戦車道の世界に魔王降臨   作:そばもんMK-Ⅱ

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(今回も戦闘シーンは)ないです。

~これまでのあらすじ~

――みんな(仲間)を失うことが、一番怖いんだから!――


第9話 「憧憬」

 ――別に、何かこれといった理由があったわけではない。

 

浸水する車内で、ふと三年生の一人はそんなことを考えていた。最早脱出は不可能。じわじわと迫る死の恐怖に身は震え、泣き叫んで然るべき状況にも関わらずだ。

 

一種の走馬燈、のようなものだろうか。あるいは、現状の再確認だろうか。

 

理屈ではなく、本当になんとなく、あの日からの自分たちを回想していた。

 

そもそもの始まりはなんだったのだろうか。

 

自分よりも年下であるにもかかわらず、自分よりも優れた能力を持つ彼女たちへの嫉妬だろうか。

 

それとも、単に西住みほという少女を気に食わないと思ったことだろうか。

 

これまではそう思っていたし、それが正しいと信じていた。

 

実際、とくに西住みほに関しては三年生のみならず他の二年や一年からも苦言を呈する者がいたことは否めない。

 

西住流を体現したかのような姉と違って、どうしても軟弱な人間に見えたのだから。

 

日常生活ではどこか抜けていて、引っ込み思案で、自分の言いたいことも碌に言えない小心者。

 

姉のおかげで、そしてまた西住という家のおかげで、一年の身でありながら副隊長にまで上りつめたと、そう思っていた。

 

けれど、西住みほはそんな悪評を真っ向から跳ね返して見せた。

 

端的に言えば、優秀だったのだ。

 

状況を冷静に把握し、対応する戦術的観察眼。

 

犠牲を良しとせず仲間を慮る優しさと、それゆえに人を惹きつける統率力。

 

そして、そんな自分に驕ることのない謙虚さ。

 

全てが自分よりも上で、だからこそ文句のつけようがなかった。

 

黒森峰では、勝利こそが正義。ゆえに、己の実力を発揮し勝利を齎す彼女は紛れもなく正義であり、だからこそ表立って彼女を批判することはできなかった。

 

だから、あの時。あの決勝の舞台で、西住みほが正しくない(・・・・・)選択をした時。

 

私たちは、これ幸いと彼女を批判した。

 

正義は我にあり、おまえは間違っている、なんと馬鹿な真似をしたのだろう、愚かしいぞ――と。

 

「――そう、思っていた」

 

そう思い込んでいた。正しい理屈を並べて、本当の原因に目を向けていなかった。いいやむしろ、その逆だ。

 

それを目にいれまいと、見たくないと、ただ顔を背けていただけなのだ。

 

そう。本当は理由など存在しない(・・・・・・・・・・・・)

 

あるとすればそれは、酷く小さく、醜い嗜虐心と虚栄心。

 

憂さ晴らし。気まぐれ。いいところで所詮その程度のものだったのだろう。

 

何のことはない。彼女たちは結局、日々を生きる上で溜まっていた鬱憤の捌け口として丁度良かったから彼女を殴っていたに過ぎないのだ。

 

要するに、彼女らはどこにでもいる小物だったのだ。真面目に生きる気概のない、一山いくらの愚か者。

 

理想も、信念も、意志も、何もかもが欠けたくだらない存在であり、黒森峰という巨大な群れに属してそのおこぼれを貰うような、そんな俗物に過ぎなかった。

 

そして、挙句の果てにその醜さを突き付けられた。人とは斯くあるべきであると、そんな勇気を見せつけられた。

 

それが、どうしようもなく怖かったから。

 

それを、認めなかったから。認めようとすらしなかったから。

 

今、こんな大事にまでなってしまった。

 

――たとえ仲間を見捨てても、勝利することこそが至上の目的である。

 

――足手まといは切り捨てろ。それが兵法の常識だ。

 

――そもそも、おまえが助けに行く必要などどこにもない。救助隊にでも任せれば良かったのだ。

 

