『――――はい、次のニュースです
××在住の**さんが遺体で発見されました。遺体は何なのか予測できない凶器により、身体中を貫かれ、さらに臓器がごっそりと抜かれていたそうです。遺体は損傷が激しく、警察は慎重な捜査を進めると共に……』
猟奇的な殺人事件が報道された。
それは未知の凶器により殺害され、内臓を抜き取られるという常識とはほど遠いものだった
最初の事件が発覚して早1ヶ月。それまでに殺されたのはわかっているだけで19人。19人だ。2日に一人以上は殺されている計算になる。被害者は十代後半から三十代後半までの範囲だ。
人々はこの連続猟奇殺人鬼に恐怖を抱いた。なぜなら、遺体は内臓を抜き取られていた、身体を貫かれていた以外に身体に損壊があった
腕や足、首、腹、頭…そのときによりバラバラだが、報道された“たった一言”、『また、それ以外の損壊部位には犯人のものと思われる“唾液”が付着していました』
想像できるだろうか?損壊部位に犯人の唾液…つまり、“犯人は被害者を食べていた”のだ!
勿論警察はその唾液を鑑定しないほど馬鹿ではなかった。だが、結果が“出なかった”のだ!!何度鑑定しようとも【error】【ERROR】…。このことから警察はこれを魔獣の仕業の可能性を指摘。しかし、歯型は人型であり、人型の姿をとる魔獣の体液とも照合したが一致しなかった。これにより未知の魔獣の可能性を指摘しハンター協会に調査を依頼するも有力な手掛かりは見つかっていない
本来食人とは大罪だ。人間には七つの大罪と呼ばれる欲がある。それとは他に三つの犯してはならない人間としての領域がある。それは“親殺し”“近親相姦”そして“食人行為”だ。親を殺すことは育ててもらった恩を仇で返すということ。近親相姦による妊娠は死産、または奇形児が多く、近親相姦を繰り返し続ければ先天性の不妊を患うことにもなり、そんなことになれば人類存続の危機だろう。人肉を食すということはその人間の持っている病原菌をそのまま身体の中に入れることと同意であり、また、脳を食せば身体を自ら害すことになるだろう。
これは“罪”なのだ
その殺人鬼は極めて残虐の限りをつくした。生きたまま被害者の腹を裂き臓物を引きずり出したり、首を一回転させてねじ切ったり、その他指の骨を折る、眼球を抉る、鼻を削ぐ、そんな拷問じみた行為が自分たちの身近に起こったということに皆が恐怖した。まるで人間を人間とも思っていないような行為だ。まるで、“遊び”のようだ。おそらくその殺人鬼にとって人間は解剖用のカエルと大差ないのだろう。
世間はその殺人鬼をこう名付けた
「カニバル」と
『Canibal(カニバル)』カニバリズム(食人嗜好)の語源