秘封倶楽部と行く恐怖の旅   作:タミ

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秘密を暴く者達、秘封倶楽部。もしもこの2人が、フリーホラーゲームの事件に巻き込まれていったら?そんなクロスオーバー二次創作作品です。この作品には、以下の成分が含まれています。

シリアス ネタ 7:3
ホラー
残酷な表現
キャラが死亡
ゲームのネタバレ

以上の成分で大丈夫だ。問題ない。という方はこのままお進みください。以上の成分で大丈夫じゃない。大問題だ。という方はブラウザバックをお願いします。ゆっくり読んでいってね!


メアリーから逃げる為、スケッチブックに流れ着いた蓮子たち。おもちゃ箱と思われる場所を覗き込む蓮子たちを、突如メアリーが強襲、蓮子たちをおもちゃ箱へと突き落としてしまった。果たして蓮子たちは、無事に脱出することが出来るのであろうか?!


act.5 メアリー

「いっ………たぁ……」

 

蓮子は頭を抑えながらむくりと起き上がる。

 

周りを見回すと、おもちゃの汽車などが散乱していた。

 

「うう……大丈夫……ですか?」

 

蓮子は周りに呼びかける。

 

直後、3人から各々の返事が返ってくる。

 

「ここがおもちゃ箱……かしら?」

 

ギャリーは周りを見渡しながらそう零す。

 

「取り敢えず、桃の鍵を探しましょう。きっとここにあるはずですから」

 

メリーが落ち着いた口調で進言する。

 

「……そうね。気色悪い人形もあるし」

 

蓮子は顔を引きつらせながらお腹の上に乗っていた青い人形を投げ飛ばす。

 

「そういえば、薔薇が……」

 

すると、イヴが思い出したように言う。

 

イヴの薔薇は、花びらは殆ど散ってしまっている。

 

恐らく、先程上から落ちてきた時の衝撃で散ってしまったのだろう。

 

その証拠にイヴが倒れていたところに無数の赤い花びらが落ちていた。

 

それは、ギャリーや蓮子たちも例外ではなく、等しく花びらは殆ど散っていた。

 

「水もなさそうだし、しょうがないわ。とにかく、怪我をしないように行かないとね。これが全部散っちゃったら、私はおしまいだからさ。」

 

蓮子は1つ伸びをして、おもちゃ箱を散策し始めた。

 

「さ、アタシたちも急ぎましょう。」

 

ギャリーも優しくメリーとイヴに言う。

 

2人も大きく頷いて、別れて探索を始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ!あった!桃色の鍵!!」

 

蓮子は桃色の鍵を拾い上げ、声をあげる。

 

「よし、これで真ん中の建物の扉が開くわね!」

 

ギャリーも表情を緩める。

 

すると、その瞬間、空気が一気に淀み始め、人形たちが動きだし、一斉に襲いかかってくる!

 

「っ!!みんな!走って!!」

 

蓮子の大声で叫ぶ。

 

その叫び声に感化されたか、メリーたちは走りだす。

 

 

 

 

蓮子たちは階段を登りに登って、先程メアリーに突き落とされた場所まで戻ってきた。

 

が、さっきまでの空気とは全く異なり、どんよりとした空気がそこにあった。

 

それに加えて、床も真っ黒に染まっており、先程おもちゃ箱の入り口があった場所には、荊が絡みついている階段があった。

 

「なんか、あそこから物凄い境界の力を感じるわ……。」

 

メリーが身構えながら言う。

 

「行ってみましょう!もしかしたらメアリーについてもわかるかもしれないし……」

 

蓮子も拳を握りしめる。

 

「でも、どうやってこの荊をどかしますか?ナイフなんか持ってないし……」

 

イヴの言葉で、全員が黙ってしまう。

 

「あー、もう!こんなのぱっと燃やせちゃえばいいのに!」

 

蓮子はイライラしながらそうぼやく。

 

それを聞いたギャリーははっとして、ポケットを探りだす。

 

そして、ライターを取り出した。

 

「そういえば、アタシライター持ってたの忘れてたわ。これで燃えるかはわからないけど、取り敢えず、3人とも離れてて。」

 

ギャリーは蓮子たちを離れさせ、荊に火を放つ。

 

すると、うまい具合に火は燃え広がり、荊を焼き払った。

 

「よし、これでOK。さぁ、行ってみましょう。」

 

ギャリーはライターを投げ上げ、キャッチしてから、3人を呼ぶ。

 

そして、4人はゆっくり階段を登っていく。

 

 

 

 

 

 

そこは、先程の黒い床の小さい部屋だった。

 

奥の壁際には、子供用のおもちゃが散乱していた。

 

そして、その壁には、絵の額縁がある。

 

その絵は、下の方に小さな黄色い花が描いてあるだけで、明らかに絵として成り立っていなかった。

 

