Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ 妹へ送るエール   作:ハープ

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大変遅くなりましたm(_ _)m
予定とは大分変わりましたが、なんとか仕上がりました。見捨てず待っていてくださった方々、本当にありがとうございます。


───────────────────────

───きっと、絶対に正しい答えなんてないわ。だから私はどっちを選べとも言わないし、どっちを取ってもそれを尊重するわ。

───でもね、これだけは言わせて?

───どんな選択をしたとしても、どうか後悔だけはしないで。いつか貴女が振り返ってみた時、これで良かったって心から思えるような……そんな答えを選んで頂戴。

「私が、後悔しない、選択………」


第13話 舞い戻る少女

〜エール side〜

 

 

「◼️◼️◼️◼️!」

 

「フッ…!」

 

振り下ろされる拳を躱し、懐に潜り込む。

 

「──まず一つ!」

 

勢いそのままに心臓を貫き、即座に距離を取る。

 

「……流石に速いな」

 

バーサーカーの様子を見て、思わず言葉を漏らす。十秒と経たずに蘇生が終わりそうな速さには最早苦笑するしかない。

 

「もっとも、まともにやり合う気など更々無いが」

 

元々この速度に追いつくために固有結界まで出したのだ。これで投影が間に合わず潰されましたでは笑えない。

 

既に次の()は手元にある。いつもの黒弓より大きな弓を構え、つがえるはかの飛将軍の万能兵装。

 

「憑依経験、共感完了……軍神五兵(ゴッド・フォース)!」

 

「◼️◼️⁉︎」

 

タイミングを合わせ、蘇生直後を狙って頭を撃ち抜く。

 

「──二つ」

 

王手まであと少し。せめてもう一つは削っておきたい。

 

そう思い、未だ途切れることなく流れ込み続けている(アーチャー)の記録から、適当な剣を検索しようとした時、

 

「────!」

 

「ガッ⁉︎」

 

凄まじい勢いで吹き飛ばされる。

 

「──馬鹿、な…」

 

なんの冗談だろうか。蘇生まで若干の猶予はあるという想定は、正しくも間違っていた。

 

──そういえば腕なしでも動いていたが……!

 

まさか首が無くとも動けるとは思わなかった。最早生命力などという言葉では言い表せず、執念と言ってもいい。おまけに修復しながら私の落下地点に回り込もうとしている辺り、相変わらず本当に自我が無いのか疑いたくなる徹底ぶりだ。

 

───が、

 

「私もタダではやられんよ……!」

 

私の意志に応え、次々とバーサーカーを襲う無数の剣。ほとんどは傷一つ付けることは叶わないが、

 

「◼️◼️◼️⁉︎」

 

一本の剣がバーサーカーの肩に突き刺さる。

 

……驚きはしたが、思考が止まった訳ではない。そもそも思い出すまでもなく記録の方から次々と来るのだ。十二の試練(ゴッドハンド)を突破出来る宝具の一つや二つ見つかって当然だ。……いや、割とギリギリだったが。

 

加えて、この剣の雨から的確にそれらを見つけ出し躱すことなど不可能。残念ながらこれだけの剣で正確に急所を狙う技量はないが、私にはこれがある。

 

「──壊れた幻想(ブロークン・ファンタズム)!」

 

爆発がバーサーカーを呑み込む。流石のバーサーカーと言えど、ゼロ距離内部からの神秘の開放には耐え切れない。もっとも…

 

「かはっ…!」

 

私もその余波は受けているが。バーサーカー目掛けて飛んでいたのだ。辛うじて直撃に巻き込まれないタイミングだったが、生身には中々堪える。

 

……まあ、何もなくアレに握り潰されるよりはマシだろう。

 

地面に叩きつけられながらそう割り切る。骨やら内臓やらがどうなろうが動けるのなら十分だ。

 

どうにか起き上がりバーサーカーを見やれば、既に蘇生を始めているものの、今までと比べれば幾分遅い。

 

