今回でいきなり理由について答えが出ます。……といってもメイン作品で明らかになっているので今更感はありますが。
それでは、今回もよろしくお願いします!
立夏に案内されるようにして学校内に入ると今がまさにピークなのだろう桜がびっしりと咲き誇っていた。学校内にこんなに桜があるなんて結構珍しいな。珍しいついでに校舎もなんか複雑というか独特な形をしている。確か、風見学園の名前って校舎を風見鶏のようにしたからって理由だったってどこかで見たような気がする。確か……ネット版非公式新聞だったかな? まぁいいや。とりあえず今は学園長室に行くことが優先だな。
ってことで、ずっと立夏についてきたんだけど……。
「何? もしかして、緊張してるの?」
どうしても学園長室の前だと委縮しちゃうんだよな……。なかなか入る機会なんてないし、そもそもここは始めてくる場所だからなおさら。
だからなかなか入ろうとは思えないんだよな……。
「……なんか入りにくいような雰囲気ないか? こういうところって」
俺がそう言うと立夏も首を上下に振る。なんだ、立夏だって同じなんじゃないか。そう思っていると立夏はその続きを言葉で説明してくる。
「まぁ、わからなくもないけどここは別よ。緊張するだけ無駄無駄」
無駄……? それはどういうことなんだ?
「は?」
そんな立夏の言葉に俺はそんな声が漏れてしまった。けど本当に無駄って? まさか、ここに学園長がいないなんてことはないよな……?
俺がそう考えていると立夏はノックもせずにいきなり学園長室のドアを開けた。……ってまだ俺心の準備できてないって知ってるよな!?
そんな俺のことを気にもせずに立夏はどんどん学園長室に入っていく。
「学園長~。時坂君を連れてきましたよー」
釣られて中に入ると純和室の学園長室が広がっていた。その真ん中には……こたつがあった。うん、まだ寒いもんね。そりゃあるか……ってそんなことあるか!? ここ学園長室だよね!? この学校で一番偉い人がいるところだよね!? そんな学校の顔のような人がいる場所がこんな私的に使えるようなレイアウトになってていいの!?
しかもなんか立夏と同じような金髪をしたロングヘアーの女性が寝てるんだけど、まさかこの人が学園長なわけないよな……? あ、あとこたつで寝ると風邪をひきやすくなるからやっているならやめるように。……それで風邪ひいても俺は知らん。
って突然俺は何を……? まぁ、いいや。とにかく学園長をさがさないと……。多分この人は学園長の奥さんとかその辺の人だろう。と考えていたんだけど……。
「うにゅ……? あ、立夏ー。どうしたの?」
こたつで寝ていた金髪の女性が目覚めたみたいだ。この人に話を聞けば学園長の居場所が分かる! しかし、立夏のことは呼び捨てなのか……。
「どうしたのじゃありませんよ。連れてきましたよ。彼を」
そう言って俺のほうを指す。……うん、察したよ。残念ながら学園長としてここにいたんだということを察せざるを得ない状況になってしまったためきっとこの人が学園長なんだろう。初対面とはいえ……学園長室を私物化しすぎじゃありませんかね!?
「あ! 空也君、来たんだ。ようこそ、風見学園へ!」
こたつで寝ていた学園長は起き上がり俺たちのほうを向いてそう言った。さっきまで眠そうにしていたのにしっかりと学園長らしいことをしているんだから、やる時はしっかりとやるタイプなのかもな。
まぁ、挨拶されたんだしこれからやることは1つ。
「初めまして、学園長。時坂空也です。これからよろしくお願いします」
挨拶をされたら返す。これは礼儀としてしっかりとやるべきこと。何事にも挨拶は大事だからな。
ただ、この挨拶は学園長には好ましいものではなかったみたいだ。頬を膨らませながら俺のことをにらんでくる。……何かダメなことをしたのか?
