こうして粉々なんだからな」

 

 ガチャチャッ!! と銃口が向けられる音が聞こえる。金木は周囲を見渡すと先ほど大損害を与えたはずのガーディアンたちが平然と佇んでいた。

 俺は拳を鳴らしながら、金木に近づく。

 

「俺の特典でね。モンスターポップみたいに無限に呼び出せるんだよ。消耗戦にしようとしたのは間違いってわけ」

「は、はははははっ!!! 最初から僕は詰んでいたって言うことか! 

「そういうこと。さて、女の子を泣かせた罰だ。甘んじて死を受け入れ名な」

「くくくっ……称賛しよう。僕をここまで追い込ませたのは君で2人目だ。今回は君の勝ちでいいだろう」

「なにまた戦おう的なこと言ってんだよ。お前はここで終わりだ」

「それは、どうかな」

 

 にやにやと笑う金木。一方的な蹂躙に頭でもおかしくなったのか? おれがそんなことを考えていると不意に予想外の人物が声を出す。

 

「うぅ……れん、君?」

「あれ? アーシアさん」

 

 金木の魔法によって眠らされていたはずのアーシアが意識を覚醒しだした。俺はそっちの方に意識を傾けると―――――。

 

「ドータクン!! だいばくはつっ!!」

「なっ―――――――!!!」

 

ドカアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアンッ!!!!!!!

 

 轟音。

 金木の命令とともに、ドータクンはだいばくはつをおこし、協会内が崩壊した。

 

 

    

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ガラガラッ!!!

 

 しばらくして、崩壊が止むと俺は瓦礫の中からアーシアを抱えながら出てきた。

 

 

「ててて……大丈夫ですか、アーシアさん」

「ケホッ、ケホッ、は、はい……」

 

 俺の腕の中にいるアーシアが大爆発によって巻き散らかれた埃で咳き込む。あの爆発の前、ドータクンが起こそうとしただいばくはつは強化させた戦闘員ではアーシアを守りきれないと判断し、咄嗟にアーシアを守ったのだ。その判断は正しかったらしく、アーシアを任せていた戦闘員は瓦礫の下敷きになり、粒子となって消えていった。

 

 俺はアーシアを開放する中、瓦礫が動きだし、そこからショウカが出てきた。彼女は高ステータスの個体なので何とか無事だったらしい。

 

「煉様、大丈夫ですか?」

「俺は問題ない。それより金木はどこだ?」

「おそらく自爆に見せかけてると思いますが、逃げる手段はなかったはず……」

「―――僕はここさ」

 

 突然上空から聞こえた声に俺たちは空を見上げる。そこには先ほど倒したはずのドンカラスの足につかまってぶら下がる金木の姿があった。金木はこちらを見つめる。

 

「―――みがわり、そのわざを使ったんだ。ドンカラスは紙一重で君の攻撃を回避していたんだよ。気配を消して待機させておいたのと睡眠の魔法を薄くしといたが救いだったね。備えあれば憂いなしとはこのことだ」

 

 ふーっ、とかいてもいない汗をふくような動作をしながら、金木は頭をうならせた。

 

「やっぱり、君は通常のポケモンでは対処できないらしい。だから準備のためにここまでとするよ。まだ僕の計画は続いているんだから。じゃ、また会おう」

 

 その言葉を最後に、金木はドンカラスにつかまったまま夜の空に飛び立った。

 

 それを見たショウカが瞬時に迎撃しようと神器の銃口を向けるが、俺は前に腕を伸ばし制止させる。

 

「煉様っ!! なぜ止めるんですかっ!! 奴を取り逃がせば……」

「わかってる。でも今は被害の確認と隠蔽工作が先だ。このままだと騒ぎになる」

 

 俺の冷静な提案に、ショウカは一時の感情で行動してはいけないと理解し、しぶしぶ従った。

 

 こうして、少しの不安要素を残したまま、俺たちの戦いは終結したのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 それから、数日のこと。それは放課後の部室でのことだった。

 

「というわけで、この子が今日から『僧侶』として悪魔になったアーシア・アルジェントよ。皆、仲よくしてね」

「よ、よろしくお願いしますっ!!」

「………なんのこっちゃ?」

 

 俺は目の前にいる制服姿のアーシアを見ながらそんな言葉を漏らした。

 あの後、アーシアを無事に救出した俺たちはアーシアのこれからについてどうするべきか考えていたのだが、そこに部長が待ったをかけ、すべて手配してくれると言われたのだ。

 原作キャラになら安心して任せられると判断した俺はそのまま部長に任せたのだが、それが今この状況……説明が欲しいところである。

 