しかし4人、特に蓮子とギャリーは表情を強張らせる。

 

「ねえ、蓮子、あれって………」

 

ギャリーは蓮子を見る。

 

蓮子はギャリーと顔を合わせず、表情を強張らせたまま、小さく頷く。

 

すると、先程蓮子たちが登ってきた階段から足音がしてくる。

 

「!!」

 

蓮子たちが慌てて振り向くと、

 

「…………貴女たち、どうやってここに入ったの?」

 

遅れてやってきた金髪の少女、メアリーは、いつのまにかパレットナイフから本物のナイフに持ち替えて、蓮子たちにジリジリとにじり寄ってくる。

 

「メアリー、やっぱり、あんた………」

 

蓮子はメアリーを睨みつける。

 

「ねぇ、出てってよ。出ていけ、出ていけ、………」

 

メアリーはハイライトの入っていない目で蓮子たちを見つめながらゆっくり近寄る。

 

「出ていけぇぇぇっ!!!」

 

メアリーがそう叫んだ瞬間、クレヨンで描かれた感じではあるが、メアリーを中心に、地面に赤いヒビが入る。

 

それと同時にメアリーは蓮子たちの元へ走りだす。

 

「……っ!!」

 

蓮子はずっと考えていた。

 

子供、かつ女だからといってもナイフ相手に素手で真正面から戦ってはあまりにも分が悪すぎる。

 

かといってこのままメアリーの横を4人ですり抜け、階段を下ることはまず不可能といってもいい。

 

まだ体力のある蓮子やギャリーならメアリーを振り切ることもできるであろうが、メリーやイヴは、これまでの探索で体力も気力も底をつきかけている。

 

これではメアリーに捕まってナイフでブスリだ。

 

「……!だったらもう、これしかないじゃない!」

 

蓮子はそう叫んで、部屋の奥に走りだす。

 

「れ、蓮子!何する気?!」

 

メリーも蓮子に着いて行くが、蓮子の意図がわからなかった。

 

「ギャリーさんライター!!」

 

蓮子はギャリーにそう叫ぶ。

 

ギャリーは蓮子の意図を察したのか、蓮子にライターを投げる。

 

「間に合え……っ!!」

 

蓮子は出来得る最高の速さでメアリーが出てきたであろう絵に火を放つ。

 

「お願い!やめてぇっ!!」

 

蓮子の意図に気付いたメアリーが手を伸ばすが、火はどんどん燃え広がり、「メアリー」を焦がしてゆく。

 

「あ……、ああ……、やだぁ……!!」

 

メアリーは絶望の表情を浮かべた後、一瞬で炭化してしまう。

 

そして、ボロボロと崩れていった。

 

「………メアリー………」

 

蓮子はメアリーだったモノと「メアリー」だったモノを交互に見つめる。

 

直後、大きく地面が揺れ、ガラガラと部屋が崩れだす。

 

「え、ちょっ、なに?!」

 

蓮子は天井を見上げる。

 

「もしかして、本来ある筈だったものを壊してしまったから、この世界が壊れ始めてきてるのかも……」

 

メリーが顎に手を当てながらそう思案する。

 

「うそ?!……まあでも、こんなとこで人生終わりってのは腑に落ちないからね!さぁ、もうひとっ走り行きますか!」

 

蓮子は帽子を深く被り直し、先陣を切って走りだす。

 

「大丈夫?イヴ。」

 

ギャリーはイヴの手を掴む。

 

「……はい!もうひと頑張りですから……!」

 

「よし、その意気よ!」

 

イヴとギャリーは手を繋いで蓮子とメリーの後を追う。

 

 

 

 

 

 

「よし、やっぱりこのカギであってる!」

 

蓮子は桃色の家のドアに鍵をねじ込み、強引に回す。

 

そして、ドアを思い切り開け放つ。

 

「さあ、こっちです!」

 

蓮子たちは家の中の階段を駆け下りていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ!あの絵……!」

 

ギャリーが指差した先には、蓮子たちがこの世界に来る原因となった「絵空事の世界」が飾られていた。

 

「でも、どうすれば帰れるんだろう……?」

 

絵の目の前に来た蓮子たちはそこで行き詰まってしまう。

 

すると、電球があの時のようにチカチカと点滅し、パッと光ったかと思うと、「絵空事の世界」の額縁が消失した。

 

「額縁が……、もしかしてこれで……!」

 

ギャリーは確信を持てたのか、絵の中へとジャンプし、なんと絵の中に着地した。

 

「やっぱり!さあ、3人とも、こっちよ!」

 

ギャリーは絵の中から手を伸ばす。

 

「イヴちゃん、先に行って!」

 

メリーはイヴの背中を押して、イヴの手をギャリーが掴み、絵の中へ引っ張り上げた。

 

「ほら、急いで!もう時間が無いわ!」

 

