Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ 妹へ送るエール   作:ハープ

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遅くなりましたが、明けましておめでとうございます。
年末年始に思いの外リアルが忙しくなってしまい、時間がかかってしまいましたm(_ _)m


第7話 束の間の休息

〜エール side 〜

 

 

壊れた幻想(ブロークン・ファンタズム)を使った直後、完全に魔力が切れた私はアーチャーの力を維持できなくなり、元の姿に戻った。

 

「クラスカード『セイバー』…回収、完了」

 

……ごめんなさい、セイバー。貴女が歩んだ道は、間違いじゃなかった…。ここじゃないどこかで、それを教えてくれる人に必ず会えるから。それまで、休んでいて…

 

そう祈りながら、出現したカードを拾う。

 

「…な、なんとかなった……」

 

正直なところ、最後の攻撃は賭けだった。

残った魔力は矢一本放つのが精々。その上初撃はほぼ躱される。苦肉の策として、追尾能力を持つ赤原猟犬(フルンディング)を使ったけど、もしあれが弾かれたのではなく破壊されていたらと思うとゾッとする。

 

「ブハッ!」

 

「死ぬかと思いましたわ」

 

と、地面から凛とルヴィアが飛び出してきた。

生きているとは思っていたけど、まさか地中に潜っていたとは…

 

「お姉ちゃん‼︎」

 

「おっとと…」

 

半ば呆れつつも感心していると、今度はイリヤが抱きついてきた。

魔力切れと身体の酷使で結構キツいから、勘弁して欲しいとは思うけれど、

 

「お姉ちゃん…良かった……グス…」

 

…この状態で引き離すのも私の精神衛生上よろしくない。

姉としての威厳を総動員してなんとか堪える。

 

「うん…イリヤも無事で、良かった」

 

言葉にすると、守れたという実感が湧いてくる。

ホッとして崩れ落ちそうになるのを必死に抑えながら、私はイリヤを抱きしめた。

 

「あー、状況がさっぱりなんだけど、どういう事?これ」

 

訳がわからない、という顔で凛が聞いてくる。

 

「…いっけない。美遊、戻らないとマズいから、お願いできる?」

 

「うん」

 

いい加減空間も保たないので、ひとまず元の世界に戻る。

 

「…それで、一体何があったんですの?私達でも倒せなかったアレを、どうやって…?」

 

最低限の身だしなみを整えつつ、ルヴィアが聞いてくる。

 

「ま、聞きたいのは分かるけど、もう遅いわ。イリヤ達は先に帰らせてもいいでしょ?イリヤ、そういう事で私は少し話があるから、先に帰ってて?美遊も一緒の方が嬉しいかな。この時間一人はさすがにね」

 

「う、うん…」「…分かった」

 

……二人を何とか先に行かせ、姿が見えなくなった途端、緊張が切れて崩れかかる。

 

「ちょ…貴女、大丈夫⁉︎」

 

「…あんまり大丈夫じゃないかも」

 

地面に倒れる寸前で凛が受け止めて、ベンチに寝かせてくれた。

 

「まったく、イリヤを先に帰したのって、心配させたくないから?」

 

「ま、そんなとこ…姉は妹にカッコつけたいものなのよ。凛も分かるでしょ?……流石に、回路開いて一日足らずでやるにはハードが過ぎたけど」

 

「なっ…!それってどういう…⁉︎」

 

「あなた魔術回路を持って…っ!その目はどうしたんですの⁉︎」

 

「みたい。昨日のキャスター戦の後、やってみたらあった…?目って何の事?」

 

驚くルヴィアに、私は不思議に思って尋ねる。

 

……そろそろ、限界、かも…。

 

「見た方が早いですわ。エールスフィール、こちらを」

 

手鏡を貸してくれたので見てみると、片方の目が変色し、アーチャーと同じ色になっていた。

 

「あー…多分、行き過ぎた魔術行使の代償、かな」

 

「…もう一度聞きますわ。何をしたのですか?」

 

「……カードを使って、英霊の力を私に降ろしたの。ごめん、ちょっと限界。悪いけど…詳しくは……明日に……」

 

言いながらも、疲れが出たのか瞼が重くなり、私は意識を手放した……。

 

 

〜エール side out〜

 

 

 

〜凛 side 〜

 

 

「……寝ちゃったか」

 

「身体のあちこちに過度の負担が掛かった跡がありますわ。詳しくは分かりませんが、相当な無茶をした、という事でしょう」

 

