Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ 妹へ送るエール   作:ハープ

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大変、お待たせしました!m(_ _)m

お詫び申し上げるとともに、3ヶ月も見捨てずに待っていて下さった方々に心から感謝いたします!
時間をかけただけの内容にはなっている…はずです。


第8話 告白、そして…

〜エール side 〜

 

「さて、と。ここでいいかな。それで?美遊。私に聞きたいことって、何?」

 

美遊を公園まで連れて来た私は、周囲に人がいない事を確認して振り返る。

 

「……あの、その…」

 

さっきの顔はどこへやら、踏ん切りがつかないのかオロオロとしている美遊。

 

…私から切り出すか。

 

「私が何者なのか、かな」

 

「っ⁉︎どうして…」

 

読まれた事に驚いたのか、美遊が目を見開く。

 

「……不自然だって自覚はあったもの。疑われるのは承知の上で動いてたし」

 

寧ろ疑われない方がおかしいよね、と軽く笑うと、美遊も落ち着いたのか、真っ直ぐ私を見る。

 

「じゃあ、やっぱり貴女は……」

 

「…うん、魔術の事は、ずっと前から知ってた。あ、勘違いしないでね?イリヤはホントに何も知らなかったから」

 

そこまで言って、私も一度言葉を切り、目を閉じる。

 

話しておくべき、だよね。

 

改めて意を決し、目を開く。

 

「──教えてあげる。私が魔術に関わった始まりの日……、第四次聖杯戦争について」

 

この世界の聖杯戦争の事、第三次に起きた聖杯の汚染、第四次の冬木大火災…、そして、私がその時の生き残りだという事など、アインツベルンや自分の記録については触れずに語れるだけは全部話した。

 

「………とまぁ、こんな所、かな」

 

「そんな事が……」

 

信じられないといった顔で呆然としている美遊。

普通に考えたら中々に重い話だし、無理もないかな。

 

「…その、話しにくい事を聞いてしまって、ごめんなさい」

 

我に返って謝罪してくる美遊には、何故かその言葉とは別にどこか罪悪感を感じている響きがあった。

 

……まったく、生真面目というか、背負いこみ過ぎというか。

 

「別に気にしなくていいわ。貴女に比べたらこれくらい大した事ないのだし」

 

自分でも踏み込み過ぎている自覚はあったけど、私は敢えて爆弾を投下する事にした。

 

「…………え?」

 

「…さっき言ったじゃない?汚染された聖杯に触れた、って。だから、私は聖杯の気配を感じ取れるの」

 

驚いて固まっている美遊に更にそう続ける。

 

「貴女まさか……っ⁉︎」

 

一転して怯えたような表情になる美遊を、優しく抱きしめる。

 

「怖がらなくても大丈夫。私は貴女の敵じゃないし、誰かに話すつもりもないわ」

 

安心させるように頭を撫でると、強張っていた身体から少し力が抜ける。

 

「たった一人でこの世界に来て、誰をどこまで信じていいのかも分からず、ずっと気を張って………」

 

──あぁ、そっか。

 

聖杯絡みといっても、それだけじゃ私がここまで動く事はなかったと思う。それがどうしてこんなにも美遊が気になったのか、自分でもちょっと不思議だったけど……やっと分かった。

その気持ちは私にも当てはまるかも知れなかった思いだからだ。

持っている記録の未来にただひたすらに怯える毎日。

中心となっている衛宮家以外に拾われていたら、そうなっていた事は想像に難くない。

 

だからこそ私は……

 

「…これからは、貴女は私が守るから。だから、無理しなくていいんだよ」

 

「あ……」

 

手を伸ばしたいと思ったんだ。

 

「あ、あぁ…」

 

緊張が切れたのか、美遊が私にしがみつくようにして嗚咽を漏らす。

 

「大丈夫、大丈夫だから…」

 

私は美遊が安心できるように、ただひたすら美遊を撫で続けた。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

「……寝ちゃったか」

 

泣き続けること十数分。

疲れたのか美遊は私に抱きついたまま眠っていた。私は美遊を起こさないようにしつつ、ベンチへと座り、羽織っていた上着を美遊にかける。

 

腕の中の寝顔を覗き見ると、普段は見せない柔らかい笑みを浮かべていた。

 

「ふふっ、可愛い顔しちゃって」

 

普段が不器用で素っ気ない態度なだけに、こういう顔をしていると可愛くて仕方がない。

私は小さく笑いつつ、丁寧に髪を漉いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…ま……ル…ま……」

 

……ん、…?

