【完結】二回目の世界とメアリー・スー   作:ネイムレス
<< 前の話 次の話 >>

16 / 31
このお話は、ちょっと投稿するか迷いました。
物語の根幹の部分がちょいとだけ入ります。


第十四話

 最弱職の少年が不名誉な称号を手に入れた翌日。

 朝食時を過ぎた時分にようやく起きて来た頃には、屋敷の中には仲間達の姿は殆ど無く。残っていたのは、居間の大半を占める位に大きくなった狼のブラッシングをする召喚士だけであった。

「おはよう、カズマ。他の皆は朝早くから出かけてしまったよ」

「ああ、おはよう、ロー。お前も朝から精が出るな」

 嬉しそうに微笑んだ召喚士が、そんな風に言いながらブラシを放り投げて駆け寄って来る。一緒にブラッシングしていたメイド娘がそのブラシを拾い上げ、溜息を一つ落としてから死んだ魚の様な眼で作業を再開した。どうやら、召喚獣に召喚獣の世話を丸投げする様だ。

「なんだよ、二人ともこんな朝早くから出かけたのか」

 そんな事をぼやいた少年は、自らも出かけるので付いて来るかと召喚士に問いかける。朝食を自分で用意するのも億劫なので、出先で適当に済ませるのだと言う。召喚士はそれに二つ返事で了解して付いて行った。

 昨夜に全員で話し合った結果、真っ当に冒険をするにはやはり、壁役である女騎士の存在は不可欠と言う結論に至る。その為に、今日は各々自由に過ごす事になっていた。

 仲間の一人が食卓に居ない淋しさには、何時まで経っても慣れそうには無い。今晩も帰って来なかったら、何かしらの行動を起こそうと少年は密かに決意する。

 それはそうと、目下の悩みは召喚士が腕に身を摺り寄せる様に近くに居る事だろうか。油断すると腕に抱き付かれそうな程に近い。なんだが蜂蜜みたいな甘い香りもするし、この状況は少年的になんと言うか凄く困る。

「なあ、ちょっと近過ぎじゃないか。その、あれだ、もうちょっと距離を取っても……」

「……迷惑だったかな?」

 別に迷惑だと言う程ではない。ではなぜ少年は拒もうとしているのだろうか。そう、隣に居る召喚士は同性の筈なのだ。少なくとも少年の中ではそうなっているので、ここで流されるわけにはいかない。

「迷惑とかじゃなくて、……そう歩きにくいだけだ、うん。と言う訳でもうちょっと離れよう。な?」

「はーい……」

 最弱職の少年がやんわりと告げれば、召喚士は素直に頷いてほんの少しだけ距離を開ける。その代り、マントの端をちょんと抓まれてしまった。流石に振り払う気も起きずに、少年はその距離で妥協する事にしようと思う。

 思えば警察署で一緒に投獄されてから、距離が近くなった様な気がする。それまでは仲間同士でも遠巻き見る様な、一歩分壁を作った様な付き合い方だったのに。今ではその壁が無くなって、むしろ引っ付いて来そうな距離感である。

「こいつは男……、こいつは男……。多分……、きっと……、おそらくは……」

「うふふ……。楽しいなぁ……」

 ぶつぶつと呪文の様に繰り返す少年の後ろで、召喚士は無邪気な笑顔を浮かべるのであった。

 

 

 特に目的地があった訳では無くぶらぶらしていた二人だが、散策する内に街の雰囲気がいつもと違う事に気が付く。普段から露店が立ち並ぶ通りに来ていたのだが、今日はなんだかその露店や路上でパフォーマンスする大道芸人が増えている様な気がするのだ。

「気のせいじゃないと思うよ。ここ最近は機動要塞デストロイヤーの討伐報酬で潤っている冒険者目当てで、色んな商売人がこの街に集まってるみたいだからね」

 思った事を話してみれば、召喚士がさもあらんと説明してくれる。それを聞いた少年は複雑な気分になってしまった。少年達は血を吐きそうな借金を抱えているというのに、参加してただけの連中が金持ちになるとか世の中やっぱり間違っている。

 適当な露店で朝食を買い求めようと物色していると、ふと街並みに見知った顔を見かけた。それは先日知り合った黒いローブの少女。少年達の仲間である魔法使いの少女と同じ、黒髪赤眼を持つ紅魔族の女の子であった。彼女はおどおどとした態度で串焼きの露店を眺めている。

 特に買う訳でも無く、けれどチラチラと視線を送りながらうろうろしているので、あれでは露天商も非常に迷惑だろう。やがてその串焼き屋に他の客が並ぶと、彼女はその様子をじっと観察する。どうやら、買い方を見て学んでいる様だ。露店を利用するのは初めてなのだろう。

