Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ 妹へ送るエール 作:ハープ
書いている間にもお気に入り登録をして頂いたり、感想を頂いたりとしていたので、手間どってしまって心苦しかったです。では、どうぞ。
〜イリヤ side 〜
え〜と、どうなっているんでしょうか。
お姉ちゃんに言われた通り真正面に立たないように逃げてたら、私と色違いの魔法少女が槍みたいなので敵を倒していた。槍はその後ルビーとよく似たステッキに変わった。
もしかしてルビーも同じ事が出来るのかなぁ。
「オーッホッホッホッホ!全くもって無様ですわ!
「くっ!この聞いているだけで殺意が湧く高笑いは…!」
そんな事を思っていたらすごい笑い声がして、リンさんがなんか嫌そうな顔で声のした方を見ていた。
私も釣られてそっちを見てみると、
「敵を前にして逃げ惑うなど、所詮貴女は騒ぐ事しか能がない庶民。真の優雅とは、この私のような人間を言うのですわ!オーッホッホ「うっさいこの金ドリル!」グフッ!」
青い服を着た金髪の人にリンさんが飛び蹴りを放っていました。
「よ、よくも淑女の延髄にマジ蹴りを…!これだから野蛮人は!」
「ハッ!ざまぁみなさい!大体、倒したのはアンタじゃなガハッ⁉︎」
あ、今度はリンさんのお腹にキレイなパンチが。
「……やる気かしら?」
「こちらのセリフですわ!」
あわわわ、どうしよう⁉︎なんかヤバそうなんだけど⁉︎
「あー、また始まりましたか〜。懲りない人達ですねー」
「ルビー⁉︎もしかして、アレっていつもなの⁉︎」
「そうですよ〜。オマケにあれを私達を使ってやり始めたりもするんですから、付き合わされる身にもなって欲しいものです!そんなだから見捨てられるんですよ」
呆れ返っているルビーに聞くと、予想以上の答えが返ってきた。
………なんか、ルビーがリンさんから逃げたのも分かる気がする。
「……とりあえず帰りましょう。なんかこの空間崩れ始めてるし」
「うわっ!お姉ちゃん⁉︎」
いつのまにかお姉ちゃんが私達のすぐそばまできていた。
あれ?でもなんか少し声が固かったような…?
「そうですね〜、話でしたら帰ってからでいいですし。…おっと」
「え?」
お姉ちゃんの様子を気にしていた私の足下に、来る時と同じような魔法陣が広がっていた。
「先越されちゃいましたね〜、まぁ、私達も送ってくれるっぽいですし、便乗させてもらいましょう」
ルビーがそう言っている間にも、周りがまた来た時みたいになって、
「帰って、来た?」
「はい〜。お疲れ様でした〜。にしても転移しながらケンカとか、あの二人にはいっそ感心します」
あ、ホントだ。まだ殴り合ってる…。そろそろあっちの人達の事聞きたいんだけどな…。
「お姉ちゃん、リンさん達どうしよう?」
とりあえずお姉ちゃんに聞いてみた。
「…そうね。聞きたい事もあるし、止めましょう。イリヤ、あとそっちの子も、耳を塞いでおく事を勧めるわ」
そう言って大きく息を吸うと、
「……いい加減になさい!この脳筋コンビ!」
塞いでいても聞こえてくる大声で、お姉ちゃんが雷を落としたのでした…。
〜イリヤ side out〜
〜エール side 〜
「………美遊、か…」
所変わって私の部屋。
あの後、とりあえずあのバカ2人を軽く説教して(脳筋よりコンビに反応する辺りホントにどうかと思った)、それぞれ名前だけ名乗って帰って来た。
私は自分の中にある記録から美遊の事を詳しく探ろうとしたけど、
「第5次の記録はおろか、月の聖杯戦争の記録にも一切出てこないなんて。…人理修復の記録に出てきたのは、この世界から迷い込んだだけっぽいし」
おまけに、その辺りを詳しく探ろうとすると、ノイズが邪魔をして閲覧できなくなる。
ちなみに、最初は自分の記憶と混同されていたから、ちょっと人格にも影響が出た気がするけど、今は私の中で分かれていて、第三者視点として基本的に好きに閲覧出来るようになっていた。
