戦車道の世界に魔王降臨   作:そばもんMK-Ⅱ

11 / 20
みぽりんたちの反撃開始。やや独自の解釈がありますが、お目こぼしお願いします。

~これまでのあらすじ~

――私たちは、負けない――


第10話 「仲間」

 「決して隊列を崩さないで!無理せず、生き残ることを最優先に考えてください!」

 

爆炎と黒煙に負けない声で、みほからの無線が飛ぶ。これ最早それを無視する者など、ましてや裏切る者など彼女たちの中には存在しない。

 

紅蓮の業火に包まれる大地を、少女たちの駆る戦車たちは走り抜けてゆく。その隊列に一切の緩みはなく、無限に襲い来る魔王の砲撃などものともしていない。

 

「全車左へ!砲撃が来ます!」

 

何故なら彼女たちは、その全てを回避しているからだ。当たれば要塞の壁であろうが粉砕する魔の狼の牙は、しかし決して地を駆ける鋼鉄の虎と豹の群れを捉えきれない。

 

それは決してまぐれではない。それを可能にせしめた要因は、大別すれば二つある。

 

まず一つ、大前提として避けるために動ける車種を選出したこと。

 

先ほどのフェンリルの砲撃により、この夢に入った時点で彼女たちが搭乗していた戦車は全て水底に没している。そこで当然、彼女たちは新たな戦車を必要とし、そしてそれを創りだした。

 

即ち、創法の形による武器の創形。

 

真っ先にそれを為したのはみほであり、そして黒森峰の面々の中で最もその資質に秀でていたのは彼女と、姉であるまほだった。

 

この両名が有する戦車に関する知識は、名門黒森峰の中においてもさらに群を抜いて高い。そんな彼女たちがその資質に秀でていたのは紛うことなき幸運と言えるだろう。事実、彼女たちが創形()したVI号戦車ティーガーIとパンターG型は、現実のそれらと何ら変わらない性能を有していた。

 

ただし、これが必ずしもプラスであるかと問われれば、答えは否だ。何故なら二人はあまりにも戦車の構造に詳しかった。よって、たとえ無意識下でも現実における性能限界を設けてしまう。

 

燃料や砲弾はまた創ればいいとしても、甘粕のように創りだした物質を意のままに操り、不条理を現出させることはできないのだ。

 

話を戻そう。二人が創りだした車両は全二十両、そしてその全てがティーガーIとパンターG型であった。これは即ち、十分な装甲と火力、そしてそれを満たしたうえで動ける(・・・)車種としての選出である。

 

装甲が軽すぎては直撃でなくともカールの砲撃には耐えきれない可能性があり、十分な火力がなくては少ない機をものにすることが出来ない。

 

そして、それらを備えていてもまともに動けなければ文字通り粉砕される。常識を超えた攻撃が飛んでくることを考えれば、機動力は欠かせない存在だ。

 

そしてその選択は見事的中する。いまだ一発の直撃も貰わず、前進していることがその証左であろう。

 

さらに、ここで二つ目の要因が絡んでくる。彼方から放たれる砲撃の全てを完全に予測し、それに対応している西住みほこそがそれである。

 

いや、予測ではない。何故ならみほは文字通り、はるか彼方でこちらに砲塔を向けているカールの姿を見ていた(・・・・)のだから。

 

即ち、咒法による遠隔視。

 

その範囲は、いまや甘粕によって創界されたフィールド全域をカバーしていた。まさに鷹の目と呼ぶべき、飛びぬけた空間認識能力。そうして得られる膨大な情報を全て処理する演算能力。

 

戦術指揮官として、彼女は天賦の才を持っている。それはこの夢においても変わらず、そして超常の力としてさらに昇華していた。

 

――成程。ではこれはどうだ?

 

甘粕とてそんなことは分かっている。もとよりここは彼の空間だ。彼の目から逃れられるものなど存在しない。

 

己の攻撃は悉く空を切り、徐々に迫りくる戦車たちを見ながら、しかし甘粕は取り乱すことなど決してしない。

 

寧ろその逆だ。よくぞ乗り越えたと。よくぞ耐えたと――おまえたちは素晴らしいと。心の底から喝采している。

 

ならばこそ、甘粕正彦もまた一層奮起するのだ。そうでなければ、己の試練を乗り越えた者らに失礼であろう、と。

 

常軌を逸した思考回路だが、それゆえにこの男は魔王なのだ。

 

「前方に敵戦車確認。距離3300。IS-2ですが、数が多い……。二十、いえ、三十です」

 

先ほどまで交戦していたプラウダではない。あれは正真正銘、魔王が創りだしそして操っている軍勢だ。

 

『パンター、ティーガー全車射撃開始。行進間射撃だが気にするな。思う存分、魔法の弾丸を叩き込んでやれ!』

 