 露店で買い物を終えた先客が立ち去ると、黒ローブの少女は意を決して露店に並ぶ。やがて望んだ物を手にした彼女は、幸せそうに串焼きを口に運んで立ち去って行った。

 最弱職の少年は、珍しい動物を見守るかの様に、それを観察するだけである。

「気になるなら、声を掛ければよかったのに。……カズマは巨乳の方が好きなの?」

「いや、そっとしておこう……。それから、俺は胸に貴賤は無いと思っている。べべべ、別に胸見てたわけじゃねーしぃ?」

 もちろん、少年の言葉に説得力は微塵も無かった。男の子故に、致し方無し。

 閑話休題。

 珍獣観察を終えてから、適当な露店で空腹を満たしていると、少年達は道端の会話を耳にする。それは冒険者同士の他愛も無い情報交換。その内容は、ここ最近奇妙なモンスターを見かけると言う物であった。

「ふーん。引っ付いて自爆するモンスターなぁ……。やっぱりこの世界は、おかしな生き物が多いな。…………ロー、どうかしたのか?」

 少年が盗み聞いた話の内容を反芻していると、目の前の召喚士の様子がおかしい事に気が付く。どこか遠くを見つめる様な眼をして、非常に珍しく笑いもせずにボーっとしているのだ。訝しんだ少年が話しかけても反応がない。

 目の前で掌をぶんぶんと振って見せると、ようやく意識が戻って来たのか黒の瞳が少年を捕らえた。

「おい、大丈夫か? なんだかぼんやりしてたぞ?」

「あ……、うん、大丈夫。……ちょっと向こうの露店が気になったから、それを見ていただけだよ。ほら、あの射的のお店、楽しそうじゃないかな?」

 心配そうに覗き込んでくる少年に何時もの笑みを返して、召喚士は離れた所にある一つの射的屋を指差す。それは日本で見掛ける様な空気銃等では無く、異世界らしく弓矢で行う方式の射的らしい。日本では見かけないその方式に、最弱職の少年は確かに興味を引かれた。召喚士も乗り気なので覗きに行く事になる。

 朝食を終えてから射的屋に近寄ってみれば、そこには果たして見知った顔が先客として居た。黒いローブの紅魔族の少女である。

 彼女はまたもや露店に興味を持った様だが、先に遊んでいるカップルを気にしてか逡巡している様だ。デートコースに一人で遊びに行くのが恥ずかしいのか、じっと忍耐強く先客が居なくなるのを待ってから射的屋に駆け寄った。

 数回本格的な作りの弓矢で景品を狙うも、魔法使いではやはり上手く行かないのか景品は落ちない。そうこうしている内に再びカップル客が現れて、黒ローブの少女はそれを避ける為に射的屋を離れてしまった。

 離れはしたが景品が気になるのか、やはりカップルが居なくなるまでじーっと様子を伺っている。見ていて非常にもどかしい少女だ。

「カズマ……」

「ああ、しょうがねぇなぁ……」

 言葉は無くても同調した少年達は、連れ立って射的屋に近づいて行く。黒ローブの少女の背中にようと声を掛け、そのままの流れで射的屋の店主に金を渡して弓矢を受け取った。

「……? あっ! あの、カズマさん、こんにちは……! えっと、そちらの方はお仲間の……」

「ローズル。ローちゃんって呼んでくれるとうれしいな」

 慌てた様子で挨拶をしてくる黒ローブの少女を召喚士に任せて、少年は間髪入れずに弓を構え獲物を狙い見る。目標は少女が何度も狙っていた、蒼い武者鎧の様な人形だ。

「『狙撃』ッ!」

 スキルを使って放たれた矢は、高い幸運に導かれて獲物を打ち落とす。落ちた景品は傾斜を転がって客の元まで転がる仕組みらしく、それを取り上げて少年は少女に人形を差し出した。

「ほら、これが欲しかったんだろう?」

「あ……。あの、ありがとうございます……!」

 差し出された人形に、受け取っても良いのかと逡巡してから、それでも手を伸ばして少女は人形を受け取る。そしてぱっと華やぐ様な笑顔を浮かべて礼を言ってきた。

「駄目ですよお客さん。アーチャーと狙撃スキル持ちはお断りって、看板に書いてあるじゃないですかー。景品はあげますけど、料金は倍払ってくださいね……?」

 そして、それを見届けてから文句を言ってきた店主に、謝りながら追加で料金を払う少年は非常に恥ずかしげに俯く。全てを一歩引いて見ていた召喚士は、少年の顔を見てニヤニヤしていた。

 格好つけようとして格好がつかない少年は、実に少年らしいと言えるだろう。

「えっと、それじゃあ俺達は、他の奴らを探してるからこれで……」

「えっ? あっ……。あの……」

 気恥ずかしさも有り、片手を上げて立ち去ろうとする最弱職の少年。その姿を見て黒ローブの少女は、一瞬淋しげな表情を浮かべるが、直ぐに諦念した様な表情に変わり伸ばしかけた手を下ろす。