基本的というのは、所々今回みたいにノイズが邪魔をして見れない所があるからだ。
「ま、分からないなら、どうするかは本人を見て決めていくしかないわね」
そう割り切る事にして、私は眠りについた。
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翌日。
「美遊・エーデルフェルトです」
そんな気はしてました。
学校に来てみれば、昨日の魔法少女がウチのクラスに転校してきた。
しかもイリヤの真後ろ。羨ましい。
「ハッ⁉︎プリントがない!…みんな、ちょ〜っと自習しててね〜」
都合良く藤村先生が抜けた。と思っていたら、
「私、ちょっとトイレ行って来るね」
と、イリヤが外に出ていくのが見えたので、私も続く。
「いや〜なんともベタな展開ですねー」
「ルビー声が大きい」
「ハハハ…」
なんて話していたら、
「魔法少女ものではよくあるパターンですよね」
不意の声に思わず身構えたけど、そこにいたのは…
「あらサファイアちゃん!」
「昨晩ぶりです、姉さん」
もう一本のステッキ、サファイアだった。
「ね、姉さん?」
イリヤが少し戸惑ったような声を上げる。
うん、ステッキに姉妹とかあるとか私もよく分かんない。
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「改めまして、サファイアと申します」
場所を屋上に移して、改めて自己紹介する。
「こちら私の新しいマスターのイリヤさんです。そして隣にいらっしゃるのが…」
「エールよ。イリヤの姉」
「姉がお世話になっております」
「こちらこそ、昨日はありがとね、お陰で助かった。…この礼儀正しさの千分の一でもルビーが持っていれば良かったんだけどね〜」
落差が激しいので、つい愚痴ってしまった。
「同感です。同じ姉という立場でも、姉さんとエールさんでは天と地の差があると思われます」
おお、話せる。同士だ。
「そう仰りましても〜。私達は姉妹機ですし、作った時にそれぞれ偏ってしまったのでは?サファイアちゃんはあまり感情を表に出しませんから」
「それ最悪ね、訴訟ものだわ……。ところで、あの子はなんなの?」
この際なので、なにか情報を引き出せないかと思って聞いてみた。
「美遊様ですね、私の新しいマスターです。姉さんと別れた後、ルヴィア様を撒いている間に見つけました」
「さっすがサファイアちゃんです、可愛い子を見つけましたね〜。おまけにいきなりカードを使えるなんてもうスペック高過ぎです!」
あ、カードといえば…
「ねえルビー?私達、カードにあんな使い道があるなんて聞いてなかったんだけど?」
オイ、とジト目で見てみる。
「あれ、姉さんもしかして…。まだクラスカードの事を説明していなかったのですか」
「あ、アハハハ…そういえば、クラスカードについては、詳細を話していませんでしたね〜。ルビーちゃん反省です☆」
などと、全く反省してなさそうに言う。
「……はぁ。それで?アレがカードの本来の使い方なの?」
「いいえ。先に回収された二枚のカードを魔術協会が解析したのですが、高度な魔術理論で作られたものらしく、英霊の座にアクセスする事が出来る、という事が分かっただけでした。
今の所、私達ステッキがカードを介して座にアクセスし、カードに対応した英霊の宝具を一時的に具現化させていますが、本来の使い方は不明です」
サファイアが説明してくれたけど、昨日のやりとりから分かる事以上は分からないみたいだった。
「なるほどね〜。ま、ステッキ作った人じゃないなら、それなしじゃ使えないものを作るはずはないし、カードには他に正しい使い方があると思ってた方がいいかな。……イリヤ、大丈夫?」
ふと見てみると、イリヤが頭から煙を出していた。
「うう…難し過ぎて追いつかない……。ホウグって何?」
「要は神話や伝説の英雄が使っていた、神秘を秘めた武器ですね」
