Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ 妹へ送るエール 作:ハープ
今回はセイバー戦です。にしても戦闘描写難しいですね!頭の中では中々激しいシーンなのですが、語彙力が…。うまく伝わっていればいいのですが。
〜エール side 〜
「美遊!」
ひとりキャスターめがけて飛び出していった美遊に、思わず叫ぶ。
あれじゃ間に合わない…!だったら!
「イリヤ!」
「うん!」
私の呼びかけに応えて、イリヤが魔力砲を美遊に向けて放つ。
「「
美遊は一瞬目を見開いた後、魔力砲に乗って加速し、
「
キャスターの魔術が発動するより早く、キャスターを貫いた。
……はぁ。なんとかなったわね……。
キャスターを撃破して、ひとまずホッと一息つく。
最初の作戦はキャスターの転移魔術で躱されたけど、美遊の機転でイリヤが反射平面を利用した広範囲攻撃で足止めし、美遊が魔力砲で吹っ飛ばした。
墜落地にすぐさま凛とルヴィアが駆け寄り、
「
「だ、だって、出来ると思ったんだも〜ん!」
ふと見ると、ルヴィアがイリヤの頭をグリグリと締め付けていた。
「指示を出したのは私よ。というか、美遊にパラシュートなしでスカイダイビングさせた人がなに偉そうな事言ってるのよ」
取り敢えず止めようと思い、昼間の件を出して話を逸らす。
「う…そ、それは
「言い訳無用。…イリヤ、美遊の迎えに行ってあげて?こっちは私がまとめとくから」
「…うん!」
ルヴィアが怯んだ隙にイリヤを逃し、美遊のもとへ向かわせる。
「まったく、二枚目にしてコレとか、先が思いやられるわね。……にしても、カード回収したってのに空間の崩壊が遅くない?」
凛がため息をついた後、不思議そうに辺りを見回す。
「そういえばそうですわね。一体なぜ…?」
…そうだった。
まだ終わりじゃない。むしろ、アレに比べたらキャスターなんて前座みたいなもの。
「呑気な事言ってる場合じゃないよ、二人とも。本番はここか…っ‼︎」
二人に警戒を促そうとした直後、背後から何かが迫ってきた。
「凛!ルヴィア!」
予想通り、襲ってきたのはセイバーの剣撃だった。
私は間一髪で躱したけど、凛とルヴィアは避けきれなかったらしく、側で倒れているのが見えた。
「セイバーはどこに…ガハッ⁉︎」
振り返ってセイバーを探そうとしたら、腹部に強い衝撃を受けた。
セイバーの体勢をみるに、蹴り飛ばされたらしい。
そのまま私は橋に激突して、ようやく止まった。
「う…ぐ……!」
「お姉ちゃん⁉︎」
…遠くでイリヤの声が聞こえた気がした。
…二人とも……無事で………い…………て……
二人の無事を祈りながら、私の意識は途切れた……。
〜エール side out〜
〜イリヤ side 〜
「え⁉︎なに⁉︎」
私がミユさんと合流した後、急に後ろから何かが爆発したような音が聞こえてきた。
あっちって確か…お姉ちゃん達のいる方⁉︎
「行こう!ミユさん!」
「うん!」
気になって飛んでいく途中、煙の中から何かが飛び出てきて、橋に激突したのが見えた。
あれって……
「お姉ちゃん⁉︎」
「待って、イリヤスフィール」
心配で急いで向かおうとしたけど、ミユさんに引き止められた。
「でも!お姉ちゃんが「あれを見て」え?」
ミユさんが指していたのは、お姉ちゃんがいた煙の中。そこにうっすらと浮かんで見えたのは……
「……最悪の事態です」
「ありえるの?こんなこと……」
「完全に想定外…。しかし、現実に起こってしまいました。…二人目の、敵…」
鎧に身を包み、黒い剣を持った騎士の姿だった。
「エールスフィールの所に行っても、彼女を戦いに巻き込んでしまうし、今そばにいるルヴィアさん達の安全を確保しないといけない。………気持ちは分かるけど、抑えて」
「………っ」
本当に申し訳なさそうにするミユさんに、私はなにも言えなくなってしまった。
ど、どうしたらいいの……?