「あのっ、これ! 冬将軍、ありがとうございました!」

 ぺこりと頭を下げてお礼を言って来る。そして、礼を言ったのが恥ずかしかったのか、頬を桜色に染めながら雑踏に逃げて行く。本当に身近な紅魔族とは対称的な少女だ。

 それはそれとして、冬将軍に碌な思い出がない少年は、人形の正体を知って微妙な表情を浮かべていた。

「優秀な魔法使いで、謙虚な性格の女の子か……。何で俺、先にあの娘と出会わなかったんだろう……」

「…………トレードしたくなった?」

 立ち去る背中を眺めながらぽつりと漏らした少年の言葉に、召喚士はフードの奥で小首を傾げながら訪ねる。それに対して最弱職の少年は、ハッと鼻で笑って肩を竦めて見せた。きっと、それはそれで物足りないと思ってしまうだろうから。

「さあて、さっさと『俺達の仲間』を探しに行こうぜ。目立つからすぐ見つかると思ったのに、全然見当たらないんだもんな」

「ふむ……。素直じゃないなぁ……」

 素直ではない少年の精一杯の返答を聞いて、召喚士は嬉しげに微笑むのであった。

 

 

 黒ローブの少女と別れてから暫し街の中を散策していると、威勢の良い呼び込みの声が聞こえて来た。見ればずいぶんな人だかりが出来ており、何やら巨大な鉱石の様な物を取り囲んでいるのが見える。呼び込みの声は、どうやらその鉱石を砕ける者が居ないかと呼び寄せている様だ。

「ああ、お金を出して挑戦して、成功出来たら賞金が貰えるって出店か。こっちにもそう言うのがあるんだな」

 興味を引かれた少年が近づいて行くと、幾人もの屈強な冒険者風の男達が鉄槌を振るうも失敗を繰り返していた。力自慢がいくら鉄槌を振るおうともびくともしない、あの鉱石は余程の硬度を誇っているのだろう。

「あんな平べったいハンマーじゃ割るのは無理だよ。石の類は継ぎ目に合せて杭を打ち込んで、剥がす様に割るのが正しい方法なんだから」

「へー、じゃあ魔法使いでもないと、力尽くでどうこう出来るもんじゃないのか」

 召喚士が披露する謎の雑学に相槌を打ちながら出店に近づいて行くと、最弱職の少年は人垣の中に三度見知った顔を見つける。それは言わずもがな、黒のローブの少女であった。

 流石にこれだけ短時間に見かけたのであれば、仲間の一人のライバルであろうとも無視する訳にも行くまい。少年は素直に声を掛ける事にした。

「…………また会ったなゆんゆん」 

「あっ! さっきはどうもですカズマさん、ローちゃんさん! 見てください、アレ! アダマンタイト砕きですって!」

 黒のローブの少女は挨拶もそこそこに、目前で行われる競技をハラハラと手に汗握って観戦している。興奮しているのか、紅魔族特有の赤い瞳が文字通り輝いていた。恐らく、彼女の故郷ではこういった催し物は珍しいのだろう。

 ちなみに召喚士は、自分の名前の呼び方がツボに入ったのか、声を押し殺しながら肩を震わせていた。少年はそれをあえて見ない様にして、熱中している少女に話しかける。

「ゆんゆんはアレだろ、上級魔法も使えるんだろう? 何だったら挑戦してみたらどうだ。魔法使っても良いって言ってたぞ」

「私では無理ですよ、アダマンタイトなんて……。それこそ高破壊力を持つ、爆発系の魔法でもないと。爆裂魔法なんて無茶は言いませんが、爆発魔法か、せめて炸裂魔法位は使わないと」

 言ってから思い当たる人物がいたのか、少女は苦笑を浮かべていた。少年も非常に心当たりがある。その人物がこの場に居れば大惨事間違いなしだろう。

 二人が会話を交わしている間にも、鉱石砕きへの挑戦は続いて観衆が騒めく。召喚士の指摘した通り、未だに成功者は出ずに、賞金は積もり積もって二十万の高額へと至っていた。

 懐が潤って調子に乗ったのか、店主の囃す口上も挑発的な物になる。この街の冒険者には、アダマンタイトは荷が重かったのかと。機動要塞を仕留めたと聞いたので、わざわざやって来たのにと。

 周りを取り囲む冒険者達は流石に逡巡していた。力自慢が幾人も挑戦しても敵わない。とは言え、ここまでコケにされては諦めも付かないので、少しでも可能性のありそうな相手に挑戦しろと押し付け合う。