「う〜ん、イリヤも知ってるものだと、アーサー王の
「…その通りです。随分理解が早いですね、エールさん」
ヤバっ。
ついうっかり喋り過ぎてしまい、サファイアから疑惑の目を向けられた。
「ま、まぁ英霊云々については、一回凛から簡単には説明されたし。……で、夕べ戦ったのは、そのカードの英霊なの?」
「…まあいいでしょう。はい、その通りです。アレも英霊の力の一部。英霊そのものと言って良いでしょう」
とりあえず流してくれたようで、また解説に戻ってくれた。
「ただ、色々変質しているようで、理性が吹っ飛んでるみたいですねー。アレを倒したら、カードゲットです」
「って、あと何枚あるの…?」
…危なっ。そういえば枚数はまだ聞いてなかった。イリヤナイス。
聖杯戦争の知識から、勝手に7枚と考えていたので、ボロが出る前に聞けてホッとした。
「全部で7枚です。うち回収済みなのは、イリヤさんの持つ『アーチャー』と」
「美遊様の持つ『ランサー』と、昨晩回収した『ライダー』の3枚です」
「つまりあと4枚。先が思いやられるわ」
「うう、そんなにあるんだ…」
「大丈夫ですイリヤさん!何の為に私達がいると思っているんですか〜!」
不安がるイリヤを、ルビーが励ます。
「私達も全力でサポートします。ですので…」
サファイアもそういうと、イリヤの目の前に移動し、
「どうかこれからも、美遊様とカード回収を「サファイア」…美遊様」
言葉の途中で、美遊が屋上にやってきた。
「あまり外に出ないで」
「申し訳ありません。イリヤさんにご挨拶をと思いまして」
そんなやり取りをしながら戻っていく二人に、
「あ、あの……!」
イリヤが話しかけようとしたけど、途中でやめてしまい、そのまま美遊達は屋上をあとにした。
「なんか話しかけづらい雰囲気でしたね〜」
「いい加減大河も戻ってくるし、私達も戻りましょう」
あの子の目……やっぱり気になる…。
〜エール side out〜
〜イリヤ side 〜
私達が教室に戻った後、授業が始まった。
「龍子ちゃん、これ解い…ゴラァ寝るなぁっ!……じゃあ美遊ちゃん、これ解いてみてー。お手並み拝見しちゃおっかなー」
あてられたミユさんが答えを書き始めたんだけど、そこには見たことのないような計算がズラズラと並んでいた。
「み、美遊ちゃん?これはそんな問題じゃないから、微積とか使わなくていいんだからね?」
「?」
「そんな不思議そうにされても先生が困るっ!」
な、なんかよく分かんないけど、学力はすごいみたい。
と、急にお姉ちゃんが立ち上がって、
「へぇー、やるじゃない。じゃ、私も。(やっぱり難しい方がやりがいあって楽しいよね〜♪)」
そう言うと、隣の問題を似たような計算で解いていた。
「エールちゃんまで⁉︎だからそういうのは要らないって言ってるじゃない⁉︎」
「え?知ってるよ?ただ私が解きたいからこうやってるだけ」
「うちのクラスはなんでこんな子がいっぱいいるのー⁉︎」
お、お姉ちゃんも出来るんだ…微積って、確かお兄ちゃんがやってる辺りだって前にちらっと聞いた気がするんだけど……。
お姉ちゃんとミユさんの学力の高さが分かった時間でした。
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「自由に描いてくれていいから、人物画よろしくー!」
次の図工になると、お姉ちゃんはなんか、「せっかくだし、あの人を描いてみようかな…」って言ってすごく真剣に描き始めていた。
「ん〜…⁉︎す、雀花ちゃん…⁉︎なにを描いてるのかな〜?」
見回りをしていた先生がスズカの所で立ち止まった。
「自由に、という事だったので、性別の壁を解体して、美少年の同性愛を表現してみました」
グッ!とサムズアップするスズカ。先生もちょっと引いてる。
あ、あはは…そう言えばスズカって、所謂"腐女子"ってやつなんだっけ。
「オォー!」
そう思っていると、一箇所から声が上がっていた。あそこは…ミユさんの席?