それは、今まで己が偉そうに垂れ流していた正論。狭量な己を守るために心に纏っていた鎧の数々。

 

それは文字通り正しくて、反論する余地など欠片もない。

 

だが、違う。だって、今私はこんなにも――

 

「――いやだ」

 

こんなにも、無様に泣き喚いている。

 

死とは最大の恐怖である――そんな当たり前で、そしてこれまでずっと無視してきた最大の正論(じょうしき)。これまで無縁だった、知らなかった、そんな恐怖。それを真っ向から突き付けられて、初めて私はそれに向き合った。

 

怖い。ただひたすらに、迫りくる死が恐ろしいと涙を流す。しかしそれすらも、いっそう激しく侵入してきた水に呑まれ、消えてゆく。

 

このまま誰にも知られず、暗い闇の中で死んでいくのだという現実が、冷たい水となって容赦なく私を苛んでいた。

 

他の面々もそれは変わらない。いくら頑張っても扉は開かず、逃げ場などどこにも存在しない。

 

そう、思っていたのに。

 

「大丈夫ですか、先輩!?」

 

彼女が、西住みほが、いとも簡単にその絶望を吹き飛ばしていた。車外への扉をこじ開け、必死に手を伸ばしている。

 

湧き上がる安堵の念。ああ、自分はまだ死んでいない。

 

それが、嬉しくて仕方がない。

 

だから、なあ西住。

 

甘い話だってことは自覚してるよ。今まで散々虐めてきたのは私たちで、おまえはずっと苦しんでた。今やっと、その現実と向き合うことが出来たから、分かるんだ。

 

自分が最低な部類の人間だって、やっと自覚したばかりなんだよ。

 

だけど、そんな私にもおまえは手を伸ばしてくれるのか?

 

私なんかが、その手をとってもいいのか?

 

「――急いで!」

 

「――――」

 

視線が交差する。ああ、この子は本気だ。本気で私たちなんかを心配して、本気で助けようとしている。

 

自分が受けた仕打ちなんか二の次と言わんばかりに。

 

瞬間、頭を金槌で殴られたような衝撃が襲った。そして次瞬、猛烈に襲ってきたのは羞恥の念。

 

自分と比べて、彼女のなんと真っ直ぐで美しいことだろう。全身全霊で、全力で、全存在をかけて、ただ己の信念を貫いている。

 

先ほどまでの自分に対する怒りが収まらない。自分はこんなにも美しい少女を踏みにじっていたのかと、自己嫌悪の念が止まらない。

 

思い返せば、自分はなんと愚かで低俗でくだらない人間だろうか。

 

自分よりも優れた人間に、勝手に嫉妬して。だけど表立って何かする気概はない。

 

他人のミスに乗じて、思う存分好き勝手に殴りつけた。そこになんの熱も、覚悟もない。

 

示された勇気を、見ようとすらしなかった。そんなことをすれば、自分の矮小さを見せつけられるような気がしたから。

 

――そして、その果てに待っていたのはコレだ。

 

彼女は負けなかった。暗い闇の中でも、決して己を見失わず、眩く輝き続けたのだ。

 

無論、それは彼女一人の力ではない。彼女の友人が、そして血を分けた姉が、彼女を地獄から連れ出した。だからこそ今、彼女らは何よりも烈しく輝いている。

 

そんな勇気ある少女に、手を差し伸べられている。誰がどう見ても、器の違いが明確に分かる結末だ。

 

自分のような小悪党にはお似合いの末路だろう。だって、惨めで惨めで仕方がない。

 

けれど、それでも。

 

まだ生きていられることが嬉しかった。そして何より、彼女が――西住みほが眩しくて、羨ましくて。

 

その勇気(ヒカリ)に、私は焦がれたのだ。

 

差し伸べられた手を握り返す。

 

自分はくだらない人間だと、自覚した。

 

だけどそんな自分にすら、この優しい少女は手を差し伸べてくれる。生きてくれと、心の底から願ってくれる。

 

そんな真っ直ぐな思いを見せられて、それを裏切ることなど最早出来ない。

 