この夢の世界でモノを言うのは、現実における常識やセオリーではない。

 

普通に考えれば有り得ないことも、思い一つで可能になる。

 

それは例えば、このように。

 

『よっし、一両撃破!』

 

『さしずめ魔弾の射手といったところか。しかしこれは、随分と集中がいるな……』

 

放たれた砲弾のうちのいくつかが、明らかに適正距離よりも遠い位置の敵戦車を追尾する(・・・・)

 

回避行動など意に介さず、敵手を無限に追い続ける魔の砲弾。それを実現させたのは、咒法の射に長けた砲手の思いの力に他ならない。程度の差はあれど、もともと砲撃という”飛ばす”行為を仕事とする彼女たちの資質は、最低でも射程距離を軽く倍には伸ばす。優れた資質を持つ者ならば、文字通り必中必殺の魔弾となって敵戦車を貫くだろう。

 

最初の砲撃で撃破した敵戦車の数は八両。普通に考えれば大戦果だが、それでもまだ敵は二十二両残っている。

 

「気を付けて!敵戦車の砲撃が来ます!」

 

そして、彼女たちに出来ることは無論のこと甘粕にも出来る。

 

轟く砲撃音とともに飛来する、合計二十二発の魔弾の群れは、恐ろしいほどに正確に黒森峰の戦車を襲う。どれだけ回避を試みようが、絶対命中の理を以て虎と豹を地に沈めるだろう。

 

だが――

 

詠段(えいだん)顕象(けんしょう)――」

 

凛と響く声とともに、変化が現れる。

 

砲弾が弾かれる(・・・・・・・)。装甲が薄い側面でさえ、砲弾が負けている。飛来する122mm徹甲榴弾の群れは、全二十両に全弾命中。全ての車輌が側面や上部装甲を攻撃されながら、しかし無傷で健在であった。

 

「……全く、なんなのよこれ」

 

その奇跡のような御業を為した主こと逸見エリカは、襲い来る疲労感に息を少し荒くしながら、しかし憮然としてそう呟いた。

 

重ねて言うが、彼女たちが夢に入ったのは紛れもなくこれが最初だ。当然、夢の熟練度など言うまでもなく低くて当然。

 

その、はずなのに。

 

「気持ち悪い」

 

頭の中に湧き上がってくるのは、知らない筈の知識。

 

――邯鄲の夢。

 

――序・詠・破・急・終の五常楽。

 

――戟法・楯法・咒法・解法・創法。

 

知らない筈なのに、知っているように。あたかも自分がそれを最初から知っていたかのように。どこからか流れ込んできている(・・・・・・・・・・・・・・)のだと、本能的に理解していた。

 

そしてその根源であろうあの男が、それを為していることも。

 

「要は、やる気があるなら力を貸すと、そう言ってるんでしょ?だから使い方を教えると」

 

序から上がれ。そこが本当の戦士としてのスタートラインだ。その先はおまえたち自身で見つけるのだと。

 

己に繋げた者らを強制的に(・・・・・・・・・・・・)一つ上の位階に引き上げた(・・・・・・・・・・・・)

 

即ち、序から詠へ。五法の夢のうち二種を同時に行使し、重ね合わせる第二段階。

 

正確に言えばその存在そのものと、その詳細を悉く少女たちの頭の中に叩き込んだのだ。

 

そして、結果的に。今この瞬間、逸見エリカは壁を一つ越えた。先ほどの現象は楯法と咒法の同時使用。即ち、物質硬化を全車両に施したのだ。それは迫りくる脅威から仲間を守るために必要だったから。紛れもなく自分の意志で、一つ高みへと昇った。

 

「――馬鹿じゃないの」

 

なんだそれは?そんなもの私は知りたくなかった。そして何より、こんな真似をするあの男が気味悪くて仕方がない。

 

要は度を越したスパルタなのだ。勇気を見せろ、高みへ昇れ、もっともっと頑張れ。そうでなければ死ぬぞと、試練を雨霰と降らせながら叫んでいる。

 

今さっきの攻撃だって、私が全力以上に頑張らなければ誰かがやられていた。

 

心底理解できない。本当に余計な真似しかしないと呆れてものも言えない。

 

だって、私たちがやっているのは、本当にやりたいのは戦車道だろう。

 

こんな異能の力を振るって好き放題やれるなら、極論戦車なんかなくてもよくなってしまう(・・・・・・・・・・・・・・・・)じゃないか。

 

それでは最早、全く違うジャンルじゃないか。

 

「だから、ねえみほ。あいつをぶっ飛ばしてやりましょ」

 

何も分かっていない魔王面した馬鹿に、面と向かって言ってやらなければならないことがあるだろう。

 

「守りは任せて。私がいる限り、絶対に誰も死なせたりなんかしないから」

 