「……こ、これは⁉︎み、美遊ちゃん?」
「はい、形態を解体して、単一焦点による遠近法を放棄しました」
な、何を言ってるのかもはや全く分からない…!
「なんでそんなの知ってるの!キュビズムは小学校の範囲外よ外!」
「…?」
「だからそんな不思議そうにしないで…。誰か、まともなのはないの〜?そだ、エールはどうだ。おーい、エールちゃ〜ん!」
「…はい?呼びました?」
お、お姉ちゃん、今までの全く気にせず描いてたの…⁉︎
呼ばれて初めて気づいたみたいな声を上げるお姉ちゃんに驚愕した。
「エールちゃんはどんな絵描いた〜?」
「えっと、まだ細かい所が終わってないんですけど…」
「どれどれ〜、ってなにこれ上手っ!もうこれで完成じゃないの?っていうかこの人誰?」
うんうん。何が足りないんだろ?
お姉ちゃんの絵はそれで完成っていってもいいくらいの出来だった。
「背景に砂漠と臣下を描こうかと。あの人に相応しい風景ですから。誰か、についてですけど……私の、命の恩人です」
お姉ちゃんはそう言って、とても大事そうにまた絵を描き始めた。
方向性は違うけど、お姉ちゃんもミユさんも美術力が高かったです。
……命の恩人って、どういう事だろ?
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「調理実習をやります!協力してハンバーグを作ってね〜!」
「むぅ、まだ絵描き終わってないのに…」
「ま、まあまあお姉ちゃん。絵は後でも描けるし、ね?」
「ああいうのは勢いが大事なの!(というか、半端にするとか恐れ多いにも程があるわ)」
不満そうにしているお姉ちゃんを宥めて、ハンバーグ作りを始める。
……そういえば、お姉ちゃんがこんなに何かに拘るのって、珍しいかも。
そんな風に思っていると、またミユさんの班でどよめきが起こった。
「こ、これは‼︎一体⁉︎」
ミユさんが作ったのは、何と食事一食丸ごとだった。
「何か間違っていたでしょうか?」
「小学校の調理実習でこんな手の込んだ料理は作らないっての!つか、フライパン一つでどうやったの⁉︎」
先生の言う通りです。もう下手したらセラ達に並ぶんじゃ…。
「どれどれ……!こ、この味は⁉︎」
あ、いつのまにかお姉ちゃんが味見してる。お兄ちゃんとセラに教えてもらってるからちょっと料理にうるさいって言ってたっけ。
でも何であんなに驚いてるんだろ?
「おかわり〜」
「ちょっと待て〜い!奈々亀ちゃんはなにもう食べてんのよ!全くもう……」
そんな事を考えている内に、先生まで料理に手を出して、
「うんめ〜♪美遊ちゃんおかわり〜♪」
「先生うるさいです」
……か、完璧超人…⁉︎
〜イリヤ side out〜
〜エール side 〜
……あの味は、間違いなくあいつの料理…。でも、どうして…?