もはや手遅れだと、言われるかもしれない。

 

いまさら何を、と言われるかもしれない。

 

けれどそれでも、自分は確かに彼女に、彼女たちの勇気に魅せられたのだ。

 

報いを受けろというならば、喜んで受けよう。

 

彼女たちにそう言われても仕方ないことを、自分たちはしていたのだから。

 

ならばこそ、こんな不条理の中で死ぬことは出来ない。

 

何より、彼女たちを守ってあげなければならないだろう。傲慢かもしれないけれど、そう思ったのだ。

 

だから、まだ終われない。

 

この悪夢が終わるその時まで、自分は彼女たちを守り抜こう。

 

――ここに、目を閉じていた者らはついに勇気(ヒカリ)を目の当たりにした。

 

それは奇しくも、甘粕の求めていた変化ではなかった。

 

何故なら彼女たちを前へと進ませたのは、甘粕の齎す絶望と恐怖ではない。

 

それは即ち、西住みほが、西住まほが、逸見エリカが、赤星小梅が示した勇気への憧憬。

 

結果的には大きな差などない。最早仮定に過ぎないが、甘粕の試練が彼の思惑通りに進んでいても、彼女たちはおそらく同様の結論を得ていただろう。

 

だが、必要に迫られて仕方なく選択した道と、例えどんな状況であれ自分の意志で選んだ道では、その価値に大きな隔たりがあることは当然のことだろう。

 

よって、その慮外の輝きを目の当たりにしながら甘粕正彦は歓喜するのだ。

 

最早無駄と、有り得ぬと思っていた勇気の形。

 

彼がかつて心の底から憧れ、魅せられた勇気の形。

 

それが眩しくて眩しくて仕方がない。

 

ああ、我が憧れの柊四四八(イェホーシュア)よ。おまえが今の俺を見ればどう思うだろうな?

 

まるで成長していないと、相変わらずだと呆れるか?それも仕方がないな。

 

何故なら俺は、また人間を信じることができなかった。

 

悪癖であると理解はしているのだが、しかし結局は我慢できなかった。

 

「ゆえに、これが最後だ」

 

(試練)は不要と、彼女らはそう示したのだ。ならば、あとはただ去るのみだろう。

 

――ここまで明確に、己の信じる道とは異なる勇気を見せつけられながら、しかし甘粕の思考はこの通り。試練を途中で止めるという選択肢が出てこない。

 

より正確にいうのならば、選択肢としては存在するがそれを選べないのだ。

 

甘粕正彦は人の輝きを愛している。そして、好きなものをずっと見ていたいというのは人間ならば誰しもが抱く当たり前の感情だが、甘粕の場合はとくにそれが顕著であった。

 

要するに、予想以上の勇気を示した彼女たちを見て、彼はこう思ったのだ。

 

「さあ、もっとおまえたちの輝き(ヒカリ)を見せてくれ。その煌めきに、どうか見惚れてみたいのだ」

 

よって、試練は終わらない。

 

彼の狂念を反映するかのように、フェンリルが不気味に唸り声を上げていた。

 

 

 

 

 

 

 

 川から上がった黒森峰の面々は、森の中に手ごろな開けた場所を見つけ、そこで休息をとることにした。

 

冷え切った体を暖めるため、小梅が何もないところから火を起こしたのを目にして誰もが目を見開いていたが、同時に全員の心にあったのは奇妙な納得だった。

 

何故なら彼女たちは皆、既にこの世界の異常性を目の当たりにしている。

 

それは即ち、甘粕によるカール自走臼砲(フェンリル)の創形。

 

やろうと思えば出来る。それがおそらくは、この世界においてのみ許された超常の力。

 

「――まるで、夢だな」

 

まほが、ふと呟いていた。

 

「けれど隊長。夢は必ず醒めるものです」

 

その小さな声を、この場で唯一逸見エリカが耳にしていた。彼女の凛とした声に、思い思いに夢の力を試していた小梅やみほたちも、そして静かにその様子を見つめていた三年生たちも、彼女に目を向ける。