疲労も苦痛も、総じて些事。

 

それこそが(逸見エリカ)が貫き通すと決めた、仁義の道なのだ。

 

 そして、詠段に上がったのは彼女だけではない。

 

「射して崩せ。詠段・顕象――!」

 

自然と浮かんでくる知らない筈の言葉を紡ぎながら、赤星小梅は夢を描く。

 

自らが車長を務めるパンターの70口径が火を噴いた。そこから放たれた砲弾が、最小限の誘導を得てIS-2の車体正面に着弾し、そしてそのまま爆散させる(・・・・・)

 

言うまでもなくそれは本来有り得ない光景だ。IS-2の正面装甲の堅牢さは言わずもがな鉄壁であり、パンターであろうと貫通は容易ではない。

 

にもかかわらず、貫通どころか着弾した瞬間にIS-2が爆散するのだ。

 

それは即ち、車体内部を襲う着弾の衝撃が、貫通よりも上であるという異常な事実を示している。

 

それを可能にしたのは、解法の崩による存在そのものの破壊。

 

甘粕のイメージした存在そのものを揺さぶり破壊する、夢の力だった。

 

もとより既に敵手との距離は最初の半分以下にまで縮まっている。既に虎と豹にとっては夢などなくとも攻撃が届く範囲内だ。よってここでの咒法は本当に補助程度、軽い誘導程度だ。この範囲内であれば、それほど高い資質を持たない小梅にもこの程度の芸当ならば可能である。

 

あとは言うまでもないだろう。赤星小梅もまた、逸見エリカと全く同じだ。

 

「本当に、すごい力です」

 

既に敵車輌は数えるほどだ。このまま順当にいけば、私たちは間違いなくこの場での戦いには勝利する。

 

何の工夫もなく、ただの力押しで。

 

思い一つ、気合一つでいくらでも戦況をひっくり返せる。小が大を圧倒し、蹂躙する。

 

まさしく夢のような力だとつくづく思う。なんて便利で、なんて素晴らしくて――

 

「なんて、つまらない」

 

心底うんざりだと、赤星小梅は吐き捨てていた。

 

だってそこに、私たちがこれまで培ってきた常識やセオリーは通用しない。

 

偉大なる先達が築き上げてきた戦いの戦術や工夫などが、知らぬ存ぜぬとばかりに踏み倒される。

 

それが、どうしようもなく悔しくて仕方がないのだ。

 

勇気を見せろと、彼はそう言った。

 

彼にとっては戦車も、あのカールですらもそれを引き出すための道具に過ぎないのだろう。ゆえに、様々な制約や限界を無視してその道具を使い倒す。

 

欠点など要らぬ、そんなものにかかずらっていては大切なものを見ることが出来ん、とでも言わんばかりに。

 

「結局、弱いところを見ようともしていないだけじゃないですか」

 

それはきっと、そのまま彼の人間に対する見方と共通する。彼が好きなのは、人間が示す素晴らしい勇気(ヒカリ)のみ。その他諸々の弱い部分、醜い部分など目に入ってすらいないのだろう。

 

「私たちは違う。どんな戦車にも、どんな人間にも欠点があって。それを認めて初めて真に向き合うと言うんじゃないんですか。それを無視して、一体何が見えるというんですか」

 

私たちにとって戦車は単なる道具なんかじゃない。共に戦い、苦楽を共にしてきた相棒だ。

 

当然、車輌ごとの欠点だってたくさん知っている。

 

例えば、パンターはどうしても側面装甲が薄いとか。

 

ティーガーは重さゆえにサスペンションやトランスミッションへの負担が大きくて、整備が大変とか。

 

マウスに至ってはそもそも重すぎて問題しかないとか。

 

けれど、知っているからこそ問題に対応できるのだ。そしてそれは、人間相手でも同じことだ。

 

格好いい部分、素晴らしい部分だけを見ていてもその人の人となりは分からない。

 

駄目なところを十個くらいはすぐに言えなければ、本当の意味で友達だなんて言えないだろう。

 

「だから、私たちはこんな夢なんか要りません。そうでしょう、みほさん」

 

最後の一輌となったIS-2を撃破しながら、疲労に震えながらしかしはっきりと、小梅はそう呟いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 「うん。そうだよね、二人とも」

 

夢のような光景を目の当たりにしながら、西住みほは頷いた。胸中に苦難を突破した安堵や喜びはなく、あるのはただの虚無感。

 

こちら側の損害は五両。しかし乗員はすぐに脱出して無事なうえ、損失した車輌は新たにまほが創形することで補充される。

 

よって実質的には損害はゼロと言って良いだろう。それでいて三十両の敵戦車を全滅させている。

 

この場における戦いは勝利に終わったが、しかしみほの心にそれを喜ぶ気持ちは微塵も存在しなかった。

 