「バラバラにされればすぐ蘇生ともいかんか」

 

好都合だ。お陰で雑にならずに済む。

 

「──投影、開始(トレース・オン)

 

確実に倒すため、一つ一つ工程を丁寧に行う。

 

創造の理念を鑑定し、

 

基本となる骨子を想定し、

 

構成された材質を複製し、

 

制作に及ぶ技術を模倣し、

 

成長に至る経験に共感し、

 

蓄積された年月を再現し、

 

あらゆる工程を凌駕し尽くし──

 

「ここに、幻想を結び剣と成す──!」

 

この手に現れるは黄金の剣。記憶を擦り減らしてなお()の中から消えることのなかった、かの王への憧憬の具現。

 

「───さあ、決着をつけるとしよう」

 

「……◼️◼️◼️」

 

既にヤツは射程に収めた。これを決めれば私の勝ちだ。

 

ようやく起き上がってきたバーサーカーに向き合い、剣を構える。

 

「「……………」」

 

「◼️◼️◼️◼️◼️‼︎」

 

「ハアァァァア‼︎」

 

互いに向けて同時に走り出す。

 

もはや小細工など不要。全ての力をこの瞬間に費やす…!

 

「──邪悪を断て」

 

振り下ろされた拳を肘から斬り捨てる。これでもう私を遮るものはない。

 

「──勝利すべき黄金の剣(カリバーン)!」

 

剣はバーサーカーの心臓を貫き、確かにその命を奪った。

 

 

〜エール side out〜

 

 

 

〜イリヤ side〜

 

 

「──行ってきます!」

 

「え?あの、イリヤさん⁉︎」

 

戸惑うセラの声を置き去りにして、家を飛び出す。

 

走る。─走る。──ただ一点を目指して。

 

「はぁ…はぁ……っ」

 

橋の真ん中くらいで息を切らす。さすがにずっと走り続けるのは堪えたみたい。でも──

 

「──みつけた」

 

橋の先にあるビル群。その中の一つが、ぼんやりと光って見える。あそこがきっと、鏡面界───みんながいる場所。

 

──力に、良いも悪いもないわ。大切なのは、それを使う人の心。

 

──どんな選択をしたとしても、どうか後悔だけはしないで。

 

ママとお姉ちゃんの言葉(録音)が耳に蘇る。

 

私…私は──!

 

「ルビー!」

 

「はいはーい!呼ばれて飛び出てルビーちゃんですよー!」

 

決意を込めて、私のパートナー(ルビー)を呼ぶ。いつもはうざったいこのテンションも、今はどこか心地いい。

 

「行こう、みんなのところに!」

 

小気味良い音を立てて出たステッキを握って転身する。なんだかんだ毎日してたはずなのに、なんだかちょっと懐かしい。

 

「辞表、出した意味ありませんでしたね〜」

 

「え?………ううん、きっとあったよ。だって……」

 

「?」

 

そう。リンさんに頼まれた(押し付けられた)戦いは、もうおしまい。だけど……

 

「この戦いは、私たちの戦いなんだから!」

 

ふわりと浮き上がり、一直線に空を駆けていく。

 

───私は、もう逃げたりしない!

 

 

〜イリヤ side out〜

 

 

 

〜エール side 〜

 

 

「─────いっつ……」

 

全身の痛みで目が覚める。

 

「私…えっと……っ!」

 

上手く働かない頭で周りを見回すと、いつの間にかもといたビル跡──いや、壊したの私達だけど──に戻って来ていた。自分の服を見てみれば、既に外套ではなく、カードは足下に落ちている。固有結界はおろか、夢幻召喚(インストール)すら解けてしまったらしい。

 

………急激な魔力枯渇による一時的失神、ってところかな。

 

なんとなく状況を把握する。ただでさえ魔力が足りてないのを宝石で無理矢理補っていたのだし、むしろよく保った方だと思う。

 

「まぁ、バーサーカーも倒したし、あとは誰かに回収してもらうのを待つだけ……?」

 

……ちょっと待った。私気絶してたのよね?なんで平気なの?

