ガリア王ジョセフ。彼の使い魔はあらゆる魔道具(マジック・アイテム)を操る神の頭脳・ミョズニトニルン
その名はシェフィールド本名ではない。
彼女は元々東方の地、ロバ・アル・カリイエの神官の家の生まれであった。召喚されてからは己の運命をさとり、ジョセフを敬愛している。
そして今もなお、その愛は揺るぐことなく満たされぬジョセフのためにひそかに開発していた新型ガーゴイル、ヨルムンガンドを引き連れ、ウルキオラをまつ。全てはジョセフのために
「さて、あの科学者と名乗る男からもらったこれを使うとするか」
シェフィールドはにたりと笑みを浮かべ手のひらに光輝く石をヨルムンガンドに向ける。
「これでヨルムンガンドは新たなガーゴイル。新型魔導兵器ヨルムンガンドM2へと進化する」
光り輝く石はヨルムンガンドへとその光を浴びさせる。ヨルムンガンドはまるで繭にくるまれるように姿を消し、身体を再構成させる。完成には少し時間がかかるようだ。
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同時刻
ウルキオラはまた妙な霊圧を感じていた。それは先に戦った特殊なガーゴイルと同じでそれよりも霊圧濃度が高いものであった。
「またこの霊圧か。どうなっている」
シャルロットは水の精霊との戦闘中でこっちにはこれない。この世界には女神の恩恵があるとはいえ、俺達破面と同等の存在がいるとは思えん。どうやら裏で何かが行われていることに間違いない。
ふと脳裏にある十刃の顔が思い浮かぶがありえないと考えるのをやめた。
「どうやら少しばかり骨がおれそうだ」
そういうとウルキオラは響転で霊圧のある方へと移動した。
その霊圧はシャルロットも感じており、少しばかり驚いていた。
「私の素の霊圧を越えているわ。いったいだれが」
「今はわれとの戦いに集中してもらおう」
水の精霊との戦いは難航していた。不死身相手に解放してないシャルロットは苦戦を強いられていた。苦戦といっても単純な力ならシャルロットの方が上だが不死身でしかも体力もほぼ無限の精霊相手ではシャルロットが先にバテてしまう。
ただ突破する方法はある。それは帰刀すること。帰刀してしまえばかなりの霊圧を消費するが殺すことは不可能だがしばらく戦闘不能にすることができる。しかしそれをやるとその後しばらく戦闘できなくなるデメリットがあるが
どうする。話を聞いてくれるような感じではないし、しばらく戦闘できなくなるけどこんなやつおさえてしまうか。
シャルロットはあたりに探査回路で伏兵や敵がいないか確認したあとこの無駄な戦いに終止符を打つことにした。
突如動きを止めたシャルロットに水精霊は考える。
「どうした。われを倒せなくて諦めたか。だが隙だらけだぞ」
水精霊は水鉄砲をとばすが、霊圧の壁に阻まれ消失する。
「!?(なんだこの重苦しい空気は)」
シャルロットは斬魄刀を抜き、静かに答える。
「光栄に思いなさい。そして後悔なさい。私と戦ったこと。まぁウルキオラ様に比べれば微々たるものでしょうけど」
「なんだこの力は」
いまだに上がり続ける霊圧はあらゆるものを弾き飛ばしている。シャルロットの立つ水も同様にシャルロットの回りだけえぐりとられているような感じになっている。
「私達破面はね、本来の力をこの斬魄刀に封印してるの」
「なんだと!?」
「つまり、今まで戦ってたのは本来の私じゃないのよ。破面が斬魄刀を抜くということを身をもって教えて上げるわ」
シャルロットは斬魄刀を掲げ、唱える。
刺せ エスコルピオン
白い霊圧の柱が上へ伸びていく。辺り一面が水と高濃度の霊圧により、霧が発生し、視界がなくなる。
「視界が」
次第に視界が晴れてくる。それまで何もしなかったのは警戒してのこと。シャルロットのシルエットが見えたとき水の精霊はあるのかよくわからない目を見開く。
「さて、これでもうお遊びはできないわよ」
「お前は何者だ。長い間単なるものたちを見てきたがこのような力は目にしたことはない」
「だがいくら強くなろうとわれは水。無駄なことだ」
水精霊の目の前には尻尾が生え、両腕にドリルのようなものがついたさそりに似たシャルロットがたたずんでいた。
「えぇわかってるわ。でも汚染って言葉知ってるかしら?」