まず一つ、この状況を作り出した元凶が依然健在であることがその理由。

 

カールの砲撃が一時止んでいたのは、おそらく彼が見物に回ったからだろう。既にカールとの距離は2000を切っている。ここからはいよいよ、あれと直接対決しなければならないのだから。

 

加えて、自分も含めいよいよ疲労の色が濃くなっている。

 

思い一つで奇跡を為せる夢の世界では、逆にいえば迷いや揺らぎが命取りだ。精神的な疲労はそれに直結するため、ここからは先ほどまでのように万事うまく事が運ぶ保証はない。

 

そして、何よりも。

 

仲間と一丸となっていたとしても。例えそれで勝利できたとしても。

 

「――面白くない」

 

端的に言って、何の意味も感じられない。逸見エリカや赤星小梅が抱いた思いは、そのままこの場の少女たち全員に共通するものだった。

 

『なあ、みんな』

 

みほの独白を聞いてか否か、姉であるまほから通信が入る。

 

『これが終わったら、どこかと練習試合を組もう。今度はちゃんとした、戦車道をやりたい。――みんな一緒にだ』

 

この鉄火場に不釣り合いな優しい声だった。きっとお姉ちゃんは、みんなの考えてる事なんかお見通しなんだ。

 

『だから、必ずここから出よう。あの馬鹿に説教してやろうじゃないか。余計なお世話だ、とな』

 

私たちが本当に好きな戦車道をやるために。

 

それを理解していないあの人に、私たちの思いをぶつけてやろうと。

 

そんなまほの言葉に、誰もが限界を超えて奮い立つ。

 

まだ、やれる。

 

「――みんな」

 

だから私も、お姉ちゃんの後に続かなければならない。

 

だって私は、副隊長だから。

 

「これが最後です。目標、カール自走臼砲……いえ、それを操っているあの人。誰でもいい、あの人に正面からお姉ちゃんが言った通りに私たちの思いをぶつけましょう!」

 

いつもよりもずっと漠然としていて、けれど明瞭な作戦指示だった。それでも、返ってくる返事はどれもこれもが力強く、優しいもの。

 

それが誇らしくて、私は人知れず笑っていた。

 

喜ばしいと思っているのは、今ではなく未来を見たから。魔王の試練を一つ乗り越えたからなどでは決してない。

 

これからも、こんなにも素敵な仲間たちと一緒に戦車道が出来る。

 

それが、何よりも嬉しくて仕方がないのだ。

 

だから、甘粕さん。必ずこの思いを、貴方にぶつけてみせる。

 

「それでは最後の作戦……がみがみ作戦を開始します!」

 

「……」

 

沈黙。そしてすぐ後に起こる、暖かな笑い。

 

『ぷっ。あははははは!ちょっとみほ、いくらなんでも迫力なさすぎよ!』

 

『がみがみ……確かにお説教と言えばがみがみですよね。ええ、ぴったりな名前だと思いますよ』

 

「え、エリカちゃん!赤星さんまで……」

 

『いいじゃないか、それも含めてみほらしいよ。こらおまえたち、あまり笑うな。まだ戦いは終わっていないんだからな』

 

『分かってますよ隊長。ええ、本当にみほよね』

 

『はい。とても素敵な作戦です』

 

思い思いにかけられる言葉の数々。そこに揶揄や嘲笑は一切含まれていない。

 

『行きましょうみほ。思う存分、聞き分けの無い馬鹿に説教してやるために』

 

『もう一度、みんなで戦車道をやるために』

 

『どんな苦難だろうと、私たちならば絶対に越えられる。黒森峰に、私たちの学校に、みんなで帰るんだ』

 

みんな、私を信じてくれる。

 

私も、みんなを信じている。

 

だから私は、ありったけの声で叫ぶのだ。

 

「はい!それではみなさん、行きましょう!戦車前進(パンツァー・フォー)ッッ!」

 

――ここに、決戦の幕が上がる。

 

思いは一つ。確かな信念と勇気を抱いて、二十の鋼鉄の獣が進撃を開始する。

 

迎え撃つは、魔王が従える魔の狼。

 

その砲身部分に立ち、手を高く掲げながら魔王は笑う。

 

その気概、その勇気、その煌めき。実に素晴らしい。至高の輝き(ヒカリ)だよ。

 

ならばこそ、さあ。

 

「来るがいい、誉れ高き勇者たちよ。俺におまえたちを愛させてくれ」

 

 

 

 

 

 「来る――!」

 

魔狼の砲身が軋みをあげて旋回する。物理的な限界なぞ知ったことかと、本来有り得ぬ角度に照準が合わさっていた。無論、みほとてそんなことには気づいている。もとより常識外の世界なのだ。一般的に言われている性能(スペック)など、この場においては飾りでしかない。その程度はやると思っていたから、対応出来た。