 そんな時、騒めく群衆の中から一人の少女がスッと前に出た。

 何時もの赤いローブとマント姿では無く、お出かけ用の黒いワンピース姿。とんがり帽子も無いけれど、それは紛う事無き少年達のパーティメンバーの魔法使いの少女である。

「――真打ち登場」

 対機動要塞時にも見せていたドヤ顔で囁いた少女は、その瞬間に周囲の冒険者達に飛び付かれ拘束された。その場の全員が心を一つにした、今までに無い程の連係プレーである。

「おい、まだ何もしてない女の子相手に、この仕打ちはあんまりと言えばあんまりじゃないか」

 魔法使いの少女は両手をそれぞれ屈強な冒険者に捕まれ、更には詠唱を防ぐ為に最弱職の少年に首元を羽交い絞めにされていた。流石の負けん気の強い少女も、これには抵抗のしようも無い様子だ。

「おいおっちゃん、コイツに見つかった以上、その商売はもう止めとけ! コイツは街で噂の爆裂狂だ。その商売は、コイツの琴線を刺激し過ぎる!」

 続けて少年は露店の主人に忠告する。拘束されている少女が如何に危険かを。店主の商売が如何に危険人物を刺激するかを。

 話を聞いた店主は、顔色を青ざめさせて荷物を纏め始めた。

「ああっ! 破壊出来るのに! 我が爆裂魔法なら、間違いなく破壊出来るのに!」

「逃げろ! 早く、早く逃げろおっちゃん!」

 逃走しようとする店主を――正確には運び去られる鉱石を見て、じたばたともがきながら声を張り上げる少女。それを見た少年が急かす声を上げ、哀れ怯えた店主は悲鳴を上げて逃げ去って行った。

 店主が無事に逃げおおせたのを確認すると、拘束されていた少女は自由にされる。集まっていた人垣が目的を失って解散していく中で、最弱職の少年が呆れた様子で少女に声を掛けた。

「……まったく、目を放してるととんでもない事をしでかすのはアクアだけにしてくれよ。て言うか、アクアとは一緒じゃなかったのか?」

「いえ、何だか行きたい所があると言っていましたので別行動を。アクアなら先程、芸人さんの隣で凄い芸を無償でやり、泣かせているのを見ましたよ」

 あの女神は一体何をしているのだろうか。最弱職の少年は表情にありありと呆れを露わにする。その芸人には同情するが、関わり合いになるのを避ける為に少年はあえて探し出すのは止めて置く事にした。絶対に、厄介事になる予感しかしない故に。

「せっかくなので、一緒に街を回りましょうか。向こうにも今の露店と似た様な商売してた人が居たので、店主の目の前をうろうろして怯えさせてやろうかと」

「俺、お前の事を、爆裂狂なとこを除けば、もっと常識ある普通の子だと思っていたよ」

 少年の袖をクイクイと引いて同行を求める少女に、最弱職の少年は悟りを開いたかの様な微笑みを浮かべて言葉を返す。マントを召喚士が抓んでいるので、引っ付き虫がまた一人増えた形だ。

「あ……」

 言い合いながら立ち去ろうとする一行を見て、それを眺めていた黒ローブの少女が淋しげな呟きを漏らす。寂しさを感じても、自分からは前に出ない。それが彼女の性質だ。

「……一緒に来るか?」

 見かねた最弱職の少年が声を掛けると、黒ローブの少女はぱっと表情をほころばせた。しかし、その笑顔も少年の傍らに居る、己がライバルの姿を見て消える。ハッと気を取り直して、首をブンブンと左右に振り、己の在り様を語るのだ。

「わ、私はめぐみんに勝つためにこの街に来たのよ! 馴れ合いに来たんじゃないわ! さっきの射的の事はお礼を言います。どうもありがとうございました! ……でも、一緒には行かないわ!」

 そう言い放ってから、景品の人形を胸に抱いて一歩後退る。その目に宿るのは明確な敵意。そして決意だろう。

「だ、そうです。行きましょう、二人とも」

「お、おう……」

 睨み付けられる魔法使いの少女はどこ吹く風。些末事と受け流し、少年とついでに召喚士を引っ張って、ライバルの少女を置き去りにして行く。置き去りにされる方もまた背を向けて、ライバル同士はお互いを拒絶し合った。

「…………はぁ…………」

 やがて、張った意地が溜息となって零れ落ちる。黒ローブの少女は肩を落としながら、とぼとぼと当てもなく歩み始めた。自分で拒絶したとは言え、一人は淋しいと思ってしまうのだろう。

 その思いが後ろ髪を引かせて、少女はもう一度ライバルの去って行った後方を振り返り――

 数歩後ろを堂々とついてくる、己のライバルと目が合った。

「…………え、えっと、何でついてくるの?」

 驚愕した黒ローブの少女は思わず訪ねてしまう。それはそうだろう、あんな態度で別れたライバルが後をつけて来て、尚且つ露店で買ったであろうクレープの様な物を食しているのだから。これではまるで、見世物にされている様ではないか。