水精霊はいきなりなんだとシャルロットを睨み付ける。水精霊の住む湖には浄化の力があり、それは病を癒すことのできる神秘の力である。それゆえに非常に強力な薬であり、耐性のないものでは毒となる。その中でも水精霊の身体の一部は非常に強力なものとなっている。
故に水精霊は過信した。自らの浄化を最強だと思っていた。
「私の毒はただの毒じゃないわ。触れたら最後。あらゆるものを死へと誘う。さぁ終わりよ」
毒砲死息吹(ベノムショックデスレスピア)
両腕についているドリルの先端が大砲みたいになり、その先端を水につけた。この技は自身の霊圧を大量に消費するかわりに毎秒100リットルの目に見えない毒を出すことができる。
この技の恐ろしいことは空気中に向ければシャルロットが決めた範囲内での空気汚染が可能となり、吸ったものは内側から溶けて死ぬほど強烈である。しかしこれは敵味方関係なくやってしまう他、使うと自身がしばらく動けなくなるため基本的には使わないのである。
今回は湖内に放出しているので空気中には漂わないが、水が汚染されていき、微生物たちは即死していく。生き物も骨すら残さず消えていく。
「ワレの浄化が間に合わない」
水精霊は意識を湖に戻すが、徐々に苦しみ出す
その時水精霊は悟ってしまった。
ここまでか
水精霊の意識はここで途切れた。水があるかぎり死にはしないが湖の色はみるみるうちに色が紫色に変色していく。
「これでおわりね」
シャルロットは陸地に上がり、後ろに倒れる。もう動けないのである。霊圧も使いすぎたため、帰刀もとけて元に戻る。シャルロットの視線の先では綺麗だった湖が見るにも無惨な姿となっており、もうこれで精霊と戦うこともないだろうと。
ウルキオラ様。あとはよろしくお願いいたします。
シャルロットも意識を手放した。
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ウルキオラが響転で姿を現したところは荒野であった。目の前には大量のガーゴイル。その後ろには巨大な光の繭。その下に人がいた。
その人物はウルキオラを見下ろしながら話しかける。
「あら、お早いお着きで。でもまだこの子の準備ができてないの」
シェフィールドは薄ら笑みを浮かべウルキオラに言う。ウルキオラからすれば別に問題ないのだが
「俺を知っているその口ぶり、そしてそこのこれから出てくるやつ。俺は知っている。言え。貴様の協力者の名前を」
ウルキオラは静かに霊圧を上げる。それによりここら一体がまるで密室にいるかのような錯覚さへ起こる。
「さぁ、誰でもいいでしょ。話したところでメリットはないし。それよりも無駄話はここまでにしてあなたの実力を見せてちょうだい」
シェフィールドは待機させてた大量のガーゴイルを起動させ、ウルキオラに攻撃をしかける。
「塵が。邪魔だ」
腕の一振りで大半のガーゴイルの首が消し飛ぶ。
「なに!?」
シェフィールドは目を見開いた。とある人物によりウルキオラという人物が人間でなく、その強さも人間の遥か先にいるということも。
だがこれはなんだ。
何も見えなかった。といったらいいだろうか。強さの次元が違いすぎる。
「つまらん」
「!!」
気づけば全てのガーゴイルが使えなくなっていた。ウルキオラはまだ斬魄刀も抜いてない。シェフィールドはウルキオラに恐怖する。
「ふふ、はははははははは」
シェフィールドはいきなり笑いだした。ウルキオラは恐怖により頭がおかしくなったのかと思う。無理もない。相手は人間。破面とはもともと力の差がある。だが、今まさに繭から出ようとしているガーゴイルは己に近かった。その存在が。
「あなたが強いのは知っていたわ。だけど世界観が違うのか。想像以上に、ええ、私の知識じゃ考えられないくらいにはすごいわ。だけどね」
繭が割れ始める。
「このヨルムンガンドもそうなのよ」
繭が完全に割れ出てきたのは見た目はガーゴイルに近いがサイズは人間サイズ、手には斬魄刀らしきものを持っている。
「馬鹿な。虚でもないのに破面化だと」
ウルキオラは目を見開く。この光景は虚夜宮にて見たことがあった。この現象は崩玉を用いて破面化する現象と同じである。協力者が誰なのか非常に気になることであった。
「さて、ヨルムンガンド改めてヨルムンガンドM2と名付けましょうか。あなたの力を見せてみなさい」