 

即ち、最高のタイミングでの進路転換。一糸乱れぬ統率で、獣の群れは見事フェンリルの照準から逃れ出でていた。

 

――足らんよ。まだ終わってはおらん。

 

「……駄目、撃たれる!」

 

だが、それでも。覚悟していてなお、続く光景は西住みほにとって信じがたいものであった。しかしだからといって、驚愕の言葉は上げてはいけない。

 

鋼の意志でそれを抑えつけ、簡潔に状況を伝える言葉を無線に流す。彼方では今もなお、理外の夢が駆動している。

 

砲身が曲がる(・・・・・・)。逃さぬと言わんばかりに、射角の外へと逃れ出た少女たちを追って戯画的に曲がりくねった砲身は、ついにみほの指揮をも上回って地を駆ける鋼の獣たちを捉えていた。

 

そして迸る、炎の轟哮。

 

曲がった砲身では暴発するとか、そもそも砲身が曲がるはずがないとか、そんな真っ当な理屈は通用しない。

 

加え今回の砲撃は、先ほどまでのカールの砲撃とは違い追尾してくる。

 

どこまでも獲物を追い続ける猟犬の如く、奇怪な軌道を描いて砲弾が飛来する。真っ当な常識が通用しないのは明らかで、例え山を盾にしようとこの砲弾はすり抜けてくるだろう。

 

だが、その程度だ。

 

こちらにもそれに対抗する手段(ユメ)がある。

 

「効かないのよ!この程度なんでもないわ!」

 

逸見エリカが、そして他にも楯法に長ける者たちが、ありったけの防御を展開する。その結果、轟音とともに着弾した砲弾は、しかし彼女たちに何の痛痒も与えていなかった。濛々と立ち上る煙と、衝撃によって生じたクレーターがその威力のほどを物語っているが、その中をなおも二十両の戦車たちが疾走する。

 

この程度で、私たちの思いは砕けない。

 

しかしそれも結局はジリ貧だ。先ほど高らかに喝破したエリカとて、桁外れの衝撃からくる精神へのダメージは多大なものだ。何発も続けて受けていれば、やがて限界が訪れるだろう。

 

直撃を赤星小梅らの解法によって避けてすらこれなのだ。まともに受ければ、問答無用で文字通り吹き飛ばされる。

 

つまり、みほたちに求められるのは電撃戦。

 

防御が限界を迎える前に、敵兵器を破壊することこそ、彼女たちが勝利する唯一の道筋だった。

 

だが……そう、だが。

 

『畜生、ふざけやがって!いくらなんでも硬すぎるだろ!』

 

既に何発も砲弾を撃ち込んでいるにもかかわらず、カールは依然健在。ただ純粋に、夢の密度が桁外れだった。

 

やっていること自体はエリカと変わらず、楯法による硬化である。――その強度が並外れて強いという点を除けばだが。

 

彼我距離はとうとう1000を切った。この距離で、しかも場合によっては解法の崩を乗せた砲弾を喰らいながら全くの無傷。

 

足元に等しい至近距離を走り回る戦車を撃つために、自爆しかねない角度で砲撃を行いながら、やはり無傷。

 

出鱈目という以外にないだろう。もはや単純な破壊力で考えれば、この場においてこの怪物を倒せる存在など、怪物自身を含めても存在しなかった。

 

「まともなやり方じゃ、どうやっても倒せない――」

 

ならばどうする。考えろ、考えろ、手段がないとしても作り出せ。

 

「――」

 

その思考は間違いなく必要で、正しいものだったが。

 

『みほ!逃げろ!』

 

同時に、致命的な隙を生んでしまう。ほんの一瞬、本当に刹那ではあるが、みほは戦場から目を離してしまった。

 

無線から響いてくる姉の悲痛な声に我に返ってみれば、曲がりくねったカールの砲口が、真っ直ぐこちらを向いている。

 

操縦手のスコープ越しでは、あまりに巨大なカールの動きを至近距離で把握することはほとんど不可能である。そのため鷹の目を持つみほが逐一指示を送り、これまで彼女たちは奇跡のような回避行動を実現させていたのだ。

 

よって、どうしても初動が遅れた。

 

最早、何もかもが手遅れ。

 

ここに西住みほの命運は尽きた。

 

――そう、何も起こらなければだが。

 

『西住ィ!』

 

文字通り飛んできた(・・・・・)一両のティーガーに弾かれる形で、みほたちの車輌は間一髪で直撃する位置から弾きだされていた。

 

無論それは、言うまでもなくみほたちの代わりに突っ込んできた車輌が直撃を被るという意味に他ならず。

 

「く、あぁっ……!?あ、あ、う……」

 