「相変わらずボッチなゆんゆんの、寂しそうな泣きっ面を拝もうかと」

 見世物にしていると言い切った。いけしゃあしゃあと臆面も無く。むしろ言い放つ魔法使いの少女の顔には、満面に底意地の悪い嗜虐心が浮かんでいる。

 聞かされたボッチ少女が、己がライバルの少女に掴みかかって行った。

「なんとなく、こいつらの関係が分かった気がする。やっぱりこいつらは、苛めっ子と虐められっ子か」

「うふふふ。昔から仲が良かったんだねぇ……」

 二人の少女が取っ組み合うのを横目に、最弱職の少年がぼやく。召喚士は取っ組み合いに際して、魔法少女が放り出したクレープをキャッチして保護していた。もちろんその顔には、状況を思いっきり楽しむ薄笑いが浮かんでいる。

 そんな事をしていたからか、いい加減周囲の視線が痛くなってきた。こんな所で騒いでいれば、確かに営業と通行の邪魔であろう。

「おいお前ら、喧嘩するなら人の居ない所に行くぞ。付き合ってやるから、一旦やめて付いて来い」

 見かねた最弱職の少年が声を掛け、取っ組み合いは一旦お流れ。少女二人は、互いにそっぽを向き合いながら少年の後へと続く。とりあえずは、街の外れに向かう事にした様だ。

「二人とも、何だかじゃれ合うのに慣れてるみたいだね。故郷に居た頃も、こんな風に戯れていたのかな?」

「ゆんゆんは、自分の名を恥ずかしがる変わり者でして。学園では大体一人でご飯を食べていました。その前をこれ見よがしにうろうろしてやると、それはもう嬉しそうに何度も挑戦してきて……」

 歩きながらの召喚士の質問に対して、魔法使いの少女は律儀に過去の事を説明してくれる。どうやら黒ローブの少女はぼっち少女だった様だ。最弱職の少年などは、説明される悲惨な過去にうへぇと呻いていた。

 それに異を唱えるのはもちろんぼっちの少女。彼女は両手を握り締めて精一杯訴える。

「待ちなさいよ! そ、そこまでひどくは……。友達だって居たもの!」

「今、聞き捨てならない事が……。ゆんゆんに、友達……?」

 訴えられた主張に、魔法使いの少女は眉根を寄せていぶかしがる。言外に、お前に友達なんて存在したのかと言っているのだ。

 それに対するぼっち少女は、自信満々に豊かな胸を張りながら応えた。それはもう、たゆんと。

「居るわよ、私にも友達ぐらい! ふにふらさんとかどどんこさんとかが、『私達、友達よね?』って言って、私のおごりでご飯食べに行ったり……」

「おいやめろ! それ以上は聞きたくない!!」

 飛びだして来た悲惨過ぎる過去に、耐えきれなくなった少年が遂に待ったをかける。何かしら少年の琴線を刺激した様だ。無論悪い方向に。

 変人ばかりに囲まれる中で、ただ一人常識的な思考を持ってしまい、それが原因で孤立する。ぼっち少女の不憫さに、彼の眼には深い憐憫が混ざっていた。

「で、今日の勝負内容はどうするのですか? 爆裂魔法しか使えない私としては、魔法勝負は避けたい所なのですが」

「いい加減他の魔法も覚えなさいよ。スキルポイントだってあれから溜まったはずでしょう?」

「溜まりましたよ? もれなく『爆裂魔法威力上昇』や『高速詠唱』等につぎ込もうと……」

「バカッ! どうしてそんなに爆裂魔法に拘るのよ!」

 浪漫の為に己の全てを賭けると、悪びれも無く宣言する魔法使いの少女。ぼっちの少女はその様子に、呆れた様に苦言を漏らす。最弱職の少年はそれを聞きながら、もっと言ってやれとぼっち少女を心の中で応援していた。

「でも困ったわね……。一体何で決着を決めようか……」

「別に何でもいいですよ? 私はもう、勝負事に拘る程子供でもないですから」

 悩むぼっち少女に対して、余裕たっぷりに魔法使いの少女は告げる。その言動に思う所があったのか、ぼっち少女は口元を歪めて少し意地の悪い笑みを浮かべた。

「子供じゃないって? そういえば昔、発育勝負をした事があったわね。子供じゃないって言うのなら、またあの勝負をしても良いわよ?」

 己の体に自信があるのか、指を突き付けて挑発するぼっちの少女。対する魔法使いの少女は、激昂する事も無く目を閉じて静かに頭を振る。

「子供じゃないというのは、別の意味での、子供じゃないという事ですよ。だって、私は……」

「うん?」

 大人びた表情で少しだけ瞳を潤ませ、一度言葉を区切ってひと溜め。そして言葉を続けながら、最弱職の少年の隣に並び立ち彼を掌で指示す。

「ここに居るカズマと、一緒にお風呂に入る様な仲ですから」

「ちょっ!?」

 唐突な大胆告白に、最初に驚いたのは最弱職の少年であった。さもあらん、唐突に幼げな女子と風呂で同衾する様な輩だと言われては、思春期的にも社会的にも死んでしまう。

「おま、ふざけんなよ! この口か、この口が俺の悪評をまた広めるのか!?」

「んー、そう言えば僕やアクアはまだ一緒に寝ただけだね。めぐみんやヘーちゃん達ばっかり、ズルいなぁ」

 激昂した少年が魔法使いの少女の両頬を掴んで、親指を口に突っ込みながら左右に引っ張りがなり立てる。やられる側の魔法使いの少女は無抵抗のまま何か言っているが、不自由な口元では何を言っているのかさっぱりだ。