「おーい、エール姉。どうかしたのか?」
「え?…いや、何でもない」
私が美遊の料理について考えていたら、雀花が話しかけてきた。
「っていうか、なんでクラス…いえ、学年の大半が私の事『エール姉』って呼ぶ訳?」
話を誤魔化しつつ、気になっていた事を聞いてみた。
時々『エール姐』に聞こえてくるのが余計に気になる。
「いや〜、だってなんか、同い年っぽくないだろエール姉は」
「うんうん、しっかり者のお姉ちゃんって感じだよね、エールちゃんは」
まぁ、実際精神年齢は上な訳だけど…割と精神が身体に引っ張られてるから、そうはっきりと言われると、少し傷付くような……
「っと、イリヤ、ちょっとこっち来い」
「え?なになに?」
私が地味に凹んでいる間に、イリヤが呼ばれていった。
「このままだと、エール姉以外全員あの転校生にやられっぱなしだ。せめて50m走ぐらいは勝ちたいよな」
「うんうん、イリヤの脚だけが、私達の最後の希望」
…なるほど、そういう事ね。
なんで私は別枠なのかはまた傷つきそうだから流すけど、気持ちは分からなくもない。
「はーい、次のグループ準備して〜」
そして始まった50m走。
都合良くイリヤと美遊は一緒に走るから、勝敗は分かりやすい。
「イリヤ〜、しっかりねー!」
勝ち負けはともかくとして、とりあえずイリヤを応援しておく。
「それじゃ行くわよ〜。よーい」
──ダッ!
旗が振り上げられると同時に、二人が走り出す。初めは互角の勝負だったけれど……
「うぅ…」
「もう…よしよし、分かったからもう落ち込まないの」
「いつまでいじけてるんですか〜?」
放課後。公園のベンチで私の膝の上に顔を伏せるイリヤを撫でつつ慰める。
あの後、美遊は終盤に更に加速して、そのままイリヤを追い越して小学生としてあり得ないレベルのタイムでゴールした。
「べ、別にいじけてないけど…ただちょっと才能の壁ってやつを見せつけられたっていうか……」
「…はぁ。まぁ気持ちは分かるけど……」
引きずり過ぎるのも良くないんだけどなぁ…
「もう日も落ちそうですし、帰りましょうよ〜、ね?」
空を見てみると、ルビーの言う通りもう紅く染まっていた。
「ほら、行きましょ」
「うん…」
ようやくイリヤも起き上がり、帰ろうとしたところで、
「何してるの?」
「ふぇ?」
イリヤを凹ませた張本人が現れた。
「私は、得意の50m走で美遊に負けて凹んでたイリヤを慰めてただけだけど?美遊こそ、こんな所にどうしたの?」
私がそう聞くと、
「……一つ、聞きたい事があったから」
「聞きたい事?」
まだろくに話してもいないのに何が聞きたいのかしら。
「貴女達は、どうしてカード回収をしているの?」
……そうきたか。
確かに、私達には一見して手伝う理由がない。聞きたくなるのも当然といったところね。
「大元を言うなら、凛から逃げたルビーがイリヤをマスターにしたせいで巻き込まれたのが理由。まぁ、妹ひとりで戦わせる気はないから、私も手伝ってる訳だけど」
「……っ、そう。…じゃあ、貴女はどうして戦うの?巻き込まれただけの貴女には、戦う義務も責任もない。本気で拒めば、ルビー達も諦めたはず」
美遊は私の答えに一瞬表情を変えたけど、すぐに戻ってイリヤに目線を向ける。
……いわれてみれば、私もどうして戦う気になったのかは聞いてなかった。
「えっと、その…じ、実を言うとね?こういう事に、少しだけ憧れてたんだ。ほら、これってゲームとかみたいな状況じゃない?」
「ゲーム?」
美遊はイリヤの言葉を、怪訝そうに繰り返す。
「うん。魔法を使って戦うとか、冗談みたいな話だけど、ちょっとワクワクしちゃうっていうか…。せっかくだから、このカード回収も楽しんじゃおっかな〜なんて「もういい」え?」
もう聞く価値はないとでも言うように、途中で話を遮る美遊。
「貴女にとって、これはゲームと同じ楽しい遊びみたいなものなんでしょう?」
「あ、あの、ミユさん?」
そう言って立ち去ろうとする美遊を、イリヤが呼び止める。
「……貴女は戦わなくていい。カード回収は、私だけでやる」
