琥珀色の瞳の少女と出会ってから数日が過ぎた。俺たちは、今日も『遊び人』というあぶれもの同士一緒に居た。
少女は、自らをオプファーと名乗った。初めは、根暗な子だなとは思った。しかし、口数が少ないが身ぶり手振りで物事を伝えようとするような可愛らしい一面も持っていた。
「オプファーは、今日はどうする?」
オプファーは、2体の人形を取り出した。今日も人形遊びがご所望のようだ。俺は人形を受け取り、王子さまの役を演じる。
「お姫様、どうか私と一曲踊ってもらえませんか?」
「・・・はい。」
ただ、人形をオプファーのリズムに合わせて遊ぶだけ。そんな行為にオプファーは、満足そうに笑う。正直、俺はそこまで楽しいとは思わない。自分の中では、小さい子の面倒を見るお兄さんの気分だ。あながち間違いではないが。だが、この笑顔を見るとどうでもよくなる自分がいるのも本当だ。
オプファーと過ごしてはや三年、俺はもうすぐ12の歳となる。明日には、俺はこの世界での成人となるのだ。オプファーは、俺のひとつ下で来年成人となる。成人に成れば、酒も飲めるしギャンブルもできる。何より、結婚も可能だ。流石にまだする気はないが、そのうちすることになるだろう。まぁ、俺の交遊関係から察するに多分相手はオプファーだろうけど。
今日もオプファーに会いに行ったら、オプファーは泣いていた。
「オプファー、何で泣いているんだ?まさか、またあいつらが?」
「・・・違う。」
オプファーは、俺にすがり付くように抱き締めてきた。そして、聴き逃してしまいそうな小さな声でオプファーはこう言った。
「・・・まだ、結婚なんてしたくない!」
オプファーの天職は、母ともに『遊び人』である。『遊び人』であるオプファーの母は、遊女という仕事をしていて、その仕事でオプファーが産まれたのだ。オプファーは、成人すれば遊女として働かなくてはならないのだが、悪い噂の耐えない貴族の金持ちに身請けされるというのだ。オプファーは、とても綺麗になった事で目をつけられたらしい。
「・・・私は、ユーキと離れたくない!」
オプファーは泣いている。彼女を助けるには、幾つか条件がある。
1つ、彼女を連れて逃げる。この方法は、あまりお勧めできない。遊女の夜逃げは、あまりにも重い罪である。しかも、貴族が身請けしようとしている相手だ。何がなんでも見つけ出そうとするだろう。
2つ、オプファーが自分を買う。これは論外である。成人してない子供が稼げる金など端金レベルだ。多く稼ぐとなると、遊女の仕事くらいしかない。
3つ、俺が身請けする。これが一番現実的だ。だが、相手は貴族だ。相手に身請け金を上げられたら、こちらの打つ手はもう無いだろう。
俺は、覚悟を決めオプファーを抱き締めた。
「俺が結婚してやるよ。」
「・・・無理だよ。」
「俺が死ぬ気で稼いで、お前を身請けしてやる。」
「・・・絶対に無理だよ。」
「無理じゃない、やるって決めたんだ。だから待ってろ。」
俺は、オプファーから離れて家に帰る。働き先を早く見つけないといけない。背に腹は代えられない、危険な仕事も構うものか。
これから少年は、地獄を見る事になる。
その事を、ユーキは未だ知らない。
こういうのを書きたかった。(悦)