 そんな仲良く戯れる少年少女を見ながら、召喚士はニヤニヤしながら火に油を注いでいた。

「ん……? え、ええええええええええええっ!?」

 暫く告げられた言葉が理解できなかったぼっちの少女は、ようやくと理解が追い付くと共に驚きで叫ぶ。両腕をぶんぶんと振りながら、何を想像したのかその顔と瞳は真っ赤っかである。

「きょ、今日の所は私の負けにしといてあげるからああああっ!! うえ、うえええん!」

 最後に捨て台詞を叫び、ぼっちの少女は泣きながら走り去って行った。

「賑やかな子だねぇ……」

「まったくだ……」

 見送る召喚士は実にほのぼのと、傍らの少年は精根尽き果てた様に溜息を吐く。気が済んだのか諦めたのか、少女の唇を報復から解放したらしい。

 解放された少女は何処からかメモ帳とペンを取り出し、サラサラと何やらしたため、最後に大きく白丸を付ける。沢山の白丸とわずかなバツ印が並ぶそれは、どうやら少女達の対戦記録の様だ。勝負に対してそっけない態度を取っていたと言うのに、本心では彼女もライバルとの対戦を強く意識していたらしい。

「今日も勝ちぃ!!」

「お、おまえ、本当にそれでいいのか……?」

 自らも羞恥で顔を真っ赤にしながら、ヤケクソ気味に勝利宣言する魔法使いの少女。その自爆も厭わぬ勝利への姿勢に、最弱職の少年は問い掛けずにはいられなかった。

 

 

「そう言えば、二人はずいぶんと仲が良くなりましたね。以前よりも距離が近くなったというか、隔たりが無くなった様に見えます」

 勝負も終わったという事であの後も露店を冷やかし、だらだらとした買い食いでお腹も膨れたので、一行は腹ごなしに川原へと赴いていた。未だ寒々しさの抜けない季節であったが、日当たりの良い傾斜の草原は食事で火照った体には居心地が良い。

 そんな寛ぎの時間に、魔法使いの少女が唐突に話を切り出したのだ。

「んー? 藪から棒だな。確かに距離は近くなった気はするけど、前々からこんなもんだっただろう」

 特別何かをしたという事も無い。あった事と言えば、裁判の前に一緒に投獄された位だろうか。誰一人少年に味方する事無く見捨てる様な雰囲気の中で、召喚士だけが味方になって着いて来てくれた。あれは確かに嬉しかったと、最弱職の少年は思い返す。

「そう言えば刑務所に居た時は、他にする事も無いからずっと語り合ってたな。ローが聞かせてくれた、三人の神様の話とかは面白かったからよく覚えてる」

「なんですか、神様のお話って? そんなに面白いのなら、私も気になります!」

 仲良くなった様に見えるのだとしたら、きっとそれだろうと少年は少女に話した。すると知的好奇心が刺激されたのか、少女は傾斜の草原で大の字になる召喚士に顔を向け話を強請り始める。

「んー? しょうがないなぁ……」

 そんな事を言いつつも、召喚士は上体を起こすと乗り気で話をしてくれた。ただ、同じ話を聞かせるのも芸が無いと言う事なので、今日は以前に話し損ねた話をすると言う。

 魔法使いの少女は少しだけ渋ったが、後日機会を設けると言う事で納得してもらった。

 そして語り始められた物語は、むかしむかしなんて変わり映えの無い始まり方。だけれども、どこか心に残る不思議なお話であった。

 

 

 昔々、ある所に三人の冒険者が居りました。三人はとても仲の良い幼馴染で、どこへ行くのも三人一緒。願わくば、終わる時も三人一緒と誓い合う。そんな、特別な三人でした。

 三人は天界の天使から三つの特別な力を授かり、魔王を倒す為に毎日を過ごしていました。

 一人は魔物や動物を本にする能力。一人は読んだ物語の英雄の力を取り込む能力。そして最後の一人は、とても口には出来ないおぞましい能力。

 来る日も来る日も三人は協力して、魔王軍や危険な魔物と戦い続けます。どんな危機をも乗り越えて、三人は何時までも一緒に過ごすかと思われました。

 しかし、やがて三人の関係に変化が訪れました。本を作る能力を持つ少女が、おぞましい能力を持つ少年に恋をしてしまったのです。

 恋する少女は思い悩みました。三人の関係を壊したくは無い。けれども、恋心を抑える事は出来ない。苦悩した少女はもう一人の幼馴染、英雄を取り込む少年に相談を持ち掛けました。

