Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ 妹へ送るエール 作:ハープ
第1話 始まりの地獄
〜??? side〜
──それは、地獄だった。
街だったものはみな崩れ落ち、荒れ狂う炎に焼かれている。
黒煙が立ち込め、最早自身の他に生命があるのかも疑わしい。
なんて、のたまっている場合じゃない!
何なのこの状況は!さっきまでいたって普通の日常生活してたよね⁉︎
何がどうなったらこんな状況になるの⁉︎
突然身に降りかかった危機にパニックに陥りながら、取り敢えず伏せようかなどと思えば、身体が3、4歳くらいまで戻っている事に気づく。
いや、戻ったというより、これは自分のじゃない?
更に頭の混乱する事態に処理落ち寸前だった私の目に、何か炎や煙とは違ったモノが映った。
………………………………………………………え?
それは、一見すると黒い泥のようにも見えるモノだった。
しかし、まるで意思があるかのようなその動きが、ただの泥だという考えを否定する。
何より、その泥から満ち溢れる邪悪な気配は、ソレの正体を伝えて有り余った。
はい?
じゃあ何かここはあの冬木なの⁉︎って、あれ、なんでそんな事知って……?
いやそんな事は今どうでもいいすぐ逃げろ兎に角逃げろひたすら逃げろっ!何がどうなってとかそんなの後……っ⁉︎
身に迫る危険に、一旦疑問を全て棚上げにして瓦礫の向こうに逃げようとしたものの、身体が小さい事を忘れていた私は、身体の動きがイメージと合わず躓いてしまう。
……ヤバイっ!
すぐそこまで迫っていた泥を前に、何とか泥の流れの外に身体をずらそうと跳び上がったが、間に合わず腕が泥に触れてしまった。
ああああああぁぁっ⁉︎
跳んだときの勢いのお陰で触れていたのはほんの一瞬だった筈なのに、 まるで何万時間もの間拷問され、殺され続けたような錯覚を覚えた。
何とか我を取り戻して、分かった事はただ一つ。
……次あんなのに取り込まれたら正気を保てる気がしない。
今の接触で本物だと理解させられた分、危機感が強まった。
今は瓦礫が泥を向こうに押してくれているけど、いつこっちに来るかも分からない。
……さて、どうしたものか。
逃げなければ、とはいうものの、はっきり言って打つ手がない。
かたや瓦礫とその向こうに
かたや燃え盛る炎。
この二つに挟まれてしまっている現在、一体どうしろというのか。
………………泥より火の方がマシ!
さっきの接触で感覚がマヒしているのか、普通なら絶対に取らないような選択肢を迷い無く掴む。
せぇ、のっ!
〜??? side out〜
〜イスカンダル side〜
まったく、此度の聖杯戦争、厄介な事になったものよ。
まさか聖杯が穢れてしまっていようとはなぁ。
おまけに、中身が半ば暴走して街を襲っておる。
他のマスターや生き延びたサーヴァントと生存者を探すのはいいが、果たしてこの状況でそんなものいるのかどうか…………「せぇ、のっ!」うん?
生存者など諦めかけていた時、場違いな可愛らしい掛け声が聞こえてきたかと思えば、炎の壁から小さな少女が飛び出してきた。
………あー、うむ、何とも元気な娘よの。
流石の余も絶句していると、
「熱っ〜〜!やっぱり熱い〜!」
などと地面を転がって騒いでいた。
「生身で炎をくぐれば当然であろう。全く、何ゆえそのような真似をしたのか…」
あまりに可笑しいので思わず突っ込むと、やっと気付いたのかこちらを見て……うむ?何やら呆然としているが、どうしたというのだ?
〜イスカンダル side out〜
〜??? side〜
トチ狂ったからって炎の壁を強行突破なんてするものじゃない。
運良く身体に火は燃え移らなかったものの、全身を襲う熱さに悶えて思わず転がる。
っていうかホントにヤバイ、肺の中焼いたんじゃ…。
などと心配していると、
「生身で炎をくぐれば当然であろう。全く、何ゆえそのような真似をしたのか…」
などとツッコまれてしまった。
ええ、まったくもってその通りでございます。
………はい?
一瞬素直に反省しかけたけど、人がいた事に驚いて声の方を向くと……ナゼアナタガココニイルンデスカ
いや、だって記憶だとこの時もうイスカンダルやられてるはずなのに生き残ってるっておかしいじゃないですか。また別の世界なの?
って、だからどうしてそんな事知って……ああもうこれも後!
取り敢えず子供っぽく上手く対応しないと…!
〜??? side out〜
〜イスカンダル side〜
少しぼーっとしておったが、今度は何か慌てておるな。
と思っておったら、
「向こうに、ゴホッ、黒くて嫌なドロドロ、ケホッ、したのが……!」
などと言うではないか。
ふむ……聖杯の中身ではないのかそれは!
さっさとこの娘を連れて離れるにかぎ……いかん!
ふと娘の後ろをみれば、それらしいモノがこちらに向かって来ていた。
「掴まれ娘!」
娘も気付いたのかすぐに余へと腕を差し出し、それを掴んで後ろに乗せる。
どこかに掴まったのを確認し、
「まったく、油断ならんな。大事無いか、娘よ」
間一髪躱したところで余が問いかけたが、引っ張った腕も平気だったらしく、娘は頷いた。
「しかしお前さん、アレだな。初め火の中を突っ込んで来たときは何の酔狂かと思ったが、なかなかどうして度胸のある娘ではないか。出会ったのがもう数年先であれば余の臣下に誘ったところよ」
「…………光栄、です……征服王に…そんな……風に………言って…………もらえ…………」
うむ?……眠ってしまったか。
まあ無理もあるまい。
むしろ今までよくぞ生き延びたというものよ。
確かセイバーのマスター達がこの先におったな。
此度の現界も残り僅か。
後のことは奴らに任せるとするか。
……………そういえば、余が征服王だと、娘に名乗ったか?
〜イスカンダル side out〜
いかがでしたでしょうか。スマホのメモアプリで書いた時に何回も修正してみたのですが、上手く表現仕切れないものですね。他人にこうした文を見て頂くのは初めてなので、どんな評価でも大歓迎です。今の文章で良いか悪いか、ズバッと書いて頂けると嬉しいです。