……行っちゃったか。
流石に今回ばかりは弁護のしようがないかな。
「な、なんで怒ってるのかな…」
「よく分かりませんが、地雷踏んじゃったみたいですね〜」
わけが分からず呆然としているイリヤ。
…聞かなきゃ良かったと言うべきか、今聞けて良かったと思うべきか。イリヤが戦う事については、また今度じっくり話した方が良さそうね。
〜エール side out〜
〜イリヤ side 〜
「大体、巻き込まれたのはあの子も一緒なのに、なんであんなに言われなきゃ…」
分からない。なんであんな事言われなきゃいけないのか全っ然分からない!お姉ちゃんはなんか気付いたみたいだけど教えてくれなそうだし…
そんな事を考えてる内に家に着いた。
あれ、セラが外に出てる。
「ただいま、セラ」
「ただいま〜」
「あ、お帰りなさい、イリヤさん、エールさん」
「どうしたの?」
この時間帯にセラが外に出ているのは珍しいから、どうしたのか聞いてみた。
「あ、あのですね……あれを…」
「え?」
そう言ってセラが指を指した方を見てみたら、
「な…大きい⁉︎」
「いつの間に……」
そこには、朝にはなかった豪邸が建っていました。
「今朝、突然工事が始まったと思ったら、あっという間に出来上がって…」
「……あ」
不意にお姉ちゃんが声を上げたので、目線を屋敷から離すと、ついさっき色々言われたミユさんがいた。
……き、気まずい。
ミユさんもそう思ったのか、ぷい、とまた歩き始め…そのまま、豪邸に入ろうとした。
「って、えぇ〜⁉︎」
「…美遊、ここって、もしかしなくても貴女の家?」
驚く私の代わりにお姉ちゃんが聞きたい事を聞いてくれた。
「まぁ、そんな感じ」
ギィ、と門が閉じる。
「お、お二人とも、お友達ですか…?」
「そうなるのはこれから、かな?」
セラにそう答えるお姉ちゃん。
「あ、あははは…」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「いや〜、まさか家の前で会うとは」
「そうだね〜、びっくりしたよ」
夕ご飯を食べて、お風呂に入る私達。
ホントに魔法少女ものみたいな展開になってきた…
「なんとも間が悪いというか、カッコつかないですね〜」
「あはは…確かに。まぁでも、あそこで会わなくても、今夜また、会えるんだしね」
「そうですね〜」
あんな事言われちゃったけど、上手くやっていけるのかな。
……凛さん達みたいにはならないようにしよう。
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そして深夜零時前。私達は橋の近くの公園に集まった。
「油断しないでね、イリヤ。敵とルヴィア、どちらも警戒するのよ」
あ〜、えっと……
「お二人のケンカに巻き込まないで欲しいですね〜」
「全くよ。というか、二人のケンカがそもそもの原因じゃない」
おっしゃる通りです……。
私達がそんな会話をしていると、
「
「後半以外は了解です」
「殺人の指示はご遠慮ください」
……ど、どっちもどっちでした…。
「なんでこの二人に一緒の仕事をやらせようなんて考えたのかしら、時計塔は」
「知るかそんな事!…行くわよ、3、2、1…」
「「
前回よりどこか殺伐とした空気の中、二枚目のカード回収が始まったのでした……。
〜イリヤ side out〜
日常回って難しいですね…個人的にイスカンダルが結構好きなのでちょくちょくチラつかせたいなと思っています。エール自身も、命の恩人の上記録でZeroでの姿を知っているので尊敬している節があります。
エールの記録の閲覧についてですが、彼女はFateシリーズ全ての記録を保持していますが、プリヤに関する記録は殆ど閲覧できないようになっています。話の設定的には世界に封印された事にしますが、エールの性格上後に出てくる"彼女"の存在を知った上で放置はさせられなかった、と言うのが本音ですね。
次回はキャスター戦、そしてセイバー戦前半ぐらいまでを予定しています。