「堅いよ~。もっとゆるーくても大丈夫。ボクのことはさくらでいいから」
え? 堅いか? 普通だと思っていたんだけど……。というよりも学園長を名前で呼び捨てにするなんてこと出来るわけない。
「学園長なのにそんな風に呼べませんよ」
だから俺は抵抗として学園長にそう申し出た。だってこの学校で一番偉い人だよ? しかも初対面。なのに呼び捨てなんてハードルが高いなんてレベルじゃないでしょ……。
「え~、でも昔は呼んでくれたよー。だからできるよ」
でもそんな俺の言葉にも諦めることなくさらに踏み込んでくる。けど、昔? あ~。
「それは他の生徒でしょう? 俺は正真正銘今日が初めてなんですから……」
他の前の生徒か。余程学園長に親しい人だったんだろうな。多分その人は俺と違ってかなり友人を作るのがうまかったのだろう。……その延長で学園長に話しかけていたのならかなり精神図太いような気がする。
「そうだけどー……。あ、学園長命令ね。これから空也君はボクのことはさくらって呼び捨てで呼ぶこと! じゃないと、空也君の知らない秘密を教えてあげないから」
……っ! 俺の知らない秘密……学園長が俺をここに呼んだ理由が化け物と呼ばれることになった所以だとしたら、話を聞いておかないわけにはいかない。……ここは仕方ないか。立夏にもできたんだ、できる……できる。
「……それは困る、な。じゃあ……さくら。……これでいいで、か?」
思ったよりできなかった!! これ相当難しいな……。相手がどういう人なのかわかっている状態だとなおさら……。これは回数を重ねていくしかないのかな? 俺の秘密が何なのかを知るためにはなんとしても、慣れないといけないってことになるんだから。
「まだまだぎこちないね。けど、今のところはそれでもいいよ。生活してるうちになれると思うし」
良かった……がくえ、さくらからOKをもらえた。これで俺の力が何なのかが分かってくる。いつになるのかがまだわからないんだけどな。でも、さくらとこうやって話す機会なんてそうそうないから慣れるっていうのもおかしな話か。
「そんなにここに来る機会もないでしょう……。あ、ないだろ?」
気を抜くとすぐに敬語に戻ってしまうけど、さくらがいいって言ったから多分今回も大丈夫、のはず。
「あるんだな~これが。って立夏~、言ってなかったの?」
え? まだ俺が聴かされていないことがあるのか? 聞かされてないこと……授業についてか? 話の流れからすると、何かの授業を受け持つって感じだと思うんだけど、学園長がわざわざそんなことするのかな?
「あ~……かったるかったんで」
立夏は立夏で本当にダルそうに呟く。学園長を前にして結構ラフだな。立夏って。けど敬語はしっかりと使ってる……。なんかだんだん読めなくなってきたぞ……。
「かったるいって……お兄ちゃんみたいなこと言わないの! あ、空也君もボクに敬語外したんだし、そろそろ立夏も外してよ」
わぁお。なんかすっごい唐突に立夏のほうに話が向いたな。確かさっき、学園長に好かれるとかなんとか言ってたから相当前から言われてたのかもしれないけど、この話の流れでか……。
ほら、立夏だって驚いてるし。
「……急に来たわね。はぁ、空也もやったんだし分かったわよ。私も呼び捨てで呼べばいいの?」
けどあっさり了承する立夏……。うそーん……。さくらは立夏の言葉を聞いて首を縦に振ってる。……明らかに俺の時よりも展開が早いぞ。
「じゃあさくら。私は忘れてたから説明よろしく」
しかもすっごいナチュラルに話を進めてるし、さりげなくさくらにぶん投げた!? これがさっきまでしっかりと敬語を使ってた人だとは思えないんだけど!?
「え~!? そこは立夏がやってよー」
さくらもそのことに気が付いてツッコんでるけど……。正直置いてけぼり感がすごい。
「……いい加減話を進めてくれないか? まったく話が読めないんだが」
うん。何を話しているのか全然わからない。いや、内容の本筋のことすら放されてないからわかれっていう方が無理なんだけど。このまま立夏とさくらの話を聞いていたらいつまでも見えないような気がして直接俺は話を聞くことにした。
「あ~もう! 空也君、君の住む家はボクの家だよ!」
……は? えっと……。少しだけやけになって言っているのはわかるんだけど、この人なんて言った?
「すまん、立夏。訳してくれないか?」
ちょっと俺の想定を斜め上に超え過ぎているせいで理解が追いつかないから立夏に聞いてみる。
「え? これくらいわからないと飛び級なんてできないんじゃないの? つまりね、さくらは空也を自分の家に住まわせるって言ったんじゃない」
飛び級できるくらいには知識はあるよ!? でもね? いきなり学園長の家がこれからあなたの住む家ですって言われてすぐに納得できないよ!!