 英雄を取り込む少年は、本を作る少女に言いました。お前の能力を使って好きな男を本にして、自分をどう思っているのか確認すれば良い。気持ちを知れば、悩む必要は無くなるのだと。

 それは少女にとって、天啓にも似た高揚感をもたらしました。何より好きな人の全てが手に入る。その一点に思考が霞み、彼女は簡単に人の道を踏み外してしまったのです。

 こうして、おぞましき能力の少年は本へと変えられました。少女は気持ちを確認したらすぐに元に戻す気でいましたが、一度手に入れた愛しい人は中々手放す事が出来ません。だって、その本には少年からの、少女への恋心が綴られていたのですから。

 愛しい人の本を手にした少女は、助言をくれた英雄を取り込む少年に言いました。私達は相思相愛だった。この気持ちを確認できてとてもうれしい。助けてくれてありがとうと。

 英雄を取り込む少年は、やっぱりそうに違いないと思っていたと頷きます。そして、次の瞬間には少女の手から本を奪い、自身の力として取り込んでしまったのです。

 混ざり合った少年は言いました。二人が好き合っていた事は知っていた。自分だけが除け者にされているのは知っていた。憎い、憎い、憎い。僕だって君を好きだったのに。どうして僕じゃないのか。どうしてアイツなのか。許せない、許せない。だから唆してやった。だからこうして取り込んでやった。ざまあみろ。ざまあみろ!

 吐き出される慟哭に、そして愛する人を失った悲しみに、少女は悲鳴を上げました。頭の中がぐちゃぐちゃになり、ついには狂ってしまった少女は自分自身を本に変えました。もう何も見たくない、何も聞きたくない。現実から逃げる為に、彼女は本の世界へと閉じ籠ったのです。

 混じり合った少年達は、喜々として少女の本を取り込みました。これで三人は何時までも一緒。終わる時までも、どこまででも一緒。もう二度と、離れたくても離れられない。

 けれども、混じり合った少年と少女は満足できませんでした。胸にぽっかりと穴が開いた様な気持ちが消えないのです。こんなにも三人は近くに居るのに。誰よりも深く重なり合っているのに。

 混じり合った者達は、周囲の生き物を手当たり次第に本にして取り込んでいきました。胸の穴を埋める為に。人も獣も魔物でさえも、次々に取り込み混ざって行きます。

 やがて全てを飲み込みつくして、一つの世界と言う物語は終わりを迎えました。もう取り込む物が無くなった混じり合った者達は、それでも次の物語を求めます。

 新しい物語を見つけては取り込み、また新しい物語を求めてさ迷い歩く。物語に入り込み、好き勝手に暴れては去っていくその存在は、何時しかこう呼ばれるようになりました。

 物語を食い荒らす、誰でもない誰か。災厄の魔神器メアリー・スーと……。

 

 

「これでお終い……。めでたしめでたし」

「「めでたくないよ!?」」

 最弱職の少年と魔法使いの少女は、最後の締め方に同時に突っ込んだ。迫真の演技も交えて語られた物語に引き込まれていたのもあって、その締め方は無いだろうと一気に酔いを醒まされたような気分になってしまった。

「なんだか……、不思議なお話でしたね。でも、ローの語り口のおかげで確かに楽しめました。仲間内でのドロドロの愛憎劇とか、なかなか刺激的で爆裂的ですね」

「サスペンスドラマみたいで、今回はドキドキしたな。なんか、どっかで聞いた事がある様な設定だったけど」

「はー……。カズマに話したかったお話しも出来たし。僕としては大満足だよ……」

 お話に満足したのか魔法使いの少女は胸に手を当てて余韻に浸り、最弱職の少年は顎に手を当てて話の内容を思い返す。雰囲気を大事にする少女と、考察を楽しむ少年との差異が良く見て取れた。

 語り終えた召喚士は満足げに微笑み、んーっと伸びをして体を解している。牢屋で聞いた時も思ったが、妙に語り口が上手くて聞き入ってしまう。これも高い器用さのなせる業なのだろうかと、少年は胸の内で感心していた。

「さあて、結構長い間話してしまったね。今からもう一度露店を冷やかしながら帰れば……、夕暮れ頃には家に帰り付けるんじゃないかな」

 そう言いながら立ち上がる召喚士に促され、少年と少女も立ち上がり服に付いた草をパンパンと叩いて落とす。そうして帰り際に、ぽつりと魔法使いの少女が気になった思いを零すのだった。

「そのメアリー・スーは、今はどこに居るのでしょうね?」

「さあ……、それは僕にも解りかねるかな。でも、案外近くに居るのかも知れないね……?」

「不吉な事を言うなよ。厄介事で悩ませられるのは、うちの駄女神だけで十分だ」

 魔法使いの少女の問いかけに、片眼を閉じて肩を竦める召喚士。最弱職の少年は、身内に居る災厄を思い返して疲れた溜息を吐く。

 そうして一行は、川辺を離れてもう一度賑わう雑踏に紛れて行った。

 