 

「お目覚めですか、エール様」

 

「あれ?サファイア?」

 

気がつくと、顔の側でサファイアがフヨフヨと漂っていた。

 

「あちゃ、寝ちゃってた?」

 

「はい。お二人とも、起こすのが躊躇われるほどにぐっすりと」

 

「アハハ…ちょっと不用心だったなぁ、今何時?」

 

見渡してみれば、もう完全に日が落ちている。

流石に遅くなり過ぎだよね。

 

「19時半、といったところです。私としても、ここまで美遊様が無防備な寝顔をしているのは初めて見たので、ご自分で目覚めるまで待とうと思っていたのですが……」

 

「もうすぐ夕飯ね、ルヴィアが文句言ってこなきゃいいけど。っと、美遊〜、帰るよ〜」

 

ユサユサと美遊を揺すると、

 

「ん……お兄、ちゃん?」

 

「………」

 

寝ぼけているのか、薄目の上目遣いでそう言ってきた。

 

……なに、この可愛い子は。

っ、じゃなくて!どうしよう…。

 

「か、帰るよ、美遊」

 

戸惑いながらそう繰り返すと、美遊はなにやら腕を首にかけ…

 

「…抱っこして?」

 

「っ⁉︎」

 

美遊が甘えん坊⁉︎どうしよう、こんなレアな事態が起こり得るの⁉︎っていうか正気に戻った時大変なことにならない⁉︎

 

「……外だからおんぶで勘弁してくれ」

 

パニックの末、口調をそれっぽくして乗り切ることにした。

 

……抱っこは流石に身長差その他が足りないので厳しい、などと意外とどうでもいいところは冷静だった。

 

「うん……」

 

まだ寝ぼけているらしい美遊は、私の言葉に疑問を持つことなく首に手をまわす。

 

「まったく…ほら、もう少し寝てろ」

 

「うん……」

 

そう言ったきり、こくりとまた舟を漕ぐ。

 

「…見てはならないものを見てしまったような気がするのですが」

 

「……今の事は他言無用よ。特にルビーには絶対話しちゃダメ」

 

呆然と呟くサファイアに釘を刺し、公園を出る。

 

 

 

………………………………………。

 

 

「…ところでエール様は、美遊様とどのようなお話を?」

 

無言で歩いていると、不意にサファイアが話しかけてきた。

 

「夕べのカード使った事とか色々かな」

 

流石に本当の事は言えないので、ごく一部分だけを抜き出して答える。

 

「何故カードの使い方を知っていたのか、という質問はルヴィア様達が既にしたと思いますので、私は別の事を。何故アーチャーを選んだのですか?」

 

上手く話を逸らせたと思ったら、これはこれで厄介な質問ね。

 

「……ん〜、取り敢えずキャスターはほぼほぼ役に立たないと思ったし、ランサーはアク禁食らった、って言ってたから使えるか不安だったし、ライダーは近接型だけど、セイバーには劣るから、宝具使う前にやられちゃうかな〜って。で、残ったのがアーチャー。まぁ、大体は直感だけど」

 

「………なるほど」

 

取り敢えずそれらしい理由を並べて誤魔化す。

 

「さて、と。そろそろ起きなさい、美遊。もうすぐ家に着くよ」

 

これ以上の追及を避ける意味も兼ねて美遊を起こしにかかる。

 

「ん……お兄ちゃ……え、エールスフィール⁉︎え?え⁉︎」

 

今度はしっかり起きたのか、勘違いに気付いてパニックになる美遊。

 

「落ち着いて、っていうか落ちるから!変に動かない!」

 

気が動転した美遊が落ちそうになるのを必死で押さえ、ギリギリで体勢を立て直す。

 

「……あ、あの……なんで、私、その…」

 

「おんぶされてるのか、って?」

 

美遊は顔を真っ赤にしつつ、こくこくと頷く。

 

「美遊がなかなか起きなくってね〜。なんかおんぶとか単語が聞こえてきたからやってみた。時間も遅いし」

 

「…………そう」

 

私が答えると、美遊は恥ずかしそうにしつつもどこか憂いを帯びた表情を浮かべる。

 

「………ねぇ、美遊?」

 

「え?」

 

「私は美遊のお兄ちゃんにはなれないけれど……美遊さえ良かったら、私の事…『お姉ちゃん』って呼んでくれていいよ」

 

「…………!」

 

美遊にとって『お兄ちゃん』がどれほど大きな存在なのかは、あの甘えた様子を見れば明らか。知り合ったばかりの私では、到底代わりになんてなれない。

でも、それでも守りたいと思ったから。私なりに、美遊の事を支えてあげたい。

 

「……着いたよ」

 

屋敷の門の前で、美遊を下ろす。美遊は俯いたまま、無言で立っている。

 

「それじゃ、また今夜。鏡面界で会いましょう?」

 

そう言って私は踵を返す。

 

「……ありがとう、お姉ちゃん」

 

家のドアを閉じる直前、聞こえるかどうかの小さな声が、私の耳に届いた。

 

 

〜エール side out〜




最初美遊視点で書こうとして全く進まなかったので、思い切ってエール視点にしたらそれなりにスムーズに書けました。が、ずっとエールが途切れなかったので一旦切って次回も日常(?)編となります。
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