エリカたちの楯法があってなお、戦車がまるで玩具のごとく爆風で吹き飛ばされる。

 

戦車道で使用される車輌として創形していなければ果たして無事であるかも怪しい被害だが、幸いにも乗員全員が無事なようでなんとか横転した車輌から脱出する。

 

そして、みほたちが目にした光景は凄惨なものであった。

 

巨大なクレーターの中に転がっている、もとは戦車であったらしき鉄くずの数々。

 

所々が赤く染まったそれは、紛れもなく先ほど自分たちを助けようとやってきた三年生たちのものだ。

 

何って?そんなこと、言うまでもなく分かりきっていて――

 

「う、うあ、あああああああああああああああああああああ!」

 

文字通り、生きてはいないだろう。これは紛れもなく夢だが、ここで死ねばどうなるかは分からない。

 

夢だから平気だろう、と楽観するにはこの夢はあまりにも現実味を帯びていた。

 

助けてくれたのは、先日まで自分を虐めていて、そして先ほどやっと分かり合えた三年生たちの車輌だ。まだまだ話していないことはあるのに、もう会えないかもしれない。

 

『みほ!しっかりしろ!』

 

「――」

 

絶望と後悔に染まる意識を引き戻したのは、再び聞こえてきた姉の声。

 

そうだ。泣いていても奇跡は起きない。

 

ここは、自分の力で未来を切り開かねばならない楽園(じごく)なのだ。

 

ならばどうすればいい?先の僅かな空白の間に、部隊は一気に統率を失ってしまっている。そしてそんな面々を狙ってカールが軋みながら蠢いている。それが見えているのに、最早指示を飛ばしていては間に合わない。

 

――また、さっきの先輩みたいに犠牲を出すのか?

 

――どうやっても、あの怪物を倒せないのか?

 

「――嫌だ」

 

仲間を見捨てないと誓った。みんなで一緒に戦って、一緒に勝つ。それこそが私の本当にやりたい戦車道の形なのだ。

 

「――」

 

その時、天啓のごとく降りてきた閃き。

 

いや、理屈としては至極当然のものだった。どれだけ威力を高めようと、例え解法の崩で壊そうとしても、敵手の夢はこちらをはるかに上回る強度だ。一人一人の力では、どうやっても絶対に破壊は不可能であると示された。

 

ならば話は簡単だろう。これまでばらばらに行われていた攻撃を、同時に叩き込めばいい。

 

理屈としては解法の崩の足し算だ。現状における理論上の最大火力とは、すなわちそれだ。

 

だが、それは文字通り理論上の計算である。

 

なぜなら実際に砲を放つ人間も、そしてそこに夢を描く人間も別人だからだ。例え完璧に指示をしたとしても、僅かなズレが生じてしまうのは仕方がない。そしてそのズレが、この夢においてはおそらく致命傷になる。たとえ数瞬でもタイミングが違えば威力は半減してしまう。それでは彼の夢を崩せない。

 

即ちこの場において求められるのは、全てのタイミングを完全に合わせて夢を叩き込むこと。

 

「少しでも、ほんの少しでも穴を開けれるならきっと倒せる。だけど……」

 

そんなことが出来るのか。

 

『……みほ。私はな、本当に幸せだよ』

 

「え?」

 

その時聞こえてきた姉の優しい声に、思わずみほは呆けた声を上げていた。

 

『状況こそ最悪だがな、それでもこうしておまえと、そして仲間と一緒に戦っていると実感できたのはこれが初めてだ。そしておまえは、ここまでずっと最高の指揮をしてくれた』

 

『――私はおまえが誇らしいよ。そしてそれは、きっと私だけの思いじゃない。ここにいる誰もが、おまえのことを最高の仲間だと思っている』

 

その言葉に、みほは刹那忘我した。

 

『――私は、私たちはおまえを信じている。だからおまえも私たちを信じてくれ。……言うまでもなかったか?』

 

最後の言葉は、お姉ちゃんなりの激励だった。そうだ、私たちは仲間なんだ。

 

辛いことも、苦しいこともあったけれど、それを一緒に乗り越えてきた。そしてこれからも、みんなで乗り越えることが出来ると信じている。

 

ならば、私が指揮官としてやらなければならないことは明白だ。

 

「――」

 

自分の夢を思い描け。他の一切を忘却しろ。私はそれを知っている(・・・・・・・・・・)

 

甘粕正彦はどこまでも普遍的、かつ平等に試練を齎す魔王だ。

 

よって、先ほど逸見エリカや赤星小梅に夢界の基本を流し込んだのと同様に、己に繋げた黒森峰の面々全員にそれを行っている。

 

今や、この場の全員が詠の段へと急速に上達していた。これは偏に、試練という極限の状況下で磨かれ続けた結果だろう。

 

ならば――そう、ならば。

 