〜イリヤ side out〜
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
〜美遊 side 〜
こ、ここまで強いなんて……
目の前の光景に、私は恐怖を覚えた。
地面は抉れ、瓦礫がそこかしこに散らばっている。ここにあった全てが、もはや一切原形を留めていない。
「り、リンさん…?ルヴィアさん、ルビー!サファイア‼︎お姉ちゃん…………みんな、どこ行っちゃったの……?」
イリヤスフィールが、絶望したようにその場で膝をつく。
と、
「私ならここだよ、イリヤ」
背後から声がした。私達が振り向くと、
「お待たせ、二人とも。……無事でいてくれて、本当に良かった」
エールスフィールがそう言って微笑んだ。
「お姉ちゃん‼︎」
「おっと。……よしよし、怖かったよね。よく頑張った」
彼女は飛びつくイリヤスフィールを優しく抱きとめ、その頭を撫でる。
「うぅ、お姉ちゃん…ルビーが、凛さんがぁ……!」
「凛とルビー?そういえば目が覚めてから見てないけど……。美遊、場所を変えるよ。橋の方には瓦礫も多いから隠れやすいと思う」
「…わかった」
かなりの勢いで橋に激突したはずなのに平気そうなのは気になったけど、彼女の言う事も正しいので、一旦瓦礫の陰に身を隠した。
「……さて、と。イリヤ、少しは落ち着いた?」
「…うん」
「よろしい。…それじゃ美遊、私が気絶していた間の事を教えてくれる?ものすごい衝撃で叩き起こされたと思ったらこの有様で、正直何が何だかさっぱりなんだけど」
イリヤスフィールを気遣いながら、私に状況を聞いてきた。
「……初めは私達で黒化英霊と戦ったんだけど、魔力の霧に攻撃が阻まれて、逆に向こうは私達の防御を貫通する斬撃を飛ばしてきた…正直、キャスターの時以上に歯が立たなかった。だから、回復したルヴィアさん達にステッキを預けて代わりに戦ってもらったんだけど…それでも敵わなくて、宝具の直撃を受けて……。宝具の真名は
私がそう説明すると、
「…大体分かった。中々に最悪の状況ね。……イリヤ、美遊。これからどうするか決めたから、聞いて。二人は今から凛達を探し出して合流、ステッキで脱出の準備をして」
「で、でも…リンさん達は……」
イリヤスフィールが項垂れてそう言う。
私も、あのタイミングで逃げられたとは思えない。
………二人は?
「大丈夫。あの二人は簡単にやられたりしない。それに、ステッキが無いと私達は帰れないんだから、信じるしかない」
「ちょっと待って。二人は…って、貴女はどうするつもり?」
私が疑問に思った事を聞くと、
「…探してる間何もしてこないとは思えないからね。私はセイバーの足止めをする」
そんな、無謀な事を言い出した。
「⁉︎無茶すぎる!ステッキを使っても歯が立たないのに、どうやって⁉︎」
「無理だよお姉ちゃん!」
私達は反対したけれど、彼女は首を横に振る。
「相手がアーサー王なら、私がそばにいればすぐにバレる。他に手はないの。……それに、何も生身で立ち向かうなんて言ってないよ?」
「え?お姉ちゃん?」
よく分からない事を言いながら、彼女はイリヤスフィールの持っていた『アーチャー』のカードを手に取る。
「貴女、何を……!」
「私の仮説が正しければ、このカードはセイバーと戦うだけの力がある。これを使えば、時間稼ぎぐらいならできるはず」
「だとしても!危険な事に変わりは「だからこそ、だよ」…え?」
なおも食い下がる私に、彼女は告げる。
「ここにいれば、誰だって危険だよ?美遊も、私も…もちろん、イリヤだって。でも、だからこそ私は戦わなくちゃいけない。…お姉ちゃんだから、妹の事ぐらい、ちゃんと守らないとね」
「‼︎」
…似てる、なんてものじゃなかった。
私の中で、お兄ちゃんと彼女の姿が完全に重なった。
「そろそろ気付く頃ね。美遊、イリヤの事お願いね」
「お姉ちゃん‼︎」
止める暇もなく飛び出して行ってしまった彼女を追って私達も物陰から出ると、今まさに黒化英霊が斬りかかろうとしているところだった。
最悪の事態を想像したイリヤスフィールが目を閉じかけた時、
「
彼女がそう叫ぶと同時に、周囲が光に包まれる。
「あれは……」
「お姉ちゃん、なの…?」
光が消えた後、私達が見たのは…赤い外套に身を包み、双剣で黒化英霊の剣を受け止めている彼女の姿だった……。
〜美遊 side out〜
〜エール side 〜
「そろそろ気付く頃ね。美遊、イリヤの事お願いね」
一瞬惚けたような顔をした美遊にイリヤを預け、私は物陰から飛び出した。