ギャリーは再度手を伸ばす。

 

今度はメリーがその手を掴み、絵の中へ入っていく。

 

「蓮子!早くこっちに!」

 

メリーの呼びかけに、蓮子も先を急ごうとする。が…

 

「やれやれ。まさかメアリーを倒しちゃうなんて。流石、宇佐見家の一族だね?……正確には違うか」

 

「!?」

 

絵の中に飛び込もうとする蓮子の横から、何者かの声が聞こえてくる。

 

「……あんた、誰……?!ゲルテナの作品じゃないわね?!」

 

蓮子は本能的な震えを感じながら謎の男に問いかける。

 

「まあまあ。そんなことどうだっていいじゃないか。僕は見てて楽しかったんだしさ。それより、……蓮子、だっけ?キミ、能力が隔世遺伝してないのに別の力を持ってるんだね。不思議だなぁ……」

 

男はごく普通の人の形をしているにも関わらず、何か不気味なオーラを漂わせている。

 

「能力……?遺伝……?」

 

「あれ、知らないの?なんだよ、底辺の人間たちと過ごしていく間に僕らの気高い血の誇りも忘れちゃったのかい?」

 

男はやれやれといった感じで首を振る。

 

「……っ!あんた、いい加減に……!」

 

「蓮子!早くっ!!」

 

男に敵意を向ける蓮子に、メリーが必死に呼びかける。

 

「!メリー……!」

 

メリーを見た瞬間、蓮子は絵に向かって走りだす。

 

「あら、あらら。もう親戚が嫌いになる時期かい?……はぁっ、もう……、お兄さん拗ねちゃうぞ?」

 

すると男は蓮子に右手をかざし、力を込める。

 

「うっ?!」

 

すると、蓮子の動きがぴたりと止まった。

 

「なにこれ……っ?!動かな……!」

 

困惑してジタバタと暴れる蓮子を尻目に男は右手を上に上げていく。

 

すると、男の右手の動きに合わせて、蓮子の体も浮き上がる。

 

「蓮子、この美術館の絵っていろんな世界に通じてるんだよ?日頃の疲れを癒すいい機会だ。どこか旅行に行ってくるといい」

 

男は蓮子の真後ろにある1つの絵に目を向ける。

 

それは、「伝説」という絵であった。

 

蓮子も釣られて後ろを振り向く。

 

「そんなカッカしてる蓮子ちゃんには、慰安旅行でもプレゼントしてあげようか。」

 

男が言った意味が、蓮子には全く理解できなかった。

 

「んじゃ、ばいちゃ!いってらっしゃいやせ〜!」

 

この時、蓮子は男の意図を完全に理解できた。そう。この男は蓮子を別の絵の中に叩き込もうとしているのだ。

 

「………っ!!」

 

蓮子は唇を噛み締めた後、思い切り声を荒げる。

 

「メリーっ!!!」

 

「!!……蓮子……!」

 

メリーの体がびくりと震える。

 

「私……っ!ぜっっったいに戻ってくるから!!いつもの喫茶店で待ってて!明日には……笑ってあなたのところへ戻ってくる!だから、心配しないで!!約束!!」

 

蓮子は泣きそうな目でこちらを見るメリーに叫ぶ。

 

「……うん……っ!待ってる、ずっと待ってるから……!!」

 

メリーも蓮子に向かって叫ぶ。

 

「あーあー、若い子は元気があってよろしいことで。消えちゃえ!」

 

蓮子とメリーのやりとりにイライラしたのか、男は右手を押し込む。

 

「……っ!!」

 

すると、蓮子の体が猛スピードで後方に飛ばされる。

 

直後、「伝説」の額縁が消失し、蓮子はその中へと吸い込まれていった。

 

そして、そこからは誰も、出てくることはなかった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………こ。

 

……んこ。

 

……蓮子!!

 

「………??」

 

「むぁ………?」

 

そうして、少女は目を覚ます。

 




いかがでしたか?act.5は以上です。




タミの部屋

「……何か言い残すことは?」

「ヤメロー!シニタクナーイ!シニタクナーイ!!」

「あんたは1週間で出すとか言っておきながらこんなに日付を開けたわね……。どうしてかしら?」

「坊やだからさ(キリッ)」

「オラァッ!!」(腹パン)

「ゴファッ!!」

「それに、何あの最終回……?俺たちの戦いはまだまだこれからだエンドより酷くね?」

「いや、あの、その……。(目逸らし)」

「まあ、でも次回作やるってのはわかってるわ。それで、いつ、出すのかしら?」

「ヒイッ……、は、8月中!8月中に出しますから!」

「もう後がないってのは自覚してるわよね……?」

「イエス、マム……」

「さ、早く予告しなさい?」

「は、はい……こちらです。」




「もうすぐ公開予定、「東方神笛抄」、お楽しみに!」


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