ウルキオラは少し身構える。突如ヨルムンガンドが視界から消える。響転である。
「!?」
馬鹿な。俺の探査回路をすり抜けるだと。
振り向き様腕をふり、ヨルムンガンドが振り下ろす斬魄刀を受け止めるが何かの力で弾かれるように3メートルくらい押し飛ばされる。
「なんだ今のは。俺の力が跳ね返った」
自身の折れた腕をもとに戻してヨルムンガンドを観察する。
「気づいたみたいね。そう、ヨルムンガンドにはエルフが使うカウンター魔法がかけられている。どんな攻撃も弾いちゃうってわけよ」
「そうか」
ウルキオラは響転でヨルムンガンドの背後に回り込み、カウンターを越える力業で打ち破ろうと考えた。
「無駄よ」
しかし、全ての攻撃が自身に跳ね返ってくるためヨルムンガンドは無傷でウルキオラは服が破け、傷もついていく。
「やっかいだな」
だがウルキオラも超速再生の持ち主。傷は全て塞がっていく。
「なるほど。傷が塞がるのね。でもどこまで持つかしら。ヨルムンガンドやりなさい」
ヨルムンガンドは口に光を収束させ、ウルキオラに向けてうつ。
「虚閃だと!?なめるな」
ウルキオラも虚閃をため、発射する。しかし
「これもカウンターだと!?」
全ての虚閃がウルキオラを飲み込んで大爆発がおきる。これにはさすがにシェフィールドもウルキオラがやられたと思い込む。
「ははははははは。やったわ。これぞ最強のガーゴイル。実験は成功‥!?」
辺り一体がさらに重くなる。シェフィールドは視線をウルキオラのいるところへ向ける。
「どうやらこの程度で勝ったつもりか?よほど嬉しいらしい。カウンターという魔法は確かに強力だ。だが、圧倒的力の前ではそれは無力となる」
霊圧を完全に解放させ、斬魄刀を抜く。そして気づけばヨルムンガンドを覆っていた膜がきえて切り飛ばされていた。
「なっ!?今何を」
シェフィールドはもはや目視することは不可能であった。これが人間と破面の差でもある。
「後ろが空いてるぞ」
響転でいつの間にかシェフィールドの後ろにいて斬魄刀を振り下ろすところであった。
「(死ぬ!!)」
だが
「まだ動けるのか」
ヨルムンガンドが主を守るためにウルキオラの斬魄刀を自身の斬魄刀で受け止めていた。
「しゃべれない貴様では俺にはかてん」
そしてまたもやヨルムンガンドとウルキオラの切り合いが始まる。ヨルムンガンドもさらに霊圧をあげて必死にウルキオラの猛攻を受けきる。シェフィールドは放心状態となったが、ウルキオラとヨルムンガンドの戦いを見る。
「本気を出せ」
ヨルムンガンドは動きを止める。
「それが斬魄刀であり、破面化したのなら貴様にもできるはずだ。帰刀が。そしたら力の差を教えてやる。」
「・・・わ・・・かっ・た」
「ほぅ。やっと言葉がしゃべれるようになったか」
「ガーゴイルがしゃべった?」
「なんだ。崩玉を使っているのに知らないのか。とんだ協力者だな」
「何!?」
知らぬなら教えてやる。俺達破面はもともと理性のない虚であった。それが進化し、理性をもち、破面化することでより人に近づく。崩玉はそれを無理やり進化させるもの。そのガーゴイルも例外なく破面化したのであれば言葉を発せられるのも普通だ。
「さぁ、早くしろ。それともできないのか?」
ウルキオラはヨルムンガンドが帰刀するのを待つ。久方ぶりに自身にも匹敵する敵が現れたのだ。ウルキオラも少しバトルジャンキーであった。
「ウォーーーー」
ヨルムンガンドは雄叫びを上げる。斬魄刀を地面に刺し、刀身を掴み、なれない言葉で解合する。
つ・ぶ・・・・れろ
魔導神帝
解放した霊圧はかなりのもので素でいえば今のウルキオラを完全に越えていた。風圧で砂嵐がおき、ヨルムンガンドの回りを竜巻のように回り出す。ウルキオラもまさかここまでとは思ってもいなかったのかさすがにこのガーゴイルの力を認めざるを得なかった。
「なんということ」
シェフィールドにはもはや理解できない次元にいる。自身の制御がまったくできないのである。これはもはや止まらない魔導兵器とかしたと。止められるのは今敵対しているウルキオラだけ。一刻も早くこの場から立ち去りたい。そう思ってしまえるほどここはいづらい。
「まさかこの世界で俺も力を使うときが来るとはな」
ウルキオラはヨルムンガンドの帰刀が終わるのを待っていた。このあとの戦いに胸踊らせて。
次回、ゼロの使い魔編最終回です。