エールから事情を聞き出そうとしたけど、これじゃ無理ね。

 

「カードを使った、って言ってたけど、ステッキも無しにどうやって…。考えてもしょうがなさそうね。明日もう一度話を聞きましょう」

 

「それしかないですわね」

 

取り敢えず今回の事を棚上げして、私達はエールを部屋に運んで帰った。

 

 

〜凛 side out〜

 

 

 

 

 

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〜イリヤ side 〜

 

 

「38.2度。風邪ではなさそうですが、熱がありますね」

 

「……不覚…」

 

次の日、なかなかお姉ちゃんが下りてこないので様子を見てみたら、なんと熱を出していた。

 

「だ、大丈夫?お姉ちゃん」

 

心配になって聞いてみると、

 

「これくらいどうってことない……ほら」

 

いつもよりたどたどしい口調で言いながら、おでこを出してくる。

 

えと、触ってみて、って事かな…?ってわわっ⁉︎

 

「ふふ、イリヤはあったかいね〜」

 

「ちょ、お姉ちゃん⁉︎」

 

お姉ちゃんに近づいたら、突然抱き締められてベッドに引き倒されてしまった。

 

「お、お姉ちゃん、私学校があるんだけど…!」

 

「ふふふ〜、しらな〜い」

 

「お姉ちゃんホントに大丈夫なの⁉︎」

 

抵抗しても今まで見た事のないテンションのまま私を撫で続けるお姉ちゃん。

 

「せ、セラ!なんとかして!」

 

私一人では抜け出せないので、セラに助けを求めたんだけど、

 

「…今日はイリヤさんもお休みと連絡しておきます。ゆっくりしてください」

 

「セラ〜⁉︎」

 

そう言って部屋を出て行ってしまった。

 

「(まったく、エールさんもまだ子どもな所がありますね。…少しホッとしました。ずっと姉として振る舞ってきたのですから、こんな時くらい甘えさせてあげるのもいいでしょう)」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「……行った、かな。まさかコレで通じるとは思わなかったなぁ」

 

セラが部屋から出て行くと、お姉ちゃんが正気に戻って呟く。

 

「あれ?お姉ちゃん平気なの?」

 

「大丈夫って言ったでしょ?さっきのは演技」

 

そ、そうだったんだ…でも、なんで演技なんてしたんだろ?

 

「自覚ないかもしれないけど、三日も遅くに戦ってたら体に疲れも溜まってるはずよ?という訳で、今日はゆっくり休んで疲れを取りなさい。どうせ学校行っても寝ちゃうだろうし」

 

私も疲れたからもう寝るね、と言って目を閉じるお姉ちゃん。

本当に疲れていたみたいで、すぐに寝息が聞こえてきた。

 

「…お姉ちゃんの寝顔、初めて見たかも。可愛いなぁ…」

 

「ずっと一緒にいるのに見てないんですか?」

 

私の独り言にルビーが食いついてきた。

 

「うん…お姉ちゃん、いっつも私の後に寝て、私より早く起きちゃうから」

 

毎日寝顔をじっくり見られてると知ってからは恥ずかしいから別々に寝てるし。

 

「なんともしっかりしたお姉さんですね〜。この歳で大したものです」

 

「うん…私の、自慢のお姉ちゃん……」

 

気が緩んだのか、私の瞼もだんだんと下がってくる。

お姉ちゃんの言った通り、結構疲れてたみたい。

 

「……お休みなさい。今日はゆっくり休んでください、イリヤさん(マイマスター)

 

ルビーのそんな声を遠くに聞きながら、私も意識を落とした。

 

 

〜イリヤ side out〜

 

 

 

〜セラ side 〜

 

 

「で、どうだった?」

 

私が下りてくるなり、様子を聞いてくるリズ。

普段どんなにだらしがなくとも、メイドとして最低限のものは持っている、と信じたい。

 

「エールさんは、恐らく極端な魔力消費が原因の発熱。魔術回路も開いているようでしたし、ほぼ間違いないでしょう。イリヤさんも、封印が解ける一歩手前までいったようです」

 

そう言いながら、私は事の重さに崩れ落ちる。

 

「あの封印は命の危険とかのレベルでなければ解けないというのに!というか、何も知らないはずのエールさんがどうやって回路を…!」

 

二人が厄介ごとに巻き込まれているのでは、と頭を悩ませていると、

 

「考えすぎだってー。交通事故に遭いかけたとかそんなんじゃないの〜?」

 