 

 色々疲れた一行が屋敷に戻って来ると、居間では青髪女神がいつもの暖炉前で寛いでいた。見れば彼女は、何やら芸人が扱うジャグリング道具を喜々として扱っている。無数の輪っかを放り投げては次々に受け止め、持ち替えて更に放ってお手玉していた。

 それを見た召喚士が嬉しそうに青髪女神に駆け寄る。そして、青髪女神と目くばせしただけで、二人で息を合わせたジャグリングを開始して見せた。お互いに向けて無数の輪を投げ合う姿は、正に宴会芸のプロフェッショナルだ。

「おまえ等はどんだけ器用なんだよ。そう言うコンビネーションは狩りの時に発揮してくれよな……」

「あ、カズマ見てよコレ! なんか旅芸人のお兄さんが、『僕にはもう必要のない物ですから』って言ってくれたのよ。なんか良く分からないけど、ツイてたわ!」

 喜々として語る青髪女神。その旅芸人は、心を折られて田舎で農家を継ぐらしい。無邪気に人の夢を叩いて壊す辺り、この女神もやはり神であるのだろう。名も知らぬ元旅芸人に、最弱職の少年は心の中で黙祷を捧げた。

「ダクネスはまだ帰っていませんね。……今晩こそ、帰って来るでしょうか」

 二人係りのジャグリングを見物していると、少年の隣で魔法使いの少女がぽつりと零す。その顔を見なくなってからすでに二日。たった二日だと言うのに、もう何か月も会っていない様に思えてしまう。何時もは気丈な魔法使いの少女も、淋しさを隠せなくなってきている様だ。

 本来誰よりも仲間思いの彼女の事。仲間が何をされているか分からないと言う不安は、誰よりもひとしおだろう。

「やっぱり、全員揃ってないと面白くないよね……」

「……そうだな。帰って来れないのなら、帰って来られる様にしなきゃいけないよな」

 青髪女神とのジャグリングをしたままで、召喚士が現状への不満を漏らす。顔はにや付いているが、心情的には魔法使いの少女とそう変わらない気分らしい。

 それに応える形で少年も決意を新たにし、魔法使いの少女の頭を無造作に撫でる。それから何やら思案する顔で、居間から自分の部屋へと戻って行った。

「ふう、おしまいっと。ロー、あんたなかなかやるじゃない」

「手先は器用だからね。……カズマもようやく動く気になったみたいだし、僕達は僕達で出来る事をしようか」 

 ジャグリングの締め括りは、青髪女神が全ての輪っかを己の両腕に通して回収し、最後に二人そろってぺこりと聴衆の少女に頭を下げる。青髪女神は楽しみ終わった道具を持って、そのまま何時ものソファーに戻って行った。

 召喚士は部屋に戻った少年を追うべく、居間を立ち去ろうとする。その道行で、未だに所在なさげに佇む少女の肩に手を置いて、何時に無い優し声色で囁く。

「大丈夫。まだ今日も戻らないとは決まっていないし、大丈夫じゃなくてもカズマが何とかしてくれる。だから、そんな顔をしなくても良いんだよ」

 それは幼子をあやす様な声色だったが、不思議と少女の心を落ち着かせていた。落ち着いた少女は、そうですねとだけ答えて若干明るくなった表情で部屋に戻る。何をするにしても、余所行きのおベベを部屋着に着替えなければならないだろう。

 魔法使いの少女が部屋を出て行くと、今までジャグリングの輪っかを磨いていた青髪女神が話しかけて来る。自分だけ蚊帳の外に置かれるのはお嫌な様だ。面倒事は嫌う割に、寂しいのは我慢できないのがこの女神らしい。

「なになに、皆で何かするのかしら。今日は気分が良いから、私も少し位手伝ってあげても良いわよ?」

「それじゃあ、アクアは今日の食事当番のめぐみんを手伝ってあげてくれるかな。僕はカズマの様子を見て、しようとして居る事を手伝って来るから」

「わかったわ。この私が手伝うんだから、今夜のおゆはんはごちそうに決定ね!」

 やたら張り切って台所へと向かう青髪女神。召喚士はその背中を見送りつつ、無言でメイド娘を召喚して監視に付けることにした。日頃の信頼関係のなせる業である。

 膨大な借金に帰らない仲間。しかし、悲嘆に暮れる日々は長くは続かないだろう。仲間達は思い思いに、一人欠けた時間を過ごす。

 

 

 結局、その日の晩も、彼らの仲間の女騎士は戻って来なかった。

 

 




ご意見ご感想などがありましたらお気軽にお聞かせください。


※この小説はログインせずに感想を書き込むことが可能です。ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に
感想を投稿する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。