この土壇場で、西住みほが更なる深奥の力を手にしたことも、必然と言って良いだろう。

 

破段(はだん)・顕象――!!」

 

それは即ち、みんなで一緒に戦い(・・・・・・・・・)勝つ(・・)という願いの結晶。

 

自分たちは一人なんかじゃない。どこまでも一緒に、力を合わせて戦う仲間だ。

 

だから、絶対に負けたりなんかしない。

 

ここに覚醒した新たなる破段。その力は、文字通り西住みほの夢の表れに他ならない。

 

「こっちを狙ってる!?だったら――」

 

「私が守るから――」

 

「私が消す!」

 

「射角外だ!なんでもいい、攻撃を加えろ!奴の気を逸らしてやれ!」

 

即ち、仲間との間で成立する意識の完全同調(・・・・・・・・・・・・・・・・・)

 

みほの思考を、まほの思考を、逸見エリカの思考を、赤星小梅の思考を、一切のタイムラグなしに全員が共有する。自分の思考は刹那の遅れもなく相手に伝わり、完全な連携を可能とする。

 

無論、共有される思考に区別はない。考えていることは全て筒抜けで、色々な気持ちも全部仲間に伝わってしまう。

 

だが、それが一体なんだという?

 

「どんな人間にも欠点があって、それを認めて初めて向き合う、か。うん、そうだよね赤星さん。私もそう思う」

 

そんなことは全部承知だ。悪いところも全部ひっくるめて仲間なのだから、いまさらそんなもので揺らがない。

 

突然の変化に驚愕もせず、冷静に状況に対処し始めた仲間の姿が誇らしい。

 

自分にはこんなにも素晴らしい仲間がいるのだと、何回目かも分からないそんな歓喜が全身を駆け巡っている。

 

「みんな――」

 

今や言葉など不要。全員がみほの思考を共有している以上、為すべきことは既に理解している。先ほど一発撃ったばかりのカールは、しかしそれゆえに次弾発射までにタイムラグが発生する。

 

「約十一秒。その間にケリをつける!」

 

それは呆れるくらいに短くて、普通ならば絶対にその隙を文字通り完璧に突くことなど不可能だろう。

 

だが、今の私たちならそれが出来る。

 

「お願い――」

 

言って、みほは文字通り飛翔した。解法はそこまで得手としているわけではないけれど、それでも十一秒もあれば目標の場所までは飛んでいける。

 

そして――

 

「今だ」

 

それは、誰の声だったのだろうか。

 

刹那の狂いもなく、全く同時に着弾するよう綿密に計算された砲弾が、十八両の戦車から放たれていた。

 

ありったけの解法の崩と楯法の堅を乗せた流星が、文字通り全く同時に着弾する。

 

そして、ついに鉄壁の防御に穴が開く。今この一瞬のみ、カールは文字通りただの兵器だ。

 

「みほ!」

 

「みほさん!」

 

「決めなさい!」

 

その一瞬。今のみほが逃すことなど有り得ない。

 

空中で瞬時に創形されたのは、自分たちが所有する超重戦車(マウス)

 

欠点だらけで、大戦中結局まともに使われたことなどない欠陥兵器。

 

だけど、それでも優れた部分もちゃんとあって、それを活かせるかどうかは使い方次第なのだ。

 

「いっ、けええぇぇぇぇぇぇぇっ!」

 

当然中には誰も乗っていないが、その状態でも砲撃が可能なのが夢の世界。

 

轟音と共に放たれた55口径128mm徹甲弾が、唸りを上げてこちらを向き始めていたカールの砲身に吸い込まれる。

 

みほのみならず、この場にいる全員の解法の崩を乗せたそれが車輌内部で致命的な破壊を齎し、砲身が崩れ落ちる。そしてそれだけでは終わらない。

 

先ほどみほがマウスを創形したのは、文字通りカールの真上――つまり空中だ。当然それは、重力に従い落ちてくる。

 

そう、落ちてくるのだ。重量188tの怪物が、文字通り破滅的な破壊となって降ってくる。

 

「ぶっ潰れろォッ!」

 

致命の一撃はここに為る。

 

文字通り降ってきた超重のネズミに押しつぶされ、ついに魔の狼は活動を停止した。

 

 

 

 「ああ……」

 

その様子を見ながら、甘粕正彦は静かな感激を覚えていた。

 

フェンリルの巨体ゆえ甘粕自身が直接潰されることこそなかったが、それでも爆発と降り注ぐ金属片にその身を曝していたのだ。全身に火傷や裂傷、その他様々な傷を負い、血を流し、ぼろぼろの体でありながらそれを癒すことすら忘れている。

 

素晴らしい。なんと眩しい。彼女たちは見事、俺の試練を乗り越えた。

 

ここに、彼女たちの勇気は示された。

 