 

「終わらない夢なんてない。私たちが生きているのは現実で、だからこそこんな夢は間違っています」

 

死ぬ思いをした。訳も分からず、ただ不条理に巻き込まれた。

 

「私は……そんなの御免です」

 

自分たちは決して、生きるか死ぬかの修羅場に好き好んで入っていくような気狂いではないのだ。

 

「……そうだな」

 

雨にもかかわらず消えない不思議な炎に照らされながら、まほは頷いた。

 

「戦車道とは、武道だ。礼節を学び、淑やかで慎ましく、そして凛々しい女性を育てるための」

 

それは、脈々と受け継がれてきた不滅の理念。

 

武道とは即ち、人間の道を武術を通して学ぶ行いのことだ。

 

その目的とはつまるところ、心技体を鍛えぬくことによる人格形成に他ならない。

 

「彼の考えは馬鹿げているよ。死ぬか生きるか、そこで示される気概だと?それを見せろと?――甘粕さん、貴方は間違っている。少なくとも戦車道を愛する一人の女として、私はそれを断じて認めない」

 

長い思考の末に、西住まほはこの場における最大のルールを理解していた。それは、彼女がこの中で最も直接的に、そしてまた長く甘粕と関わっていたからだろう。

 

「彼は人の輝きを、世界の何より愛している。それが見たくて仕方がないから、こんな頑張らなければ生きていけない世界(ユメ)を描いた」

 

これまで自分たちに彼が投げかけた言葉の数々。その全てが心からの期待に満ちていた。それを察せないほど、自分は――いや、自分たちは盲目ではない。

 

「だからこそ――なあ、みんな。言ってやらねばならない言葉があるとは思わないか?」

 

今もどこかで、楽しそうに私たちを見下ろしているであろう彼に。

 

誰も信じていない、弱い弱い魔王に。

 

「――余計なお世話だ、この馬鹿ッ!!」

 

貴方の試練なんかなくたって、私たちはきっとやり直せる。

 

貴方の試練なんかなくたって、人は勇気を出せるのだと、西住まほは高らかに宣誓していた。

 

だって、私のこの思いも、エリカや赤星の思いも。そして、この場のみんなの思い(・・・・・・・・・・)も。そこに貴方の試練は関わっていない。

 

結局これは、当たり前の答えに気付いたかどうか、それが早いか遅いかの違いでしかないんだ。

 

「そうでしょう、先輩方」

 

川から上がってきたときは少し驚いた。今までとは何となく、本当に何となくだけど、今まで憎くて憎くて仕方がなかった三年生たちに、何の嫌な感じもしなかったのだ。

 

直感的に察したよ。ああ、やっとこの人たちも気づいてくれたんだって。

 

そう理解した時、私は少し恥ずかしかったな。だって私も、一時の勢いで全部捨てようとしていた。

 

夢に落ちる寸前の自分は、彼女たちを何か気持ち悪いものとすら見ていたけれど。

 

「今の先輩方は、ちゃんと人間です」

 

きっと彼女たちなりに、決断出来たのだろう。

 

本音を言えば、では許せるかと言われると怪しい。今だって、これまでの彼女たちの行いには腸が煮えくり返っている。

 

そんな思いに、昨日までの自分ならば蓋をしていただろう。チームの編成や諸々の対応を考えれば、ここで私的な感情で動いてはならない、と理由付けをして。

 

けれど、それでは駄目なのだ。

 

「本当に大切なことは、自分の決断(ココロ)に嘘をつかないこと」

 

エリカが示したように。赤星が示したように。そして、みほが示したように。

 

私はそんな彼女たちに、憧れたのだ。彼女たちに気付かせてもらったんだ。

 

「だから、ずっと言えなかったことを今から言います。――みほに謝ってください、先輩方」

 

言葉は短く、はっきりと放たれた。

 

そして、そこから目を逸らしていたかつての小物の姿はどこにもなく。

 

「分かっているさ。私たちは、最低なことをしてしまった」

 