 ちなみに協会の崩落については軽いニュースになったが、原因は老朽化による自然崩壊との判断で解決され、もともと使われていなかったせいもあってか、大きく取り上げられることはなかった。

 

「……部長。確か西原が起こした事態もあるから部長の眷属にはしないって話でしたよね? なんでアーシアさんが悪魔になってるんですか?」

 

 西原が起こしたことは主であるリアス・グレモリーに対する命令違反であった。

 今回は冥界とあまり関連性がなかったこともあって大した罰にはならないらしいが、数日間の謹慎処分を受けることになった。勝手な行動をできないように何重もの魔法の枷をかけられて。

 

 俺の質問に、部長はうなずく。

 

「ああ、そのことね。確かにそういったわ。正樹の件は私の監督ができていなかったせいであるし」

「ならなんで……」

 

 そこまで言うと部長はいたずらに成功した子供のように微笑む。

 

「でも……私の眷属とは一言も言ってないわよ?」

「え……それってまさか」

「ふふふふ、そうにゃん。私が眷属にしたの」

 

 ソファに座っていた黒歌が、テーブルにあるお茶菓子を口に運びながら言った。

 

「もともと行先もなかったようだし、思い切って勧誘したにゃん。それに勧誘した際に結構乗り気だし。ね? アーシア」

「は、はい」

 

 アーシアは俺の目の前にくる。

 

「私は、神を信じていました。今も忘れる事は出来ません。だって、生まれてきてからずっと信仰していましたから……。でも、私は新たに信じることができることができる人に会えました。煉君、あなたのことです」

 

 胸に手を当て、まるで懇願するかのようにこちらを見てくる。その瞳は、少し濡れていた。

 

「たくさんご迷惑をおかけしました。これからもあるかもしれません。それでも、私は……あなたのそばにいたい。駄目、ですか?」

 

 せつない顔をしながらこちらに問いかけてくるアーシア。やばい。反応に困る。

 

 助けを求めるように部長たちを見るが肩をすくめるだけで助けてくれる様子はない。俺は頭をかきながら何とも言えない表情をつくるも、アーシアを見つめた。

 

「……ええ。これからよろしくお願いします。アーシアさん」

「――――っ!! はいっ!!」

 

 アーシアは、出会って初めてとびきりの笑顔をして、俺の左腕に抱き着いてきた。

 ……やべぇ、想像以上に可愛い。

 

「……煉君」

 

 ぞくり、と俺の背後からものすごい迫力のある威圧を感じた。こんな殺気を放つ相手は俺は一人しか知らない。

 ゆっくりと後ろを振り返ると、そこにはいつも以上に無表情で冷たい目線を向ける小猫ちゃんの姿があった。

 

「……名前」

「へ?」

「アーシア先輩がいいなら、私も名前で呼んでいい?」

「え、あ、ああ。別にいいけど」

「……にゃん♪」

 

 小猫ちゃんは俺の名前呼びが承諾されると、猫声をしながら嬉しいように俺の右側の腕に抱き着いてきた。まるで寄り添うかのように。

 なんだこの可愛い生物!! こっちもめちゃくちゃやべぇ!!

 

「もぅ! 煉君!」

 

 するとアーシアが俺の腕を引っ張りながら、ほっぺたをぷくっと膨らませて怒っている。

 

 右側には小猫ちゃん、左腕にはアーシアに掴まれてしまい、俺は身動きが取れない状況だ。

 

 そして二人は軽く睨みあいになる。

 

 

「……離れてください。煉君が困ってます」

「こ、小猫ちゃんこそ。私はこれからよろしくって言ってくれましたから問題ありません!!」

「…………アーシア先輩。どうやら私達は戦う運命にあるようですね」

「……はい! 私、絶対負けませんからっ!」

「煉君、私は迷惑じゃないよね?」

「煉君、私は大丈夫ですよね?」

 

 互いに渡さないっと俺の両腕にしがみつく。

 結局この後、両腕を引っ張り合いにしている小猫ちゃんとアーシアになされるがまま、数時間もの間俺は二人にどちらがいいか問いただされるのであった。

 

 

 

 

 

 ……あ、また寝てねえ。これで3徹だ。




やはり、戦闘シーンが難しい。


 次は、2巻。

 フェニックスの回。
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