転生トラック×阻止するカルン   作:空飛ぶマネッキー

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四話

 昨日は「やってやる」と張り切ったものの、人に生き甲斐を与える真似なんてどうすればいいのかカルンは困った。

 一晩中一睡もせずトラックの中で考えたが、やはり「コレ」に頼るしかないのかと溜息をついた。

 

 コレというのは「天使秘密道具」という、天界の大企業「マネープリーズ」が開発した物だ。

 だがその会社は野球ボールから殺戮兵器まで、もうなんでもアリの暴君野郎で他企業からは煙たがれているのだ。主にトップに立つ女神「デウス」がやらかしているだけでもある。

 しかし道具の技術生や万能性は他企業では成せないシロモノであり、使用する毎に金を自動的に摂取される事を除けば……

 

「世知辛いなぁ……」

 

 てけててってれ ~ 『デウス蛇~』

 

 その機械蛇は手の平にポンと乗るサイズの銀色のメタリックな蛇の姿をしている。

 この蛇にある人物の写真を見せると、USBメモリに姿を変えその人物の人生全てを見る事が出来る色々と酷い道具である。

 なんでこんな物が許されているんだと言いたくなるが、天界でも一度規制されかけた事がある。

 デウスの権力に全てねじ伏せられてしまったけど。

 

 コルトはリストの人物全てこのメモリに収容していたのだ。勿論、五郎の事もあるだろう。

 カルンは下唇を噛み締めながらパソコンにメモリを刺した。

 

 

 

 

 

「資料以外の事は出てこないな。うーん」

 

 産まれ育ち、年齢、体重、身長、格闘技の経歴、人生のルーツ、家族親族、その他その他……

 検索していくうちに気づいたが、この道具じゃ人の人生を覗けても感情を覗く事は出来ないのかもしれない。

 やっとその事に気づいた時は頭を痛めた。自分は頭が少し抜けている、自覚は一応ある。

 

 苦い表情をしながら画面をスクロールしていくうちにとある単語にカルンは釘付けになった。

 

 二年前に離婚。

 

 もしかしてこれとか……いや、決めつけるのはまだ早い。離婚だってお互い文句なしの結論かもしれない。うん、よく見よう。

 

 離婚後、神楽五郎は調子を崩し戦績も悪くなった。不幸に見舞われる事も増えた、夜に家内の名を呟きながら涙を流す事もある。

 

「これだぁーッ! 絶対にこれだぁーッ!」

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

 赤髪の兄弟はずっと五郎を探し続けて三千里、山から降りてすぐのハゲ頭のような空き地が多い住宅街で五郎を発見したのだ。

 

「兄貴……やっと見つけたよ! 絶対あれが、えーっとかるた五郎だよ!」

 

「女神が与える試練は思ったより難関であったな妹よ」

 

 兄弟は今まで、山道に迷い、三人ほど間違えて転生させてしまい苦労の連続であった。

 間違えて猪に喰われそうになった事もあった。

 

「だがそれもフィナーレだ」

 

 兄は誰もいない瞬間を狙った。そして五郎一人が歩く時が来たのだ!

 

「さらばだ人間よ、我が女神の守護を受けるのだ!」

 

 そして兄は猪のようにトラックを突進させ、五郎を当てにかかった。そのまま五郎はトラックに身を任せ…………

 

「何ッッ!」

 

 なんと五郎はトラックとぶつかる寸前の所で大きく飛翔した。それも数メートルはあるトラックをだ。

 

「兄貴! あいつ何者なんだよ! 人間なのに無茶苦茶だよ」

 

「妹よ、少し静かにしていろォ! 女神の洗礼を受けた私をなめるなッ!」

 

 兄は遭難して来た中で上達した運転テクニックでその場で180度回転させる。両側にそびえ立つコンクリートの塀を少し掠めた。

 

「目、目が回っ……」

 

 そんな妹の言葉も今の兄には聴こえてなどいない。女神の指令を遂行させる機械へと変わり果てていたのだ。

 

「行くぞ!」

 

 まるで馬に号令かけるようにトラックを走らせ、五郎を追いかけた。幾らトラックを飛び越えた生物と言えども初戦は人間、トラックと足では勝率など等に見えていた。数百メートル全力前進のトラックと張り合った事に賞賛を与えよう。

 

「これで終わりだ……女神の元へ逝くがいい!」

 

 十字路で起きた事だった。兄は勝利を確信した笑みを浮かべたそんなときであった。

 真横からトラックが突撃してきたのであった。

 

「なん……だと……!」

 

ーーーーーー

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ーー

 

 天使秘密道具で必ず事故を起こしても相手と自分に被害は出ない「デウスクッション」を買ったカルンは五郎を襲ったトラックに突撃した。

 必ず大丈夫だと言っても突進するのは気が引けたが、もうなりふり構ってはいられないし覚悟は決めた。

 

 車の少ない田舎だった事が不幸中の幸いだった。トラック以外に乗り物は見かけていない。

 

「乗ってください!」

 

 息を切らし汗を流し、何が起きているのかさっぱりわからない顔をしている五郎だったが、カルンの一言ですぐ行動に移し助手席に飛び乗った。

 

 そのままトラックから逃げるようにカルンはトラックを発進させた。

 

 

 

 

 

 

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