アーチャー…ううん、シロウ、お願い。私に力を…二人を守る、戦う力を貸して。
そんな思いを抱きながら、私はカードを地面に置く。
セイバーがこちらに気付いたようで、こちらに向かってくる。
──ずっと考えていた。
宝石翁が作ったのでないなら、ステッキを使わずにカードの力を引き出す方法があると。
セイバーが迫り、あと一息で剣の射程に入る。
──そして、一つの仮説に辿り着いた。
カードを英霊の座にアクセスし、対応した英霊の力を対象に宿すものと仮定すれば、その対象を変える事で力の引き出し方を変えられるのではないか、と。
射程に入り、セイバーが剣を振り上げる。
──つまり、
「
私の叫びとともに、カードが光を放ち、無力だった私に力をくれる。
服装はアーチャーとよく似た赤い外套へと変化し、手には投影済みの干将・莫耶が握られる。
私はそのままセイバーの剣を受け止め、間髪いれずに蹴り飛ばす。
セイバーはすぐに起き上がったけど、私の変化に警戒心を抱いたのか、一旦距離を置いたまま様子を見ていた。
…このまま時間を稼いでもいいけど、斬撃を飛ばされたら後ろのイリヤ達が危ない。
私は自分から接近して仕掛ける事にした。
「はぁぁぁっ!」
「!」
左の莫耶を振り下ろすと、セイバーは容易くこれを切り上げるようにして弾き、その勢いのまま斬りかかる。
干将で剣の腹を叩いて軌道を外へと逸らし、弾かれた左手でセイバーの右腕を狙うも、再び弾かれる。
…これでいい。
隙を見せる事で相手の次の手を誘導し、防御を容易にするアーチャーの戦い方は時間稼ぎにはうってつけだった。
あとはイリヤ達が合流するのを待つだけ…!
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一体どれだけ切り結んだことだろう。
時間の感覚などとうに狂い、手に持つ双剣は何度も砕かれている。
……そろそろ魔力が心許無くなってきたかな…。
いくら負担の少ない干将・莫耶でも、数を重ねればそれなりに消費するし、
イリヤ達はまだ……っ!
焦りが動きに出たのか、ほんの少し力を込め過ぎた腕が弾かれ、体ごと仰け反る。
間一髪で直接切り裂かれるのは防いだものの、踏み止まる事が出来ずに大きく吹き飛ばされる。
「このままじゃ…
追撃の構えを見せるセイバーの目の前に、無銘の剣を大量に突き立てる。
稼いだ時間は一秒にも満たないけど、体勢を立て直すには十分。
均衡を崩された以上、短期決戦で倒す!
覚悟を決めた私は、向かってくるセイバーに向けて干将・莫耶を投げる。
当然のように弾かれるけど、気にせず更に一対投影して投擲する。
「っ!」
セイバーはもう一度弾き飛ばそうとしたけど、途中で背後に迫る気配に振り向く。
そこにあるのは、さっき弾かれた干将・莫耶。
これこそが、アーチャーが考えた必殺。
互いに引き合う性質を利用して、四方を囲み逃げ場を無くし確実に敵を仕留める技。
本来ならもうひと工程あるけど、ここからはオリジナルにする。なぜなら…
「フッ!」
セイバーが魔力の霧を作り、まとめて吹き飛ばそうとしていたから。
…けどね!
「読めてんのよ!」
私がそう叫ぶと同時に、二対の双剣が爆発し、魔力の霧を消し飛ばす。
…
「
そのまま黒弓を投影し、アーチャー最高クラスの火力を誇る
これで、どう…?
一度手を止め、煙が晴れるのを待つ…。
と、突然煙が吹き飛び、私はミスを犯した事に気付かされる。
セイバーは肩の鎧が吹き飛んだだけでそこまで深い傷は負っていないようで、低く構えて剣に魔力を込めていた。
躱された…⁉︎しかも宝具…待たずにさっさと追撃していれば!とにかく避け…⁉︎しまった‼︎
射線から逃れようとした時、後ろにイリヤ達がいるのを思い出す。
仮に避けきれたとしても、二人が確実に巻き込まれる。
……受け止めるしか、ない。
「上等。やってやるわ…
私が知る中で、
あの世界で士郎が宝石剣を投影した時の応用。私の記録で座標を固定して、アーチャーの記録から情報を引き出す…!
ピシッ…
一瞬、視界がヒビ割れた…ような気がした。
でも、そんな事を気にしている時間は無い。私は一心不乱に目的の記録を探す。
……見つけた…!あとはこの情報を私に反映させれば!
「
…なんとか投影が間に合った。完全な開放は厳しそうだけど、それで十分。
「
セイバーが真名を開放し始める。私もそれに合わせるように、投影したばかりの宝具を構える。
「
「
私が盾を展開した直後、黒い極光が襲う。
「はあぁぁぁぁぁあっ‼︎」
絶対に、ここで抑えてみせる!