「それはそれで問題です!しかも、エールさんの方の答えになってません!」

 

呑気なリズに一喝する。

 

「あぁ、おまけに最近二人が隠し事をしているようなっ…!」

 

「年頃の娘なんてそんなもん。気になるならエールに聞けばいい」

 

あっけらかんとした口調でリズが言う。

 

……結局のところ、それしかなさそうですね。

 

ため息をつきつつ、私は家事に戻りました。

 

 

〜セラ side out〜

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

〜エール side 〜

 

 

「……う、ん……」

 

…そこそこ寝たみたいね。

 

目が覚めると、もう二時を回っていた。

疲れている自覚はあったけど、ここまでとは思わなかったなぁ…。

 

「すぅ…すぅ……」

 

腕の中を見ると、気持ち良さそうに寝ているイリヤ。

抱き締めたまま寝ちゃったみたい。

 

「ふふっ。可愛い顔しちゃって…」

 

私はイリヤを起こさないようにそっと腕を外し、軽く髪を梳いてあげる。

 

……昨日のは気のせいだったのかな?

 

昨夜イリヤが抱きついてきた時、イリヤの気配がダブったような気がしたけど、今はそんな感じは全くない。

魔力切れとかのせいで感覚がおかしくなってたんでしょう。

自分の中でそう結論づけた後、ある事を思い出した。

 

「…あ」

 

凛達への説明がまだ終わってなかった。

 

…行かない訳にもいかない、か。

 

久し振りにイリヤの寝顔をじっくり堪能したかったけど、まあ仕方がない。

机に置いてあったお昼を食べて、イリヤへの書き置きを残してルヴィアの屋敷に向かったのだけど…

 

「遅かったわね。昼までには来るかと思ってたわ」

 

開口一番これである。

 

「魔力切れのせいでちょっと熱出してね。さっきやっと下がったとこだから」

 

取り敢えず事情を説明する。

 

「大丈夫なの?」

 

「万全じゃないけどそこそこ魔力も溜まってきたし、寝てたから身体も大体平気…って美遊⁉︎どうしたのその格好⁉︎」

 

後ろから入ってきた美遊が心配してくれたけど、その格好を見て驚く。

 

いや、メイド服って何⁉︎普段の美遊はどこにいったの⁉︎

 

「ふぇ?あ、いや…その、これは…」

 

人に見られたい格好ではないのか、自分の服を見て恥ずかしそうにワタワタと慌てる美遊。

 

……どうしよう。持ち帰りたい程可愛い。

 

「恥ずかしがる事はありませんわ美遊。それはエーデルフェルト家の正式なメイド服なのですから」

 

「…児童労働は法律違反って知ってる?」

 

あまりに堂々としていたので一瞬流しかけたけど、言ってる事はかなり際どい。

 

「あ、でもその代わりに、衣食住の保証をしてもらってるから…」

 

…まぁ、美遊がいいなら気にしてもしょうがないか。

 

「あーもう、話がだいぶ逸れちゃったじゃない。エール、昨夜の事、改めて聞かせてもらうわよ」

 

いい加減我慢の限界だったのか、凛が強引に話を切り替えて本題に入ってきた。

 

「はいはい、分かった、話すわよ。…さて、何から話したものかしらね……」

 

そう言いながら、私は二人に昨夜の一部始終を話した。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「………とまぁ、大体こんな感じ、かな」

 

「英霊の力を自分に降ろす…カードにそんな力があったなんて…」

 

「エールスフィール、貴女最初から知っていましたの?」

 

話し終えた後、呆然と呟く凛。

一方でルヴィアは疑うような口ぶりで聞いてくる。

 

「まさか。仮説は立ててあったけど確証は無かったわ。あの時は他に手がないからそれに賭けるしかなかったけどね」

 

ホント、よくもまあ都合よくいったものだわ。

 

「それで、ホントに身体は何ともないの?」

 

今度は凛が心配そうに聞いてくる。

 

「大丈夫だってば。昨日のはほとんど魔力切れのせいだし。っと、それで思い出した。今日誰も目の事に触れてこなかったんだけど、何かした?」

 

イリヤなんて至近距離から見たはずなのに気付いたようすはなかったし。

 

「それでしたら、貴女を家に運んだ際にカラーコンタクトを押し込んでおきましたわ。あのままではなにかとマズいでしょう?」

 

……それが疲れて寝てる人にする事か。いや、助かったけどね…。

 