ならば、最早夢は終わり。

 

「くはっ――」

 

そう、終わりの筈だが、しかし――

 

「くは、ははは、はははははははははははははははははははは――!ふっ、ははは、くはははははははははははははははははははははははははははははははは――――!」

 

――かつて、甘粕正彦のことを普遍的無意識(アラヤ)は馬鹿と評した。

 

曰く、一桁の足し算よりも分かりやすい理屈が通じない、と。

 

愛も、勇気も、傲慢さも我がまま具合も。全ての桁が人類の枠から外れている、突き抜けた大馬鹿者。

 

そう、久しぶりに見た輝かしい勇気(ヒカリ)を前にして、彼はまたしても、本当にまたしても興が乗ってやりすぎてしまった(・・・・・・・・・・・・・・)のである。

 

「――そう、まだだ(・・・)ッ!」

 

もっとこの勇気を見ていたい。もっともっと、この輝きを愛していたい。これ以上は危険だとか、意味がないとか、そんな真っ当な理屈など一切合切放り投げて。

 

そして次瞬、世界が切り替わった(・・・・・・)

 

「え……?」

 

「なに、これ……」

 

目に見える風景に、別段これといった変化はない。

 

ただ、西住みほも、西住まほも、他の誰もがそれに気づいていた。

 

まず起こった異変は、先ほどフェンリルの砲撃を受けて死亡したはずの三年生の面々が変わらぬ姿で復活していることだった。

 

そして、これまでの戦闘の余波で発生した破壊痕が、そっくりそのまま消えている。そう、破壊されたフェンリルも、甘粕の姿も、どこにもなかった。

 

まるで、場所自体は変わっていないのに何らかの位相が違っているかのように。

 

――甘粕が教えていないので当然だが、西住みほたちは夢の世界については全くの無知だ。教わったのはそこでの力の存在だけで、それ以外は何も知らない。

 

よって、夢の世界――夢界(カナン)が全部で八つの階層に分かれていることも。今まで彼女たちがいたのが第三層(エリコ)であることも。

 

今まさに、全員が第四層(ギルガル)へと入ったことも。全て知らないし、分からないのだ。

 

「馬鹿な……」

 

混乱の渦中で呟かれたまほの言葉に、誰もが彼女を見やる。その表情は何か信じられないものを見ているかのように真っ青だ。

 

一体何が、とみほはつられて視線の先を見る。

 

「……え?」

 

そして、そこにあったそれ(・・)を目にして、今度こそみほの、いや、この場の誰もが呆気にとられた。

 

視線の先にあった光景は、最早現実感がなさ過ぎてどう反応すれば良いか分からない。

 

まず視界に入ってきたのは平原。それはこれまで戦っていた決勝の舞台にはなかった、地の果てまで広がる広大さ。

 

加え、空が血のような赤一色に染まっているのだからその異常さは極め付けと言う他無いだろう。

 

だが、そんなものなど気にしていられない。

 

何故ならその平原に、否が応でも目を引く巨大な鋼鉄が君臨していたのだから。

 

 ”80cm列車砲”という列車砲がある。

 

第二次大戦中ナチス・ドイツが実用化した世界最大の列車砲であり、軍事や歴史を少し齧っていれば名前を聞く程度の経験はしたことがあるのではないだろうか。

 

――重量、1300t。

 

――砲身長含めた全長、約47m。

 

名を「グスタフ」および「ドーラ」と言うそれらを知る人間は多い。

 

では、こんな話を聞いたことはあるだろうか。

 

――この巨大な列車砲を、自走可能にする構想があった。

 

即ち、80cm列車砲を搭載した自走プラットフォームの計画の存在である。

 

超重戦車すら上回る、超超重戦車、あるいは自走砲として構想されたそれは、結局開発されることなく終わっている。

 

だが、構想としては確実に存在したのだ。

 

そして存在したならば、それを引きずりだせるのが人類の普遍的無意識たるアラヤに触れることのできる者――すなわち、盧生と呼ばれる存在である。

 

「おまえたちの輝きを俺に見せろォ――モンスターッッ!」

 

P1500 モンスター。

 

またの名を陸上巡洋艦(ラントクロイツァー)

 

人類の歴史から引きずり出された幻想の兵器が、今ここに創形されていた。

 

 

 

 

 

 




過去最長になりました。切るところが見つからなかったので、一気にクライマックスまで持っていっちゃいました。

夢に入るのが初めてにもかかわらず全員が詠段、みほに至っては破段までいっていますが、そのへんは甘粕による全力バックアップです。みほの破段は四四八の「犬田小文吾悌順」が元ネタです。仲間と一緒に戦うみほなら、きっとこんな夢を描くと決めていました。

はい、そしてお待ちかねのアレです。

【悲報】カッス、やらかす【知ってた】

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。