〜エール side out〜
〜美遊 side 〜
「な、何がどうなってるの…?」
私の横で、イリヤスフィールが戸惑ったような声を上げる。
目の前では、黒化英霊とエールスフィールがほぼ互角の勝負を繰り広げていた。
「彼女自身が、英霊と化している…?」
私が呆然と呟いていると、
「み、ミユさん⁉︎なんか来るんだけど⁉︎」
足下を見ると、地面を盛り上げて進むナニカがいた。
軽く怯える私達をよそに、ソレは目の前まで迫ってきて…
「ご無事ですか美遊様〜⁉︎」
サファイアが飛び出してきた。
「さ、サファイア…無事だったの…?」
「はい。直前に地面に穴を開けて、なんとか地下に逃れました。ルヴィア様達も気絶しているだけで無事です。それより、あれは一体…」
二人が無事と聞いてホッとするとともに、戸惑うサファイアに、どう答えるべきか迷う。と、
「お姉ちゃん‼︎」
イリヤスフィールの声に顔を上げると、エールスフィールが吹き飛ばされているのが見えた。
黒化英霊は追撃を仕掛けようとしたけど、彼女はどこからか取り出した無数の剣を壁代わりにした一瞬の間に立て直し、手に持っていた双剣を投げつける。
「何をする気……⁉︎」
あっけなく弾かれたにも関わらず、もう一対投げつける彼女に疑問に思った時、不意に黒化英霊が振り返る。
そこには、さっき弾かれたはずの双剣があった。
「二対の双剣で四方を囲む…エール様はこれを狙って、っ⁉︎しかし、あれでは!」
確実に通ると思った攻撃も、黒化英霊は魔力の霧を展開して防ぎにかかった。と、
「読めてんのよ!」
彼女がそう言うと同時に、剣が全て爆発し、魔力の霧を吹き飛ばした。
「………
何かを呟いた後、間髪いれずに矢を放つ。
「す、凄い…」
「こ、これなら倒せた、よね…?」
あまりの威力に呆然としながら、希望的観測を述べる。
彼女も終わりと思ったのか、煙が晴れるのをじっと待っている。
突然、煙が吹き飛び、黒化英霊が剣を構えているのが見えた。
「あれでまだ…⁉︎まずい、宝具の二撃目…!」
「お姉ちゃん、逃げて!」
イリヤスフィールが叫ぶけど、彼女は一度こちらを見て、しまった、と言うような顔をして、そのまま動かない。
「お姉ちゃん、どうして逃げないの…?」
…逃げられるはずがない。彼女がお兄ちゃんと同じなら、絶対に。
なぜなら…
「私達が…貴女が後ろにいるから。今から逃げても、私達の足じゃ間に合わない。彼女が止められなければ、貴女が死ぬ…。それが分かっていて、逃げられるような人じゃない」
「そんな…」
「お二人とも、あれを…!」
サファイアが促すままに見ると、自身の背丈より大きな盾を構える彼女の姿があった。
「
魔力が膨れ上がり、黒化英霊が真名を開放するのに合わせ、彼女も盾を振り上げる。
「
「
彼女が真名開放すると同時に、聖剣の一撃が襲う。
「はあぁぁぁぁぁあっ!」
彼女は盾を地面に突き立て、片膝をついて攻撃に耐えていた。
「聖剣の攻撃を完全に止めています…あの盾は一体…?」
「お姉ちゃん……」
驚愕するサファイアをよそに、彼女は攻撃を止め続け、そして…
「お、抑え切った…」
攻撃が止んだ直後に盾は消滅したものの、一切攻撃を通す事なく防ぎ切った。
「…はぁっ…はぁっ…これで、今度こそ…終わらせてあげる!」
大きく息を切らしながら、再び弓を構えた彼女は、先程とは別の矢を出現させ、勢いよく放つと同時に膝をつく。
黒化英霊は聖剣を放った後僅かに硬直していたけれど、矢に気付くとすぐに動き出し、ギリギリで弾き飛ばして彼女に向かって突進する。
「お姉ちゃん‼︎」
黒化英霊は彼女の目の前に立ち、戦い始める直前を再現するように剣を振り上げ、振り下ろそうとした瞬間、
「⁉︎」
さっき躱したはずの矢が、黒化英霊の胸に突き刺さった。
「…さっきので、矢が躱されるのは想定済み…。中からなら対魔力も何もないよね!
彼女の言葉に反応して、刺さった矢がそのまま爆発し、黒化英霊の身体を吹き飛ばした。
「…クラスカード、セイバー…回収、完了」
彼女が出現したカードを拾って、今回の戦いは遂に終わった……。
〜美遊 side out〜
因みにですが、エールが最初セイバーの攻撃を躱したのは別に人外だからとかではなく、単純に立ち位置が良かっただけです。