それでもちょっと文句を言おうかと口を開きかけた時、

 

「は、はいぃぃぃぃっ‼︎」

 

途中で抜けた美遊の悲鳴が屋敷中に響き渡った。

 

「美遊っ⁉︎一体何事ですの⁉︎」

 

私が慌てて窓の外を覗くと、ウチに向かって駆けていく美遊の姿が見えた。……メイド服のままで。

 

「………多分、大丈夫だと思う。私の家に入っていったし」

 

「しかし今の悲鳴は…!」

 

「イリヤってスイッチ入ると暴走するから…。ルビーとか使って美遊の格好見たんじゃない?というか、意外と美遊って押しに弱いのね」

 

まったく世話がやける。

そう思いつつ、私は立ち上がる。

 

「帰るの?」

 

「話す事は話したし、あっちの始末もつけなきゃ。あ、でもその前にお願いがあるんだけど、いい?」

 

「どうせカードを使わせてくれ、でしょう?いいわよ別に。戦力が増えるのは嬉しいし。全部回収したら返してくれれば問題ないわ」

 

私の頼みは予想済みですか。話が早くて助かる。

 

「ありがと。でももう一つ。昨日の感じだと、宝具使うとすぐ魔力切れしそうだから、予備の魔力として宝石を貸して欲しいのよ。戦闘前に渡してくれればいいんだけど。使わなかった分は返すよ」

 

まぁ、固有結界なんて使えないだろうけど、ステッキで補充出来ない私としては保険をかけておきたい。

 

「それでしたら、私が貸して差し上げますわ。使った分の返済も結構。そこの貧乏人のように取り立てるような真似はしませんから安心して使いなさい」

 

オーッホッホッホ!と高笑いするルヴィアと、それを睨み付ける凛。

 

「うっさいわよルヴィア!誰がこんな子供から取り立てるかってーの‼︎」

 

「おや、それは意外ですわね。貴女はもっと金に汚いものだとばかり…」

 

あぁ、またいつものやり取りを……。

 

「そ、それじゃ私はこれで失礼するわ。宝石の件、ありがとね、ルヴィア」

 

そう言って、巻き込まれない内に私は部屋を出た。

 

 

〜エール side out〜

 

 

 

〜イリヤ side 〜

 

 

「いやーごめんね、なんか変なテンションになっちゃって」

 

「い、いえ…」

 

うぅ…気まずい。

一旦気分が落ち着くと、何を話したらいいか分からなくなる。

 

 

──目が覚めた私は、お姉ちゃんもいなくて暇だった。

ふとミユさんの事が気になって、ルビーを使ってテレビ電話をしたら……なんとミユさんはメイド服を着ていた。

見られたくなかったのか恥ずかしがるミユさんの姿に、変なスイッチが入っちゃって、そのままで呼び出して抱きついたり色々やらかして、今に至る。

 

「アーチャーのカード…」

 

なんて回想をしていると、ミユさんが机の上のカードに気付いて呟く。

 

「あ、うん。あの後お姉ちゃんが置いていったみたい。……昨日のお姉ちゃん、凄かったよね…」

 

「うん…」

 

私達どころか、凛さん達すら敵わなかった相手を倒しちゃうんだもん。あのとんでもない宝具も完全に防いで。

 

「(結局昨日のって、どういう事だったんです?サファイアちゃん)」

 

「(見た方が早いと思う。こちらに)」

 

ルビー達が何か言いながら、ベランダの方へとふわふわ飛んでいく。

 

「また、助けて貰っちゃったな…」

 

「イリヤスフィール…?」

 

思わず言葉を漏らした私に、ミユさんが不思議そうに声を上げる。

 

「ミユさん、前に聞いたよね、私がどうして戦うのかって。あの時言ったの、ホントは二番目の理由だったんだ…」

 

そう言って、私は両手をついて天井を見上げる。

 

「私ね、ずぅ〜っとお姉ちゃんに助けられてきたの…。迷子になってたのを見つけてくれたり、色々…私が困った時にはすぐに来てくれて、助けてくれた……。

もちろん、嬉しかったよ?いつも見ててくれてるんだって、安心できた。

でも、これで良いのかなって思ったりもしたんだ。お姉ちゃんの重荷になってるんじゃないかって。

…だから、ルビーと出会って、魔法少女をやる事になって…少し嬉しかった。お姉ちゃんの前に立って戦って…守られてばかりじゃないって、お姉ちゃんを安心させてあげられるって…そう思った。だけど……」

 

