Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ 妹へ送るエール   作:ハープ

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場面切り替えが多過ぎると思って前回から切り離したので、今回は短めです。


第9話 守りたい日常

〜エール side 〜

 

 

「あ、お帰りなさい、エールさん」

 

「ただいま〜、って、え?」

 

想定していなかった声に迎えられて、つい素っ頓狂な声を上げる。

 

「お久しぶりです。思ったよりも元気そうで良かったです」

 

そう微笑んで顔をを上げるのは……

 

「桜⁉︎」

 

私の年上の妹分、桜だった。

 

この世界の桜は魔術との関わりはほとんどないといっていい。髪色は変色しているけど、臓硯は第四次の時に既に死んでいるらしく、私が来た直後にはもう衛宮家に通い始めていた。

虚数魔術の危険性を考えれば、制御の為に習っている可能性もあるけれど、切嗣もママもいない以上、その可能性も低い。

 

魔術絡みの事に首を突っ込んでいる今、桜とはあまり会いたくはなかったのだけど……

 

「?どうかしましたか?あ、やっぱりまだ休んでいた方が…」

 

「う、ううん。平気。それより今日はどうしたの?」

 

そんな事を考えていたら、体調が悪いと思われて心配されてしまった。

 

「あ、それはですね…」

 

「俺がエールが熱出したって言ったら、心配して来てくれたんだよ」

 

「あ、士郎いたんだ」

 

適当に話を誤魔化そうとしたら、台所から士郎が出てきた。

 

「って、また夕飯作ってるの?当番じゃない日にやるとセラがうるさいよ?イリヤは喜ぶけどさ」

 

「桜が来てるからな。久々に一緒に作りたいって言ったら許してくれたよ」

 

「すみません、先輩…」

 

その代わり後で一日譲る事になったけどな、と笑う士郎に、申し訳なさそうにしつつも頰を染める桜。

 

……こんなにわかりやすい上にいい雰囲気になるのに、なんでこの朴念仁は気付かないのかしら。

いや、まぁイリヤの士郎愛を考えたら、今の状態がある意味ベストなのかもしれないけどね。

 

「あ、先輩…」

 

「ん?あぁ、これか?」

 

少しズレた事を考えていると、いつの間にか二人は台所に戻っていた。

桜の言わんとしている事を察して、必要なものを即座に用意している士郎。相変わらず呆れた以心伝心っぷり。

 

「……こう台所で一緒に作業してると、最早夫婦にしか見えないよね」

 

「んなっ⁉︎」

 

「ふ、夫婦⁉︎」

 

「お姉ちゃん⁉︎」

 

ふと思わず言葉を漏らすと、盛大に反応する三人。

ん?三人?

 

「………覗くくらいなら堂々と入ってきなさいよ、イリヤ」

 

「あ、いや、その…ハイ、スミマセンデシタ」

 

ため息をつきつつ階段の方を見てみると、バツが悪そうにイリヤが降りてくる。

 

「まったく、せっかく来てくれてるんだから挨拶くらいしっかりなさい」

 

「う…ハイ。でもあの桃色空間に近づくのは私の精神力が保たないッ!」

 

「「イリヤ(さん)っ⁉︎」」

 

イリヤの告白に更に顔を真っ赤にする士郎と桜。

見事に息ぴったり。

 

「あ〜……じゃあしょうがないか。まったく、桜もなんでこんな朴念仁に引っかか「わー!わ〜!え、エールさん⁉︎」…フフッ。そんなに必死になって。やっぱり桜は可愛いよね?士郎?」

 

「なんで俺に振る⁉︎いや、まぁ桜は可愛いけどさ」

 

「〜〜〜!//」

 

「むぅ〜…」

 

流れを利用して桜をからかう。

 

………うん、やっぱりこういう日常っていいな。

 

こんな何気ない毎日をずっと過ごせたらどんなにいいか。

そう、何度も考え続けてきた。

今はその日常から少しばかり外れた事をしてるけど、この思いだけは決して変わらない。

 

私達の日常を守るために、一刻も早く今の異変を解決する。そして、美遊も一緒に、みんなで平和な日々を過ごせるようにする。

 

三人の笑顔を見ながら、私は決意を新たにした。

 

 

〜エール side out〜




日常謳歌するなら士郎はやはり桜とですね。
原作プリヤでは番外で姿だけ出てきましたが、こうはっきりとは出てこないので出してみました。
まぁ、どう頑張っても本編には組み込めないのですが^_^;

次回、カード回収再開です。

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