 

元々存在しない空間だから、核になっている黒化英霊を倒せば鏡面界はすぐに崩れる。今までのことを考えれば、もうとっくに崩れててもおかしくないはずなのに、むしろ空間が安定してきているような気さえする。

 

「まさか……っ!」

 

嫌な予感がした私は、痛む身体に鞭を打って起き上がる。直後、

 

「……◼️◼️◼️」

 

崩れた床から伸びる、巨大な手。それはそのまま身体を引き上げ、その姿を見せていく。

 

「──バーサー、カー……」

 

ありえない。勝利すべき黄金の剣(カリバーン)で削れるストックは七つ。その前に五つ削って、確かに倒しきったはずなのに……あ。

 

今の自分の状態を思い出す。

 

魔力、枯渇……。もしかして、魔力が足りてなかった⁉︎あるいは、セイバーがいないことでの因果的不足とか……ああもうなんてこと⁉︎こんな失敗をするなんて……。

 

いくら嘆こうと、現状は変わらない。ここまで削った私を警戒しているのか、バーサーカーはゆっくりと、でも確実に迫ってくる。

 

「──ここまで、かな……」

 

既に手は尽きた。正確にはないこともないけど、圧倒的に魔力が足りない。おまけに、逃げようにも酷使し過ぎた身体は上手く動かない。

 

「◼️◼️◼️◼️!」

 

「っ!」

 

真っ直ぐに振り下ろされる拳に、思わず目を閉じる。

 

──イリヤ、美遊……ごめんね。

 

「◼️◼️◼️⁉︎」

 

諦めた私の耳に届いたのは、バーサーカーの悲鳴。

 

「……え?」

 

「……間一髪」

 

「──遅くなってごめんね、お姉ちゃん」

 

思わず顔を上げた先にあったのは、ステッキを振り切り、バーサーカーに傷を付けた二人の妹の姿だった。

 

 

〜エール side out〜




エール「第四回プリエ座談会〜。今回のゲストは……」

イリヤ「えと、皆さんお久しぶりです。よろしくお願いします」

エール「ホントに久しぶりね。ペース上がればいいななんて言ってたのに。というかなんであんなこと言ったのかしらね」

イリヤ「大学入試控えてたのにね……」

エール「本格化して手を出せなくなった挙句燃え尽きじみて意欲なくして、とどめになろう小説にハマるという最悪の流れだったわ。なおVRゲー系がお好みの模様」

イリヤ「でっ、でも!続き読みたいって言ってくれた人のお陰で復活出来たんだよね!」

エール「そうね。もっとも離れ過ぎてしばらくは碌に文が書けなかったけど。『こんなに言葉浮かばなかったっけ⁉︎』と慌てふためく姿は面白かったわ」

イリヤ「結局前回の予告完全に無視してお姉ちゃんメインだけどね……まあそんなこんなで結局時間かかっちゃったけど、ちゃんと続けられてよかったよね」

エール「そうね。そして待ってて下さった方々には感謝しかないわ。この場を借りて御礼申し上げます。ありがとうございます」

イリヤ「作者のモチベーションもそれなりに回復しているので、もう少し早く届けられる……はず!です!」

エール「せめて無印までは遅くならないうちに書いてもらいたいものね。2wei!はいっそ少し間空けて書き溜めさせた方がいいかしら……まとまりの中で間隔空くと内容忘れられちゃうし、書いてる方も違和感のある書き方になっちゃうわ」

イリヤ「なんでもいいからちゃんと書いてね!」

エール「と、作者(自分)に圧をかけたところで……
Fate kaleid liner プリズマ☆イリヤ 妹へ送るエール」

イリヤ・エール「次回もよろしくお願いします!」

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