「本当に言葉の意味通りなのか!? さくらが経営しているアパートとかじゃなくて!?」
立夏は普通にしているけど、そうそうないことだよね!? 普通だったらアパートとかで一人暮らしとかだと思っていたんだけど……。
「うん! ちゃんとした意味でのボクんちだよ!」
しかもさくらの追い打ちが入る。マジか……。なんか常に気を張っていないといけないような気がしてきたぞ……。俺の心休まる時間はあるのかな?
「ってことだから、これから空也はさくらの家に行きなさい」
話が唐突すぎてまったく呑み込めていないのだが、これが嘘ではないということは雰囲気からなんとなくわかった。って立夏!! 話を仕切るのは良いけどいきなりすぎると本当にキャパ超えちゃうからやめて!?
「……じゃないと出来ない話もあるからね」
そんな焦っている俺にさくらは耳元でそう呟いた。それが少しだけ俺を冷静にしてくれる。……どうやらさくらはそっち方面の話に関しても考えて住む家を提供したみたいだ。何を知っているのか、どんなことが教えられるのか考えた俺の背筋は自然と伸びていた。
その後編入に関する説明がなされた。制服は学ランで教科書は編入後に一斉に配られるらしい。それまでの勉強は終わらせて来たからもう当日まで待つっていう感じか。
でも、問題はこのあと。これから俺が住むことになる家が学園長の暮らす家だと知った俺は緊張とこれから何が聞かされるのかという興味にかられていた。
そしてここが芳乃さくら学園長が住んでいる家……。かなり大きいな。和風で出来ているその家は年期を感じることもできたけどかなり立派だという印象を受けた。
さくらに案内されて俺はさくらの家に上がり込んだ。外見と同じで中も和風。そのまま俺は居間に案内されて座ってさくらの話を聞いていた。
「この家はね、ボクの家でもあるんだけどボクの子供たちも住んでるんだ。でも今は旅行に出てるんだけどね」
へぇー。さくらは一人暮らしではないのか。子供ってことは既婚者ってことだよな。にしては婚約指輪を付けていないんだけど……。ってそれよりも聞いておかないといけないことがあったんだった。
「その人たちは知っているんで……のか? 俺がここにきてる事」
そう。その人たちは俺はこれからここに住むことを知っていたのかということ。旅行から帰ってきたときに急に俺と鉢合わせになってひと悶着とか嫌だからな?
「知らないよ。言ってないからね~」
って、おい!? 学園長だけどそこはツッコむよ!! いや言っておかないとだめだよ思うよ!?
「おいおい……大丈夫なのかよ」
本当に俺はここに来ても無事にやっていけるのかな……? ちょっとだけこの先が不安になってきたんだけど。
「大丈夫大丈夫! さて、ボクのことは置いておいて今度は君の話をしようか。空也君」
「……っ!」
来た!! 俺が今一番知りたかったもの。正直もう少し後に知ることになるものだとばかり思っていたけど、来て早々に知れるなら儲けものか。
「空也君があの時にやったこと。それはね……」
さくらがもったいぶって話を伸ばす。なんなんだ? 俺があの時やったことは。俺が化け物と呼ばれるようになって学校の連中から畏怖の対象として見られるようになったきっかけを作ったこの力は……。この力のせいで、俺はいろいろと不幸な目にもあってきた。けど、その分幼馴染たちを助けることもできていた。このままわからない状態にしておくのは自分のためにも絶対にしてはいけないことだ。
そんなことを考えているとまたさくらの口が開かれる。
「それはね、魔法なんだ」
ま、ほう? 魔法ってアレか? アニメや漫画とかでよく出てくるステッキを持って使う、あの魔法?
そんなものが実在するわけないだろう……。この話を聞いたら立夏が喜びそうだな。なんて現実逃避をしつつも俺は徐々に現実を見始める。まったく……バカバカしい。魔法なんてものがこの世に存在するはずがない。空想の産物である不思議な力は現実にないことはもう知っている。
そのはずなのに……。
そう思っているのに、俺はその言葉を真っ向から全否定することができなかった。
ということで、皆さんも寒いからといってこたつで寝ないでくださいね。
え? 私ですか? 毎朝こたつで寝てますよ?(おい)
まぁ、急きょ始めたこの作品も2話まで投稿して、なんとなく予想が付きました。後3話くらいで原作行きます。
でも、今年の投稿はこれまで。それでは皆さん、良いお年を!