ぽつぽつと、一人一人が己の罪を曝け出してゆく。

 

「こんな状況になるまで、西住の勇気を見ようともしなかった。自分が死ぬ思いをして初めて、あの時全てを捨ててでも仲間を助けに行った意味が分かったよ」

 

「死ぬのは怖い。そんな当たり前のことすら見ようともしていませんでした。そして挙句の果てに、西住さんを間違っていると糾弾した。……勝利という黒森峰の正義を隠れ蓑にして、貴女を一方的に殴りつけた」

 

「謝って済むことではないことは分かっている。だが、今こうやって悔いることが出来ているのも、西住のおかげだ」

 

「……済まなかった。三年生を代表して、謝らせてくれ。そして感謝する、みんな。私たちがこの決断に至れたのは、みんなのおかげだ。……ありがとう」

 

最も率先的にみほを糾弾していた三年生がそう言って頭を下げる。無論、他の者らも同様だった。

 

道を誤った者は、やがてそれに気づく時が来る。肝要なのはその時その人間がどういった決断をするかであろう。

 

何故なら人間は、いくらだってやり直すことが出来る。

 

間違いを犯した己を恥じ、変えたいと思うだけで、人は正しい道を進むことが出来るのだ。

 

「――頭を上げてください、先輩方」

 

それが分かっているからこそ、西住みほは微笑んだ。

 

「許すとか、許さないとか、正直私にはよく分かりません」

 

辛くなかったと言えば嘘になる。憎くないと言えば嘘になる。

 

「だけど、先輩方は謝ってくれました。それで、随分と楽になったんです」

 

自分の決断が正しかったのか、間違っていたのかなんて分からないけれど。

 

「今こうやって、私たちは本当のチームになれた。私はそれが、何よりも嬉しいんです」

 

互いの思っていることを、恥ずかしいところも含めて伝え合って。

 

今こうして、真の意味で私たちは力を合わせられるのだ。それが嬉しいと思うことは、決して間違いではないだろう。

 

後悔はしないと、先ほど誓ったばかりだ。ならば私が本当にすべきことは、先輩方の謝罪をちゃんと受け止めることだ。

 

「だから、続きは起きてから(・・・・・)やりましょう。みんなで一緒に、黒森峰に、私たちの学校に帰ってから。だから……」

 

ねえ甘粕さん。貴方はきっと、今もどこかで見ているんですよね。

 

私は本音を言うと、感謝してるんです。

 

だって、貴方が来なければ私たちは何も変われなかったと思うから。

 

エリカちゃんも、赤星さんも、お姉ちゃんも、他のみんなも、そして私も。

 

変わる機会を用意して、背中を押してくれたのは、甘粕さん。

 

それで十分。ここからは私たちが私たちの手で切り開く物語だ。

 

「だから、帰ってもらいますよ。話しても分からないなら、力ずくで分からせればいい話ですよね?」

 

己の信じるものをイメージしろ。

 

先ほど彼がやっていた。それを確かに、この目で見た。

 

ならば出来る。やってみせる。

 

「――来て」

 

そして、思いが形を為す。

 

ここに現れるは、あの時も、そしてこれまでもずっと乗ってきた相棒であるⅥ号戦車(ティーガーⅠ)

 

思いの強さも、部品の一つ一つまで把握している全体構造ゆえに再現された性能も、決して彼に引けを取らないと自負している。

 

「私たちは、負けない――」

 

この試練を、終わらせる。

 

そして必ず、現実に帰るんだ。

 

空を見上げながら、みほは笑う。

 

雨は、上がっていた。

 

 

 

 

 

 




カッス、久々の出番殆どなし。

三年生を助けたのがみほなのは、単に小梅がまず先にみほを助け、一緒に救助活動をしたからです。

三年生たちがしたことは紛れもなく最低な行為だけど、それを認めて自分の間違いを正そうとするならば、きっとみほも、まほも、他のみんなもそれを受け入れるでしょう。

そこからどんな関係になるかは、これからの彼女たち次第ではないでしょうか。


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