また、お姉ちゃんに助けて貰っちゃった。

 

悔しさで私は手を強く握る。

 

「結局、私は何も出来なかった…。お姉ちゃんに頼ってばかりで、結局何も…!」

 

「………」

 

「──ご、ごめんね。なんかグチみたいな事言っちゃって…今のは聞かなかった事に「少しずつでいいと思う」え?」

 

無理に声を明るくして話を誤魔化そうとしたら、不意にミユさんが声を上げる。

 

「今何も出来なかったとしても、少しずつ…出来る事を増やして…。いつか、頼らなくてもいいくらいになれたら、それで良いんだと思う。それに多分…」

 

"彼女は貴女の事を、重荷だなんて思ってない。"

 

「あ…」

 

それは、自分以外の誰かに言って欲しかったものだった。心からそう思って言ってくれた言葉に、気分が軽くなる。

 

「そっか…少しずつでいいんだ。ハハハ、そうだよね。いきなりなんて出来る訳なかった…」

 

今までずっと頼ってきて、急にひとりでやろうとして…空回りして…結局助けて貰っちゃって。

 

「…焦ってたのかな、私。お姉ちゃんに迷惑かけたくないって。…でも、うん。ありがとう、ミユさん。なんか吹っ切れた気がするよ」

 

「…イリヤスフィールの気持ちも、なんとなく分かるから」

 

私がお礼を言ったけど、ミユさんの返しに違和感を感じた。

 

「そういえばミユさん。イリヤスフィールって呼ぶの、長くない?イリヤでいいよ。フルネームで呼ばれるのってちょっとくすぐったいし、友達はみんなそう呼ぶから」

 

「友、達…?」

 

「え⁉︎違うの⁉︎私の片思い⁉︎」

 

まだ友達にすらなれていなかった、と思わずショックを受けかけたけど、少し違うみたいだった。

 

「あ、いや…そうじゃなくて……」

 

ミユさんは、なにかを噛みしめるような顔をした後、軽く顔を赤らめて、

 

「それなら、その、私も…呼び捨てでいい……」

 

そう、言ってくれた。

 

…嬉しかった。なんていうか、認めてもらえたみたいで。

だから私は、

 

「うん!改めて、これからよろしくね!ミユ!」

 

満面の笑みと共に、手を差し出した。

 

「こ、こちらこそよろしく。…イリヤ」

 

ミユは一瞬こちらを見て、おずおずといった感じで手を握り返してくれた。

 

「…思ったより酷くなかった、っていうか…なんか仲良くなってない?二人とも」

 

「ふぇ?」

 

急に後ろから声がして振り向いくと、心配して損した、みたいな呆れ顔をしたお姉ちゃんが立っていた。

 

「お、お姉ちゃん⁉︎いつからそこに⁉︎」

 

「今来たとこだけど。なに?私がいちゃ困るような事でも話してたの?」

 

「え、あ…いや、その…」

 

いちゃ困るというか、聞かれたくないというか…。

 

「…ま、いいや。それよりイリヤ、あなたさっき暴走したでしょ。屋敷中に美遊の悲鳴が響いて何事かと思ったじゃない」

 

なんて言おうか迷っていると、お姉ちゃんは話を変えて、腰に手を当てて"めっ!"といった感じで注意してきた。

 

「あ、あはは…スミマセンでした」

 

助かったと思いながら、取り敢えずミユに頭を下げる。

 

「い、いえ…イリヤも悪気があった訳じゃないし…。それよりエールスフィール。貴女に聞きたいことがあるんだけど、いい?」

 

「ん?私?」

 

ミユがそう言うと、お姉ちゃんは少し考えこんだ。

 

「…まぁ、いいよ。私も少し話したいとは思ってたし。場所変えよっか」

 

「え?ここじゃダメなの?」

 

なんで場所を変えるのかと思ったけど、

 

「今の美遊の格好見て正気でいられるの?」

 

「う…ハイ、いってらっしゃい二人とも」

 

お姉ちゃんのひとことに何も言えなくなってしまった。

 

「分かればよろしい。美遊、行こ?」

 

「…うん。それじゃイリヤ、また後でね」

 

そう言って二人はどこかに行っちゃった。

 

 

〜イリヤ side out〜




〜おまけ〜
「あれ、イリヤ様、美遊様はどちらに?」

「お姉ちゃんと話があるってどっか行っちゃったよ?」

「置いていかれた……⁉︎美遊様〜〜⁉︎」
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